最大咬合力測定の基準値と誤差を防ぐポイント

最大咬合力測定は口腔機能低下症の診断に欠かせません。しかしデンタルプレスケールのフィルム種類で基準値が異なり、測定誤差も生じやすいのをご存知ですか。正確な咬合力測定のための機器選定や注意点を解説します。

最大咬合力測定の基準値と測定装置

デンタルプレスケールⅡの自動クリーニング設定で基準値が150N変わります。


この記事の3ポイント
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測定機器と基準値の違い

デンタルプレスケール、Oramo、オクルーザルフォースメーターの3種類が国内で普及しており、それぞれ基準値が異なる

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測定誤差の主な原因

フィルムの種類選択ミス、咬合時間の不足、センサ位置のズレが測定値に影響を与える

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正確な測定のポイント

口腔機能低下症の診断では機器ごとの基準値を正確に把握し、測定条件を統一することが重要


最大咬合力測定に使われる3つの主要装置

デンタルプレスケールⅡは感圧シートを咬ませて10~120MPaの範囲で咬合圧を測定できるシステムです。T-スキャンはセンサセルごとの電気抵抗値を100分の1秒間隔で読み取り、咬合接触点の位置や順序も記録します。オクルーザルフォースメーターは封入液の液圧変化を半導体圧力センサで電気信号に変換し、ハンドル部の液晶に最大咬合力を表示する仕組みです。 gc(https://www.gc.dental/japan/g-zone/assets/data/catalog/DENTALPRESCALE_II.pdf)


測定時の負担は患者さんにとって最小限です。


口腔機能モニターOramo2は2種類のセンサーにより歯列全体と一歯単位の両方を測定でき、小児や開口困難な方にも対応可能です。測定時間は約1秒からと短く、リアルタイムで咬合力を表示します。 shofu.co(https://www.shofu.co.jp/product/item/medical-equipments-devices/9A73/)


口腔機能低下症診断での最大咬合力基準値

口腔機能低下症の診断基準は使用機器によって明確に異なります。デンタルプレスケールでは200N未満、デンタルプレスケールⅡでは自動クリーニング機能なしで500N未満、機能ありで350N未満が咬合力低下の基準です。 jads(https://www.jads.jp/assets/pdf/basic/r04/document-221207-1.pdf)


Oramo(口腔機能モニター)を使用する場合は375N未満が基準値として設定されています。健康な成人の平均値は男性581.3N、女性446.9Nで、375N以上あれば食品を問題なく噛めるとされます。つまり機器選定が基準値に直結するということですね。 okuda-dental(https://okuda-dental.jp/column/staff-news/11805/)


口腔機能低下症は7項目(口腔衛生状態不良、口腔乾燥、咬合力低下、舌口唇運動機能低下、低舌圧、咀嚼機能低下嚥下機能低下)のうち3項目以上該当で診断されます。咬合力検査残存歯数評価より優先されます。 yashima-shika(https://yashima-shika.com/oral-frail/)


最大咬合力測定で起こりやすい誤差とミス

デンタルプレスケールのフィルム種類による基準値の違いを見落とすミスが起こりやすいと報告されています。デンタルプレスケールとデンタルプレスケールⅢでは基準値が3種類存在し、フィルム選択を誤ると診断結果に影響します。 cir.nii.ac(https://cir.nii.ac.jp/crid/1390009404785821952)


センサの位置ズレや咬合時間の不足も測定誤差の原因です。上下顎歯列間にセンサを介在させる測定では、咬頭嵌合に近い自然な状態を保つことが重要ですが、センサの厚みにより本来の咬合状態が再現できないケースがあります。どういうことでしょうか? jssf.umin.ne(https://jssf.umin.ne.jp/news/70_meeting/conf_paper70.pdf)


最大咬合力測定における年齢・性別の影響

咬合力は年齢と性別で大きく変動します。20歳代男性では603±201~947±16N、20歳代女性では466±158~749±17Nという報告があり、若年層でも個人差が大きいことがわかります。 files.japanslht.or(https://files.japanslht.or.jp/notifications/2023/06/07/mamechishiki-05.pdf)


最大咬合力測定値を臨床に活かす視点

咬合高径の決定に最大咬合力測定法が応用されるケースがあります。Boos(1940)が提唱したこの方法では、Gnathodynamometer(咬合力測定装置)を用いて最大咬合力を発揮する顎位を調べ、換算表に従い所定の高径を減じて咬合高径を決定します。 oralstudio(https://www.oralstudio.net/dictionary/detail/2838)


最大咬合力発現時の下顎位は中心咬合位から1~2mm高い位置にあることから、義歯製作時に最大咬合力を発揮できる咬合高径を求める際の指標になります。ただし高径が少しでも高いと咬合が不安定になり、歯ぎしりや顎関節症の症状を引き起こす可能性があります。慎重な判断が必要です。 nagatadental(https://www.nagatadental.com/weblog/archives/2873)


補綴治療における咀嚼時の咬合力測定では、最後方支台歯群で平均100N、延長ポンティック群で平均50Nと有意な差が認められました。最大咬合力では最後方支台歯群320N、延長ポンティック群264Nで有意差がありました。設計による機能差が数値化できるということですね。 jssf.umin.ne(https://jssf.umin.ne.jp/common/pdf/guideline.pdf)


最大咬合力測定の精度を高める実践ポイント

測定精度を向上させるには、まず機器ごとの測定原理と基準値を正確に把握することが基本です。デンタルプレスケールⅡを使用する場合、圧力フィルタ機能の有無で基準値が200N変わるため、設定確認を測定前に必ず行います。 jads(https://www.jads.jp/assets/pdf/basic/r04/document-221207-1.pdf)


患者さんへの説明も重要な要素です。計測ボタンを押してから咬合力の最大値が表示されるまで、しっかりと咬みしめを維持してもらう必要があります。測定が短時間で終わることを事前に伝えると協力が得られやすくなります。 service.yoshida-dental.co(https://service.yoshida-dental.co.jp/ca/series/11202)


複数回測定して平均値を取る方法が推奨されます。咬合力分析システムを使えば咬合力を可視化し客観的に把握できるため、患者さん自身も結果を理解しやすくなります。訪問診療でも活用できる軽量設計の機器を選べば測定機会が増えます。 gc(https://www.gc.dental/japan/products/professional/small-instrument/dentalprescale)


記録の保管と経時的評価も忘れてはいけません。口腔機能低下症の管理では定期的な測定により改善や悪化の傾向を把握し、適切な介入タイミングを見極められます。測定条件を統一すれば比較が容易です。