歯科衛生士が咬合法撮影の準備をするだけで違法行為になります。
咬合法撮影は口内法エックス線撮影の一種として、標準的なデンタル撮影(31mm×41mm)よりも大きなサイズの咬合用フィルム(57mm×76mm)を使用する撮影法です。このフィルムサイズは一般的なはがきの短辺(約10cm)よりやや小さい程度の大きさに相当し、患者さんに上下の歯列でフィルムを軽く咬んでもらうことで固定します。
通常のデンタル撮影では1枚のフィルムで3~4本程度の歯しか撮影できませんが、咬合法では前歯部から小臼歯部までの広範囲、あるいは顎骨全体を一度に観察できます。
つまり広範囲の診断が可能です。
この撮影法は二等分法や平行法とは異なり、歯の長軸方向や顎骨の軸方向から観察する特殊な投影方向を持っています。特に上顎では咬合二等分法として前歯部から小臼歯部の広範囲病変の検査に、下顎では歯軸方向投影として骨折や唾石、病巣の頬舌的広がりの検査に適しています。
デジタル化が進んだ現在でも、イメージングプレート(IP)を用いた撮影システムでは咬合法専用のサイズが用意されており、フィルム時代と同様の撮影が可能です。
撮影原理は変わりません。
一部のデジタルシステムでは標準サイズのIPを2枚連ねて撮影する方式も開発されており、デジタル技術の進歩とともに咬合法撮影の選択肢も広がっています。ただしIPを2枚使用する場合は画像のつなぎ目に注意が必要で、診断に影響を及ぼさないか確認する必要があります。
咬合法撮影は通常のデンタル撮影では十分に観察できない病変に対して特に有効です。具体的な適応症として、嚢胞性病変、唾石、過剰歯、埋伏歯などの病巣が広く多数歯にまたがる場合や顎骨に及ぶケースが挙げられます。
嚢胞性病変では、その病変の前後的な広がりだけでなく頬舌的な広がりも評価できるため、外科的処置の計画立案に役立ちます。特に上顎の正中部に発生する正中過剰歯の診断では、咬合法撮影によって過剰歯の位置関係を立体的に把握できます。結果として抜歯の難易度判断が可能になります。
唾石症の診断においても咬合法は重要な役割を果たしています。顎下腺の唾石では後方斜位投影(顎下腺付近の唾石専用の撮影法)が用いられ、パノラマエックス線撮影では見逃されやすい小さな唾石も検出できることがあります。
骨折の診断では歯槽骨骨折などの限られた症例において、骨折の唇舌的位置関係を把握しやすいという特徴があります。
ただし適用範囲は限定的です。
また不透過物が骨内にあるのか軟組織内にあるのかの鑑別にも咬合法撮影は有用で、異物の位置特定に貢献します。CTやCBCTが普及した現在でも、簡便に広範囲を観察できる咬合法撮影の診断価値は維持されており、初期診断やスクリーニング検査として活用されています。
咬合法撮影では上顎と下顎で撮影角度や目的が大きく異なります。上顎の咬合二等分法では、患者の頭部を固定する際に鼻翼と耳珠を結んだ線(カンペル平面)を水平にすることが基本です。
エックス線の中心線は咬合平面に対してやや角度をつけて入射させますが、具体的な角度は撮影部位や目的によって調整します。前歯部から小臼歯部の広範囲を撮影する場合は、通常の二等分法の原理を応用した角度設定が必要です。
角度設定が重要になります。
下顎の歯軸方向投影では、咬合平面を床面に対して水平に保ちます。エックス線の中心線を咬合フィルムに対してほぼ垂直に入射させることで、下顎骨を上方から見下ろすような画像が得られます。この投影方向により、下顎骨の頬舌的な形態や病変の広がりを評価できます。
撮影時の患者の頭部位置づけは撮影成功の鍵となります。頭部がヘッドレストから離れると撮影装置の位置づけに失敗しやすくなるため、患者に頭部をしっかりとヘッドレストに固定してもらうよう指導することが大切です。
咬合フィルムの位置づけでは、フィルムをできるだけ口腔の奥に挿入し、軽く咬合させます。強く咬むとフィルムが曲がってしまい画像の歪みの原因となるため、「軽く咬む」という指示が適切です。
注意が必要です。
嘔吐反射が強い患者では咬合フィルムの挿入自体が困難な場合があります。そのような場合は撮影前に深呼吸を促したり、舌に塩を一摘み乗せるなどの反射軽減策を取ることで、撮影成功率を高められます。どうしても困難な場合は、パノラマ断層撮影やCBCTなど別の撮影法を検討する必要があります。
レントゲン撮影は診療放射線技師法第21条により、医師・歯科医師・診療放射線技師のみが実施できる行為と定められています。つまり歯科衛生士や歯科助手が照射ボタンを押す行為は明確な違法行為です。
実際の歯科医院では、歯科衛生士がフィルムやイメージングプレートの位置づけを補助することはありますが、エックス線を照射する行為(照射ボタンを押すこと)は必ず歯科医師が行わなければなりません。
この区別が重要です。
過去には歯科衛生士がレントゲン撮影を行ったことで診療放射線技師法違反として処罰された事例があり、当事者だけでなく指示をした歯科医師も処罰の対象となっています。医院経営者としても法令遵守の観点から、スタッフへの教育を徹底する必要があります。
咬合法撮影の準備作業として、フィルムやIPの用意、患者への説明、頭部の位置づけ補助などは歯科助手や歯科衛生士も関与できますが、照射行為の境界線を明確に理解しておくことが求められます。
理解が必要です。
万が一、法令違反が発覚した場合は行政処分だけでなく刑事罰の対象となる可能性もあり、医院の信用問題にも発展します。日常業務の中で「この行為は誰が行うべきか」を常に意識することが、医療安全と法令遵守の両面から重要になります。
厚生労働省の診療放射線技師に関する情報ページでは、放射線業務に関する法的規制の詳細が確認できます。
咬合法撮影を実施した場合の保険点数は、通常の歯科エックス線撮影に加算される形で算定されます。令和6年度の診療報酬改定では、咬合法撮影または咬翼法撮影を行った場合に10点の加算が認められています。
基本的な歯科エックス線撮影(全顎撮影以外の場合)は1枚につき20点ですから、咬合法撮影を行うと合計30点の算定が可能です。これに撮影料や基本的エックス線診断料、電子画像管理加算などが加わります。
合算して請求します。
ただし同一部位に対して同日に複数回の撮影を行った場合は、最も点数の高い撮影のみの算定となる規定があります。例えば咬合法撮影とデンタル撮影を同時に行った場合の算定方法については、レセプト請求時に注意が必要です。
診療報酬の算定には適切な病名の記載が必要です。咬合法撮影の適応となる病名としては、埋伏歯、過剰歯、歯根嚢胞、顎骨嚢胞、唾石症などが該当します。病名と撮影法の整合性が取れていない場合は査定の対象となる可能性があります。
電子画像管理加算は、デジタル撮影を行いデータを電子的に保存・管理している場合に算定できます。咬合法撮影でイメージングプレートやデジタルセンサーを使用している医院では、この加算を忘れずに算定することで適正な診療報酬を得られます。
社会保険診療報酬支払基金の歯科診療報酬情報では、最新の算定ルールや審査事例が参照できます。
Please continue.

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