聖隷式嚥下質問紙でAが1項目でもあれば、スコア合計に関係なく「嚥下障害の疑いあり」と判定され、歯科治療を継続したまま放置すると誤嚥性肺炎リスクを高める可能性があります。
嚥下スクリーニング質問紙は、大きく3種類が国内で使われています。歯科現場での使い分けを理解しておくと、見落としリスクを大幅に下げられます。
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歯科での質問紙の役割は「嚥下造影」や「反復唾液嚥下テスト」などより精密な検査へつなぐ"ふるいわけ"です。つまり確定診断ではなく、リスクがある患者を早期に拾い上げるための入口です 。 member.jsdr.or(https://member.jsdr.or.jp/elearning3/lesson/1476/24/)
質問紙はスクリーニング以外にも、経過観察や口腔ケア指導の効果評価に活用できます。これは知っていると時間節約になります。
聖隷式嚥下質問紙は、15の質問に「A:重い症状(4点)」「B:軽い症状(1点)」「C:症状なし(0点)」で答える形式です 。合計8点以上で「摂食嚥下障害の疑いあり」と判定します。 nichiiko.co(https://www.nichiiko.co.jp/medicine/swallow/score.php)
ただし注意が必要なのは、Aが1項目でも該当した場合は、合計スコアに関わらず疑いありとして扱うという原則です 。「合計は低いから大丈夫」と考えると見落としにつながります。 member.jsdr.or(https://member.jsdr.or.jp/elearning3/lesson/1476/24/)
さらに意外な使い方があります。4点以上の場合は「オーラルフレイルの疑いあり」としても活用できることが近年示されており、嚥下障害の前段階の早期発見ツールとしても機能します 。 nichiiko.co(https://www.nichiiko.co.jp/medicine/swallow/score.php)
| スコア | 判定 | 対応 |
|---|---|---|
| 0〜3点 | 問題なし | 引き続き定期観察 |
| 4〜7点 | オーラルフレイルの疑いあり | 口腔機能訓練・経過観察 |
| 8点以上 または A項目1つ以上 | 摂食嚥下障害の疑いあり | 専門職紹介・精密検査へ |
認知機能が低下した患者には、10項目(Q1・2・3・4・5・6・8・10・11・15)の短縮版での実施が可能で、カットオフ値は5点以上に変わります 。これは歯科の訪問診療現場で特に使える知識です。 nichiiko.co(https://www.nichiiko.co.jp/medicine/swallow/score.php)
EAT-10は10項目の質問に「0点:問題なし」〜「4点:非常に問題あり」の5段階で答える形式です。合計点が3点以上の場合、「嚥下の効率や安全性について専門医への相談が必要」と判定します 。 ekenkoshop(https://www.ekenkoshop.jp/kaigo/018/)
患者自身が記入できるシンプルな設計が特徴です。そのため、訪問歯科などで問診時間が限られる場面での活用に向いています。
ただし1点だけ注意があります。EAT-10が実施できない場合——たとえば認知症が重度の患者——は、聖隷式の短縮版(Swallow-10)を代替として使うことが推奨されています 。状況によって使い分けるのが原則です。 member.jsdr.or(https://member.jsdr.or.jp/elearning3/lesson/1476/24/)
EAT-10の参考リンク(農林水産省掲載・PDF):嚥下スクリーニングに使えるEAT-10の原本PDFが確認できます。
歯科従事者が嚥下スクリーニング質問紙を使う最大の理由は、誤嚥性肺炎の発症リスクを早期に察知することです。誤嚥性肺炎は、嚥下障害を持つ高齢者の死亡原因の上位を占めます。
聖隷式嚥下質問紙のQ1「肺炎と診断されたことがありますか?」は、嚥下障害のある患者がしばしば肺炎を繰り返すという医学的根拠に基づいています 。肺炎の既往がある患者は、口腔内の細菌管理が一層重要になります。これは歯科処置の優先度にも直結する情報です。 nichiiko.co(https://www.nichiiko.co.jp/medicine/swallow/qsheet.php)
嚥下機能が低下すると、口腔内の細菌が誤嚥によって気道に侵入しやすくなります。歯科での口腔ケアが誤嚥性肺炎予防に効果的であるとされるのも、この経路を断つ目的からです。
口腔ケアの質と誤嚥性肺炎リスクに関する参考情報。
【識者の眼】嚥下障害・誤嚥のスクリーニング検査について(日本医事新報社)
スクリーニングで「疑いあり」が出た場合は、歯科衛生士から管理栄養士・言語聴覚士・医師への連携を速やかに行うことが、患者の転帰を変える分岐点になります 。 jmedj.co(https://www.jmedj.co.jp/blogs/product/product_26606)
訪問歯科の現場で見落とされがちな点があります。それは「質問紙を患者本人が正確に記入できるかどうか」を事前に見極めるステップが省略されているケースです。
在宅・施設入居の患者は認知機能の低下を伴うことが多く、EAT-10の自記式が成立しない場面は少なくありません。そのような場合に「問診票を渡して終わり」では、スクリーニングとしての機能を果たしていません。
対応の流れとしては、以下のように場面ごとに使い分けるのがベストプラクティスです。
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このフローを院内で統一しておくと、スタッフ間のバラつきがなくなります。チェックリストとして電子カルテに組み込んでおくことを検討してみてください。
日本摂食嚥下リハビリテーション学会による質問紙の解説(eラーニング)はこちら:質問紙の種類・判定基準・使用場面が体系的にまとめられています。
24.質問紙・包括的評価 — 日本摂食嚥下リハビリテーション学会
訪問歯科での嚥下スクリーニングに関する実践動画(歯科衛生士による解説)はこちら:聖隷式・EAT-10それぞれの特徴と使用タイミングが実務目線で解説されています。
訪問歯科における嚥下機能スクリーニング問診編(YouTube)