唾石症 治療 顎下腺 症状 摘出 予防法

唾石症 治療 概要

 

唾石症の症状と診断方法

唾石症は、唾液腺や唾液管内に結石（唾石）が形成される疾患です。主に顎下腺に発生し、以下のような症状が現れます：

 

• 食事時の唾液腺の腫れと痛み
• 唾液の分泌減少
• 口腔内の乾燥感
• 唾液腺の硬化
• 感染による発熱や膿の排出

 

診断には、以下の方法が用いられます：

 

1. 触診：口腔内から唾石を触知
2. 画像診断：

• CT検査
• 超音波検査
• 唾液腺造影

 

これらの検査により、唾石の位置、大きさ、個数を正確に把握し、適切な治療法を選択します。

 

唾石症の保存的治療法

唾石症の初期段階や症状が軽度の場合、以下のような保存的治療法が選択されます：

 

1. 抗菌薬投与：感染を伴う場合に使用
2. 鎮痛薬：痛みの軽減
3. 唾液腺マッサージ：唾液の分泌促進と唾石の自然排出を促す
4. 水分摂取：唾液の粘度を下げ、唾石の形成を予防
5. 酸味のある食品摂取：唾液分泌を促進

 

唾液腺マッサージの方法：

 

• 顎下腺：顎の下から前方に向かって優しく押す
• 耳下腺：耳の前から頬にかけて円を描くようにマッサージ

 

これらの方法で症状が改善しない場合や、唾石が大きい場合は外科的治療が検討されます。

 

唾石症の外科的治療と最新の内視鏡手術

唾石症の外科的治療には、以下の方法があります：

 

1. 口内法：口腔内から切開して唾石を摘出
2. 口外法：皮膚を切開し、唾液腺ごと摘出
3. 内視鏡手術：最小限の侵襲で唾石を摘出

 

近年、内視鏡を用いた低侵襲治療が注目されています。この方法は「シアロエンドスコープ（唾液管内視鏡）手術」と呼ばれ、以下のメリットがあります：

 

• 皮膚切開が不要
• 神経損傷のリスクが低い
• 入院期間の短縮
• 早期の社会復帰が可能

 

内視鏡手術の適応は、唾石の大きさや位置によって判断されます。一般的に7mm程度までの唾石が適応とされていますが、技術の進歩により適応範囲が広がっています。

 

唾石症の外科的治療に関する詳細な情報は、以下のリンクを参照してください：
唾石症の診断と治療 - J-Stage

 

唾石症の予防法と再発防止策

唾石症の予防と再発防止には、以下の方法が効果的です：

 

1. 十分な水分摂取：

• 1日2リットル程度の水分を摂取
• カルシウムを多く含むミネラルウォーターの過剰摂取に注意

 

2. 口腔衛生の維持：

• 1日3回以上の歯磨き
• フロスや歯間ブラシの使用
• 定期的な歯科検診（半年に1回程度）

 

3. バランスの良い食生活：

• 過度の塩分摂取を控える
• ビタミンCを含む食品の摂取（唾液の粘度低下に効果）

 

4. 唾液腺マッサージの習慣化：

• 1日2～3回、各唾液腺を優しくマッサージ

 

5. 喫煙の回避：

• タバコは唾液の粘度を上げ、唾石形成のリスクを高める

 

6. ストレス管理：

• ストレスは唾液の分泌に影響を与える可能性がある

 

これらの予防法を日常生活に取り入れることで、唾石症のリスクを低減できます。

 

唾石症治療後のケアと経過観察

唾石症の治療後は、適切なケアと経過観察が重要です。以下のポイントに注意しましょう：

 

1. 術後の注意点：

• 術後数日間は軟食を心がける
• うがいを頻繁に行い、口腔内を清潔に保つ
• 医師の指示に従い、抗菌薬や鎮痛薬を服用

 

2. 経過観察：

• 定期的な歯科受診（術後1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、1年）
• 唾液の分泌状態や唾液腺の腫れをチェック

 

3. 再発防止：

• 唾液腺マッサージの継続
• 十分な水分摂取
• バランスの良い食事

 

4. 症状の再発に注意：

• 唾液腺の腫れや痛みが再び現れた場合は速やかに受診

 

5. 生活習慣の改善：

• 喫煙者は禁煙を検討
• ストレス管理の実践

 

治療後も継続的なケアと注意が必要です。再発のリスクを最小限に抑えるため、医師の指示に従い、定期的な経過観察を受けることが重要です。

 

唾石症と関連する全身疾患の可能性

唾石症は主に局所的な問題として扱われますが、全身疾患との関連性も指摘されています。以下の点に注意が必要です：

 

1. 自己免疫疾患との関連：

• シェーグレン症候群：唾液腺の機能低下を引き起こし、唾石形成のリスクを高める
• IgG4関連疾患：唾液腺の腫大や機能障害を引き起こす可能性がある

 

2. 代謝性疾患：

• 高カルシウム血症：血中カルシウム濃度の上昇が唾石形成に影響する可能性
• 痛風：尿酸代謝異常が唾石形成に関与する可能性がある

 

3. 内分泌疾患：

• 甲状腺機能障害：唾液の分泌や成分に影響を与える可能性

 

4. 腎疾患：

• 腎結石患者は唾石症のリスクが高いとの報告がある

 

5. 薬剤性要因：

• 向精神薬や降圧剤など、唾液分泌に影響を与える薬剤の長期使用

 

これらの全身疾患や要因が疑われる場合、歯科医師や耳鼻咽喉科医と連携し、適切な検査や治療を行うことが重要です。唾石症の治療だけでなく、背景にある全身疾患の管理も必要となる場合があります。

 

全身疾患と唾石症の関連性についての詳細な情報は、以下のリンクを参照してください：
当科における顎下腺唾石症例の治療法の選択 - J-Stage

 

以上、唾石症の治療法や症状、予防法について詳しく解説しました。唾石症は適切な治療と予防策により、多くの場合管理可能な疾患です。症状が気になる場合は、早めに歯科医師や耳鼻咽喉科医に相談することをおすすめします。定期的な歯科検診と健康的な生活習慣の維持が、唾石症の予防と早期発見につながります。