咀嚼能力検査と咬合圧検査を同じ月に両方算定すると、レセプトが自動的に査定されます。
咀嚼機能検査は、患者が食べ物をどの程度効率よく噛み砕けるかを客観的な数値で評価するための歯科検査です。 大きく分けると「有床義歯咀嚼機能検査(D011)」と「咀嚼能力検査(D011-2)」の2種類が保険収載されており、対象患者・算定目的が明確に異なります。 臨床現場では混同されやすいですが、それぞれ算定要件・点数・制限が別々に定められています。 k-dc(https://www.k-dc.net/column/515)
有床義歯咀嚼機能検査(D011)は、新製有床義歯装着患者を対象とし、下顎運動測定と咀嚼能力測定を併せる場合は480点、咀嚼能力測定のみの場合は100点です。 一方、口腔機能低下症の管理に使う咀嚼能力検査1(D011-2)は140点で、3か月に1回算定できます。 gcdental.co(https://www.gcdental.co.jp/product/oralfunction/flow.html)
つまり用途と対象患者で検査の種類が決まるということですね。
歯科従事者が最初に整理すべきなのは、各検査の点数と算定上限回数です。 下表にまとめました。 gcdental.co(https://www.gcdental.co.jp/product/oralfunction/flow.html)
| 検査名 | 点数 | 算定頻度の上限 | 主な対象 |
|---|---|---|---|
| 有床義歯咀嚼機能検査1(下顎運動測定+咀嚼能力測定) | 480点 | 新義歯装着前は1回、装着後6か月以内に月1回 | 新製有床義歯患者 |
| 有床義歯咀嚼機能検査2(咀嚼能力測定のみ) | 100点 | D011-1算定月は不可 | 同上 |
| 咀嚼能力検査1(D011-2) | 140点 | 3か月に1回 | 口腔機能管理中の患者 |
| 咀嚼能力検査2(D011-2) | 140点 | 手術前1回・手術後6か月に1回 | 顎変形症手術患者 |
| 咬合圧検査1(D011-3) | 130点 | 3か月に1回 | 口腔機能管理中の患者 |
| 舌圧検査 | 140点 | 3か月に1回 | 口腔機能管理中の患者 |
注意が必要なのは算定の組み合わせ制限です。 咀嚼能力検査1を算定した月から6か月以内は、咬合圧検査1を算定できません。逆に咬合圧検査1を算定した月から6か月以内も、咀嚼能力検査1は算定できません。 これは同月算定の可否ではなく、「6か月以内」という長期制限です。点数的には同時に取りたい場合でも、制度上は片方しか選べないということです。 showa-d-dousou(https://www.showa-d-dousou.jp/infomation/wp-content/uploads/2019/04/2019042203.pdf)
施設基準への適合と地方厚生局への届出が条件です。 届出が未完了の医院で算定すると、保険請求の対象外となるため請求前に必ず確認してください。 shien.co(https://www.shien.co.jp/media/sample/s3/BK07111.pdf)
咀嚼能力検査1で現在最も広く使われている測定機器が、GCのグルコセンサーGS-ⅡNとグルコラムの組み合わせです。 グルコラム(グルコース含有グミ)を20秒間咀嚼し、得られたろ液中のグルコース濃度をセンサーで測定することで、咀嚼効率を数値化します。 測定結果は約6秒で表示され、判定基準は100mg/dL未満が「咀嚼機能低下」とされています。 gerodontology(https://www.gerodontology.jp/committee/file/newspaper_201901.pdf)
手順の要点は以下のとおりです。 gc(https://www.gc.dental/japan/g-zone/assets/data/catalog/GULCO_SENSOR_GS_IIN.pdf)
>グルコラムを口に含み、主咀嚼側で20秒間咀嚼する(唾液は飲み込まない)
>コップの水を口に含んでろ過メッシュに吐き出す(全量は吐き出さない)
>ろ過メッシュをコップから外し、ろ液をディスポーザブルカップに移す
>グルコセンサーでグルコース濃度を測定し、結果を記録する
これは使えそうです。
患者への説明でよく混乱するのが「唾液を飲み込まない」という点で、自然な嚥下反射が起きやすいため、事前に声かけをしておくと測定精度が上がります。 また、測定値は患者の口腔乾燥状態や残存歯数にも影響を受けるため、同日に口腔湿潤度の確認を合わせて実施している医院も増えています。 hodanren.doc-net.or(https://hodanren.doc-net.or.jp/info/news/2022-10-15-4/)
参考:グルコセンサーGS-ⅡNの操作手順・機器仕様(GC公式PDF)
https://www.gc.dental/japan/g-zone/assets/data/catalog/GULCO_SENSOR_GS_IIN.pdf
口腔機能低下症の診断は、7つの評価項目のうち3項目以上に該当することが条件です。 7項目とは①口腔衛生状態不良、②口腔乾燥、③咬合力低下、④舌口唇運動機能低下、⑤低舌圧、⑥咀嚼機能低下、⑦嚥下機能低下です。 hodanren.doc-net.or(https://hodanren.doc-net.or.jp/info/news/2022-10-15-4/)
重要なのは「③咬合力低下(咬合圧検査)、⑤低舌圧(舌圧検査)、⑥咀嚼機能低下のいずれか1つは必ず該当していること」という条件があることです。 つまり、3項目以上でも咀嚼・咬合・舌圧がゼロなら口腔機能低下症と診断できません。咀嚼機能検査が診断の「鍵」になるということです。 hodanren.doc-net.or(https://hodanren.doc-net.or.jp/info/news/2022-10-15-4/)
令和6年度診療報酬改定では、65歳以上の患者で咀嚼機能検査・咬合圧検査・舌圧検査のいずれかが基準値以下の場合に「口腔機能管理加算」を別途算定できるようになりました。 この加算は歯科疾患管理料(歯管)に上乗せされるもので、管理の実績を積み重ねることで算定機会が広がります。 mhlw.go(https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001251542.pdf)
参考:令和6年度診療報酬改定の概要【歯科】(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001251542.pdf
参考:口腔機能低下症に関する基本的な考え方(日本歯科医師会)
https://www.jads.jp/assets/pdf/basic/r06/document-240329.pdf
多くの歯科従事者が気づいていないのが、有床義歯咀嚼機能検査(D011)と口腔機能低下症用の咀嚼能力検査(D011-2)を「兼用」できるルールです。 具体的には、口腔機能低下症が疑われる患者に有床義歯等の新製を行う場合で、有床義歯咀嚼機能検査として咀嚼能力測定または咬合圧測定を実施・算定した場合、その結果を口腔機能低下症の検査結果としてみなすことができます。 gcdental.co(https://www.gcdental.co.jp/product/oralfunction/flow.html)
これは二重に検査しなくてよいということですね。
ただし、この兼用ルールを適用する場合でも、D011を算定した月はD011-2を別に算定できません。 「検査結果の流用は可能だが、点数の二重算定は不可」というのが原則です。算定漏れと過剰算定の両方を防ぐため、電子カルテ上でのフラグ管理や算定チェックリストの整備が実務上は有効です。 saka1029.github(https://saka1029.github.io/s/04/s/D011-2.html)
口腔機能低下症の管理を導入している医院では、咀嚼能力検査1(140点)+舌圧検査(140点)+口腔機能管理料(100点)+歯科口腔リハビリテーション料3×2回の組み合わせが標準的な月次算定モデルになっています。 この組み合わせを3か月サイクルで回すことで、継続的な口腔機能管理と安定した算定実績の両立が可能です。 gcdental.co(https://www.gcdental.co.jp/product/oralfunction/flow.html)
参考:口腔機能低下症の診断・保険算定・検査・訓練方法(GC公式サイト)
https://www.gcdental.co.jp/product/oralfunction/flow.html
参考:算定の疑義解釈と注意事項(歯科弁護士.com)
https://xn--zqs94lz4l2ooqzu.com/shika-hoken54.html