市販の義歯洗浄剤を使うと材料が劣化します。
ティッシュコンディショナーは、義歯床粘膜面に裏装する短期弾性裏装材です。合わない義歯によって傷ついた歯茎の粘膜を回復させる粘膜調整材として機能し、同時に機能印象材としての役割も果たします。義歯と口腔粘膜の間で圧力を分散し、疼痛や不快感を和らげる効果があります。
粘膜の形状変形に追従し、安定した適合性を維持することが最大の特徴です。時間をかけてゆっくりと変形する性状を持っているため、採得に時間のかかる機能印象にも適しています。この材料は粘弾性を持つゲル状の性質により、患者さんの口腔内での動的な状態を記録することができます。
新義歯製作時の最終印象前に使用するほか、既存の義歯が不適合になった際の粘膜調整にも広く応用されています。
つまり粘膜回復が基本です。
義歯床下粘膜に異常が認められる場合、まずティッシュコンディショナーで粘膜を正常な状態に戻してから、リライニング処置へと移行するのが標準的な治療の流れとなります。
臨床現場では、義歯の不具合を主訴とする急患や難症例の暫間裏装材としても重宝されています。患者さんの装着感を即座に改善しながら、粘膜の状態を観察し、次の治療ステップへの準備ができる点が臨床的に非常に価値があります。
粉液混和の比率は製品によって異なりますが、基本的には粉液比1:1が標準です。例えば、粉計量容器1目盛りに対して液スポイト1目盛りというように、付属の計量器具を使用して正確に計量することが重要になります。部分床義歯では標準比率を、全部床義歯では量を2倍にするのが一般的な目安です。
混和は付属のミキシングカップに先に液を入れ、その後粉を加えてスパチュラで手早く撹拌します。
混和時間は約20~30秒が目安です。
粉液がなじむ程度に混和し、滑らかなクリーム状の混和物を得ることがコツです。空気を巻き込まないように注意しながら、均一な状態になるまで混和を続けてください。
混和したペーストを義歯床内面に盛り上げる際には、混和物が床から垂れなくなってから盛り上げるのが適切です。室温23℃で混和後1~2分程度が目安になります。最終的にペースト状になった段階で口腔内に装着します。このタイミングの見極めが、きれいな印象採得の成功につながります。
義歯の前処置として、裏装面と辺縁部を一層削除し、清掃・乾燥させておくことが必須です。
厳しいところですね。
旧材料の残渣や汚れが残っていると、新しいティッシュコンディショナーの適合性が著しく低下し、期待する効果が得られなくなるリスクがあります。
粉液比を変えることで粘調度を調整できるため、症例に応じた流動性のコントロールが可能です。機能印象を目的とする場合は、やや流動性を高めた配合にすることで、より詳細な粘膜の動きを記録できます。
口腔内への装着は、混和物の流動性が適度に低下した時点で行います。装着後は正しい咬合位で5分程度保持させることが基本です。この間、患者さんには軽く咬合してもらい、義歯の位置が安定するまで待ちます。焦らず十分な時間を確保することで、より正確な粘膜面の記録が可能になります。
5分経過後、口腔内から義歯を取り出し、義歯の辺縁に流れ出た余剰部分をトリミングします。鋭利な刃物、ナイフやハサミを使用して余剰部分を除去してください。トリミング時は義歯の辺縁形態を損なわないよう、慎重に作業を進める必要があります。
トリミング後は再度口腔内に装着し、咬合調整を行います。咬合干渉や側方滑走時の問題点がないか、入念にチェックしてください。
結論は適合確認です。
この最終調整の段階で、患者さんの主訴である痛みや不快感が改善されているかを確認し、必要に応じて追加調整を行います。
粘膜調整目的で使用する場合は、装着後に患者さんへの指導が非常に重要になります。食事時の注意点、義歯の取り扱い方法、次回来院までの注意事項などを具体的に説明する必要があります。特に「白い部分をひっかくと取れるので、引っ掻かないでください」という注意は必須です。
機能印象として使用する場合は、4~8日程度装着してもらい、その間に患者さんの日常的な口腔機能によって粘膜面の印象が完成します。この期間中に義歯床内面のティッシュコンディショナーの面性状が滑沢になり、適度な厚みが得られたタイミングで次のステップに進みます。
治療当日は水洗のみを行うよう患者さんに指導してください。翌日から軟らかめの歯ブラシやスポンジブラシで優しく洗浄することが推奨されます。強くこすると材料が剥がれたり、表面が荒れたりするため、力加減に注意が必要です。
痛いですね。
市販の義歯洗浄剤の使用は慎重に判断する必要があります。活性酵素や発泡剤を含む市販の義歯洗浄剤では、材料が劣化してしまうためです。長時間の浸漬は避け、使用する場合でも短時間にとどめるよう指導してください。専用の義歯洗浄剤として、ティッシュコンディショナーに対応した製品を推奨するのが安全です。
保管方法も重要な指導ポイントです。入れ歯を置くときは水中保存が原則で、歯を下にして保管するよう伝えてください。乾燥させると材料の性状が変化し、粘弾性が失われてしまいます。
意外ですね。
夜間就寝時に義歯を外す場合は、必ず水の入った容器に保管することが材料の劣化を防ぐ条件です。
熱湯での洗浄や消毒は絶対に避けなければなりません。高温にさらされるとティッシュコンディショナーの成分が溶出し、材料の物性が大きく変化してしまいます。水温は室温程度の水、または微温湯程度にとどめるよう患者さんに説明してください。
超音波洗浄を行う際も注意が必要です。わずか5~10分間の超音波洗浄で汚れを除去できますが、長時間の使用はティッシュコンディショナーの変形につながる可能性があります。義歯用の超音波洗浄器を使用する場合は、製造元の推奨時間を守ることが大切です。
ティッシュコンディショナーの使用期間は原則として1~2週間程度とされています。この期間を超えて使用すると、成分の溶出に伴う物性低下や口腔内微生物による汚染によって、表面性状の劣化が引き起こされるためです。臨床では長期間の使用を余儀なく行うこともありますが、理想的には2週間以内に次のステップへ進むべきです。
使用期間中、1週間程度で材料の安定性が失われ始めることが研究で明らかになっています。2週間を超えるとほぼ安定性を保てなくなり、可塑剤やアルコールが抜けて表面が粗れ、ボソボソの状態になります。こうなると細菌の温床となり、抵抗力の減弱した高齢者に対して義歯性口内炎やカンジダ症のリスクが高まります。
リライニング処置への移行タイミングは、粘膜の状態とティッシュコンディショナーの表面性状を観察して判断します。粘膜の潰瘍や圧痕が改善され、義歯床内面のティッシュコンディショナーが滑沢な面性状を保っている段階が理想的です。
つまり粘膜回復が条件です。
ティッシュコンディショナーとリライン材は別物です。ティッシュコンディショナーは短期間で粘膜を調整し、機能印象を採得するための材料であるのに対し、リライン材は義歯床粘膜面を長期的に修正するための材料です。混同して長期使用を続けると、患者さんの口腔衛生状態の悪化を招きます。
一部の製品には「動的機能リライニング材」と呼ばれる特殊なタイプがあります。初めはティッシュコンディショナーとしての機能があり、約1週間後に機能印象面が徐々に硬質リライン面に変化し始めるタイマー内蔵型の材料です。
これは使えそうです。
常時装着している場合は3~5日で、夜間就寝時に外している場合は1週間程度で硬化が開始するため、症例に応じた使い分けが可能になります。
ティッシュコンディショナーの劣化を最小限に抑えるためには、患者さんとの定期的なコミュニケーションが欠かせません。装着後3~4日目と1週間目に来院してもらい、材料の状態と粘膜の回復具合をチェックすることで、最適なタイミングでリライニング処置へ移行できます。患者さんの来院スケジュールを考慮しながら、計画的な治療を進めることが成功のポイントです。
日本補綴歯科学会のリラインとリベースのガイドライン(粘膜調整の前処置に関する基準が記載されています)
ティッシュコンディショナーCPCの使用方法詳細(具体的な装着手順と写真による解説があります)
Please continue.