ホスピスとは、治癒を目的とした治療ではなく、患者の苦痛を和らげ、残された時間の質(QOL)を最大化することを目的とした緩和ケア施設です。 神戸市内には緩和ケア(ホスピス)を標榜する病院・クリニックが21件あり、多くの施設が多職種連携によるチームケアを実践しています。 caloo(https://caloo.jp/hospitals/search/28a/k147)
ホスピスは「死を待つ場所」ではありません。つまり「生きることを支える場所」です。 患者本人だけでなく、家族へのサポートも緩和ケアの重要なプログラムに含まれており、医師・看護師・薬剤師・ソーシャルワーカー、そして歯科従事者が連携してケアを担います。 convention-w(https://www.convention-w.jp/jscp-11/sr_05.html)
ホスピス入所患者に対する歯科介入の重要性は、国内外の研究で繰り返し指摘されています。ある調査では、緩和ケア病棟に入院するがん患者を対象に歯科医師が口腔内を診査したところ、歯科治療が必要と判断された患者の割合は半数を超えたという結果が示されています。 mhlw.go(https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/001168509.pdf)
さらに、当院ホスピスにおける別の調査では「ほぼ全員の入所患者に、何らかの口腔の問題が認められた」と報告されています。 「半数」ではなく「ほぼ全員」です。意外ですね。 convention-w(https://www.convention-w.jp/jscp-11/sr_05.html)
これが意味するのは、「ホスピスに来た時点ですでに口腔の問題がある」という現実です。 歯科従事者が早期から関わらない限り、口腔状態は悪化の一途をたどります。口腔ケアの介入タイミングは「入院後できるだけ早期」が推奨されており、可能であれば外来通院時や訪問看護との連携段階から始めることが理想とされています。 kintore.hosplib(http://kintore.hosplib.info/dspace/bitstream/11665/1738/1/%E5%BD%93%E9%99%A2%E7%B7%A9%E5%92%8C%E3%82%B1%E3%82%A2%E7%97%85%E6%A3%9F%E3%81%AB%E3%81%8A%E3%81%91%E3%82%8B%E5%8F%A3%E8%85%94%E3%82%B1%E3%82%A2%E4%BB%8B%E5%85%A5%E3%81%AE%E7%8F%BE%E7%8A%B6.pdf)
kaigo.homes.co(https://kaigo.homes.co.jp/manual/healthcare/oralcare/purpose/)
緩和ケア・ホスピスの現場において、歯科衛生士は歯科医師と並んで中核的な役割を担います。 ただし、その内容は一般的な歯科クリニックでの業務とは大きく異なります。終末期患者は免疫機能が低下しており、口腔内の細菌が全身に影響を与えやすいため、より丁寧で個別対応のケアが求められます。 oned(https://oned.jp/posts/11594)
具体的な実践内容は以下の通りです。
| ケア項目 | 内容・目的 |
|---|---|
| 口腔清掃・ブラッシング | 自力磨きが困難な患者への代行清掃、細菌量を減らして誤嚥性肺炎を予防 |
| 口腔保湿・乾燥対策 | ドライマウスは終末期に多く発生。保湿ジェルやスポンジブラシで粘膜を保護 |
| 嚥下リハビリ補助 | 口腔体操や舌の運動により嚥下機能を維持・改善 |
| 義歯管理・調整 | 体重減少に伴う義歯の不適合を早期発見し、食事・会話の質を保持 |
| 口腔粘膜ケア | 抗がん剤・放射線治療による口内炎・粘膜炎への対処 |
kyoukaikenpo.or(https://www.kyoukaikenpo.or.jp/shibu/tokushima/health_promotion/006/003/index.html)
「治療」から「ケア」へ。これが緩和ケアにおける歯科の基本姿勢です。 shinbashishika(https://shinbashishika.com/blog/terminal/)
終末期においては、患者が「食べられる」「話せる」「笑える」という時間を少しでも長く保つことが最大の目標になります。歯科衛生士の介入によって、患者のQOLが数段階改善されることも珍しくありません。 これは使えそうです。 compass-dc(https://www.compass-dc.jp/contents/archives/950)
参考:緩和ケア病棟での口腔ケア介入に関する調査報告(ホスピス緩和ケア財団)
ホスピス緩和ケアに関する研究助成 研究報告書(2016年度)
神戸市には訪問歯科診療を行うクリニックが複数存在し、ホスピスや在宅緩和ケアとの連携が進んでいます。 訪問歯科診療とは、通院が困難な患者の自宅・介護施設・入院先病院へ歯科医師・歯科衛生士が出向いて診療を行う仕組みです。 yokota-dentalclinic(https://yokota-dentalclinic.com)
横田慎太郎選手が最期を過ごした神戸市内のホスピスでも、こうした多職種連携が実践されていたと考えられます。 施設名は非公開ですが、神戸市内の緩和ケア施設には歯科口腔外科を標榜する病院も含まれており、院内での歯科的サポートが受けられる環境があります。 hikaku-kounyu-tuuhan(https://hikaku-kounyu-tuuhan.com/yokota-shintaro-hospis/)
訪問歯科診療の流れは以下のとおりです。
houmonshika(https://www.houmonshika.org/pdf/society/gakkai_2014.pdf)
「歯科は治療をする場所」という意識だけでは不十分です。 ホスピスにおける歯科の役割は、患者の苦痛を取り除き、最期の時間を豊かにするための「支え」です。在宅・施設を問わず、歯科従事者が緩和ケアチームの正式メンバーとして加わることが、今後の標準モデルになっていきます。 shinbashishika(https://shinbashishika.com/blog/terminal/)
参考:厚生労働省による医科歯科連携・在宅歯科医療の取組概要
在宅医療分野の歯科領域における役割・取組と今後について(厚生労働省)
「自分のクリニックには関係ない」と思っている歯科従事者ほど、準備が遅れます。 日本では高齢化の進行と在宅医療・緩和ケアの推進により、訪問歯科診療の需要は急速に拡大しています。厚生労働省の資料によれば、歯科医師が入院患者の口腔管理を行うことで在院日数の短縮や肺炎発症の抑制につながるとされており、医科歯科連携の必要性は国レベルで認識されています。 houmonshika(https://www.houmonshika.org/pdf/society/gakkai_2014.pdf)
実際に緩和ケア対応を始めるために、歯科従事者が押さえておくべきポイントは以下です。
kyoukaikenpo.or(https://www.kyoukaikenpo.or.jp/shibu/tokushima/health_promotion/006/003/index.html)
参考:終末期・緩和ケアにおける口腔ケアの必要性(歯科医院向け解説)
終末期医療(ターミナルケア)における「口腔ケア」の必要性と実践(新橋歯科)
参考:訪問歯科における口腔ケアの役割(協会けんぽ 徳島)
第26回 訪問歯科における口腔ケアの役割(全国健康保険協会)