咬合力検査 歯科で診る測定方法と保険点数の基準

咬合力検査は歯科診療で欠かせない機能評価ツールです。測定機器の選定から保険算定の要件、口腔機能低下症との関係まで、臨床での活用法を徹底解説します。導入コストや検査の基準値も知りたくありませんか?

咬合力検査 歯科における測定と評価

デンタルプレスケールで200N未満でも義歯なら算定できる


この記事の3ポイント要約
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咬合力測定の2つの方式

デンタルプレスケールⅡとオラモ-bfでは基準値が異なり、前者は200N未満(フィルタ機能ありで350N未満)、後者は375N未満を咬合力低下と判定します

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保険算定130点の算定要件

咬合圧検査1は口腔機能低下症の診断目的で6月に1回算定可能。有床義歯咀嚼機能検査を算定した月は別に算定できず、施設基準の届出が必須です

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機器導入の初期投資

デンタルプレスケールⅡは約42.5万円、オラモ-bfも同程度の初期費用が必要で、ランニングコストはそれぞれ1回あたり約550円~743円かかります


咬合力検査の歯科臨床での位置づけ


咬合力検査は、患者の口腔機能を客観的に評価するための重要な検査です。高齢化社会を迎え、口腔機能低下症の早期発見と適切な管理が求められる中で、咬合力測定は単なる「噛む力の数値化」を超えた臨床的意義を持つようになりました。


検査の主な目的は3つあります。第一に口腔機能低下症の診断基準の一つとして、客観的な評価指標を提供すること。第二に義歯やインプラント治療の効果判定に活用し、治療前後の機能改善を数値で示すこと。第三に患者への説明ツールとして、視覚的に理解しやすい形で口腔状態を伝えることです。


つまり診断と説明の両面で有効です。


臨床現場では、問診や視診だけでは把握しきれない機能低下を、数値として「見える化」できる点が評価されています。特に50歳以上の患者では、自覚症状がなくても咬合力が低下しているケースが少なくありません。検査を通じて患者自身が自分の口腔機能の状態を認識し、予防や改善への動機づけにつながる効果も期待されます。


保険診療においては、平成30年度改定で口腔機能低下症が新設され、令和6年度改定でさらに算定要件が明確化されました。咬合圧検査は130点を算定でき、施設基準の届出が必要です。検査実施には専用の測定機器が必要で、機器選定と適切な運用が医院経営の観点からも重要となります。


口腔機能低下症の診断フローと検査項目の詳細はジーシーの公式ページで確認できます


咬合力検査の測定機器と基準値の違い

咬合力測定には大きく分けて2つの方式があり、それぞれ測定原理と評価基準が異なります。デンタルプレスケールⅡ(GC社製)は、感圧フィルムを咬合面に挿入して約3秒間咬みしめてもらい、フィルム上の発色パターンから咬合力と咬合接触面積を解析するシステムです。口腔機能モニターOramo-bf(住友理工・ヨシダ社製)は、センサーを口腔内に挿入し、咬合時の圧力を直接計測する方式です。


基準値の違いが重要です。


デンタルプレスケールⅡでは、フィルタ機能なしで200N未満、フィルタ機能ありで350N未満を咬合力低下と判定します。一方、Oramo-bfでは375N未満が基準値です。この違いは測定原理の差によるもので、同じ患者でも使用する機器によって判定結果が変わる可能性があります。


健康な成人の平均値を見ると、男性で約581N、女性で約446Nとされています。つまり健康な人でも500N程度の咬合力があれば、日常的な食品を問題なく咀嚼できるということです。逆に375N未満になると、硬い食品の咀嚼に支障が出始め、栄養摂取の偏りや全身の筋力低下につながるリスクが高まります。


デンタルプレスケールⅡの特徴は、咬合力の分布を視覚的に表示できる点にあります。左右のバランスや各歯にかかる力の大きさが色分けされて表示されるため、患者への説明やインフォームドコンセントに効果的です。一方、Oramo-bfは測定時間が短く(1分未満)、操作が簡便で、その場で結果が表示されるため、診療の流れを止めずに検査できる利点があります。


機器選定では、測定精度だけでなく、患者への説明のしやすさ、診療効率、ランニングコストも考慮する必要があります。デンタルプレスケールⅡの消耗品コストは1回あたり約743円、センサーカバーが550円程度です。Oramo-bfもセンサーカバーのコストがかかりますが、咬合力の数値表示に特化しているため、シンプルな評価には向いています。


Oramo-bfの機能と施設基準についてはヨシダの製品ページで詳細が確認できます


咬合力検査の保険算定要件と点数

咬合圧検査の保険点数は、咬合圧検査1と咬合圧検査2がそれぞれ130点です。咬合圧検査1は、問診や口腔内所見、他の検査所見から加齢等による口腔機能の低下が疑われる患者に対し、口腔機能低下症の診断を目的として実施した場合に算定します。咬合圧検査2は、有床義歯咀嚼機能検査の対象となる患者に対して実施した場合に算定可能です。


6月に1回が限度です。


算定には施設基準の届出が必須です。歯科用咬合力計(デンタルプレスケールⅡやOramo-bf等)を保有し、咬合圧測定に係る適切な研修を修了した歯科医師が常勤していることが要件となります。届出を行っていない医院では、たとえ機器を保有していても算定できません。


重要な注意点として、咬合圧検査と有床義歯咀嚼機能検査を同月に算定することはできません。有床義歯咀嚼機能検査を算定した月は、咬合圧検査は別に算定できないというルールがあります。また、咀嚼能力検査を実施してから3月以内に咬合圧検査を行った場合も算定できないなど、他の検査との組み合わせに制限があります。


算定漏れを防ぐためには、検査実施日と次回算定可能日をカルテに明記し、レセコンの算定チェック機能を活用することが有効です。特に口腔機能低下症の管理では、舌圧検査、咀嚼能力検査、咬合圧検査など複数の検査を組み合わせるため、それぞれの算定間隔と禁忌の組み合わせを把握しておく必要があります。


診療報酬の観点から見ると、咬合圧検査130点に加えて、口腔機能低下症と診断された場合は歯科疾患管理料(月1回)と口腔機能管理料(月1回)を算定できます。65歳以上で検査基準値以下の場合は、口腔機能管理加算も算定可能です。これらを適切に組み合わせることで、患者の機能改善を支援しながら、医院の収益確保にもつながります。


厳しいところですね。


咬合圧検査の算定要件の詳細は歯科診療報酬点数表で確認できます


咬合力検査と口腔機能低下症の診断基準

口腔機能低下症の診断には7つの検査項目があり、そのうち3項目以上に該当すると診断されます。7項目とは、①口腔不潔(舌苔付着50%以上)、②口腔乾燥(粘膜湿潤度27.0未満)、③咬合力低下、④舌口唇運動機能低下(パタカのいずれか6回/秒未満)、⑤低舌圧(舌圧30kPa未満)、⑥咀嚼機能低下、⑦嚥下機能低下です。


咬合力低下の評価方法は2つあります。専用機器による測定では、デンタルプレスケールⅡで200N未満(フィルタ機能ありで350N未満)、Oramo-bfで375N未満が基準です。もう一つの方法として、残存歯数20本未満を咬合力低下の代替指標とすることもできます。ただし機器測定の方が精度が高く、義歯装着者でも評価可能なため、臨床的には推奨されます。


3項目以上が条件です。


診断の流れは、まず問診や口腔内視診で機能低下を疑う所見がないかを確認します。疑われる場合は、該当しそうな項目の精密検査を実施します。例えば、硬い食品が食べにくいという訴えがあれば咬合力検査や咀嚼能力検査を、飲み込みにくさがあれば嚥下機能検査を優先します。


検査結果が基準値以下であった項目をカウントし、3項目以上で口腔機能低下症と診断します。診断後は歯科疾患管理料で継続的に管理し、必要に応じて口腔機能訓練(歯科口腔リハビリテーション料)や個別指導(歯科衛生実地指導料の口腔機能指導加算)を実施します。


無歯顎でも診断可能です。


注意すべき点は、無歯顎患者でも口腔機能低下症の診断が可能であることです。義歯を装着した状態で咬合力測定を行い、他の項目と合わせて評価します。また、50歳以上が診断の主な対象ですが、全身疾患や薬剤の影響で若年でも口腔機能が低下しているケースもあり、年齢だけで判断しないことが重要です。


診断書や管理計画書には、検査結果の数値と該当項目、今後の管理方針を明記します。患者本人だけでなく、家族や介護関係者とも情報共有し、生活習慣の改善や訓練の継続につなげることが、機能回復の鍵となります。


口腔機能低下症の診断基準と検査方法の詳細は日本老年歯学会の資料で確認できます


咬合力検査の機器導入コストと運用の実際

咬合力測定機器の導入には、初期費用とランニングコストの両方を検討する必要があります。デンタルプレスケールⅡのスターターキットは約42.5万円、Oramo-bfも同程度の初期投資が必要です。これに加えて、施設基準の届出手続きや、スタッフへの操作研修の時間とコストも考慮しなければなりません。


ランニングコストは機器によって異なります。デンタルプレスケールⅡでは、感圧フィルムが1回約743円、センサーカバーが約550円かかります。1日5名の検査を行うと、月間で約6.5万円の消耗品費となります。一方、咬合圧検査の保険点数は130点(約1,300円)ですから、保険算定できれば収支は黒字化します。


月間5名なら黒字化可能です。


機器選定では、診療スタイルと患者層を考慮することが重要です。補綴治療や義歯調整が多い医院では、咬合分布を視覚化できるデンタルプレスケールⅡが治療計画の立案やインフォームドコンセントに役立ちます。一方、口腔機能低下症の管理を中心に展開する医院では、測定が簡便で短時間で結果が出るOramoシリーズの方が診療効率を高められます。


操作の習熟には一定期間が必要です。特にデンタルプレスケールⅡは、フィルムの挿入位置や咬合時間の指示、解析ソフトの操作など、正確な測定値を得るためのコツがあります。導入当初は歯科医師が測定を担当し、手順が確立してから歯科衛生士に委譲する流れが望ましいでしょう。


患者への説明方法も重要です。「噛む力を測定します」という簡潔な説明だけでなく、「硬い食品が食べにくくないか確認するための検査です」と目的を伝えると、患者の理解と協力が得やすくなります。測定結果は、数値だけでなく「健康な方の平均は〇〇Nですから、現在は平均より少し低めです」といった比較を添えると、現状認識が促されます。


定期的な機器メンテナンスも忘れてはなりません。センサーの感度チェックや校正、ソフトウェアのアップデートなど、メーカー推奨の保守を行うことで、測定精度を維持できます。機器トラブル時の代替手段として、残存歯数による代替評価も併用できるよう、スタッフ間で手順を共有しておくと安心です。


導入効果を最大化するには、口腔機能低下症の管理全体の中に咬合力検査を位置づけることが大切です。舌圧検査や咀嚼能力検査と組み合わせ、定期的にモニタリングすることで、患者の機能変化を追跡し、訓練効果を評価できます。検査データの蓄積は、医院の臨床研究や症例報告にも活用でき、専門性のアピールにもつながります。


使えそうです。


デンタルプレスケールⅡの価格と仕様の詳細はフォルディネットで確認できます




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