咽頭収縮の訓練で嚥下機能を高める方法

咽頭収縮の訓練は摂食嚥下障害の改善に欠かせませんが、その効果や正しい手順を正確に理解している歯科従事者はどのくらいいるでしょうか?

咽頭収縮を鍛える訓練の基本と実践

訓練効果の証拠があると思っているあなた、前舌保持嚥下法には至適訓練量のデータがまだ存在しません。 member.jsdr.or(https://member.jsdr.or.jp/elearning3/lesson/1476/44/)


咽頭収縮訓練の3つのポイント
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咽頭収縮とは何か

嚥下咽頭期において、舌根部と咽頭壁の接触が食塊を食道へ押し込む駆出力を生む。この収縮が不足すると咽頭残留・誤嚥のリスクが高まる。

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代表的な訓練手技

前舌保持嚥下法(Masako法)・プッシング訓練・鼻咽腔閉鎖訓練などが咽頭収縮筋の強化に活用される。

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注意すべきエビデンスの限界

咽頭壁の上から下への連続収縮不全に対する訓練法は現時点で存在しないとされており、訓練選択には正確な評価が必要。


咽頭収縮訓練が必要な嚥下障害のメカニズム

つまり、咽頭収縮の低下は直接的に誤嚥リスクに直結します。 歯科従事者が摂食嚥下リハビリに関わる場面では、この咽頭期の問題を評価・介入できるかが、ケアの質を大きく左右します。 高齢者では加齢に伴い咽頭収縮筋の収縮力が低下し、唾液や食物が咽頭に残留しやすくなることが報告されています。 tochigi-da.or(https://tochigi-da.or.jp/assets/files/pdf/dysphagia_manual.pdf)


咽頭後壁は、飲み込む際に収縮することで食塊を食道へ送り込むと同時に、軟口蓋と接触して食塊が鼻腔へ逆流するのを防ぐ二重の役割を果たします。 この二重機能が損なわれると、嚥下障害はより複雑な様相を呈します。 これが基本です。 rabbit-dc-chiba(https://rabbit-dc-chiba.com/dental/sesshoku)


前舌保持嚥下法(Masako法)による咽頭収縮訓練の手順

前舌保持嚥下法(Tongue-Hold Swallow:THS)は、1996年にFujiuらによって提唱された訓練法で、咽頭後壁隆起を増大させることを目的としています。 方法はシンプルです。舌の先をできるだけ前方に突き出した状態で、上下の切歯で舌の前方を軽く挟んで固定し、そのまま唾液を嚥下します。 k-dc(https://www.k-dc.net/column/728)


この体勢で嚥下することで、舌の動きが制限されるため、代償的に咽頭後壁が前方へ引き出される動きが強調されます。 繰り返すことで咽頭壁の収縮運動を改善させる効果が期待できます。 これは使えそうです。 member.jsdr.or(https://member.jsdr.or.jp/elearning3/lesson/1476/44/)


2024年の研究では、この訓練は「抵抗運動訓練(レジスタンストレーニング)」に分類され、舌の突出距離を変えることで運動負荷量の調整が可能であることが確認されています。 過負荷の原則と特異性の原則を満たす訓練として理論的に評価されており、訓練の強度を段階的に調整できる点が実臨床での応用を容易にしています。 mol.medicalonline(https://mol.medicalonline.jp/newbunken?GoodsID=cz1comdi%2F2024%2F004103%2F007&name=0134-0137j)








jsdnnm(https://www.jsdnnm.com/column/%E5%89%8D%E8%88%8C%E4%BF%9D%E6%8C%81%E5%9A%A5%E4%B8%8B%E6%B3%95%EF%BC%88201002%EF%BC%89/)


k-dc(https://www.k-dc.net/column/728)


前舌保持嚥下法の実施ポイント
項目 内容
対象 舌根部と咽頭後壁の接触不全がある患者
姿勢 椅座位が基本。頸部は自然な位置
方法 舌を突出・切歯で固定→空嚥下
回数目安 自主訓練として1日5〜10回が指導の目安
注意点 舌を強く噛んで傷つけないよう注意


患者への指導が行えれば、自宅での自主トレーニングとしても活用できます。 時間や場所を問わずに実施できる手軽さが、継続率の向上にもつながります。 jsdnnm(https://www.jsdnnm.com/column/%E5%89%8D%E8%88%8C%E4%BF%9D%E6%8C%81%E5%9A%A5%E4%B8%8B%E6%B3%95%EF%BC%88201002%EF%BC%89/)


咽頭収縮訓練に関するエビデンスの限界と正しい評価

ここが厳しいところです。 前舌保持嚥下法は有望な訓練法ですが、日本摂食嚥下リハビリテーション学会の公式資料によると、訓練効果・至適訓練量・訓練期間に関するデータはまだ十分に得られていないとされています。 歯科従事者として「効くはず」という思い込みで実施することには注意が必要です。 member.jsdr.or(https://member.jsdr.or.jp/elearning3/lesson/1476/44/)


さらに重要な点として、咽頭壁の上から下方向への連続収縮不全に対する訓練法は、現時点では存在しないことが明記されています。 収縮不全のパターンによっては、どれだけ訓練しても改善が見込めないケースがあるということです。 訓練の選択が条件です。 member.jsdr.or(https://member.jsdr.or.jp/elearning3/lesson/1476/44/)


このため、訓練の前には嚥下内視鏡検査(VE)や嚥下造影検査(VF)による客観的な評価が不可欠です。 どのパターンの収縮不全なのかを確認してから訓練方針を立てる必要があります。 咽頭冷却刺激については、短期的な咽頭通過時間の短縮効果が報告された症例もあった一方、長期的な有効性は示されていないという評価になっています。 minagawa-oushin(https://www.minagawa-oushin.com/post/%E3%80%8C%E6%91%82%E9%A3%9F%E5%9A%A5%E4%B8%8B%E9%9A%9C%E5%AE%B3%E3%81%AE%E8%A8%93%E7%B7%B4%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6%E3%80%8D-%E5%A0%B1%E5%91%8A%E3%81%A8%E9%9B%91%E6%84%9F)


日本摂食嚥下リハビリテーション学会eラーニング:鼻咽腔閉鎖・咽頭収縮・喉頭閉鎖訓練のエビデンスと手技
(咽頭収縮訓練の根拠と限界を学会公式として確認できます)


プッシング・プリング訓練と鼻咽腔閉鎖訓練の活用

咽頭収縮の強化には、前舌保持嚥下法だけでなく複数の補完的な訓練を組み合わせることが推奨されます。 そのひとつがプッシング・プリング訓練(Pushing/Pulling exercise)です。 意外ですね。


具体的な手順は以下のとおりです。 member.jsdr.or(https://member.jsdr.or.jp/elearning3/lesson/1476/44/)



  • ① 自分が座っている椅子を片手で押しながら、できるだけ澄んだ声で「アー」を5回発声する

  • ② 続いて、声帯を閉鎖させる発声を繰り返す

  • ③ 椅子を両手で下に押す動作をしながら数秒間力んで息を吐く

  • ④ さらに椅子を上に引き上げながら、数秒間力んで息を吐く

  • ⑤ 上記①〜④を1セットとして、1回約5分・毎日5〜10回繰り返す


このプッシング動作は、声門閉鎖および咽頭収縮に関与する筋群への同時収縮を促すため、嚥下時の咽頭内圧を高める効果が期待されます。 鼻咽腔閉鎖の強化にはブローイング訓練も有効で、唇・頬の動きが悪い場合や飲み込みにくさがある患者に適応となります。 tochigi-da.or(https://tochigi-da.or.jp/assets/files/pdf/dysphagia_manual.pdf)


江戸川区・新小岩の歯科:摂食嚥下訓練②間接訓練の詳細解説
(舌前方保持訓練を含む各種間接訓練の具体的な手順を確認できます)


歯科従事者が見落としがちな咽頭収縮訓練の禁忌と適応判断

咽頭収縮訓練は有益な手技ですが、すべての患者に適応できるわけではありません。 これが原則です。 特に、重度の頸椎疾患がある患者や、頭頸部がんの術後で解剖学的構造が大きく変化している症例では、通常の訓練プロトコルをそのまま適用すると、むしろ残留や逆流を悪化させるリスクがあります。


歯科医院での嚥下機能スクリーニングで見落とされやすいのが、「嚥下反射の遅延」と「咽頭収縮不全」の鑑別です。 どちらも同じ「むせ」「残留感」として主訴に現れますが、適応される訓練は異なります。 嚥下反射の遅延に対しては冷却刺激や反射促通手技が、咽頭収縮不全に対しては前舌保持嚥下法やプッシング訓練が選択されます。



  • 🔴 禁忌・要注意:重度頸椎疾患、頭頸部がん術後の構造変化症例、疼痛・炎症急性期

  • 🟡 条件付き適応:軽度〜中等度の廃用性変化、脳血管疾患後の回復期

  • 🟢 適応:舌根部・咽頭後壁接触不全が評価で確認された症例
  • jsdr.or(https://www.jsdr.or.jp/wp-content/uploads/file/doc/18-1-p55-89.pdf)


嚥下造影検査(VF)や嚥下内視鏡(VE)による評価を行い、収縮不全のパターンを特定してから訓練手技を選択することが、歯科従事者に求められる専門的対応の核心です。 評価なしに訓練を開始することは、患者への最適なケアを遠ざける可能性があります。 評価が最初の一歩です。 member.jsdr.or(https://member.jsdr.or.jp/elearning3/lesson/1476/44/)


日本摂食嚥下リハビリテーション学会:訓練法のまとめ(2014版)PDF
(各訓練法の対象・エビデンスレベル・具体的手順が網羅されており、臨床判断の根拠として活用できます)