ブローイング訓練を毎日10回続けても、3か月後に口輪筋の筋力が有意に向上しなかった患者さんが一定数います。
ブローイング訓練とは、ストローや笛などで息を吹き出す動作を繰り返すことで、口腔周囲筋・鼻咽腔閉鎖機能・呼吸機能を改善する間接的嚥下訓練の一つです。 吹く動作によって口腔気流が発生すると、鼻咽腔が反射的に閉鎖されます。この反射を繰り返し利用することで、軟口蓋の挙上に関わる神経・筋群(口蓋帆挙筋、口蓋帆張筋、口蓋咽頭筋など)の機能向上が期待できます。 st-medica(https://www.st-medica.com/2012/02/blog-post_5302.html)
目的を整理するとこうなります。
つまり「嚥下そのもの」を直接鍛える訓練ではなく、嚥下を支える周辺機能を整える訓練です。 ここを誤解すると、期待していた効果が出ず「ブローイング訓練は効かない」という誤った結論に至るリスクがあります。 kango-roo(https://www.kango-roo.com/mv/180/)
エビデンスの数字を把握しておくことは、患者への説明と訓練計画の立案で大きな武器になります。 www5f.biglobe.ne(http://www5f.biglobe.ne.jp/~asada-shika/images/2020_1013.pdf)
主な研究結果をまとめると、以下のとおりです。
| 評価項目 | 訓練前 | 訓練後 | 有意差 |
|---|---|---|---|
| 最長呼気持続時間 | 7.32秒 | 9.02秒 | p<0.01 |
| 最長発声持続時間 | 7.53秒 | 9.00秒 | p<0.05 |
| 改訂水飲みテスト(MWST) | 5.81 | 6.04 | p<0.05 |
上記は週2回・1日5分・15週間の呼気トレーニング(吹き戻し・風車使用)による高齢者26名を対象とした研究結果です。 15週という期間はちょうど歯科外来での口腔機能管理プログラム1クールに相当し、現場に応用しやすいスパンです。これは使えそうです。 cir.nii.ac(https://cir.nii.ac.jp/crid/1390282680550418816)
また、口輪筋の研究では、1日10回を2セット・3か月継続することで口輪筋の引っ張り強さが有意に向上したと報告されています。 3か月というと、患者の担当が変わるタイミングを含むことも多いので、継続記録の管理が重要です。 www5f.biglobe.ne(http://www5f.biglobe.ne.jp/~asada-shika/images/2020_1013.pdf)
実施方法が曖昧なまま指導すると、患者が楽なやり方だけを続けてしまい、筋力強化には不十分な刺激しか入らなくなります。負荷設定が原則です。 ksmcs(https://ksmcs.jp/krh/rehabilitation/enge/enge-fuki/)
【基本的なやり方】
ソフトブローイング(弱く長く吹く方法)とハードブローイング(強く短く吹く方法)では、それぞれ鍛える要素が異なります。 ソフトブローイングは気管内圧を上昇させ、気道の虚脱を防ぐ効果と呼気持続時間の延長に働きかけます。これは口すぼめ呼吸と同様の効果です。 st-medica(https://www.st-medica.com/2012/02/blog-post_5302.html)
訓練の目安は以下のとおりです。
tky.ndu.ac(https://www.tky.ndu.ac.jp/hospital/tama_clinic/useful/vangede.html)
訓練時間が長すぎると疲労が蓄積し、筋力回復が追いつかなくなります。1回5〜10分に抑えるのが基本です。 tky.ndu.ac(https://www.tky.ndu.ac.jp/hospital/tama_clinic/useful/vangede.html)
「ブローイング訓練を導入したのに改善しない」というケースでは、適応の問題が隠れていることが少なくありません。意外ですね。 co-medical.mynavi(https://co-medical.mynavi.jp/contents/therapistplus/kokushi/drill/1752/)
特に注意が必要なのは神経筋疾患(ディサースリア)の患者です。この場合、ブローイング訓練によって軟口蓋の筋力がある程度改善しても、実際の発話運動時に鼻咽腔閉鎖が改善するという確証は文献上得られていないとされています。 つまり、神経筋疾患では効果の見通しが立ちにくいということです。 plaza.rakuten.co(https://plaza.rakuten.co.jp/ststst/diary/201102220000/)
さらに衝撃的なのは、健常発話者の約41.8%に軽度の鼻漏出が存在するという報告です。 これは、鼻腔への空気の漏れが「異常」ではなく正常範囲の個体差である可能性を示しています。ブローイング訓練の目標は「鼻咽腔の完全閉鎖」でも「鼻漏出の完全消失」でもなく、あくまで「聴覚的な開鼻声の軽減」であることを忘れないようにする必要があります。 plaza.rakuten.co(https://plaza.rakuten.co.jp/ststst/diary/201102220000/)
適応の見極めポイントはこちらです。
また、呼吸機能が低下している患者群では1分間呼吸数の改善が見られた一方、正常機能群ではあまり効果が現れなかったという報告もあります。 効果が出やすい患者とそうでない患者を事前に分類することが、指導の精度を高める鍵です。 swallow-web(http://www.swallow-web.com/Fukimodosi_ex.pdf)
ブローイング訓練が「呼気(吐く)」を使うのに対し、近年は「吸気(吸う)」を使った訓練がより強力な鼻咽腔閉鎖を引き出す可能性が注目されています。 これは歯科従事者にはまだあまり知られていない視点です。 kaken.nii.ac(https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-20K19440)
科学研究費助成事業(KAKENHI)による研究では、「強く吸う」動作を行ったとき、他のタスク(発話・ブローイングなど)と比較して軟口蓋が最も高く挙上し、咽頭後壁に確実に接触したことがMRIで確認されました。 つまり吸気を意識した訓練は、呼気ベースのブローイング訓練を補完できる可能性があるということです。 kaken.nii.ac(https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-20K19440)
| 訓練の種類 | 刺激方向 | 軟口蓋挙上の強さ | 主な効果 |
|---|---|---|---|
| ブローイング訓練(呼気) | 口から吐く | 中程度 | 鼻咽腔閉鎖反射・口唇閉鎖力・呼吸持続力 |
| 吸気訓練(鼻から強く吸う) | 鼻から吸う | 最大(MRI実証) | 鼻咽腔閉鎖不全の直接改善・構音障害の軽減 |
| EMST(呼気筋力訓練) | 器具使用・呼気抵抗 | 高い | 舌骨上筋群・口輪筋・嚥下機能の同時強化 |
吸気訓練を組み合わせることで、ブローイング訓練単独より短期間での改善が期待できる可能性があります。 歯科衛生士が在宅訪問でブローイング訓練を指導する際にも、鼻から強く吸う動作をウォームアップとして追加するだけで、訓練効率が上がる可能性があります。これは患者の訓練継続モチベーションにも好影響です。 kaken.nii.ac(https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-20K19440)
参考:鼻咽腔閉鎖機能と吸気訓練の関係を研究した科学研究費データベース(国立情報学研究所)
吸気に着眼した新たな鼻咽腔閉鎖機能の訓練方法の検討 – KAKEN
参考:嚥下機能と呼気持続時間の相関・ブローイング訓練の定量的評価に関する報告(CiNii)
参考:訓練法の根拠(日本摂食嚥下リハビリテーション学会)
訓練法のまとめ(2014版) – 日本摂食嚥下リハビリテーション学会
あなたが空嚥下だけで済ませると誤嚥が増えます。 note(https://note.com/soralove0531/n/nbb5c91ac9a54)
メンデルソン手技の目的は、単に「飲み込みを頑張らせること」ではありません。 webview.isho(https://webview.isho.jp/journal/detail/abs/10.11477/mf.091434910980050159)
主な狙いは、舌骨・喉頭の挙上量の拡大、挙上保持時間の延長、上食道括約筋の開大時間の延長、そして咽頭収縮力の改善です。 rehabilidata(https://rehabilidata.com/mendelsohn-maneuver/)
つまり複数の機能を一度に狙う手技です。 note(https://note.com/soralove0531/n/nbb5c91ac9a54)
歯科医従事者の視点で重要なのは、患者さんが「むせるから訓練する」のではなく、どの段階で詰まっているのかを分けて考えることです。 webview.isho(https://webview.isho.jp/journal/detail/abs/10.11477/mf.091434910980050159)
たとえば咽頭残留が多い、喉頭挙上が短い、食道入口部が開きにくい、といった場面では目的がかなり明確になります。 saito-dental-miyagi(http://saito-dental-miyagi.com/wp-content/uploads/2024/09/47469915204ddb24699c60d9b7801012.pdf)
ここが基本です。 note(https://note.com/soralove0531/n/nbb5c91ac9a54)
適応は、舌骨・喉頭挙上が弱い、挙上時間が短い、上食道括約筋が開きにくい、咽頭残留が目立つ症例です。 saito-dental-miyagi(http://saito-dental-miyagi.com/wp-content/uploads/2024/09/47469915204ddb24699c60d9b7801012.pdf)
とくに「飲み込めてはいるが、通過が悪くて残る」タイプでは、目的と病態が一致しやすいです。 rehabilidata(https://rehabilidata.com/mendelsohn-maneuver/)
適応の一致が条件です。 rehabilidata(https://rehabilidata.com/mendelsohn-maneuver/)
一方で、指示理解が難しい患者さんでは実施が難しくなります。 daiwa-grp(https://www.daiwa-grp.jp/dsh/results/46/pdf/02_02.pdf)
栃木県の摂食嚥下指導マニュアルでも、間接訓練は認知症で指示理解が悪い場合には実施困難とされており、メンデルソン手技も例外ではありません。 webview.isho(https://webview.isho.jp/journal/detail/abs/10.11477/mf.091434910980050159)
意外とここが盲点です。 webview.isho(https://webview.isho.jp/journal/detail/abs/10.11477/mf.091434910980050159)
歯科外来や訪問歯科では、食形態調整や姿勢調整だけで前に進めようとしがちですが、喉頭挙上不全が主因ならそこだけでは不足します。 note(https://note.com/soralove0531/n/nbb5c91ac9a54)
逆に、口腔内の問題が強いのにメンデルソン手技を中心にすると、負荷の割に成果が出にくいです。 webview.isho(https://webview.isho.jp/journal/detail/abs/10.11477/mf.091434910980050159)
病態の切り分けだけ覚えておけばOKです。 note(https://note.com/soralove0531/n/nbb5c91ac9a54)
参考になる歯科向けの嚥下全体像です。喉頭挙上、咬合支持、Mendelsohn手技の位置づけまで整理されています。 webview.isho(https://webview.isho.jp/journal/detail/abs/10.11477/mf.091434910980050159)
栃木県歯科医師会 摂食嚥下指導マニュアル
やり方の核は、嚥下時に最も高く上がった喉頭を数秒保つことです。 shugi-online(https://shugi-online.net/archives/2195)
この保持によって喉頭挙上を延長し、喉頭の圧を高め、上食道括約筋が開いている時間を稼ぎます。 me.shopdb(https://me.shopdb.jp/jibika120/session/?recid=3516)
保持が目的に直結します。 me.shopdb(https://me.shopdb.jp/jibika120/session/?recid=3516)
手順としては、まず空嚥下で喉頭の上がり方を自分で触れて確認し、その後、最も高い位置で数秒キープします。 youtube(https://www.youtube.com/watch?v=JPXgC9iMJCM)
栃木県のマニュアルでは、介助者が輪状軟骨の下に指を当てて高い位置で固定し、慣れたら介助なしで行う流れが示されています。 webview.isho(https://webview.isho.jp/journal/detail/abs/10.11477/mf.091434910980050159)
段階づけが原則です。 webview.isho(https://webview.isho.jp/journal/detail/abs/10.11477/mf.091434910980050159)
ここで誤解されやすいのが、「長く止めるほど良い」という考えです。これは危険です。 daiwa-grp(https://www.daiwa-grp.jp/dsh/results/46/pdf/02_02.pdf)
狙いは苦しい我慢大会ではなく、喉頭挙上とUES開大のタイミング学習なので、疲労や再現性の低下が出るなら負荷設定を見直すべきです。 daiwa-grp(https://www.daiwa-grp.jp/dsh/results/46/pdf/02_02.pdf)
それで大丈夫でしょうか? webview.isho(https://webview.isho.jp/journal/detail/abs/10.11477/mf.091434910980050159)
食事場面の対策としては、咽頭残留が多い場面で、複数回嚥下や交互嚥下を組み合わせると狙いがはっきりします。 webview.isho(https://webview.isho.jp/journal/detail/abs/10.11477/mf.091434910980050159)
つまり「残留を減らす」が狙いなら、メンデルソン手技単独ではなく、残留除去の候補として複数回嚥下を確認する、という1行動に落とすと現場で使いやすいです。 webview.isho(https://webview.isho.jp/journal/detail/abs/10.11477/mf.091434910980050159)
これは使えそうです。 webview.isho(https://webview.isho.jp/journal/detail/abs/10.11477/mf.091434910980050159)
歯科で見逃しにくいポイントは、喉頭挙上だけでなく咬合支持との関係です。 webview.isho(https://webview.isho.jp/journal/detail/abs/10.11477/mf.091434910980050159)
栃木県のマニュアルでは、健常人の喉頭挙上量は1.5~2cm程度、1cm以下は異常とされ、さらに上下顎の歯が噛み合って下顎が固定されると舌骨上筋群が働きやすいと説明されています。 webview.isho(https://webview.isho.jp/journal/detail/abs/10.11477/mf.091434910980050159)
数字で見ると理解しやすいですね。 webview.isho(https://webview.isho.jp/journal/detail/abs/10.11477/mf.091434910980050159)
つまり、義歯不適合や臼歯部支持の喪失を放置したまま「嚥下訓練だけ」で押し切るのは、歯科の強みを捨てているのに近いです。 webview.isho(https://webview.isho.jp/journal/detail/abs/10.11477/mf.091434910980050159)
咬合支持の回復は準備期の改善だけでなく、嚥下機能全体の回復にも関与するとされており、ここは歯科が介入価値を出しやすい部分です。 webview.isho(https://webview.isho.jp/journal/detail/abs/10.11477/mf.091434910980050159)
咬合支持が原則です。 webview.isho(https://webview.isho.jp/journal/detail/abs/10.11477/mf.091434910980050159)
スクリーニングの場面では、RSSTで30秒3回以上が正常、水飲みテストは冷水3mL、フードテストは3~4gのプリンが基準として示されています。 webview.isho(https://webview.isho.jp/journal/detail/abs/10.11477/mf.091434910980050159)
こうした数字を押さえておくと、ただ「むせやすい」で終わらず、どこまでが外来で拾える異常かを言語化しやすくなります。 webview.isho(https://webview.isho.jp/journal/detail/abs/10.11477/mf.091434910980050159)
数字の共有が大事です。 webview.isho(https://webview.isho.jp/journal/detail/abs/10.11477/mf.091434910980050159)
参考になる総論です。咽頭クリアランスや嚥下手技の現在の理解がまとまっています。 note(https://note.com/soralove0531/n/nbb5c91ac9a54)
検索上位の記事では、目的を「誤嚥予防」とだけ書いて終えるものが少なくありません。 st-medica(https://www.st-medica.com/2012/02/blog-post_13.html)
ただ、歯科での説明はそれだけだと弱いです。 webview.isho(https://webview.isho.jp/journal/detail/abs/10.11477/mf.091434910980050159)
説明の粒度が足りません。 webview.isho(https://webview.isho.jp/journal/detail/abs/10.11477/mf.091434910980050159)
これなら、患者さんにもスタッフにも、なぜ保持するのか、なぜ空嚥下から始めるのか、なぜ疲れるのかが一本でつながります。 youtube(https://www.youtube.com/watch?v=JPXgC9iMJCM)
つまり目的の翻訳です。 me.shopdb(https://me.shopdb.jp/jibika120/session/?recid=3516)
さらに歯科医従事者にとってのメリットは、食形態、義歯調整、姿勢、口腔ケア、間接訓練をばらばらに扱わずに済むことです。 webview.isho(https://webview.isho.jp/journal/detail/abs/10.11477/mf.091434910980050159)
咽頭残留リスクがある場面では、その回避を狙って「まず咬合支持と姿勢を確認する」という1行動に絞ると、診療フローがかなり安定します。 webview.isho(https://webview.isho.jp/journal/detail/abs/10.11477/mf.091434910980050159)
あなたの説明力が変わります。 webview.isho(https://webview.isho.jp/journal/detail/abs/10.11477/mf.091434910980050159)