モノマー塗布は30秒以上続けると義歯にクラックが入ります。
義歯床用レジンは重合方法によって、加熱重合レジンと常温重合レジンの2種類に大別されます。加熱重合レジンは粉と液を混和した後、60℃以上に加熱することで過酸化ベンゾイルが分解し、ラジカルを生成して重合反応が進行します。強度や耐摩耗性に優れているため、義歯製作の主流となっています。
一方、常温重合レジンは粉に含まれる重合開始剤が、液中の第3アミンと反応することで常温下でも重合が進みます。熱収縮を低く抑えられるので寸法精度に優れており、義歯の修理やリラインに適しています。ただし重合度が低く、残留モノマーが3〜5%程度残るため、強度や耐摩耗性は加熱重合レジンに劣ります。
どちらを選ぶかは用途次第です。
近年では熱可塑性レジンも登場しています。こちらは240〜260℃で加熱融解させ、射出成型機を使って成型します。従来のレジンと違い化学反応ではなく物理的変化で成型するため、残留モノマーがほぼゼロになります。
アレルギーのリスクが低い点が魅力ですね。
それぞれのレジンには一長一短があります。加熱重合レジンは強度重視、常温重合レジンは寸法精度重視、熱可塑性レジンは生体親和性重視という具合に、目的に応じた材料選択が重要になります。材料特性を理解すれば、より適切な臨床判断ができるようになります。
加熱重合レジンの一般的な重合条件は、重合温度55℃、重合圧力0.2MPa、重合時間30分です。この条件は多くのメーカーが推奨しており、義歯床の強度と適合精度のバランスが取れた設定となっています。温度が低すぎると重合不良を起こし、高すぎると過剰な重合収縮や気泡発生の原因になります。
従来の沸騰水重合法では、冷水から約30分で沸騰するように加熱し、沸騰後30〜40分係留して重合を終了させます。この方法は設備が簡単で広く普及していますが、急激な温度上昇により内部応力が発生しやすいという欠点があります。そのため近年では低温長時間重合法が注目されています。
低温長時間重合では、温度設定50〜90℃、加圧時間10分〜24時間まで幅広く設定可能な専用重合器を使用します。55℃で6時間程度の重合を行うと、ゆっくりとした重合反応により内部応力が最小限に抑えられ、寸法安定性に優れた義歯床が得られます。
時間はかかりますが、確実ですね。
熱可塑性レジンを使用する場合は、使用前に必ず80〜90℃で4〜6時間の乾燥が必須です。吸湿状態で加熱軟化すると発泡し、成型不良や機械的強度の低下を引き起こします。また石膏型も開輪後130℃で1時間乾燥させ、水分を完全に除去することが重要です。
水分管理が成否を分けます。
重合後は急冷せず、必ず室温まで自然放冷してください。水中で急冷すると内部応力が残留し、後日の破折リスクが高まります。特にフラスコから取り出す際は完全に冷めてから行い、義歯の変形やクラックを防止しましょう。
焦りは禁物です。
松風の義歯床用レジン重合システムの技術資料(重合条件の詳細データと設定方法が記載されています)
常温重合レジンで義歯を修理する際、モノマー塗布は短時間に必要最低限量とし、広範囲への塗布は絶対に避けてください。特に熱可塑性レジンに対してモノマーを長時間塗布すると、義歯本体にクラックや破折が発生する危険性があります。これは材料メーカーの注意事項でも明示されている重要なポイントです。
具体的には、塗布時間は30秒以内、塗布範囲は修理部位とその周囲5mm程度に限定します。モノマーは義歯床用レジンを溶解する性質があるため、広範囲に塗布すると義歯全体の強度が低下してしまいます。筆先に少量取って、ピンポイントで塗布するイメージです。
意外と少量で十分なんですね。
常温重合レジンの盛り付けができたら、使用しているレジンの推奨条件に従い、速やかに重合させることが重要です。盛り付け後に放置すると、モノマーが義歯床内部に浸透し続け、予期せぬ変形や変色の原因となります。盛り付けから重合開始までは5分以内を目安にしましょう。
リライニングを行う場合も常温重合レジンを使用しますが、初期硬化したら速やかに重合工程に移行してください。口腔内で直接リラインを行う場合は、硬化開始から約2分30秒でゴム状になるため、そのタイミングで取り出してトリミングします。
タイミングが命です。
修理部位の強度を確保するため、義歯床粘膜面のレジンを一層削除してレジンの新鮮面を露出させてから、レジンプライマーを塗布する方法が推奨されています。この前処理により、新旧レジンの接着強度が飛躍的に向上します。
ひと手間で結果が変わります。
デンケン・ハイデンタルのアクリショット取扱説明書(モノマー塗布の具体的注意事項が詳細に記載)
義歯床用レジン分離材の塗布は、レジンと石膏を確実に分離し、義歯の取り出しを容易にするための重要な工程です。上下フラスコの石膏面をよく乾燥させ、表面が温かいうちに分離材を塗布することで、石膏表面に薄く丈夫な分離膜が形成されます。乾燥が不十分だと分離材が石膏に浸透せず、効果が半減します。
分離材の塗布は1回ないし2回、薄く均一な層を形成するように行います。塗布ムラがあると、その部分でレジンが石膏に付着してしまい、義歯の取り出し時に破損のリスクが高まります。特に人工歯周囲やアンダーカット部分は念入りに塗布してください。
丁寧さが成果を左右しますね。
分離材を人工歯に付着させないよう注意が必要です。人工歯基底部に分離材が付くと、レジンとの接着力が低下し、後日の人工歯脱落につながります。特にレジン歯の場合、基底部は化学的に結合するため、分離材の付着は致命的です。
マスキングテープで保護する方法も有効です。
フラスコの試圧操作では、レジンの餅状期(粉と液を混和後、糸引き状から餅状に変化した段階)で填入します。早すぎると流動性が高くレジンが流れ出し、遅すぎると気泡が混入しやすくなります。23℃における填入時間の目安は、混和開始から約11分後で、操作余裕時間は約6分間です。
環境温度で変わるんですよ。
加圧持続式でレジンを填入する場合は、7分以上加圧を行った後、一度フラスコを取り出してベントウからレジンが出ているか確認します。レジンの流出が確認できない場合は、填入量不足やフラスコの密閉不良が疑われるため、再度填入操作を行う必要があります。
確認作業が失敗を防ぎます。
ジーシー義歯床用レジンQ&A(分離材の使用方法と試圧のタイミングについての実践的情報)
義歯床の研磨は、口腔内に装着する補綴装置の表面を滑沢にする操作であり、生体に調和した生物学的形態の付与と口腔機能の回復が大きな目的です。表面が粗造だと細菌が繁殖し、食物の貯留や残渣、プラークの付着を招き、口腔内環境の悪化につながります。
研磨は単なる見た目の問題ではありません。
研磨は荒研磨、中研磨、仕上げ研磨の3段階で行います。まず荒研磨では、HP用タングステンバーやカーバイドバーで大まかな形態修正を行います。回転数は5,000rpm程度が適切で、高速回転させすぎるとレジンが発熱し、変形や変色の原因となります。
削りすぎにも注意が必要です。
中研磨では、シリコンポイントやスルホンビックポイントを使用して義歯全体を研磨します。この段階で表面の微細な傷を除去し、次の仕上げ研磨に備えます。耐水ペーパー#240番に水をつけて研磨する方法も効果的で、レジン全体を均一に磨くことができます。
水を使うことで発熱を防げますね。
仕上げ研磨では、布バフやフェルトホイールに研磨材(フュージョンポリッシュなど)を少量つけて磨きます。研磨材とのなじみがよいバフを使用すると、短時間で美しい光沢が得られます。金属床とレジン床のどちらにも使用できる汎用性の高いバフが便利です。
最終的な艶出しが重要ですよ。
研磨面が粗糙になると、色素性沈着物が付着しやすくなります。特に義歯洗浄剤を頻繁に使用する患者の場合、研磨面の品質が義歯の長期的な審美性を左右します。メタアナリシスによれば、義歯洗浄剤は床用レジン表面の粗さにあまり影響を与えないことが示されていますが、研磨不足だと話は別です。
熱可塑性樹脂床の研磨では、従来のレジン床とは異なる専用の研磨材やポイントを使用することが推奨されます。特にポリカーボネート系の熱可塑性レジンは、研磨方法を誤ると表面が白化したり、クラックが入ったりするため注意が必要です。
材料に合わせた研磨法を選びましょう。
エンビスタのスーパーアクリルポリッシャー使用説明書(義歯床レジンの段階的研磨手順が図解入りで解説)
義歯床の破折は臨床上頻度の高いトラブルです。装着直後の破折は技工操作のミス、設計のミス、咬合調整不良が疑われます。一方、装着後しばらくしてからの破折は、義歯の疲労や使用環境の変化が原因となることが多いです。
破折のタイミングで原因を推測できるんです。
人工歯の脱離も頻繁に起こる問題です。硬質レジン歯の基底面はMMAレジンで床用レジンと化学的に結合しますが、基底面にワックスやレジン分離材が付着していると接着不良を起こします。脱ロウ後に人工歯基底部を清掃し、レジンプライマーを塗布することで脱離リスクを大幅に低減できます。
基本の徹底が大切です。
気泡の発生は、粉と液の混和が不均一だったり、餅状化が十分に進行していなかったりすることが原因です。また試圧時期が早すぎると、レジンが流動的すぎて気泡が混入しやすくなります。混和は電動ミキサーを使用し、一定時間しっかり撹拌することで気泡混入を防げます。
機械に頼るのも賢明ですね。
色調の不一致や変色は、重合条件の不適切さが原因となることがあります。240〜260℃で30分以上加熱、または260℃以上で融解すると、変色や強度低下が発生します。熱可塑性レジンを使用する際は、温度管理を厳格に行い、推奨条件を守ることが絶対条件です。
義歯の保管方法も品質維持に影響します。乾燥状態で放置すると、変形、破損、クラック発生の原因となるため、必ず水を入れた容器で清潔に保管するよう患者に指導してください。また熱湯消毒は義歯床が変形または白化する恐れがあるため禁忌です。
患者教育がトラブル予防につながります。
義歯洗浄の際は、柔らかめのブラシを使用し、歯磨き粉等は使用しないよう指導します。研磨剤入りの歯磨き粉は義歯表面を傷つけ、かえって汚れが付着しやすくなります。市販の義歯洗浄剤(スモーカーズポリデント、タフデント、ピカ、ラバラックなど)は、各製品の取扱説明書に従って使用すれば問題ありません。
消毒用エタノールやアルコール類は、クラックまたは白化の原因となるため使用厳禁です。特に熱可塑性レジンはアルコールに弱く、短時間の接触でも表面が損傷します。フィットチェッカーなど義歯床適合試験材も、材料によっては変色・クラックを起こす場合があるため、事前に適合性を確認してから使用してください。
日本補綴歯科学会のリラインとリベースの臨床指針(義歯床トラブルの原因分析と対処法が体系的に整理)

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