かかりつけ歯科医の一覧を活用し連携と集患を強化する方法

かかりつけ歯科医の一覧とは何か、どう探してどう活用すればいいのか。口管強や日歯検索サイトを使った連携・集患の強化策まで、歯科従事者が知っておくべき情報を解説します。

かかりつけ歯科医の一覧を活用する方法と連携の仕組み

口管強を届け出ていない歯科医院は、SPTを3か月に1回しか算定できず、届出医院の3倍の間隔が開いてしまいます。


この記事でわかること
🗂️
かかりつけ歯科医の一覧とは何か

日本歯科医師会や地方厚生局が公開する歯科医院検索・届出一覧の種類と違いを整理します。

📋
口管強の届出で変わる算定と収益

2024年改定で口管強に移行した制度の要件・加算点数・メリットを数字で解説します。

🤝
一覧を地域連携・集患にどう活かすか

一覧サイトへの登録・活用が患者獲得と地域からの信頼向上につながる具体的な方法を紹介します。


かかりつけ歯科医の一覧が示す「公的データベース」の全体像


「かかりつけ歯科医の一覧」という言葉を聞いたとき、多くの歯科従事者は「患者さんが歯医者を探すためのサイト」とイメージするかもしれません。しかし実際には、かかりつけ歯科医に関連する一覧は複数の種類が存在し、それぞれ用途と運営主体が異なります。一覧を正確に把握することが、活用の第一歩です。


まず、日本歯科医師会(日歯)が運営する「全国の歯医者さん検索」は、日歯会員の歯科医院を地域・条件別に検索できる最もメジャーなデータベースです。都道府県・市区町村単位で絞り込めるほか、専門性や対応可能な治療内容も掲載できます。ここに登録されることで、かかりつけ先を探している一般患者の目に触れる機会が生まれます。


次に、地方厚生局が公開する「届出受理医療機関一覧」があります。これは、口管強(口腔管理体制強化加算)や歯援診(在宅療養支援歯科診療所)など、施設基準を届け出た歯科医院を都道府県ごとにリストアップしたPDF形式のファイルです。患者向けというより、行政・医療機関間の確認用として機能しています。


さらに、特定非営利活動法人歯科医療情報推進機構(iDi)が運営する「歯初診・外感染・外安全・歯援診・口管強 届出済歯科医院検索」も存在します。こちらはiDi会員歯科医院を対象とした第三者評価型の一覧で、施設基準の種類から都道府県別に絞り込める設計になっています。一般患者にも歯科従事者にも参照されます。


これら一覧は、目的が異なります。


| 一覧の種類 | 運営主体 | 主な用途 |
|---|---|---|
| 全国の歯医者さん検索 | 日本歯科医師会 | 患者の歯科医院選び |
| 届出受理医療機関一覧 | 各地方厚生局 | 施設基準の届出確認 |
| iDi届出済歯科医院検索 | 歯科医療情報推進機構 | 第三者評価・患者・医院間連携 |
| 都道府県歯科医師会 | 各都道府県歯科医師会 | 地域医療連携・患者紹介 |


つまり、「かかりつけ歯科医の一覧」は一つではないということです。自院がどの一覧に載っているかを把握しておくことが重要です。


参考:日本歯科医師会「全国の歯医者さん検索」について
日本歯科医師会「全国の歯医者さん検索」 - 地域・条件から歯科医院を探せる公式データベース


参考:iDi「届出済歯科医院検索」 - 口管強・歯援診など施設基準届出医院を都道府県別に検索
歯初診・外感染・外安全・歯援診・口管強 届出済歯科医院検索 | 歯科医療情報推進機構(iDi)


かかりつけ歯科医として一覧に掲載されるための口管強の施設基準

口管強の届出があるかどうかは、患者向け一覧にも表示されるようになってきており、医院の「かかりつけ歯科医としての信頼性」を証明する重要な指標になっています。届出は条件を満たせばできる制度です。


2024年(令和6年)6月の診療報酬改定により、「かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所(か強診)」は「口腔管理体制強化加算(口管強)」へと制度が改変されました。名称変更だけでなく、口腔機能管理に関する要件が追加された点が大きなポイントです。


口管強の主な施設基準は以下の通りです。


- (1)人員要件:歯科医師が複数名、または歯科医師と歯科衛生士がそれぞれ1名以上配置されていること
- (2)診療実績(過去1年間)。
- 歯周病安定期治療(SPT)または歯周病重症化予防治療を合わせて30回以上算定
- エナメル質初期う蝕管理料または根面う蝕管理料を合わせて12回以上算定
- (3)口腔機能管理の実績:小児口腔機能管理料・口腔機能管理料などを合わせて12回以上算定
- (4)訪問診療の実績または連携体制:歯科訪問診療を年5回以上算定、または連携する他の医療機関への依頼が5回以上
- (5)情報連携の実績:診療情報提供料(Ⅰ)などを合わせて5回以上算定
- (6)研修修了:重症化予防・高齢者対応・緊急時対応の研修を修了した常勤歯科医師が1名以上
- (7)地域連携活動:居宅療養管理指導・地域ケア会議・多職種連携会議などのうち3つ以上に該当


特に注目すべきは(4)の訪問診療要件です。以前の「か強診」では自院での実施が必要でしたが、口管強では連携する他医院への依頼が5回以上あれば要件を満たせるようになりました。外来診療に特化した医院でも届出がしやすくなっています。


届出は所属する地方厚生局に書類を提出するだけです。届出自体は無料で行えます。研修修了証が必要になる場合があり、各地方厚生局のウェブサイトから最新の様式を確認しましょう。


参考:口管強の施設基準・算定要件を詳しく解説(IOCiL)
「口腔管理体制強化加算(口管強)」の特徴と活用法 - IOCiL(イオシル)


参考:2024年歯科診療報酬改定の全体像と口管強・か強診の変更点
【か強診・口管強とは?】2024(令和6)年度の歯科診療報酬改定を解説! - DentalWave


かかりつけ歯科医の一覧に載ると算定点数がどう変わるか

口管強の届出をした歯科医院とそうでない歯科医院では、同じ処置をしても受け取れる診療報酬に明確な差があります。具体的な数字で見てみましょう。


まず、歯周病安定期治療(SPT)を例に挙げます。届出なしの医院は3か月に1回しか算定できませんが、口管強届出医院は1か月に1回算定できます。算定間隔が3倍に短縮されると、患者1人あたりの管理機会が増え、継続管理の質も上がります。加算点数は20歯以上の患者で+120点となり、点数単体でもメリットがあります。


次に、エナメル質初期う蝕管理料・根面う蝕管理料の場合は、基本点数30点に加えて+48点の加算が可能です。機械的歯面清掃処置(PMTC相当)も、届出なしでは2か月に1回ですが、届出ありでは1か月に1回算定できます。


| 算定項目 | 口管強あり | 口管強なし |
|---|---|---|
| 歯周病安定期治療(20歯以上) | 350点+120点 | 350点のみ |
| エナメル質初期う蝕管理料 | 30点+48点 | 30点のみ |
| 根面う蝕管理料 | 30点+48点 | 30点のみ |
| 小児口腔機能管理料 | 60点+50点 | 60点のみ |
| 口腔機能管理料 | 60点+50点 | 60点のみ |
| 歯科疾患管理料 長期管理加算 | +120点 | +100点 |
| 歯科訪問診療移行加算 | +150点 | +100点 |


これは使えそうです。


令和6年8月時点のデータでは、口管強の届出歯科医院は全国で14,498件(令和4年11,795件→令和5年12,736件→令和6年14,498件)と増加し続けています。対して全国の歯科医院は約66,800件(2024年厚生労働省統計)ですから、届出率はまだ全体の約22%にとどまっています。言い換えれば、約8割の歯科医院はまだ届け出ていないということです。


届出医院が増加しているという事実は、かかりつけ歯科医としての機能を評価する流れが加速していることを示しています。一覧掲載=患者からの信頼獲得という構図が、今後さらに明確になっていく見通しです。


かかりつけ歯科医の一覧サイトを使った地域連携の実践的な方法

かかりつけ歯科医の一覧は、「掲載されるもの」だけでなく「検索して活用するもの」でもあります。地域の歯科医療連携を強化するための実践的な使い方を見ていきましょう。


まず、患者を専門医に紹介するときに活用する方法です。自院の専門外の処置(例:矯正・小児・口腔外科・歯周病専門)が必要になった際、患者さんに紹介先を提案する場面があります。このとき、日歯の「全国の歯医者さん検索」や日本歯周病学会日本矯正歯科学会など専門学会の認定医一覧を参照すれば、患者の住所に近く、認定医のいる医院を具体的に案内できます。紹介状(診療情報提供書)の送り先を調べるためにも一覧は有効です。


次に、専門医から逆紹介を受ける「かかりつけ医」としての機能です。大学病院や専門クリニックが治療を終えた患者さんを「日常管理はかかりつけ歯科医にお願いしたい」と考えたとき、紹介先として名前が挙がる医院になることが重要です。そのためには、日歯の検索サイトや地区歯科医師会の名簿に情報を正確に登録しておくことが最低限必要です。


また、医科歯科連携の場面でも一覧の活用価値があります。かかりつけ歯科医がいる人の割合は67%(日本歯科医師会・平成28年調査)であり、残り33%には「かかりつけがいない」患者が含まれます。地域の内科・外科・介護施設のスタッフが「口腔管理をしてくれる歯科医院を探している」ときに、一覧から協力歯科医院として見つけてもらえる仕組みを作ることが集患につながります。地域包括ケアシステムへの参加がカギです。


さらに在宅医療との連携という視点があります。「歯援診(在宅療養支援歯科診療所)」の届出をすることで、地域の在宅医療コーディネーターのリストにも掲載されます。令和6年時点で全国9,042件(令和4年:8,726件)の歯援診が届け出ており、訪問歯科の需要が拡大する超高齢社会においてますます存在感が高まる領域です。


一覧への登録は1つではありません。複数の検索データベースに正確な情報を掲載しておくことが、地域連携の土台になります。


参考:中医協データから見る施設基準届出状況の推移(口管強・歯援診件数の変化)
中医協のデータから見る!施設基準の届出状況の推移 - IOCiL(イオシル)


かかりつけ歯科医の一覧への登録・情報更新で見落としがちな注意点【独自視点】

一覧サイトへの登録については「一度やれば終わり」と思われがちです。しかし、これが大きな落とし穴になっています。情報の陳腐化・未更新が患者の信頼を損ない、地域連携の機会を逃す原因になることはあまり知られていません。


具体的にどのような情報が古くなりやすいかを整理します。まず診療科目・専門性の変化です。歯科衛生士を採用して予防歯科に力を入れるようになった、訪問診療を始めたといった変化は、一覧への反映が遅れがちです。次に、施設基準の変更です。先述の通り、か強診から口管強への移行(2024年6月)に伴い再届出が必要だったにもかかわらず、2025年5月末の経過措置期限までに再届出をしていない歯科医院が一定数あることが指摘されています。届出が未更新のままでは口管強として算定できなくなるだけでなく、一覧にも「届出あり」として掲載されない可能性があります。


また、日歯の「全国の歯医者さん検索」は日歯会員専用ページからのみ情報更新が可能です。会員でなければ掲載されません。これは意外に見落とされているポイントです。地方の歯科医師会の名簿や検索ページも、各都道府県歯科医師会への問い合わせが必要な場合があります。


一覧掲載の管理で意識したい確認ポイントをまとめます。


- ✅ 日歯会員専用ページで医院情報・診療時間・専門性を最新化しているか
- ✅ 口管強・歯援診の届出が有効期間内か(経過措置の期限を確認)
- ✅ iDiや地区歯科医師会の名簿に電話番号・住所の変更が反映されているか
- ✅ 地方厚生局の届出受理一覧に自院が掲載されているか確認したか
- ✅ Googleビジネスプロフィールなどのオンライン情報と一覧情報に矛盾がないか


情報の一貫性が信頼性につながります。定期的な棚卸しが必要です。


かかりつけ歯科医の一覧は「掲載された瞬間」ではなく「掲載され続けること」に意味があります。半年に一度、自院の掲載情報を見直す運用ルールを設けることをおすすめします。


参考:厚生労働省が提供する歯科医師資格確認検索(医師・歯科医師の資格照会が可能)
医師等資格確認検索 - 厚生労働省 | 歯科医師の資格確認や届出状況の確認に活用


参考:日本歯科医師会のかかりつけ歯科医の考え方と役割(公式資料)
かかりつけ歯科医について(日本歯科医師会の考え方)- 役割・機能の公式定義を確認できる






歯界展望別冊 かかりつけ歯科医師のための訪問歯科診療のヒント 2018年 12月号 [雑誌]