摩耗 歯科 咬耗症 自然現象 知覚過敏

歯がすり減る摩耗症と咬耗症の違いから、患者が見落としがちな早期症状、そして治療選択肢まで、歯科医が知るべき摩耗管理のすべてを解説。予防戦略から治療方針まで、臨床で即活用できる知識を習得できる記事です。

摩耗 歯科における原因と症状の分類

咬耗症は自然現象で、見た目や機能に支障がなければ治療は不要です。


歯の摩耗の基礎知識
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摩耗症と咬耗症の違い

摩耗症は不適切な歯磨きやブラッシング圧が原因、咬耗症は歯ぎしりや食いしばりで発生。 メカニズムが異なります。

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初期症状の見落とし

患者は初期段階で自覚症状がないため、定期検診で初めて発見される場合が大半です。

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診断と治療方針

症状有無と進行度で治療の必要性が決定されます。 経過観察で対応する場合も多くあります。


摩耗 歯科診断で見逃されやすい初期兆候


歯の摩耗は、初期段階では患者本人が気づかないことがほとんどです。むしろ、患者が症状を自覚した時点では、すでに中程度以上に進行していることが多いのが特徴です。このため、定期的な歯科検診が予防の鍵となります。


初期の摩耗を見つけるポイントは、歯の光沢の消失と歯冠の高さの微妙な変化です。エナメル質が削られ始めると、光の反射が鈍くなり、歯全体がマットな印象になります。つまり、患者が「歯が最近くすんで見える」と感じる前に、口腔内写真や模型で経時的変化を記録することが大切です。


象牙質が露出する直前の段階では、着色が目立ち始めることもあります。ただし、これは虫歯と混同されやすいため注意が必要です。虫歯なら白濁や黒変が見られ、摩耗なら黄褐色で硬くツルツルしているという点で区別できます。実は、この判別が患者の治療選択や心理に大きく影響するのです。


摩耗 歯科における咬耗症の自然現象としての位置づけ

咬耗症は、年齢とともに進行する自然現象です。長年の咀嚼により、歯の咬合面が徐々にすり減るのは、雨風で山肌が削られていくのと同じメカニズムです。このため、症状がなく機能や審美性に支障がなければ、治療は不要というのが現在の標準的見解です。


日本歯科医師会の見解でも、加齢に伴う咬耗は「病的とは言えない」とされています。つまり、70代の患者の歯がすり減っていても、それが年齢相応であれば医学的介入の対象外なのです。患者教育では、「歯がすり減ること=病気ではなく、加齢の証」と説明することで、不要な治療に対する不安を軽減できます。


ただし、異常に速いペースでの摩耗や若年層での著しい摩耗は別です。これらは病的摩耗と判断され、原因除去と予防が必要になります。


だから重要なのは、進行のスピードです。


例えば、60歳の患者と30歳の患者で同じ程度の咬耗が見られたとしたら、30歳の場合は歯ぎしりや過度な咬合力が隠れているサインとなります。つまり、同じ摩耗でも患者の年齢によって臨床的意味が全く異なるということです。


摩耗 歯科治療選択肢:修復から予防まで

修復治療の第一選択肢は、軽~中度の欠損ではコンポジットレジンです。レジンは接着性に優れ、対合歯への摩耗も少なく、修理も容易という利点があります。実際、多くの臨床医がレジン修復を推奨しているのは、こうした実用的な理由からです。


広範囲な摩耗や咬合面の大きな欠損がある場合は、セラミック冠での補綴が適応となります。ただし、患者のコスト負担が増加するため、修復の必要性を十分に説明する必要があります。一般的には、セラミックは10年以上の耐久性を有し、摩耗に強いというメリットがあります。これは1本あたり15万~30万円程度の自由診療となることが多いです。


では、修復しない選択肢はどうでしょう。症状がなく、顎関節への負担が見られず、将来的に機能障害のリスクが低い場合は、経過観察で十分です。この判断を正確に行うには、複数回の検診で摩耗の進行度を数値化することが有効です。デジタル模型での計測なら、0.1㎜単位での変化を追跡できます。


レジン修復を選ぶなら、患者にメンテナンスが必要なこと、5~7年で再治療が必要になる可能性があることを説明することが重要です。知覚過敏が存在する場合は、修復前に知覚過敏用歯磨き粉(フッ素配合)を2週間試させるのも有効です。


摩耗 歯科における予防戦略と患者教育の実践

予防の第一は、正しいブラッシング方法の指導です。硬い毛の歯ブラシを強い力で1日3回以上磨く患者が、摩耗症の代表的なリスク層です。柔らかめのブラシで、歯と歯ぐきの境目を45度の角度から優しく磨く方法に変えるだけで、進行を大幅に遅延させることができます。実は、研磨剤の多い歯磨き粉よりも、ブラッシング圧の方が摩耗に与える影響が大きいのです。


歯ぎしり・食いしばりが原因の場合は、ナイトガード(マウスピース)の装着が標準的です。透明で目立たず、就寝中の過度な咬合力から歯を保護します。ただし、ナイトガードは予防手段であり、根本治療ではないことを患者に伝えることが大切です。つまり、ナイトガード装着で進行を止めることはできますが、すでに摩耗した部分は戻らないということですね。


酸蝕が原因の場合、食習慣の改善が不可欠です。炭酸飲料やスポーツドリンク、柑橘類を頻繁に摂取する患者には、摂取後の口腔内pHの低下が歯を脆弱にすることを説明します。実際、pH5.5以下の飲食物を1日に何度も摂取する患者では、通常の2~3倍の速度で酸蝕が進むとの報告もあります。この場合、ストローの使用や、摂取後の水でのすすぎを指導するのが現実的です。


定期検診の間隔も重要です。摩耗リスクが高い患者(歯ぎしりあり、酸性飲料の頻繁な摂取など)は、3ヶ月ごとの検診を推奨します。口腔内写真を毎回撮影することで、患者も目で見て摩耗の進行状況を理解でき、予防への動機づけが高まります。


摩耗 歯科における知覚過敏との関連と対症治療

摩耗によってエナメル質が剥離し象牙質が露出すると、象牙細管を通じた刺激が神経に伝わり、知覚過敏が生じます。この場合、単なる象牙質知覚過敏処置(フッ素塗布やシーラント)だけでは不十分であり、根本原因の摩耗進行を止めることが最優先です。つまり、知覚過敏の治療と摩耗の予防・管理は同時進行すべきなのです。


知覚過敏の症状は、ごく初期には「冷たい飲み物が軽くしみる」程度です。ところが進行すると、歯磨き時やフロス使用時、さらには咀嚼時にも痛みが広がります。患者によっては、食事の質や回数を制限する事態になり、QOLが著しく低下します。


この段階では、複合的な治療が必要です。


フッ素配合の知覚過敏用歯磨き粉(フリュオシルなど)の使用は、初期段階で有効です。就寝前に丁寧に塗布させることで、象牙細管の石灰化を促進します。ただし効果が現れるまで2~4週間要するため、患者には忍耐強い継続が必要であることを説明することが大切です。


レジン充填による象牙質の封鎖も有効です。これにより刺激が直接神経に伝わるのを物理的に遮断します。ただし、レジンも摩耗により時間とともに減少するため、定期的な補充が必要になります。


歯肉が退縮して露出した象牙質が知覚過敏の原因である場合、歯肉の再生治療や移植を検討することもあります。ただしこれは高度な治療であり、一般診療所では対応できない場合が多いです。


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【参考リンク】


歯の摩耗の基礎知識と予防法について:https://lion-shika.net/column/symptom/tooth-wear-abrasion.html


Tooth Wearの分類と治療方針については:https://life-care.dental/diary-blog/13420


咬耗症と摩耗症の臨床的差異:https://tsuda-dc.jp/blog/%E3%80%90%E6%AD%AF%E3%81%AE%E6%91%A9%E8%80%97%E3%81%A8%E3%81%AF%EF%BC%9F%E5%8E%9F%E5%9B%A0%E3%81%A8%E4%BA%88%E9%98%B2%E6%B3%95%E3%82%92%E3%82%8F%E3%81%8B%E3%82%8A%E3%82%84%E3%81%99%E3%81%8F%E8%A7%A3/


すり減った歯のコンポジットレジン修復について:https://ishigamiddsphd.com/%E3%81%99%E3%82%8A%E6%B8%9B%E3%81%A3%E3%81%9F%EF%BC%88%E5%92%AC%E8%80%97%E3%83%BB%E6%91%A9%E8%80%97%EF%BC%89%E6%AD%AF%E3%81%AB%E5%AF%BE%E3%81%97%E3%81%A6%E3%81%A9%E3%81%86%E4%BF%AE%E5%BE%A9%E3%81%99/


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本記事では、歯科医が臨床現場で必須の知識として、摩耗症と咬耗症の診断基準、患者が自覚しない初期症状の見落とし防止、そして修復から予防に至る幅広い治療選択肢を詳説しました。特に重要なのは、すべての摩耗が治療対象ではなく、加齢に伴う自然現象としての咬耗症には治療が不要である場合も多いという認識です。患者の年齢、摩耗の進行速度、機能・審美性への影響を総合的に判断した上で、個別の治療方針を決定することが、適切な臨床実践につながります。定期検診での早期発見と、患者教育を通じた予防意識の向上が、長期的な歯の健康維持に不可欠です。




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