クラスプ義歯を装着した患者の残存歯は、使用開始から5年以内に約30〜40%が揺れや傷みを訴えるという報告があります。 oshiage-wisteria(https://oshiage-wisteria.com/non-clasp-denture)

局部義歯(局部床義歯)とは、上顎または下顎に1歯以上の残存歯がある状態で適用される有床義歯のことです。 1歯だけを補う小さなものから、14歯を補う大型のものまで幅広く存在します。総義歯との最大の違いは、残存歯への「維持装置」が必要になる点であり、これが設計の複雑さにつながります。 oyama-ireba(http://www.oyama-ireba.com/sp/faq/index30.html)
保険上の正式名称は「有床義歯(局部義歯)」であり、歯数に応じて1〜4歯(624点)、5〜8歯(767点)、9〜11歯(1,042点)、12〜14歯(1,502点)と点数が設定されています。 歯数のカウントは欠損歯数ではなく人工歯の排列数が基準であることを押さえておく必要があります。 shirobon(https://shirobon.net/medicalfee/latest/shika/r06_shika/r06s_ch2/r06s2_pa12/r06s2c_sec1/r06s2c1_cls3/r06s2c13_M018.html)
つまり、欠損歯数と算定歯数は一致しないケースがある、という点が重要です。
局部床義歯の構成要素は、役割ごとに大きく4つに分類されます。 shien.co(https://www.shien.co.jp/media/sample/s3/BK07222.pdf)
| 構成要素 | 役割 | 代表例 |
|---|---|---|
| 支台装置 | 義歯を残存歯に固定・安定させる | クラスプ、アタッチメント、コーヌス |
| 連結子 | 離れた構成要素を一体化する金属部分 | 大連結子(パラタルバー、リンガルバー)、小連結子 |
| 義歯床 | 人工歯を支え、顎堤粘膜に接する土台 | レジン床、金属床 |
| 人工歯 | 欠損部を補い咬合を回復する | 陶歯、レジン歯、硬質レジン歯 |
支台装置は直接支台装置と間接支台装置に分けられ、直接支台装置が維持と支持を担い、間接支台装置が義歯の回転を防ぐ役割を持ちます。 大連結子は離れた構成要素を剛的につなぐ金属部分であり、義歯全体の一体性を維持します。 shien.co(https://www.shien.co.jp/media/sample/s3/BK07222.pdf)
これが義歯設計の基本です。
支台装置の種類によって、局部義歯は主に3種類に分類されます。 furuya-pros(https://furuya-pros.com/cure/denture/pd/)
① クラスプ義歯
最もオーソドックスな局部義歯です。 構造が単純で調節しやすく、保険適用となるため第一選択肢となることが多い。 ただし、金属のバネが口腔内で目立ちやすく審美性に劣る点と、噛むたびに残存歯に横方向の力が加わるリスクがあります。 furuya-pros(https://furuya-pros.com/cure/denture/pd/clasp/)
② アタッチメント義歯
精密な金属部品(アタッチメント)を使って義歯を残存歯に固定する方式です。 審美性が高く、支台歯への負担が分散されますが、製作精度と費用(自費)が高くなる点が特徴です。 furuya-pros(https://furuya-pros.com/cure/denture/pd/)
③ コーヌス義歯(テレスコープ義歯)
内冠と外冠の摩擦力を利用して固定するドイツ発祥の設計です。 コーヌスとクラスプを混在させた設計は「フレキシブルサポートと剛性サポートの混在」となり、義歯の動揺を招くとされています。 ipsg.ne(https://ipsg.ne.jp/q-and-a/konus-clasp-qa/)
これは使えそうな知識ですね。
クラスプ義歯は保険で対応できる反面、支台歯の長期的なリスクを念頭に設計することが肝要です。 oshiage-wisteria(https://oshiage-wisteria.com/non-clasp-denture)
部分床義歯の設計には明確な3大原則があります。 gakkenshoin.co(http://www.gakkenshoin.co.jp/pdf/bskougou.pdf)
>🔵 原則1:義歯の動揺を最小化する 咬合時・非咬合時に義歯が動かないよう、支台歯・支点・間接維持装置の配置を計算する
>🟡 原則2:残存歯や支台歯の圧下を防止する クラスプのレスト位置と義歯床の印象精度が支台歯の長期保存に直結する
>🔴 原則3:咀嚼側と非咀嚼側を分ける 咬合力の偏在を設計で補正し、顎堤への過負荷を防ぐ
現在の日本における標準(スタンダード)では、リジッドサポート(剛性支持)が基本概念として確立されており、緩圧による顎堤吸収を防ぐ目的で1975年に日本独自の考え方として整理されました。 youtube(https://www.youtube.com/watch?v=_k7ZRzlRNG0)
クラスプの配置は「3点固定」で設計するのが原則です。 また片側性設計は、欠損部両端を結んだ支持線(鉤間線)の範囲内に人工歯が収まる中間欠損にのみ認められ、それ以外は両側性設計が必要です。 gakkenshoin.co(http://www.gakkenshoin.co.jp/pdf/bskougou.pdf)
設計の判断基準が明確になれば、日常臨床の精度が上がります。
歯科医従事者が見落としやすい落とし穴があります。それは「新製有床義歯管理料(義管)と歯科口腔リハビリテーション料(歯リハ)は同月に併算定できない」というルールです。 note(https://note.com/e_dental8020/n/n3f1d2c415a4f)
対象は総義歯または9歯以上の局部床義歯を新装着した場合のみで、このケースで「義管」と「歯リハ」を同月に算定すると、審査で返戻・減点処理が発生します。 理由は「義歯新製の評価の中に口腔機能の回復評価が含まれているため、二重算定とみなされる」からです。 note(https://note.com/e_dental8020/n/n3f1d2c415a4f)
痛いですね。
さらに、有床義歯内面適合法(リライン)の算定でも注意点があります。硬質材料の場合、局部義歯の点数は人工歯数に応じて216〜572点となっており、単純な義歯製作点数と混同するミスが現場で起きています。 3tei(https://3tei.jp/news/NyswqVSP)
人工歯の点数計算も、2026年の疑義解釈改定により「1歯ごとに点数化してから合算する」方式に明確化されました。 たとえば硬質レジン歯(前歯)を6歯使用した場合は、1歯10点として合計60点を算定します。 media.shaho.co(https://media.shaho.co.jp/n/nfa9da4ce643e)
算定ルールを正確に把握することが、返戻ゼロへの近道です。
参考:有床義歯の保険点数(局部義歯・総義歯)の詳細と算定要件
しろぼんねっと:M018 有床義歯 歯科診療報酬点数表(最新版)
参考:義管と歯リハの同月算定不可の理由と実務上の注意点
歯科011「義管」と「歯リハ」が同月算定できない理由(note)
参考:部分床義歯の設計原則(動揺最小化・3点固定・片側性の条件)
OralStudio Webinar:部分床義歯治療における設計の原則(長崎大学 黒嶋伸一郎先生)