リライン歯科手順を基礎から実践まで解説

義歯の適合を改善するリライン歯科手順について、材料選択から直接法・間接法の具体的な操作方法まで、臨床で必要な知識を網羅的に解説します。日常臨床で頻繁に行う処置だからこそ、正確な手順を知っていますか?

リライン歯科手順の基本と実施方法

保険算定で6ヶ月ルールがあると安心しているあなたは損してます


この記事の3つのポイント
📋
リライン手順の選択基準

直接法と間接法の適応判断、材料の粘稠度管理、口腔内挿入のタイミングなど、失敗しないための具体的な手順

🔬
材料選択の実践知識

硬質・軟質リライン材の使い分け、常温重合型と光重合型の特性、保険算定上の注意点

⚠️
臨床での重要ポイント

粘膜刺激のリスク管理、適切な削除量の確保、咬合高径変化の防止策


リライン歯科の定義と目的


リラインとは、義歯床粘膜面の一層を新しい材料で置き換える処置です。日本補綴歯科学会のガイドラインでは「下顎位と咬合関係は正しいが、義歯床粘膜面の適合が不良となった場合に義歯床を新しい義歯床用材料に置き換え、義歯床下粘膜との適合を図る処置」と定義されています。


この処置が必要になる理由は明確です。義歯の装着の有無にかかわらず、顎堤には加齢に伴う吸収が認められます。いかに適合のよい義歯を装着していても、経年的に義歯の不適合が生じるのです。患者さんが「入れ歯が動く」「食事中に痛い」と訴えるとき、多くの場合この顎堤吸収による適合不良が原因となっています。


新義歯製作と比較したとき、リラインには大きなメリットがあります。


まず患者の来院回数を減らせます。


新製なら最低でも3〜5回の来院が必要ですが、直接法リラインなら1回で完了することもあります。


医療費の軽減も実現できます。


保険点数でみても、新製が数千点単位なのに対し、リラインは数百点で済むケースが多いです。


つまり効率的な処置です。


さらに重要なのは、患者が使い慣れた義歯をそのまま使い続けられることです。新しい義歯への適応期間が不要なため、特に高齢患者にとって心理的負担が少ない処置といえます。訪問診療の現場では、義歯を預かることが難しい場合にも対応できるため、在宅医療での活用頻度も高まっています。


日本補綴歯科学会のリラインとリベースのガイドライン(PDF)では、処置の定義から適応症まで詳しく解説されており、臨床判断の基準として参考になります


リライン手順における直接法の具体的操作

直接法は口腔内で直接リライン材を圧接する方法です。最も一般的な常温重合型レジンを用いた手順を解説します。


まず義歯床粘膜面を一層削除してレジンの新鮮面を露出させます。削除量は一般的に0.5〜1mm程度が目安です。削りすぎると義歯の強度が低下するリスクがあるため、均等に薄く削ることがポイントになります。カーバイドバーダイヤモンドバーを使用し、義歯床全体を丁寧に削合してください。


削除面に接着剤を塗布した後、リライン材の混和に入ります。


ここからがタイミングの勝負です。


粉と液を混和し始めてから、流動性が低下してクリーム状になるまで待ちます。この段階で義歯床粘膜面全体に均等に盛ります。多くの材料では混和開始から1分〜1分半がこのタイミングです。


次に粘稠度の見極めが重要になります。表面の光沢がなくなった時点が口腔内挿入の適切なタイミングです。早すぎると材料が流れ出してしまい、遅すぎると圧接できなくなります。この見極めには経験が必要ですが、「表面を指で触れたとき、指に材料が付かない程度」という感覚を覚えておくと判断しやすいです。


口腔内に挿入したら、まず咬頭嵌合位で軽く咬合させます。「軽く」というのがポイントで、強く咬ませると咬合高径が変化する原因になります。


次いで筋圧形成を行います。


口唇や頬を動かしてもらい、辺縁部に適切な形態を付与します。


この筋圧形成は2〜3分間続けます。


材料が餅状よりやや硬めになった時点で、義歯を口腔外に取り出します。余剰なレジンをカッターナイフやハサミで除去してください。このとき辺縁を過度に削らないよう注意が必要です。再度口腔内に装着し、レジンの硬化を待ちます。


完全硬化には通常5〜7分かかります。


硬化が基本です。


硬化後、義歯を取り出して形態修正を行います。リリーフすべき部位の調整、咬合調整を丁寧に行い、最後に研磨して完成です。研磨が不十分だと粘膜を刺激する原因になるため、特に辺縁部は滑沢に仕上げることが重要です。


直接法のメリットは義歯を預かる必要がないことですが、デメリットもあります。常温重合型レジンのモノマーや重合反応熱により顎堤粘膜を刺激する可能性があるのです。研究では重合時の温度上昇が40〜50度に達することが報告されており、粘膜が過敏な患者には適さない場合があります。


また厚みの確保が難しいという問題もあります。特に軟質リライン材で一定の厚みを得たい場合、直接法では限界があります。咬合高径を変化させずに2〜3mmの厚みを確保するには、事前に義歯床粘膜面を大きく削除する必要があり、強度低下のリスクが高まります。


リライン手順における間接法の実施要領

間接法は義歯を預かって技工室で処置する方法です。直接法と比べて精度の高いリラインが可能になります。


手順は義歯床粘膜面の削除から始まります。直接法と同様に0.5〜1mm程度削除しますが、間接法では軟質材料を使用する場合に2〜3mmの厚みを確保することもあります。このときリリーフが必要な部位はさらに削除量を増やします。フラビーガムや骨隆起がある場合、その部分は特に注意が必要です。


印象採得の方法は症例によって異なります。一般的なのは義歯床をトレーとして流動性のよい精密印象材で印象を採る方法です。シリコーン印象材やアルジネート印象材が使用されます。もう一つの方法は、ティッシュコンディショナーやダイナミック印象材で顎堤粘膜の動的印象を採得する方法です。


これは使えそうです。


印象採得後は模型を製作し、リラインを行います。ここで重要なのがリライニングジグの使用です。ジグを用いることで咬合高径を維持した状態でリラインができます。またジグ法なら処置時間を数時間に短縮でき、義歯を預かる期間を最小限にできるメリットがあります。


フラスク埋没による方法もあります。これは最も確実な方法とされ、義歯全体をフラスコに埋没して義歯床用材料を填入、加熱重合します。耐久性が最も高い方法ですが、操作が煩雑で時間がかかるため、臨床では常温重合型や光重合型を用いるケースが多いです。


間接法の最大のメリットは適切な厚みを確保できることです。軟質リライン材で2〜3mmの厚みが必要な症例では、間接法でなければ対応できません。また唾液との接触がないため接着力が向上するという利点もあります。研究データでは、直接法に比べて接着強さが約1.5倍高いことが報告されています。


デメリットは義歯を預かる必要があることです。患者によっては義歯なしで過ごすことが困難な場合があります。このようなケースでは旧義歯を利用する、または直接法を選択するなどの対応が求められます。訪問診療の現場では、義歯を預かることが難しいケースも多く、直接法との使い分けが重要になります。


日本歯科医学会のリラインの指針(PDF)では、間接法の詳細な手順と注意点が記載されており、技工操作の参考として有用です


リライン材料の選択基準と特性理解

リライン材料は大きく硬質と軟質に分類されます。基本的には硬質材料を使用し、緩圧が必要な場合に軟質材料を選択するのが原則です。


硬質材料はアクリル系です。通常の義歯床用レジンと同様の性質を持ち、強度と耐久性に優れています。保険診療で最も一般的に使用されるのがこのタイプです。常温重合型、光重合型、加熱重合型があり、それぞれに特徴があります。


常温重合型は粉と液を混和して使用します。操作が簡便で直接法・間接法ともに使用できる汎用性の高さが特徴です。ただし重合時の発熱と残留モノマーによる粘膜刺激のリスクがあります。混和開始から硬化まで通常5〜10分程度かかり、完全硬化には24時間以上必要です。


光重合型は光照射により硬化します。


最大のメリットは粘膜刺激が少ないことです。


顎堤粘膜を刺激することが少ないため、粘膜が過敏な症例でも使用できます。また数度の着脱を行いながら余剰部分を除去できるため、アンダーカットがある部分床義歯でも安全に使用可能です。


つまり選択肢です。


軟質材料はさらに3つに分類されます。アクリル系、シリコーン系、ポリオレフィン系です。アクリル系は粘弾性的な性質を持ち、経時的に粘弾性が変化する傾向があります。研究では3ヶ月程度で緩圧効果が低下することが報告されています。


シリコーン系は弾性的な性質を持ち、経時的な物性変化が小さいのが特徴です。


高い耐久性を示し、長期使用に適しています。


ある研究では、1年後でも初期の弾性を80%以上維持していたというデータがあります。ただし義歯床との接着が剥離しやすいという欠点もあり、プライマーの使用が必須です。


ポリオレフィン系は加熱軟化型で間接法でのみ使用されます。シリコーン系と同様に弾性的な性質を持ち、耐久性に優れていますが、保険適用外のケースが多いため、使用頻度は限られています。


材料選択で失敗しやすいのは、症例の見極め不足です。たとえば顎堤吸収が著しく咀嚼時の疼痛が強い症例では、硬質材料では改善できません。このような場合は軟質材料、特にシリコーン系を選択する必要があります。逆に軽度の不適合症例に軟質材料を使用すると、材料の劣化が早まり、かえって再処置の頻度が高くなります。


保険算定上の注意点も重要です。軟質材料を用いた有床義歯内面適合法は、算定した日の属する月から起算して3ヶ月間は再算定できません。この期間制限を知らずに処置を行うと、査定の対象になる可能性があります。レセプト摘要欄への適切な記載も忘れてはいけません。


リライン歯科手順における失敗リスクと対策

リラインの失敗で最も多いのは咬合高径の変化です。直接法で材料の粘稠度が適切でない状態で口腔内挿入すると、咬合時に義歯が沈み込み、結果として咬合が高くなります。この状態で硬化すると、患者は「噛めない」「顎が疲れる」という訴えをします。


対策は材料の粘稠度管理です。表面の光沢がなくなるまで待つという基本を守ることが重要です。また口腔内挿入後の咬合は「軽く」が原則で、強く咬ませないよう患者への声かけが必要になります。咬合圧の目安は、無意識に軽く唇を閉じる程度の力です。


厚さです。


粘膜刺激による炎症も頻発する問題です。常温重合型レジンの重合時には発熱があり、40〜50度まで温度上昇します。この熱が粘膜を刺激し、術後に発赤や疼痛を引き起こすケースがあります。特に下顎前歯部の舌側は粘膜が薄く、刺激を受けやすい部位です。


予防策として粘膜が過敏な患者には光重合型を選択することが推奨されます。どうしても常温重合型を使用する場合は、材料の盛り方を薄めにする、硬化促進のための温水浸漬を避けるなどの配慮が必要です。また術前にティッシュコンディショナーで粘膜を調整しておくことも有効な対策になります。


義歯床の強度低下も見落としがちなリスクです。リライン前の削除量が多すぎると、義歯床が薄くなり破折の原因になります。特に部分床義歯のレストシート部や大連結子の部分は、もともと薄く設計されているため注意が必要です。


適切な削除量は0.5〜1mmが目安ですが、部位によって加減します。厚みのある部分は1mm削除しても問題ありませんが、薄い部分は0.5mm以下に抑えるべきです。削除前に義歯床の厚みを確認し、薄い部位には印をつけておく習慣をつけると失敗を防げます。


アンダーカットへの硬化も部分床義歯で起こりやすい問題です。常温重合型レジンが支台歯のアンダーカット部に入り込んで硬化すると、義歯が取り出せなくなります。これを防ぐには、硬化前に必ず一度取り出して余剰レジンを除去する操作が必要です。


または光重合型の使用が安全策です。光重合型は口腔内では硬化しないため、アンダーカット部に入り込んでも問題ありません。部分床義歯の直接法リラインでは、光重合型を第一選択とする歯科医師も増えています。


実際の失敗症例から学ぶことも重要です。ある症例では、軟質リライン材を使用したにもかかわらず3週間で剥離が生じました。原因を調べると、プライマーの塗布を省略していたことが判明しました。軟質材料、特にシリコーン系では接着剤の使用が必須で、この基本を守らないと早期の剥離につながります。


別の症例では、間接法で義歯を預かった際、患者が旧義歯なしで過ごせず、結果として栄養状態が悪化したケースがありました。このような事態を避けるため、義歯を預かる前に必ず患者の生活状況を確認し、必要に応じて直接法への変更や、旧義歯の使用継続を検討することが重要です。




Greatfit 義歯シリコンリラインキット 2個 義歯シリコンリラインキット ソフト義歯リラインキット ソフト義歯リラインキット 男女兼用