義歯床レジンの種類と特徴|保険適用から注意点まで

義歯床レジンの材質や重合方法の違いは患者の満足度に直結します。保険適用の熱可塑性レジンから残留モノマーのリスク、洗浄方法まで、臨床で押さえるべきポイントを網羅的に解説しています。適切な素材選択で患者QOLを向上させる方法とは?

義歯床レジンの種類と特徴

保険適用3年でも交換が必要になるケースがあります


この記事のポイント
🔬
加熱重合と常温重合の違い

重合方法により残留モノマー量が4分の1程度まで変化し、アレルギーリスクに大きく影響します

💰
保険適用の選択肢が増加

熱可塑性レジンが保険適用となり、従来より2倍の耐衝撃性を持つ義歯が1万円台から製作可能になりました

⚠️
吸水性がカンジダリスクに直結

レジン床の多孔性構造により義歯性口内炎の発症率が装着なしの患者と比べて最大56.2%まで上昇します


義歯床レジンの基本構造と材質特性


義歯床レジンは、口腔粘膜と接する床部分に使用される歯科用プラスチックで、主にポリメチルメタクリレート(PMMA)を基材としています。この材料は1937年から義歯製作に使用されており、80年以上の歴史を持つ信頼性の高い素材です。


レジン床の基本的な構造は、粉末状のポリマーと液状のモノマー(メチルメタクリレート:MMA)を混合し、重合反応によって硬化させることで形成されます。この化学反応により、流動性のある材料が堅固な義歯床へと変化するのです。


レジン床の物理的特性として重要なのが、その厚みです。保険適用のレジン床義歯では、強度を確保するために1.7~2.4mm程度の厚みが必要となります。これは金属床義歯の0.4~0.6mmと比較すると4倍以上の厚さです。この厚みが装着時の違和感につながる主な要因となっています。


また、レジンは熱伝導率が低い素材であるため、食事の温度が伝わりにくいという特徴があります。具体的には、熱伝導率は0.3~0.8Wm⁻¹K⁻¹程度で、金属と比較すると100分の1以下の熱伝導性しかありません。このため、患者さんは温かいスープや冷たいアイスクリームの温度を感じにくくなり、食事の楽しみが減少する可能性があります。


つまり構造上の特性が快適性に影響します。


レジン床の多孔性構造も重要な特徴です。表面が微細な孔を持つため吸水性が高く、唾液や食物成分を吸収しやすくなっています。この吸水性により、使用期間が長くなると変色や悪臭の原因となるだけでなく、細菌やカンジダ菌が繁殖しやすい環境を作り出してしまいます。


義歯床レジンの重合方法による分類

義歯床レジンは重合方法によって大きく3つのタイプに分類され、それぞれ異なる特性と臨床応用があります。


加熱重合型レジンは、最も一般的に使用される義歯床材料です。粉末と液を混合した後、フラスコに埋没し、70~100℃で加熱することで重合反応を進行させます。加熱により重合開始剤である過酸化ベンゾイル(BPO)が分解され、連鎖的に重合が進みます。この方法で製作された義歯床は、機械的強度が高く耐久性に優れているという利点があります。


しかし加熱重合型には欠点もあります。重合時の加熱と冷却により、約0.5~0.7%の重合収縮が発生し、義歯の適合精度が低下する可能性があるのです。この収縮率は、100mmの義歯であれば0.5~0.7mm程度の変形に相当します。また、製作に半日から1日程度の時間が必要となるため、即日での修理には対応できません。


常温重合型レジンは、室温で硬化する特性を持つ材料です。粉末に含まれる第3級アミンが重合開始剤として機能し、加熱なしで重合反応が進行します。この特性により、チェアサイドでの即時修理やリライニングに使用されます。


重合収縮が比較的少ないため寸法精度に優れていますが、機械的強度は加熱重合型に比べて約20~30%低くなります。これは日常使用において破損のリスクが高まることを意味します。また、残留モノマー量が多くなる傾向があり、完全に重合するまでに4日程度かかることが研究で明らかになっています。この残留モノマーがアレルギー反応や刺激性口内炎の原因となる可能性があります。


残留モノマーの影響が懸念されますね。


熱可塑性レジンは、2008年に保険適用となった比較的新しい材料です。あらかじめ重合済みの材料を高温(約170~200℃)で軟化させ、射出成型により義歯床を形成します。重合収縮がほとんどないため、従来のレジン床と比較して適合精度が大幅に向上しています。


さらに重要な特徴として、残留モノマーが従来の加熱重合レジンの4分の1以下に抑えられている点が挙げられます。これにより生体親和性が高く、アレルギーリスクが大幅に軽減されます。耐衝撃性も従来のレジン床の約2倍あり、破損しにくいという利点があります。


保険適用で3割負担の場合、部分入れ歯で1万円~1万5千円程度、総入れ歯で1万5千円程度で製作可能です。ただし、人工歯との化学的結合がないため、接着には機械的な維持穴が必要となり、人工歯の脱離リスクには注意が必要です。


加熱重合の詳細な化学反応メカニズム(オーラルスタジオ)


義歯床レジンのメリットとデメリット

レジン床義歯の最大のメリットは、保険適用により費用を大幅に抑えられることです。3割負担の患者さんの場合、部分入れ歯で5千円~1万5千円程度、総入れ歯でも1万円~3万円程度で製作できます。これに対し、自費の金属床義歯は30万円~70万円程度かかるため、経済的負担の差は極めて大きいといえます。


修理や調整が容易という点も重要な利点です。破損した場合でも、常温重合レジンを使用してチェアサイドで即日修理が可能です。また、歯肉の形態変化に合わせてリライニングやリベースといった適合改善処置も比較的簡単に行えます。これは長期的な使用において大きなアドバンテージとなります。


製作期間が短いこともメリットです。型取りから完成まで通常1週間~2週間程度で済み、患者さんの負担が軽減されます。さらに、技工操作が確立されているため、多くの歯科技工士が対応可能で、地域による技術格差が少ないという安心感があります。


一方で、デメリットも複数存在します。


最も大きな問題は厚みによる違和感です。


前述のとおり1.7~2.4mm程度の厚みが必要なため、舌の動きが制限され、発音障害や食事時の不快感につながることがあります。特に上顎の口蓋部分の厚みは、味覚の感受性を低下させる要因となります。


熱伝導性の低さも患者満足度に影響します。食べ物の温度が伝わりにくいため、熱い飲み物で口腔内を火傷するリスクや、冷たいものの温度を感じにくいという問題が生じます。食事の楽しみが減少することで、QOL(生活の質)の低下につながる可能性があります。


耐久性の面では金属床に劣ります。通常の使用で3~5年程度の寿命とされていますが、咬合力の強い患者さんや、取り扱いが粗雑な場合は1~2年で破損することもあります。衝撃に弱く、床から落としただけで割れてしまうケースも珍しくありません。


吸水性と経年劣化が衛生面の課題です。レジンは唾液や食物成分を吸収するため、使用期間が長くなると変色や着色が避けられません。さらに深刻なのは、吸収した有機物が細菌やカンジダ菌の温床となることです。研究によると、レジン床義歯を使用している患者さんの義歯性口内炎発症率は、新義歯装着6か月間で非介入群では56.2%に達したという報告があります。


レジン床義歯のメリット・デメリットの詳細解説(ふたば歯科)


義歯床レジンの残留モノマーとアレルギーリスク

残留モノマーは、義歯床レジンにおいて重要な臨床的課題です。モノマー(メチルメタクリレート:MMA)は重合反応で完全には消費されず、一部が未反応のまま義歯床内に残存します。この残留モノマーがアレルギー反応や粘膜刺激の原因となる可能性があるのです。


加熱重合型レジンでは、重合条件によって残留モノマー量が大きく変動します。標準的な重合条件(70℃で9時間、その後100℃で3時間)で製作した場合、残留モノマー量は0.2~0.5%程度とされています。一方、常温重合型レジンでは重合直後の残留モノマー量が2~5%と高く、完全硬化まで4日程度かかることが知られています。


これに対し熱可塑性レジンは、製造段階で既に重合が完了しているため、残留モノマー量は0.05~0.1%程度と極めて少なくなります。


つまり加熱重合レジンの4分の1以下です。


残留モノマーによるアレルギー反応は、遅延型過敏症(IV型アレルギー)に分類されます。症状が現れるまでに半日から数日かかるため、患者さんも歯科医師も義歯が原因であると気づきにくいという特徴があります。口腔内の症状としては、粘膜の腫脹、発赤、びらん、疼痛などが報告されています。


重症例では口腔扁平苔癬舌痛症として現れることもあります。口腔外にも症状が波及し、接触性皮膚炎として顔面や手指に発疹が生じるケースも存在します。特に歯科医療従事者は、未硬化のレジンを素手で扱うことでアレルギーを獲得するリスクが高いため、必ずグローブを着用する必要があります。


アレルギーリスクは職業的にも重要です。


残留モノマーを減少させる対策として、いくつかの方法が臨床で実施されています。製作後の義歯を50℃の温水に24時間浸漬することで、残留モノマーを30~40%減少させることができます。また、完成した義歯を患者さんに装着させる前に、数日間水中保管することも有効です。


患者さんへの指導としては、新しい義歯を装着後に違和感や粘膜の異常を感じた場合、すぐに使用を中止して歯科医院に連絡するよう伝えることが重要です。義歯性口内炎なのか、レジンアレルギーなのかを鑑別し、必要に応じて皮膚科へのパッチテストを依頼します。


レジンアレルギーが確定した場合の対応としては、金属床義歯への変更が第一選択となります。コバルトクロム合金やチタン合金を使用した金属床であれば、レジン部分を最小限に抑えることができます。また、熱可塑性レジンへの変更も選択肢の一つです。残留モノマーが極めて少ないため、症状の改善が期待できます。


残留モノマーの臨床的意義と対策(1D歯科用語集)


義歯床レジンの吸水性とカンジダ感染リスク

レジン床義歯の多孔性構造は、カンジダ感染の重大なリスク因子となっています。義歯床表面には肉眼では見えない微細な孔が無数に存在し、唾液中の水分や有機物を吸収する特性があります。この吸水率は通常0.5~2.0%程度で、重量にすると100gの義歯で0.5~2.0gの水分を吸収することになります。


吸収された水分と有機物は、カンジダ・アルビカンスをはじめとする真菌の格好の栄養源となります。研究によると、義歯を使用している患者さんの口腔内では、使用していない人と比較してカンジダの検出率が有意に高いことが明らかになっています。特に義歯の粘膜面からのカンジダ検出率は、適切な清掃指導がない場合、新義歯装着後6か月で56.2%に達したという報告があります。


義歯性口内炎は、カンジダ感染による最も一般的な合併症です。義歯と接触する粘膜部分が発赤し、時に点状出血や乳頭状増殖を伴います。患者さんは灼熱感や疼痛を訴えることが多く、食事や会話に支障をきたします。さらに、口角炎や舌炎を併発するケースも少なくありません。


これは清掃不良だけが原因ではありません。


カンジダ感染のリスク因子は複数存在します。第一に、義歯の24時間連続装着が挙げられます。義歯を外さずに就寝すると、唾液分泌量が減少し、自浄作用が低下するため、カンジダの増殖が促進されます。


第二に、口腔乾燥です。


加齢や薬剤の副作用により唾液分泌が減少すると、抗菌作用が低下し感染リスクが上昇します。


第三に、免疫力の低下です。糖尿病患者、ステロイド使用者、抗がん剤治療中の患者さんなどは、カンジダ感染を起こしやすい状態にあります。


第四に、義歯の清掃不良です。


食後の洗浄を怠ったり、義歯洗浄剤を使用しなかったりすると、デンチャープラーク内でカンジダが増殖します。


カンジダ感染の予防対策として、最も重要なのは適切な義歯清掃です。毎食後、義歯専用ブラシを使用して流水下で機械的清掃を行います。この際、一般の歯磨き粉は使用しないよう指導します。研磨剤によって義歯表面に傷がつき、かえってカンジダが付着しやすくなるためです。


化学的清掃として、1日1回は義歯洗浄剤を使用します。酵素系洗浄剤は食物残渣やデンチャープラークを分解し、漂白系洗浄剤はカンジダ菌を含む微生物を殺菌します。ぬるま湯(約40℃)で使用すると効果が高まります。就寝時には義歯を外し、洗浄剤に浸漬したまま保管することで、翌朝まで清潔な状態を維持できます。


夜間の義歯取り外しも重要です。就寝中は義歯を外し、粘膜を休ませることで血流が回復し、組織の修復が促進されます。これにより義歯性口内炎の発症リスクが大幅に低下します。義歯は乾燥させると変形するため、水または義歯洗浄剤の溶液に浸けて保管します。


カンジダ感染が疑われる場合、まず義歯の清掃状態を確認し、適切な清掃方法を再指導します。義歯表面に付着したカンジダのバイオフィルムを除去するため、次亜塩素酸ナトリウム系洗浄剤に一晩浸漬する方法が効果的です。並行して、患者さんの口腔粘膜に対しては抗真菌薬ミコナゾールゲルなど)を処方し、局所的な治療を行います。


義歯に生えるカビ、カンジダ菌の詳細(かわせみ歯科)


義歯床レジンの修理とリベース方法

レジン床義歯の修理とリベースは、義歯を長期間使用する上で避けられないメンテナンス処置です。これらの技術を適切に実施することで、新義歯の製作を先延ばしにし、患者さんの経済的負担を軽減できます。


破損修理は最も頻繁に行われる処置です。レジン床義歯は落下などの衝撃で破折しやすく、特に義歯床の薄い部分や応力集中部位で割れやすい傾向があります。修理方法には、技工所に預けて行う間接法と、診療室で行う直接法の2種類があります。


間接法では、破折部分を精密に適合させた後、石膏模型上で常温重合レジンまたは加熱重合レジンを用いて接合します。強度的には加熱重合による修理が優れていますが、時間がかかるため、患者さんは数日間義歯なしで過ごさなければなりません。この期間の仮義歯や旧義歯の提供が必要となります。


直接法では、チェアサイドで常温重合レジンを使用して即日修理を行います。破折面を清掃し、表面を粗造化してから接着プライマーを塗布し、常温重合レジンで接合します。ただし、強度は間接法より劣るため、再破折のリスクがあります。特に咬合力がかかる部位では、あくまで応急処置と位置づけ、後日間接法での修理を推奨します。


人工歯の脱離修理も日常的に遭遇します。レジン歯が脱落した場合、義歯床と人工歯の接合面を粗造化し、常温重合レジンで再接着します。この際、咬合関係が変化しないよう、口腔内で正確な位置を確認してから接着することが重要です。維持穴を追加することで、再脱落を防ぐことができます。


リベースは、義歯床全体の適合を改善する処置です。歯肉が痩せて義歯が合わなくなった場合や、長期使用による床の変形があった場合に実施します。義歯床粘膜面のレジンを一層削除し、新しいレジンで置き換えることで、現在の口腔粘膜形態に適合させます。


リベースには直接法と間接法があります。直接法では、患者さんの口腔内で常温重合レジンを用いて床を裏装します。義歯床粘膜面を削除して新生面を出し、リベース材を盛り付けた後、口腔内に装着して筋圧形成を行います。


硬化後、余剰部分を削除し研磨して完成です。


即日で完了するため患者負担が少ないという利点があります。


しかし精度の面では限界があります。


間接法では、義歯を預かって技工所で加熱重合レジンを用いてリベースを行います。精密な印象採得と咬合採得を行った後、石膏模型上でリベース処理を実施します。適合精度と強度の面で直接法より優れていますが、数日間義歯を預かる必要があります。


リベースの適応は慎重に判断します。義歯床の破損や人工歯の摩耗が著しい場合、咬合高径が大幅に変化している場合は、リベースではなく新義歯の製作を検討すべきです。また、義歯の使用年数が5年を超えている場合も、レジンの経年劣化を考慮して新製を推奨することが多くなります。


リライニングは、リベースよりも限局的な床の適合改善処置です。特定の部位のみ適合不良がある場合、その部分だけに常温重合レジンを添加して調整します。リベースより侵襲が少なく、短時間で完了するため、頻繁に行われる処置です。


修理やリベース後の注意点として、常温重合レジンを使用した場合は残留モノマーの問題があります。処置直後は刺激臭があり、粘膜刺激のリスクがあるため、24時間は水に浸漬して残留モノマーを溶出させることを推奨します。患者さんには、処置後2~3日は粘膜に異常がないか注意深く観察するよう指導します。


リラインとリベースのガイドライン(日本補綴歯科学会PDF)


義歯床レジンの洗浄と管理方法

義歯床レジンの適切な洗浄と管理は、義歯の寿命を延ばし、口腔衛生を維持する上で極めて重要です。不適切な管理は、前述のカンジダ感染だけでなく、義歯の劣化や破損を早める原因となります。


機械的清掃は、義歯管理の基本です。


毎食後、義歯を外して流水下で洗浄します。


この際、必ず義歯専用ブラシを使用します。一般の歯ブラシでは毛の硬さや形状が適していないため、効率的な清掃ができません。義歯専用ブラシは、平らな面を磨く大きなブラシ面と、クラスプなど細部を磨く小さなブラシ面を持つ2面ブラシが理想的です。


洗浄時には、洗面器などに水を張った上で行うよう指導します。義歯は滑りやすく、床から落とすと破損するリスクが高いためです。特に高齢者は握力が低下しているため、落下事故が多くなります。水を張った洗面器の上で洗えば、万が一落としても衝撃が緩和されます。


一般の歯磨き粉は使用しないことが鉄則です。歯磨き粉に含まれる研磨剤により、レジン表面に細かい傷がつきます。この傷に汚れや細菌が入り込み、かえって不衛生になります。傷がつくと着色も起こりやすくなるため、見た目も悪化します。清掃には水または義歯専用洗浄剤を使用します。


クラスプ(金属のバネ)部分は、汚れが溜まりやすい場所です。


小さいブラシで丁寧に磨きます。


人工歯と義歯床の境界部分も、食物残渣が溜まりやすいため注意が必要です。義歯床の粘膜面(内面)は、強く磨きすぎると適合が悪くなるため、優しく洗浄します。


化学的清掃は、機械的清掃だけでは除去できない汚れや微生物を除去するために必要です。1日1回、できれば就寝前に義歯洗浄剤を使用します。義歯洗浄剤には、酵素系、漂白系、過酸化物系など複数のタイプがあります。


酵素系洗浄剤は、タンパク質分解酵素により食物残渣やデンチャープラークを分解します。比較的マイルドで義歯を傷めにくいという利点があります。漂白系洗浄剤(次亜塩素酸系)は、強力な殺菌作用を持ち、カンジダ菌などの真菌も効果的に除去します。ただし、金属部分を変色させる可能性があるため、部分入れ歯の場合は使用を避けるか、短時間浸漬に留めます。


過酸化物系洗浄剤は、発泡作用により汚れを浮かせて除去します。殺菌作用もあり、バランスの取れた洗浄剤です。使用する水温は約40℃のぬるま湯が効果的で、洗浄剤の化学反応が促進されます。


ただし熱湯は絶対に使用しません。


熱湯による変形リスクは重大です。


レジンは熱に弱い材料で、60℃以上の熱湯に浸すと軟化し、変形します。一度変形した義歯は元に戻らず、適合が完全に失われるため、再製作が必要になります。患者さんの中には、衛生的にするために熱湯消毒しようとする方がいますが、これは絶対に避けるよう強く指導します。


就寝時の管理も重要です。義歯は就寝時には外し、粘膜を休ませることが推奨されます。義歯を外した状態で眠ることで、粘膜への圧迫がなくなり、血行が回復し、組織の修復が促進されます。これにより義歯性口内炎のリスクが大幅に低下します。


外した義歯は乾燥させると変形するため、必ず水または義歯洗浄剤の溶液に浸けて保管します。この際、義歯専用の保管容器を使用すると衛生的です。容器の水は毎日交換し、容器自体も定期的に洗浄します。義歯をティッシュペーパーなどに包んで保管すると、誤って捨ててしまう事故が起こるため避けるべきです。


定期的なプロフェッショナルケアも欠かせません。3~6か月ごとに歯科医院で義歯のチェックとクリーニングを受けるよう指導します。専門的な器具を使用することで、患者さん自身では除去できない頑固な汚れやカンジダのバイオフィルムを除去できます。同時に、義歯の適合状態、咬合状態、破損の有無などを確認し、必要に応じて調整や修理を行います。


特別な注意が必要なケースもあります。義歯安定剤を使用している患者さんは、安定剤が義歯表面に残留しやすいため、より丁寧な清掃が必要です。毎日、義歯床に付着した安定剤を完全に除去してから、新しい安定剤を使用するよう指導します。残留した安定剤は細菌繁殖の温床となるため、不衛生です。


義歯のケア方法の詳細(ライオン歯科衛生研究所)


義歯床レジンと金属床の比較選択

レジン床義歯と金属床義歯の選択は、患者さんの経済状況、口腔内状態、期待する快適性レベルによって決定されます。それぞれの特徴を理解した上で、最適な選択肢を提案することが歯科医療従事者の役割です。


費用面の比較では、圧倒的にレジン床義歯が有利です。保険適用で3割負担の場合、部分入れ歯は5千円~1万5千円程度、総入れ歯は1万円~3万円程度で製作できます。これに対し、金属床義歯は自費診療となり、部分入れ歯で20万円~40万円程度、総入れ歯で30万円~70万円程度かかります。


つまり10倍以上の費用差があるのです。


経済的理由で金属床を選択できない患者さんには、保険適用の熱可塑性レジンを検討します。従来のレジン床よりも若干費用は高くなりますが、それでも1万円~1万5千円程度で、耐久性と快適性が向上した義歯が手に入ります。残留モノマーも少なくアレルギーリスクが低いため、コストパフォーマンスに優れた選択肢といえます。


快適性の比較では、金属床義歯が明らかに優れています。


最も大きな違いは厚みです。


レジン床義歯は1.7~2.4mm程度の厚みが必要ですが、金属床義歯は0.4~0.6mm程度と、約4分の1の薄さで製作できます。この違いは装着感に直結し、舌の動きが制限されず、発音も自然になります。


熱伝導性の差も重要です。金属は熱伝導率が高いため、食事の温かさや冷たさをしっかりと感じることができます。これにより食事の楽しみが保たれ、QOLが向上します。レジンの熱伝導率は0.3~0.8Wm⁻¹K⁻¹程度ですが、金属(コバルトクロム合金)は約30~50Wm⁻¹K⁻¹と、50~100倍以上の熱伝導性があります。


重量の面でも金属床が有利です。金属は強度が高いため薄く作れ、結果として軽量になります。特に上顎の総入れ歯では、軽さが装着感と維持力に影響するため、金属床のメリットが大きくなります。


耐久性の比較では、金属床義歯が圧倒的に優れています。レジン床義歯の平均寿命が3~5年程度であるのに対し、金属床義歯は適切な管理下で7~10年以上使用できます。金属は変形しにくく、破損のリスクも低いため、長期的にはコストパフォーマンスが良いという見方もできます。


長期使用を考えると金属床も選択肢です。


適合精度の比較も重要なポイントです。金属床は鋳造により製作されるため、重合収縮がなく、高い適合精度が得られます。これに対し、加熱重合レジンは0.5~0.7%程度の重合収縮があり、適合精度がやや劣ります。ただし、熱可塑性レジンは重合収縮がほとんどないため、この点では金属床に近い精度が期待できます。


衛生面の比較では、金属床が有利です。金属表面は緻密で吸水性がないため、細菌やカンジダが付着しにくく、清掃も容易です。レジン部分も最小限に抑えられるため、全体として衛生的です。一方、レジン床は多孔性で吸水性があり、細菌やカンジダの温床となりやすいという弱点があります。


修理の容易さでは、レジン床が有利です。破損した場合でも、比較的簡単に修理が可能で、費用も安く済みます。金属床の場合、金属部分が破損すると修理が困難で、場合によっては再製作が必要になることもあります。ただし、金属床は破損自体が起こりにくいため、実際には修理の頻度は少なくなります。


適応症の違いも考慮が必要です。顎堤の吸収が著しい症例、咬合力が非常に強い症例、嘔吐反射が強い症例などでは、金属床義歯の方が対応しやすい場合があります。一方、金属アレルギーの既往がある患者さんや、審美性を極度に重視する前歯部欠損では、レジン床や他の素材(ノンクラスプデンチャーなど)が選択されます。


患者さんへの説明では、これらの情報を分かりやすく伝え、患者さん自身が納得して選択できるようサポートします。費用だけで判断せず、使用期間中の快適性やメンテナンスの手間、長期的なコストなども含めて総合的に検討することが重要です。試適や試用期間を設けることで、患者さんが実際の装着感を体験してから最終決定することも有効な方法です。


レジン床義歯と金属床義歯の違いの詳細解説(山王歯科)




入れ歯ケア 歯科用アクリル 樹脂 義歯キット ハロウィンホラーの小道具 ホワイト義歯23 A2 アップ&ダウン歯科 28個/セット