高速回転で使うと劣化が早まります
歯科臨床において、貴金属合金の研磨にシリコンポイントを使用する場面は日常的に発生します。金合金、パラジウム合金、銀合金などの補綴装置を口腔内で調整する際、シリコンポイントは不可欠な器材です。これらの貴金属合金専用として開発されたのがMタイプのシリコンポイントであり、合成ゴムに炭化ケイ素(カーバイド)の砥粒を配合した構造になっています。
Mタイプには硬さと粒度によって複数のバリエーションが存在します。M1は粗粒で黒色、M2は細粒で茶色、M3は微粒で緑色と、色分けによって識別できるようになっています。この順序で段階的に使用することが鏡面仕上げへの近道です。M1を使用することで調整時の研削傷が最小限に抑えられ、後の研磨作業にスムーズに移行できる設計になっています。
つまり工程の省略はできません。
貴金属合金の研磨における最大のポイントは、材料の硬さに応じた適切なシリコンポイントの選択です。金合金のような比較的柔らかい材料には、柔軟性のあるMタイプが理想的で、研磨面を滑沢に仕上げながら材料を過度に削りすぎないバランスが保たれます。一方、パラジウム合金のようにやや硬い材料では、M1から始める工程が特に重要になり、初期の形態修正を効率的に行うことができます。
臨床現場では、クラウンやブリッジの調整後に最終研磨を行う場面でシリコンポイントが活躍します。形態は円錐型、火炎型、皿型、シリンダー型など多様で、調整部位の形状に応じて使い分けることで作業効率が向上します。咬合面全体には皿型や円錐型、マージン部分には先細の火炎型が適しているという具合です。
これが基本です。
松風シリコンポイントMタイプの場合、HP用(ハンドピース用)で12本入り約1,960円、CA用(コントラアングル用)で3本入り約2,700円が標準的な価格帯となっています。最大回転数は30,000rpmまで対応していますが、実際の臨床では15,000~20,000rpm程度の中速回転が推奨されています。高速回転では摩擦熱によってゴム部分が劣化し、砥粒が早期に脱落してしまうためです。
松風公式サイトのMタイプ製品ページには、各形状の詳細な用途と推奨使用方法が掲載されており、臨床での参考になります。
コンポジットレジン修復後の研磨は、審美性と耐久性の両面で重要な処置です。充填直後のレジン表面には、重合阻害層や微細な凹凸が存在し、これらを適切に処理しないと着色や二次カリエスのリスクが高まります。シリコンポイントのCタイプは、コンポジットレジンと硬質レジンの研磨に特化して設計されており、天然歯を損傷することなく滑沢で光沢のある面を容易に得られる特徴があります。
Cタイプの最大の利点は、シリコーンゴムにダイヤモンド砥粒を配合した構造にあります。この組み合わせによって、レジンの研磨をワンステップで行える効率性が実現されています。従来は複数段階の研磨材を使用する必要がありましたが、Cタイプの登場によって臨床時間の短縮が可能になりました。
結論は時間短縮です。
コンポジットレジン研磨における形状選択は、充填部位によって変わります。クラスⅠ窩洞の咬合面全体を磨くには円錐型や皿型が適しており、クラスⅡ窩洞の隣接マージン部分には先細の火炎型が理想的です。クラスⅢやⅣの前歯部では、より繊細な形状調整が求められるため、小型の円錐型やポイント型が活用されます。
形態と部位の一致が不可欠です。
研磨のタイミングについても注意が必要です。コンポジットレジン修復は即日研磨が可能という利点がありますが、充填当日は咬合調整と形態修正までに留め、最終的な仕上げ研磨を次回来院時に行うことで飲食物による変色を最小限に抑えられるという見解もあります。ただし臨床の実際では、患者の来院回数を減らすために即日で完全に研磨仕上げまで行うケースが大半です。どちらのアプローチを選ぶかは、患者の生活習慣や審美要求度によって判断します。
回転数の設定も重要なポイントです。シリコンポイントは回転数が高すぎるとゴムが劣化し、砥粒が早期脱落するため、中速(10,000~15,000rpm程度)での使用が推奨されています。注水下での使用も基本原則で、発熱を避けることでレジン表面の変性を防ぎます。
注水は必須条件です。
松風シリコンポイントCタイプの製品情報では、医療機器届出番号や具体的な使用方法が記載されており、安全性の確認に役立ちます。
前歯部の審美修復では、最終的にダイヤモンドペーストやアルミナペーストを使用した鏡面仕上げを行う場合もありますが、その前処理としてシリコンポイントで表面を整えておくことで、ペースト研磨の効率が格段に向上します。この段階を丁寧に行うかどうかで、最終的な審美性に大きな差が生まれます。
ジルコニアやセラミックの研磨は、貴金属やレジンとは異なる特殊な配慮が必要です。ジルコニアは「人工ダイヤモンド」とも呼ばれるほど硬度が高く、通常のシリコンポイントでは研磨効率が低いだけでなく、ポイント自体の摩耗が激しくなります。この課題を解決するために開発されたのが、松風のZRタイプや専用のセラミック研磨ポイントです。
ZRタイプは半焼結ジルコニア調整用に特化しており、チッピング(欠け)を起こしにくい設計になっています。半焼結状態のジルコニアは完全に焼結した後よりも加工しやすいため、この段階で形態修正と表面研磨を行っておくことで、焼結後の表面が滑沢に仕上がります。
つまり焼成前の処理が鍵です。
セラミック研磨用のポイントには、Pタイプ(陶歯・陶材用)やPAタイプがあり、これらは中粒から細粒の砥粒を含んでいます。陶材焼付冠やオールセラミッククラウンのマージン調整、咬合面の微調整に使用され、ポーセレンの表面を損傷せずに滑らかに仕上げることができます。P2は中粒で陶歯・陶材の研磨に適しており、段階的に使用することで良好な表面性状が得られます。
ジルコニアやセラミックの研磨における最大の注意点は、回転数と圧力のコントロールです。高速回転や過度な圧力は、材料表面にマイクロクラックを生じさせる可能性があり、これが将来的な破折の起点となります。推奨回転数は5,000~10,000rpm程度と、貴金属用よりもさらに低速に設定すべきです。
低速が原則です。
さらに、ジルコニア研磨では注水が絶対条件となります。注水なしで研磨すると、摩擦熱によってジルコニア表面の結晶構造に変化が生じ、強度低下や変色の原因になる可能性があります。臨床現場では、十分な注水下で断続的に研磨を行い、一箇所に熱が集中しないよう配慮することが重要です。
松風シリコンポイントZRタイプの製品ページには、半焼結ジルコニア専用の特性と使用上の注意が詳しく記載されています。
ジルコニアクラウンやブリッジの口腔内試適時に微調整が必要になった場合、専用のダイヤモンドバーで形態修正を行った後、ジルコニア用シリコンポイントで表面を滑らかに仕上げることで、再焼成なしでセット可能な場合もあります。これは患者の待ち時間短縮とチェアタイムの削減につながる実践的なテクニックです。ただし、大幅な調整が必要な場合は、技工所での再調整を選択すべきです。
シリコンポイントの臨床効果を最大化するには、形状と粒度の適切な選択が欠かせません。形状は主に円錐型、火炎型、皿型、シリンダー型、ポイント型、レンズ型などがあり、それぞれ研磨部位の形態に対応しています。形状番号は#5、#10、#13、#28などで表され、メーカーによって若干の違いがありますが、基本的な形態分類は共通しています。
粒度は研磨の段階を決定する最も重要な要素です。粗粒(#180~#360程度)は形態修正や粗研磨に使用し、細粒(#360~#1000程度)は中仕上げ、微粒(#1000~#2500程度)は最終研磨に用います。松風シリコンポイントの場合、H1(濃灰色)は#180、H2(紅色)は#360、P2(薄灰色)は#360、M2(茶色)は#360、M3(青緑色)は#2500という粒度構成になっています。
色で判別できるのが便利です。
母材の硬さも選択基準の一つです。Mタイプはソフト、Hタイプはハード、PタイプはMとHの中間という硬さ設定になっており、研磨対象の硬さや求める研磨力によって選びます。硬い母材は研削力が高く、柔らかい母材は研磨面が滑らかに仕上がります。H→P→M、1→2→3の順序で段階的に使用することで、効率的に研磨を進められます。
これが効率化の秘訣です。
臨床でよく使用される形状と用途の組み合わせを具体的に見ていきましょう。#13(火炎型)は、クラウンのマージン部分や隣接面の研磨に適しており、先細の形状が狭い部位へのアクセスを可能にします。#28(シリンダー型)は、咬合面や平坦な面の研磨に向いており、広い面積を均一に仕上げられます。#10(円錐型)は汎用性が高く、咬合面の窩溝や曲面の研磨に使用できます。#162(レンズ型)は義歯床研磨に特化した大型タイプで、広い曲面を効率的に処理できます。
形状選択で失敗しやすいのは、研磨部位の形態とポイント形状が一致していない場合です。例えば、狭い隣接マージン部分に太いシリンダー型を使おうとしても、十分にアクセスできず不完全な研磨になります。逆に、広い咬合面に細いポイント型を使うと、時間がかかりすぎる上に均一性が保てません。
部位と形状の一致が鉄則です。
野沢製作所のシリコンポイント製品ページでは、母材硬さと粒度、形状番号の体系的な説明があり、選択の参考になります。
軸径も確認すべきポイントです。HP用(ハンドピース用)は直径2.35mmのストレートシャンク、CA用(コントラアングル用)はラッチタイプ、FG用(エフジー用)は直径1.6mmのフリクショングリップと、使用するハンドピースに応じて選択します。間違った軸径を購入してしまうと使用できないため、発注時の確認が重要です。
包装単位と価格のバランスも考慮すべき点です。一般的に12本入り、72本入り、100本入りなどがあり、使用頻度の高い形状は大容量パッケージを選ぶことでコスト削減になります。松風シリコンポイントMタイプの場合、HP用12本入りが約1,960円、72本入りが約11,000円程度で、1本あたりの単価は大容量ほど安くなります。
シリコンポイントの再利用と滅菌管理は、感染対策とコスト管理の両面で重要なテーマです。シリコンポイントは医療機器届出がされている一般医療機器(クラスⅠ)に分類され、口腔内で使用後は必ず洗浄・消毒・滅菌を行ってから再使用する必要があります。滅菌方法はオートクレーブ(高圧蒸気滅菌)が推奨されており、134℃で3分間、または121℃で30分間という条件が標準です。
滅菌は必須工程です。
滅菌時の注意点として、乾燥工程を行わないことが挙げられます。高温での乾燥はゴム素材の劣化を促進し、砥粒の脱落や形状変形の原因となります。滅菌後は自然乾燥させるか、滅菌パックに入れたまま保管することで、清潔性を保ちながら劣化を防げます。
乾燥工程は不可です。
再使用回数については、製品によって推奨回数が異なります。一般的なシリコンポイントの場合、適切な洗浄・滅菌を行えば5回程度の再使用が可能とされていますが、これは使用方法やメンテナンスに大きく依存します。過度な圧力で使用したり、推奨回転数を超えて使用すると、劣化が早まり再使用回数が減少します。
使用条件が寿命を決めます。
シリコンポイントの使用限界を見極めるサインとしては、以下のような状態が挙げられます。砥粒が脱落して表面がツルツルになった状態、ゴム部分に亀裂やひび割れが生じた状態、形状が著しく変形した状態、研磨力が明らかに低下した状態などです。これらの兆候が見られたら、安全性と効率性の観点から新品に交換すべきです。
洗浄工程も重要です。使用直後に速やかに洗浄することで、付着した切削粉や血液などの汚染物質を効果的に除去できます。超音波洗浄器の使用が推奨されており、専用の洗浄液を用いることで、シリコンポイントの細かい隙間に入り込んだ汚れも除去できます。
洗浄の遅れは避けるべきです。
GCの院内感染対策ページには、歯科器材の洗浄・消毒・滅菌に関する包括的なガイドラインが掲載されており、シリコンポイントを含む各種器材の適切な処理方法が解説されています。
コスト面での考慮も実務上は重要です。シリコンポイント1本あたりの価格は150円~300円程度ですが、適切に管理して5回再使用できれば、1回あたりのコストは30円~60円程度に抑えられます。一方、使い捨てにすると毎回150円~300円のコストがかかります。ただし、洗浄・滅菌の人件費や光熱費も考慮すると、使用頻度の低い形状については使い捨てを選択する方が経済的な場合もあります。
滅菌パックの選択も感染対策の一環です。滅菌パックは一度使用したら再利用できません。パック内のフィルターは滅菌過程で変化し、2回目の滅菌では滅菌剤の浸透も細菌の遮断も効果を失うためです。シリコンポイントを個別にパックするか、セットでパックするかは、臨床での使用パターンによって決めます。セット単位でパックすると、必要なポイントを一度に取り出せて効率的ですが、使わないポイントも一緒に開封してしまうデメリットがあります。

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