口腔ケアをしなかった患者は、した患者より入院費が139万円多くかかります。 www5.famille.ne(http://www5.famille.ne.jp/~ekimae/sub7-345-6.html)
食道がんの標準術式では、食道を広範囲に切除したあと、胃を細長い管状(胃管)に整形し、頸部まで引き上げて残った食道と吻合します。 これは「胃管再建」と呼ばれ、日本では最もよく行われる再建方法です。 keiyu-hospital(https://www.keiyu-hospital.com/departments/ippangeka-68812-32721/)
胃を管状に整形するとその貯留機能はほぼ失われます。 食べ物が短時間で小腸へ流れ込むため、めまい・動悸・発汗を伴うダンピング症候群が起きやすくなります。 つまり術後の患者は、胃全摘後と同じ食生活上の注意が必要です。 hosp.tohoku.ac(https://www.hosp.tohoku.ac.jp/pc/img/tyuuou/NST_publication53.pdf)
最も頻度の高い合併症は縫合不全で、10〜15%の症例に発生します。 縫合不全が起きると発熱・疼痛・消化液漏れが生じ、治療が長期化します。 口腔内細菌が術野に波及しないよう、術前からの口腔管理が外科チームから強く求められています。 okayamasaiseikai.or(https://www.okayamasaiseikai.or.jp/column/cancer-and-oral-care/)
食道切除・胃管再建術の術後合併症には、縫合不全・呼吸器合併症・反回神経麻痺・通過障害・乳び胸などがあります。 このうち「呼吸器合併症(誤嚥性肺炎)」と「逆流による口腔内環境悪化」の2つは、歯科従事者が直接介入できる問題です。 これが歯科と外科をつなぐ重要な接点になります。 kango-roo(https://www.kango-roo.com/learning/8443/)
誤嚥性肺炎のリスクについて整理します。 胃管再建後は食べ物が胸腔側の胃管に貯留し、臥位になると逆流・誤嚥が起きやすくなります。 口腔内細菌が多い状態でこれが起きると、重篤な肺炎に至る危険があります。 ringe(https://www.ringe.jp/civic/20190527/p09)
大阪警察病院の調査では、口腔ケアを実施した食道がん手術患者は、実施しなかった患者と比べて入院期間が4割(約22日)短く、医療費は3割(約139万円)安く済みました。 驚きですね。 歯科の介入がこれだけの経済的・身体的メリットに直結しています。 www5.famille.ne(http://www5.famille.ne.jp/~ekimae/sub7-345-6.html)
反回神経麻痺が起きると声がかすれ、嚥下機能が落ちます。 そうなると口腔内の自浄作用も低下するため、う蝕・歯周病リスクが跳ね上がります。 術後の定期的な口腔チェックが条件です。 p.ono-oncology(https://p.ono-oncology.jp/cancers/ec/05/03_complication/01.html)
周術期口腔機能管理は保険適用があり、外科医から依頼を受けた歯科がスムーズに介入できる体制が整っています。 通常1〜2回の歯科受診で基本的な処置が完了し、ケアのみであれば自己負担は3,000円程度です。 費用が少ない割に効果が大きいわけです。 wakayama-med.jrc.or(https://www.wakayama-med.jrc.or.jp/department/shikakokuu/qnk2b3000000aryc-att/shujyutukikokukinougaido.pdf)
術前に実施すべき主な処置は以下のとおりです。 wakayama-med.jrc.or(https://www.wakayama-med.jrc.or.jp/department/shikakokuu/qnk2b3000000aryc-att/shujyutukikokukinougaido.pdf)
兵庫医科大学の研究グループでは、術前に動揺歯の抜歯や大きなう蝕の処置を行い口腔環境を整えた患者群で、術後の肺炎発症率が有意に低下したことが報告されています。 これは実際にやってそうで、やれていないケアの筆頭です。 www5.famille.ne(http://www5.famille.ne.jp/~ekimae/sub7-345-6.html)
術前処置は手術の1〜2週前までに完了させるのが原則です。 処置直後の口腔内炎症が手術に影響しないよう、タイミングの調整が必要です。 外科主治医と連絡を取り合いながら進める必要があります。 wakayama-med.jrc.or(https://www.wakayama-med.jrc.or.jp/department/shikakokuu/qnk2b3000000aryc-att/shujyutukikokukinougaido.pdf)
術後の絶食期間中は唾液分泌が減少し、口腔内で細菌が急増します。 歯垢・舌苔が蓄積しやすくなるため、術後からの積極的な口腔ケア介入が回復を早めます。 口腔内を清潔に保つことが基本です。 okayamasaiseikai.or(https://www.okayamasaiseikai.or.jp/column/cancer-and-oral-care/)
術後に歯科が特に注意すべきポイントをまとめます。
| リスク | 原因 | 歯科での対応 |
|---|---|---|
| 酸蝕症 | 胃酸・胆汁の逆流 | フッ素塗布、逆流状況の問診、食後のすすぎ指導 |
| 誤嚥性肺炎 | 口腔内細菌+嚥下機能低下 | 定期PMTC、粘膜ケア、舌苔除去 |
| う蝕・歯周病増悪 | 自浄作用低下・口腔乾燥 | 保湿ジェル使用、定期検診頻度の増加 |
| 嚥下障害 | 反回神経麻痺・吻合部狭窄 | 言語聴覚士との連携、義歯調整 |
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食後1時間は上体を起こした姿勢を保つよう患者に指導することが推奨されています。 歯科受診のタイミングについても「食後すぐの来院は逆流リスクがある」と知っておくと、アポイント調整に役立ちます。 意外と見落とされやすい点です。 ringe(https://www.ringe.jp/civic/20190527/p09)
胃管再建後の患者が長期的に抱えるリスクとして、「胃酸逆流×口腔乾燥」の複合が見落とされがちです。 胃管は貯留機能がなく、常に逆流しやすい状態にある一方、術後の放射線治療などで唾液腺が障害されると口腔乾燥が重なります。 これが条件です。 hosp.tohoku.ac(https://www.hosp.tohoku.ac.jp/pc/img/tyuuou/NST_publication53.pdf)
唾液は本来、逆流した酸を中和・洗浄する働きを持っています。 口腔乾燥でその緩衝能が低下すると、酸蝕症の進行が加速します。 つまり逆流+乾燥の二重苦が起きやすい状況です。
この状況に対して歯科が取れる対策は以下のとおりです。
また、NSAIDs(非ステロイド系抗炎症薬)を長期使用すると再建胃管の血流が悪化し、潰瘍・穿孔リスクが高まります。 歯科治療後の鎮痛薬処方においても、患者の術後状態を把握して薬剤選択をすることが求められます。 アセトアミノフェン系への切り替えが安全です。 ringe(https://www.ringe.jp/civic/20190527/p09)
食道がんと口腔ケアの関係について、実際の研究内容を詳しく確認できます。
周術期口腔機能管理の保険対応と手順については、こちらで詳しく解説されています。
歯科医院での周術期口腔機能管理について(和歌山医療センター)
食道がん術後の具体的な合併症と口腔の関係については、以下も参考になります。