既製トレーのサイズ選びを1mm間違えるだけで再印象率が3割上がります。
既製トレーは歯科診療の現場で最も頻繁に使用される印象採得用の器具です。市販されているトレーには全顎用と片顎用があり、それぞれ上顎用・下顎用に分かれています。サイズ展開は通常SS・S・M・L・LLの5段階程度が一般的で、患者の口腔形態に合わせて選択します。日本人の歯列弓および歯槽堤弓に適合するようデザインされた製品が多く、臨床データに基づいて大きさや形態が算出されています。
既製トレーには大きく分けて網トレーとリムロックトレーの2種類が存在します。網トレーは網目構造により印象材の維持力を確保しますが、構造上やや変形しやすい特性があります。一方、リムロックトレーは金属製のしっかりとした構造で、頑丈に作られているため変形リスクが最小限に抑えられています。印象材を採った後にトレーを取り出す際、網トレーは外れやすいものの変形の可能性があり、リムロックトレーは剛性が高く精度の維持に優れています。
選択時のポイントとしては、症例の複雑さや求められる精度に応じて使い分けることが重要です。一般的な診断用模型や予備印象には網トレーが、精密印象や補綴物製作時にはリムロックトレーが推奨されます。また、トレーの辺縁構造や穴の配置パターンも製品によって異なるため、使用する印象材との相性も考慮する必要があります。
サイズ選択の基本ルール
- 上顎であれば上顎結節を覆うサイズ
- 下顎であればレトロモラーパッドを覆うサイズ
- 必要最低限の部分がしっかり覆えれば若干小さめを選択
- 完成予定の義歯サイズに近いトレーが理想的
トレーが大きすぎると印象材が流れ出る可能性があり、小さすぎると十分な印象が得られません。適切なサイズ選択こそが印象採得成功の第一歩です。
既製トレーと個人トレーには明確な使い分け基準があります。既製トレーは市販品で即時使用可能、サイズ展開が豊富という利点があり、一般的な症例や予備印象に適しています。一方、個人トレーは患者ごとに作製するため適合性が高く、精密印象や特殊形態の口腔に対応できます。
実は保険診療において使用するトレーによって診療報酬が変わることはありません。つまり、個人トレーを使用するとその製作費は医院の持ち出しになります。そのため保険診療の場合は既製トレーを使用するのが一般的です。しかし、精度を追求する自費診療や難症例では個人トレーの製作が推奨されます。
既製トレーで型取りが難しい場合とは、歯がほとんどなく顎の骨がなくなり既製トレーでは精密な型取りができない時などです。単体の被せ物をかぶせる治療で行う型取りの場合でも、個人トレーを使うことでマージン部の精度を向上させることができます。
| トレーの種類 | 主な特徴 | 適応症例 | コスト面 |
|------------|---------|---------|---------|
| 既製トレー | 即時使用可、サイズ豊富 | 一般症例・予備印象 | 材料費のみ |
| 個人トレー | 患者専用・高適合性 | 精密印象・難症例 | 製作費+材料費 |
使い分けのポイント
- 予備印象や診断用模型には既製トレー
- 総義歯や部分床義歯の精密印象には個人トレー
- 無歯顎や顎堤吸収が著しい症例には個人トレー必須
- 単冠やブリッジの印象は既製トレーで対応可能
印象採得の目的と求められる精度に応じて、適切にトレーを選択することが治療の質を左右します。
既製トレーのサイズ選択を誤ると、印象採得の失敗率が大幅に上昇します。トレーの単価差より、再印象が増えたときのチェアタイムと技工工程のロスが大きいという指摘があります。余白が少ない医院ほど、標準化でばらつきを減らす投資がトータルコストを押し下げることになります。
嘔吐反射や開口量の制限がある患者では、サイズ不適合が失敗の起点になりやすいという報告もあります。縁が滑らかな設計や樹脂コーティングは当たりを減らす方向に働きますが、滅菌回数が増えるとコーティングの劣化も考慮する必要があります。
再印象による具体的な損失を見てみましょう。
| 項目 | 損失内容 |
|------|---------|
| チェアタイム | 1症例あたり平均15〜20分増加 |
| 材料費 | 印象材・石膏の重複使用 |
| 患者負担 | 不快感・通院回数増加 |
| 技工工程 | 模型作製のやり直し |
再印象を減らす選択のコツ
- 試適時にトレーが歯列全体を正確に覆うか必ず確認
- 小帯や口腔粘膜にトレーが干渉しないよう調整
- 必要に応じてユーティリティワックスでトレーを延長
- 患者の口腔形態を観察して適切なサイズを慎重に選ぶ
トレー選択ミスは印象採得失敗の大きな要因です。初回の選択を慎重に行うことで、結果的に診療効率が向上し、患者満足度も高まります。
網トレーとリムロックトレーは、それぞれ異なる特性を持ち、症例や目的によって使い分けることが重要です。網トレーは網目模様が特徴で、印象材の保持力に優れ、正確な印象が採得できます。
また、価格が安いという利点もあります。
しかし、強度が弱く変形しやすいという欠点があります。歯型を採ったトレーを取り出す時に印象材が外れやすい点は利点ですが、構造上変形しやすいため精度が求められる症例では注意が必要です。
リムロックトレーは金属製のしっかりとした構造で、頑丈に作られているため変形のリスクが最小限に抑えられています。リムロック部はトレーが長持ちするプレートサンド方式を採用している製品もあり、強度が飛躍的に向上しています。撤去時に生じやすい印象の変形が全顎トレーに比べて極めて少ないという報告もあります。ただし、時々印象材がトレーから剥がれるケースもあり、自動練和器から出る印象材との相性には注意が必要です。
| 項目 | 網トレー | リムロックトレー |
|------|---------|----------------|
| 構造 | 網目模様・軽量 | 金属製・頑丈 |
| 強度 | 弱い・変形しやすい | 強い・変形しにくい |
| 価格 | 安価 | やや高価 |
| 印象材の外れやすさ | 外れやすい | 外れにくい |
| 適応 | 一般的な印象採得 | 精密印象・複雑症例 |
つまり強度と精度が必要です。網トレーは日常的な診療でコストを抑えたい場合に有効で、リムロックトレーは補綴物製作など精密さが求められる場面で威力を発揮します。診療の目的と症例の特性に応じて、最適なトレーを選択することが印象採得の成功につながります。
既製トレーは患者ごとに確実な洗浄・消毒が感染予防の観点から必須です。滅菌のコストには器具本体の価格だけでなく、手間と時間も含まれます。歯科用器具は1個で数千円から数万円するものが多く、また滅菌をしっかりやるためには手間と時間がかかります。オートクレーブ滅菌では121℃で15分以上の加熱が基本とされており、ランニングコストは他の滅菌装置に比べて考慮が必要です。
既製トレーの消毒方法には以下のような手順があります。
洗浄・消毒の標準手順
1. 使用直後に流水で血液や唾液を十分に洗い流す
2. 中性洗剤でブラッシングし目に見える汚れを除去
3. グルタラールや次亜塩素酸ナトリウムに規定時間浸漬
4. 水洗後、清潔なペーパーで水分を拭き取る
5. オートクレーブで滅菌または適切に保管
ディスポーザブル(使い捨て)トレーの導入も選択肢の一つです。ディスポ化は材料費を増やすが、洗浄と滅菌の手間を減らせます。特に訪問診療や感染リスクの高い患者への対応では有効です。常に新しいものを使用できるため、衛生面での安心感が高いという患者側のメリットもあります。
| 方式 | メリット | デメリット |
|------|---------|-----------|
| 既製トレー再利用 | 初期コスト低・環境負荷小 | 洗浄滅菌の手間・時間コスト |
| ディスポーザブル | 衛生管理が容易・時間短縮 | 材料費増加・廃棄物増加 |
コスト最適化のポイントは、診療スタイルや患者層に応じて最適な方式を選択することです。一般診療では既製トレーの適切な消毒管理を徹底し、訪問診療や特殊症例ではディスポーザブルを活用するなど、柔軟な使い分けが推奨されます。
確実な衛生管理は医院の信頼性を高めるだけでなく、スタッフの作業効率向上にもつながります。

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