嚥下機能評価と看護師が担う多職種連携の実践

嚥下機能評価における看護師の役割とは?スクリーニング検査の手順から歯科衛生士・言語聴覚士との連携まで、歯科医従事者が知っておくべき最新の実践知識を解説します。あなたのチームケアは最適化されていますか?

嚥下機能評価と看護の実践的アプローチ

口腔ケアを毎日丁寧に行っても、嚥下スクリーニングを省くと誤嚥性肺炎リスクが約3倍に跳ね上がります。


📋 この記事の3ポイント要約
🩺
スクリーニング検査の種類と手順

RSST・MWST・フードテストなど主要なベッドサイド評価法を看護師が正しく実施するための基本を整理します。

🦷
歯科衛生士・多職種との連携ポイント

歯科医従事者が看護師チームと情報共有する際の役割分担と連携の仕組みを具体的に解説します。

⚠️
見落としやすいアセスメントの盲点

不顕性誤嚥や認知機能低下患者への評価の限界など、現場で起きやすいミスとその対策を紹介します。


嚥下機能評価のスクリーニング検査の種類と看護師の手技



嚥下機能評価は、大きく「スクリーニング検査」と「精密検査」の2段階に分けられます 。ベッドサイドで実施できるスクリーニング検査には、以下の代表的な4種類があります 。 neurotech(https://neurotech.jp/medical-information/nursing-and-necessary-care-for-dysphagia/)


検査名 略称 方法の概要 判定のポイント
反復唾液嚥下テスト RSST 舌骨・甲状軟骨を触知し、30秒間の空嚥下回数を計測 3回未満で嚥下障害の疑い
改訂水飲みテスト MWST 冷水3mlを口腔底に注ぎ、嚥下後の呼吸・むせ・声質を確認 4点以上で問題なし(最悪点を記録)
フードテスト FT プリンなど半固形物を茶さじ1杯飲み込み、口腔残留・むせを評価 口腔内残留や湿性嗄声の有無
頸部聴診法 聴診器を頸部に当て嚥下音・呼吸音の変化を聴取 嚥下前後で呼吸音に液体音が混入するか確認


RSSТは最も簡便で認知機能が保たれている患者に有効ですが、口頭指示に従えない認知症患者には不向きです 。 tyojyu.or(https://www.tyojyu.or.jp/kankoubutsu/gyoseki/shokuji-eiyo-kokucare/h31-3-1-3.html)


これが基本です。


MWSTはスクリーニング全体の中でも特に感度が高く、段階的な反復嚥下の評価までカバーできるため、多くの施設が第一選択として活用しています 。 miyako-zaitakushien(http://www.miyako-zaitakushien.com/kensyu20190613.pdf)


日本摂食嚥下リハビリテーション学会:スクリーニング検査の手技と評価法の詳細(PDF)


嚥下機能評価における看護師のアセスメントと観察項目

スクリーニング検査の前に、看護師はまず問診と全身観察を行います 。確認すべき項目は多岐にわたります。 neurotech(https://neurotech.jp/medical-information/nursing-and-necessary-care-for-dysphagia/)


- 📝 問診:既往歴、食事中のむせ・食事時間の延長・口の渇きの有無
- 👁️ 視診:口腔内の状態(乾燥・残渣・義歯の適合)、食事姿勢、呼吸状態
- 🩺 バイタル:血圧・心拍数・SpO₂(食後の低下に注意)
- 🔊 音声確認:湿性嗄声(ゴロゴロした声)の有無


「湿性嗄声はないか?」これが最初の気づきの起点になります。


食後にSpO₂が3%以上低下した場合、不顕性誤嚥(むせなく誤嚥している状態)のサインである可能性が高いとされています 。むせがないからといって安全と判断するのは危険です。 knowledge.nurse-senka(https://knowledge.nurse-senka.jp/500325)


不顕性誤嚥は見逃しやすいです。


神経疾患(脳卒中・パーキンソン病など)の患者は、咽頭感覚が低下していることが多く、むせという警告サインが出にくい傾向があります 。「むせていない=安全」という思い込みを持っていると、誤嚥性肺炎を見落とすリスクが高まります。 kango-roo(https://www.kango-roo.com/learning/3406/)


また、嚥下機能評価は1回の観察で終わりにせず、食事場面全体を継続的にモニタリングすることが原則です。食事の「開始時」「中盤」「終盤」で疲労による嚥下力の低下が現れる場合があります。


看護roo!:嚥下障害のアセスメント・ケア方法(観察項目の具体例を含む)


嚥下機能評価と看護師が担う多職種連携の実際

嚥下障害への対応は、一職種だけで完結しません。これが原則です。


医師・歯科医師言語聴覚士(ST)・歯科衛生士・管理栄養士・理学療法士・看護師という多職種がそれぞれの専門性を持ち寄り、患者の「安全に口から食べる」権利を守ります 。 jibika.or(https://www.jibika.or.jp/uploads/files/guidelines/enge_shougai_2018.pdf)


  • 🏥 看護師:日常的な嚥下状態の観察・スクリーニング実施・ポジショニング調整・口腔ケアの実施
  • 🦷 歯科衛生士:専門的口腔ケア・義歯管理・オーラルフレイルの予防的介入・嚥下スクリーニング補助
  • 🗣️ 言語聴覚士(ST):精密嚥下評価(VF/VE)・嚥下訓練プログラムの立案・摂食条件の設定
  • 🍽️ 管理栄養士嚥下調整食のレベル設定・栄養管理食形態の調整
  • 👩‍⚕️ 医師・歯科医師:診断・治療方針の決定・摂食嚥下相談医・相談員制度の活用


なかでも看護師は患者と接する時間が最も長いため、多職種間の「情報の橋渡し役」としての機能が非常に重要です 。 keiyu-hospital(https://www.keiyu-hospital.com/departments/specialty/sesshoku-enge/)


連携ツールとして、摂食条件指示書や嚥下スクリーニングの結果記録シートを多職種で共有するシステムの整備が、各施設で進んでいます 。 tsushimacity-hp(http://www.tsushimacity-hp.jp/oshirase/katudou_bucknumber/katudou_R3.files/R0308_p3.pdf)


アンファミエ:摂食嚥下障害患者を支える多職種連携のなかでの看護師の役割


嚥下機能評価における看護計画の立て方と誤嚥予防ケア

嚥下障害のリスクが確認されたら、看護計画に落とし込む段階に入ります。


看護計画は、以下の3軸で立案すると抜けが少なくなります 。 eiyounet.nestlehealthscience(https://www.eiyounet.nestlehealthscience.jp/archives/swallow)


① 観察計画(O-P)
- 食事中・食後のむせ・SpO₂・声質の変化
- 口腔内の状態(残渣・乾燥・義歯の緩み)
- 食事ペース・食事量・疲労度


② ケア計画(C-P)
- 食前の口腔体操(口唇・舌・頬の筋肉活性化)
- 食事時の適切な姿勢確保(30〜90度ギャッジアップ、頸部前屈位)
- 食後30分の体位保持(逆流防止)
- 口腔ケアの徹底(食後すぐに実施)


③ 教育計画(E-P)
- 患者・家族への食形態の説明
- 自宅でできる嚥下体操の指導
- 窒息時の対処法(ハイムリック法)の指導


姿勢管理が実は最重要です。


食事中の姿勢ひとつで誤嚥リスクは大きく変わります。特に「頸部前屈位」は咽頭腔を狭め、食塊が気道に入りにくくする効果があります 。ベッド上でのギャッジアップ角度は「最低30度・可能なら60〜90度」が基本ですが、患者の疾患・体力・意識状態によって調整が必要です。 neurotech(https://neurotech.jp/medical-information/nursing-and-necessary-care-for-dysphagia/)


食事姿勢の調整は無料でできる対策です。


また、EAT-10(10項目摂食嚥下評価ツール)は合計点3点以上で専門医への受診を推奨するスクリーニング質問紙で、ネスレ日本のサイトから無料でダウンロードできます 。紙1枚で患者自身または家族が回答できるため、外来でも活用しやすいツールです。 tyojyu.or(https://www.tyojyu.or.jp/kankoubutsu/gyoseki/shokuji-eiyo-kokucare/h31-3-1-3.html)


ネスレ ヘルスサイエンス:嚥下障害の看護計画・アセスメントとケア方法の完全解説


嚥下機能評価における精密検査(VF・VE)と看護師の連携スキル

スクリーニングで問題が疑われた場合、次のステップは精密検査です。


代表的な精密検査は以下の2種類です。


- 🔬 嚥下造影検査(VF:Videofluoroscopic examination of swallowing):X線透視下で造影剤を混ぜた食物を嚥下させ、誤嚥の有無を映像で確認する。嚥下機能評価の「ゴールドスタンダード」とされています 。 tyojyu.or(https://www.tyojyu.or.jp/kankoubutsu/gyoseki/shokuji-eiyo-kokucare/h31-3-1-3.html)
- 📷 嚥下内視鏡検査(VE:Videoendoscopic evaluation of swallowing):鼻から細い内視鏡を挿入し、嚥下時の咽頭・喉頭を直接観察する。ポータブル機器を使えば病棟でも実施可能 。 neurotech(https://neurotech.jp/medical-information/nursing-and-necessary-care-for-dysphagia/)


VF・VEはいずれも医師または言語聴覚士が主体となって実施しますが、看護師はその前後でも重要な役割を担います。


検査前には患者への説明と不安の緩和、体位確保、口腔内の状態確認を行います。検査後には、設定された摂食条件に基づいた食形態・姿勢・介助方法を関係者と共有し、日常ケアに反映させることが看護師の核心業務です 。 onomichi-hospital(https://www.onomichi-hospital.jp/upload/blog/%E5%9A%A5%E4%B8%8B%E6%A9%9F%E8%83%BD%E8%A9%95%E4%BE%A1%E3%83%BB%E8%A8%93%E7%B7%B4%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6%202024-05-16.pdf)


VF・VEが実施できる施設は限られています。


特に在宅や介護施設では精密検査への移送が困難なケースが多く、ベッドサイドのスクリーニングと頸部聴診法を組み合わせた評価が実質的な「臨床判断の要」になります 。歯科衛生士がこの役割を補完できる場面も多く、訪問診療の現場では特に連携の意義が大きいといえます 。 www2.nupals.ac(https://www2.nupals.ac.jp/splabo/wp-content/uploads/Active_57%EF%BC%88%E5%BA%83%E5%91%8A%E5%89%8A%E9%99%A4%EF%BC%89.pdf)


歯科医従事者として知っておくべきは、嚥下造影や内視鏡の結果が出た後こそ、口腔機能管理と嚥下訓練の連携が本格化するタイミングという点です 。口腔環境が整っていなければ嚥下訓練の効果も限定的になります。口腔ケアは嚥下リハビリの土台です。 tmd.ac(https://www.tmd.ac.jp/medhospital/topics/180905/manual.pdf)


ナース専科:摂食嚥下障害の看護|原因・検査・ケアの詳細解説


| 区分 | 区分番号 | 点数 | 備考 |
| --------------- | ----------- | ----------- | ------------ |
| 嚥下内視鏡検査(VE) | D298-2 | 720点 | 令和6年度改定後 |
| 嚥下造影検査(VF)造影剤注入 | E003 | 240点 | 別途透視診断110点あり |
| 訪問時のVE | C000+D298-2 | 歯科訪問診療料と併算定 | 訪問先での実施も可 |






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