概形印象材の種類と特徴を徹底解説

概形印象材には弾性と非弾性の2大分類があり、それぞれに適した使用場面と特徴があります。アルジネート、寒天、シリコーン、モデリングコンパウンドなど多彩な種類から、どの材料をどのような場面で使い分ければよいのでしょうか?

概形印象材の種類と特徴

概形印象採得後1時間で印象体は使えなくなります。


この記事の3つのポイント
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弾性と非弾性の2種類に分類

概形印象材は硬化後の弾性の有無で弾性印象材と非弾性印象材に大別され、それぞれに適した臨床場面がある

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時間経過による寸法変化リスク

アルジネート印象材は1時間で著しく変形するため、採得後速やかな石膏注入が必須

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精密印象への移行が基本

概形印象は個人トレー作製のための予備的印象で、精密印象との組み合わせで精度の高い補綴物を作製


概形印象材のアルジネート印象材特性


アルジネート印象材は概形印象において最も広く使用される弾性印象材です。海藻由来のアルギン酸塩と石膏を反応させることで、不溶性のアルギン酸カルシウムとして硬化する仕組みを持っています。


操作の簡便さと経済性が大きな利点です。ピンク色の粉末を水と練和するだけで、数分以内に硬化します。硬化時間は水温と製品タイプで調整が可能で、夏場の高温時にはスロータイプ、冬場の低温時にはファストタイプを選択することで、常に一定した作業時間が確保できます。


つまり季節に合わせた選択が重要です。


ただし主成分が水分であるため、寸法安定性に課題があります。印象採得後に空気中へ放置すると脱水による収縮が起こり、逆に水中保管では膨張が生じます。研究データによれば、たった1時間の放置で臨床上問題となる寸法変化が発生します。


厳しい条件ですね。


そのため採得後は湿箱での保管が推奨されますが、最も理想的なのは15分以内の石膏注入です。精密印象には向きませんが、寒天印象材との連合印象により精度を補うことができます。この組み合わせで、概形印象から精密印象への移行がスムーズに行えます。


ジーシー社の歯科材料ハンドブック(PDF)では、アルジネート印象材の硬化機構と保管方法について詳細な解説があります


概形印象材の寒天印象材とその連合印象法

寒天印象材は歴史ある弾性印象材で、主成分の寒天は15%以下にすぎず、残りの大部分は水分が占めています。熱を加えることでゾル化し、冷却によりゲル化する可逆性の特性を持つため、温度管理が重要なポイントとなります。


全部寒天印象法と寒天・アルジネート連合印象法の2種類の印象採得方法があります。特に連合印象法は、寒天の精密性とアルジネートの操作性を組み合わせた優れた方法として、クラウンブリッジの印象採得で広く採用されています。


連合印象のタイミングが成功の鍵を握ります。1歯の場合はアルジネート印象材をトレーに盛り始める時、2〜3歯の場合は練り始める時に寒天を注入するのが原則です。このタイミングがずれると、両者の接着が不良となり、印象体の剥離や破折の原因となります。


寒天印象材も水分含有量が多いため、アルジネート同様に硬化後の安定性は低めです。


印象採得後は速やかな石膏注入が必要です。


また、寒天の水分が蒸発して痩せてしまった材料は、接着不良を引き起こすため使用を避けるべきです。


結論は新鮮な材料の使用です。


概形印象材のシリコーン印象材パテタイプ

シリコーン印象材は精密印象用として知られていますが、パテタイプは概形印象にも使用できる粘度の高い材料です。縮合型と付加型の2種類があり、付加型の方が寸法安定性に優れています。


パテタイプは軟性が高く、ベース・キャタリストともベタつきがないため、指先での練和や歯列への圧接が容易です。インレー、クラウン、ブリッジなどの概形印象に適しており、その後のインジェクションタイプやレギュラータイプとの組み合わせで精密印象へと移行します。


ただし硬化時に水素ガスが発生する特性があります。印象面にパテタイプが露出している場合、石膏注入のタイミングが早すぎると、水素ガスの影響により石膏模型表面に気泡が発生します。連合印象でパテタイプが露出している場合は、印象採得後60分程度経過してから石膏を注入する必要があります。


意外な待ち時間ですね。


また、ラテックス製グローブや未硬化の常温重合レジンユージノール系材料などに接触すると硬化阻害が起こります。添付のポリエチレン製グローブを使用するか、石鹸で十分に手指を洗浄してから取り扱うことが重要です。


阿部歯科医院の症例報告では、再製のない修復治療のためのシリコーン印象採得の実際について解説されています


概形印象材のモデリングコンパウンド特性

モデリングコンパウンドは非弾性印象材に分類される熱可塑性材料です。カウリ樹脂および硬質ワックスを主成分とし、約60℃の温湯で軟化し、口腔内温度で硬化する性質を持っています。


主に無歯顎の概形印象、各個トレーの辺縁形成、筋圧形成印象に使用されます。アンダーカットのない症例に限定されるため、有歯顎の印象採得には適しません。弾性を持たないため、アンダーカット部からの撤去時に破折のリスクがあります。


これは重要な制限です。


個人トレー作製時の使用方法として、アルコールランプやトーチで材料を軟化させ、トレーの辺縁に付着させます。患者の口腔内に入れた状態で必要な動作をしていただき、唇や頬を動かして部分的に成形します。この作業を繰り返すことで、全体的に機能的な外形になるよう調整していきます。


精度はアルジネートやシリコーンに劣りますが、義歯の筋圧形成において独自の役割を果たします。軟化と硬化を繰り返せる特性を活かし、複数回の調整が可能です。ただし軟化の繰り返しにより弾力性が失われるため、使用回数には注意が必要です。


概形印象材と精密印象材の使い分け判断基準

概形印象と精密印象の根本的な違いは、その目的と求められる精度にあります。概形印象は個人トレー作製のための予備的印象であり、精密印象は最終的な補綴物作製のための決定的な印象です。


使い分けの判断基準として、まず症例の複雑さを評価します。単純な有歯顎の印象採得では、アルジネート単独での概形印象から、シリコーン精密印象へと進みます。無歯顎や複雑な補綴症例では、モデリングコンパウンドやアルジネートでの概形印象後、個人トレーを作製してからシリコーンでの精密印象を行います。


二段階が基本です。


トレーの選択も重要な要素です。概形印象では既製トレーを使用することが多く、トレーのサイズが患者の顎堤に完全に適合しない可能性があります。そのため、概形印象で採得した模型上で個人トレーを作製し、それを用いて精密印象を採得することで、より適合精度の高い補綴物が完成します。


経済性と時間効率も考慮すべき点です。アルジネート印象材は安価で操作が簡便ですが、精度は限定的です。シリコーン印象材は高価ですが、寸法安定性に優れ、長期保管が可能です。診療報酬の算定要件も考慮しながら、症例に応じた適切な材料選択を行うことで、患者満足度と診療効率の両立が実現します。


歯科衛生士の業務範囲にも注意が必要です。概形印象の採得は歯科衛生士の業務として認められていますが、精密印象・咬合採得・補綴物の装着は歯科医師のみが行える業務です。業務範囲を正確に理解し、適切な役割分担を行うことが、医療安全とチーム医療の観点から不可欠です。


海岸歯科室の印象採得ガイドでは、失敗例と改善策について具体的な症例写真とともに解説されています


概形印象材の保管方法とトラブル対策の実践知識

印象材の適切な保管は、臨床成績に直結する重要な要素です。特にアルジネート印象材は水分が主成分のため、保管環境が寸法精度に大きく影響します。


湿箱保管が推奨される理由は、100%湿度環境が印象体の収縮と膨張を最小限に抑えるからです。湿らせたガーゼで印象体を包むか、湿らせたガーゼを敷いた密閉容器に入れることで、短時間の保管が可能になります。


しかしこれはあくまで緊急的な対応です。


理想的な対応は採得後15分以内の石膏注入です。研究データでは、アルジネート印象を1時間放置すると、臨床上許容できない寸法変化が生じることが示されています。忙しい診療の中で効率を考えてまとめて石膏を注ぐ習慣がある医院もありますが、これは精度を犠牲にする行為です。


厳しい現実ですね。


消毒の際にもリスクがあります。アルジネート印象材は流水下洗浄後、次亜塩素酸ナトリウム0.5%水溶液に15分間浸漬します。シリコーン印象材は同じく0.5%溶液で30分、またはグルタラール2%溶液で30分の浸漬が必要です。浸漬時間が長すぎると寸法変化のリスクが高まるため、規定時間を厳守します。


硬化阻害のトラブルも頻発します。シリコーン印象材パテタイプをラテックス製グローブで練和すると、硬化遅延や面荒れが発生します。ハンドクリームをつけた手での操作も同様の問題を引き起こすため、添付のポリエチレン製グローブを使用するか、石鹸で十分に手指を洗浄してから取り扱うことが原則です。


寒天アルジネート連合印象のトラブルとして、寒天が歯肉に残ってしまうケースがあります。原因は寒天のテンパリング温度が高すぎて軟らかすぎること、アルジネートの練り方が堅すぎることなどです。マージン部の気泡は乾燥不足が主因となるため、印象採得前の十分な乾燥が成功の鍵を握ります。


トラブル回避のために、各材料の練和条件を記録しておくと有効です。室温、湿度、水温、練和時間などをチェックリスト化し、安定した品質を維持できる体制を整えることで、再印象のリスクを最小化できます。


結論は標準化です。




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