デンツプライシロナ インプラントのカタログを正しく読む方法

デンツプライシロナのインプラントカタログには、アストラEV・アンキロス・DS PrimeTaperなど複数ラインが存在します。各システムの特徴や選び方のポイントを正確に理解できていますか?

デンツプライシロナ インプラント カタログの正しい読み方と活用術

カタログを熟読しても、実は選んだ製品が患者の骨量に適合せず、補綴コンポーネントの在庫が2倍に膨らんだ例が報告されています。


📋 この記事でわかること
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カタログに掲載される3大インプラントラインの概要

アストラテックEV・アンキロス・DS PrimeTaperの違いを整理し、どのラインが自院の症例に向いているかを判断できるようになります。

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カラーコードと規格体系の読み解き方

グリーン・パープル・イエロー・ブルー・ブラウンの5色体系が意味する直径サイズと、補綴コンポーネントとの対応関係を具体的に解説します。

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デジタルワークフローとカタログの連携ポイント

シムプラントをはじめとするデジタル計画ツールとカタログの製品コードを照合することで、診療効率を最大化する方法を紹介します。


デンツプライシロナ インプラントのカタログ体系と3ラインの全体像

デンツプライシロナ(Dentsply Sirona)は世界三大インプラントメーカーの一角を占め、日本向けのカタログダウンロードセンターでは複数のシステムが公開されています。主要ラインはアストラテックインプラントシステム EV、アンキロス(Ankylos)、DS PrimeTaperの3つです。


それぞれのカタログは独立したPDFとして配布されていますが、共通の「EVインプラントファミリー」という概念でつながっています。つまり、アストラテックEVとDS PrimeTaperは同じ補綴コンポーネントを使い回せる設計です。これが重要なポイントです。


一方でアンキロスは独立したシステムで、補綴コンポーネントの互換性はありません。カタログを複数ダウンロードしていざ発注しようとすると「どの製品がどのラインか」が混乱しやすいのは、この構造の違いが見えにくいからです。


歯科医師歯科技工士がカタログを読む際は、最初に「どのインプラントラインか」を確認する一歩が欠かせません。確認する習慣を持てれば、発注ミスや在庫の無駄を大きく減らせます。


以下に3ラインの基本情報を整理します。


| ライン名 | EVファミリー | 補綴コンポーネント共有 | 主な特徴 |
|---|---|---|---|
| アストラテックEV | ✅ | EVシリーズと共通 | 最も包括的なシステム、40年の実績 |
| DS PrimeTaper | ✅ | EVシリーズと共通 | 漸進的スレッドデザイン、高トルク |
| アンキロス | ❌ | アンキロス専用 | プラットフォームスイッチング内蔵 |


参考:デンツプライシロナ公式カタログダウンロードセンター(インプラント専用ページ)では、全ラインのPDFが製品カテゴリ別に整理されています。
Implants | カタログ ダウンロードセンター | デンツプライシロナ 日本


デンツプライシロナ インプラントのカタログが採用するカラーコード規格の読み方

アストラテックインプラントシステムEVのカタログで最初に目に飛び込むのが、5色のカラーコード体系です。このカラーコードはインプラント体の直径に対応しており、外科用・補綴用のすべてのコンポーネントに統一して使用されています。


5つのカラーと対応直径は次のとおりです。


- 🟢 **グリーン(3.0 mm)**:最もナローなサイズ。狭小な骨幅やスペース不足の部位に適応します。
- 🟣 **パープル(3.6 mm)**:標準より細めで、下顎前歯部や骨幅が限られる症例で多用されます。
- 🟡 **イエロー(4.2 mm)**:最も汎用性が高いサイズで、臼歯部・前歯部ともに使いやすいとされています。
- 🔵 **ブルー(4.8 mm)**:骨量が豊富な臼歯部に適した太径タイプです。
- 🟤 **ブラウン(5.4 mm)**:ワイド径で、大臼歯部など荷重が大きい部位向けです。


カラーコードの重要な実用性は、発注時のミスを防ぐ点にあります。たとえばイエローのヒーリングアバットメントはイエローのインプラントにしか対応しないため、カタログ上で色が一致しているかを目視確認するだけで誤発注を防げます。これは使えそうです。


さらに、長さのバリエーションも製品により異なります。たとえば3.6mmのパープルは6〜17mmの7サイズ展開ですが、3.0mmのグリーンは8〜15mmの5サイズのみです(2025年版カタログ記載の情報)。骨量の計測値と照合する際は、直径だけでなく長さの選択可能範囲もカタログで必ず確認することが重要です。


参考:アストラテックEVのプロダクトカタログ(2025年版、公式PDF)には直径・長さ・製品コードが一括で確認できます。
Product catalog 2025 - アストラテックインプラントシステムEV(デンツプライシロナ公式PDF)


デンツプライシロナ インプラントのアンキロス・カタログが示す「骨下埋入」の独自コンセプト

アンキロス(Ankylos)はデンツプライシロナのラインナップの中でも特異な存在感を持ちます。カタログを見ても他のシステムと構造がまったく異なるため、「なぜこんなに違うのか」と感じる歯科医師は少なくありません。


最大の違いは、インプラントの埋入位置にあります。アンキロスでは歯槽頂下1〜2mmの深い位置への埋入が推奨されており、これはシステム内にプラットフォームスイッチングが組み込まれているためです。インプラント体の直径よりも細いアバットメントを使用することで、インプラント・アバットメント境界線が骨縁から遠ざかり、辺縁骨の吸収が抑制されます。


骨吸収を最小限に抑えるための設計はもう一つあります。それが摩擦によるセルフロック機構を持つ円錐形コネクションです。ネジの緩みによるマイクロリーケージ(微小漏洩)を抑制し、インプラント周囲の骨組織と軟組織を保護します。カタログ上のイラストではこのコネクション断面が明確に示されており、術者が視覚的に理解しやすい構成になっています。


アンキロスのカタログ適応症例としては、以下のような状況が挙げられています。


- 前歯部の審美症例(粘膜ラインの維持が求められる部位)
- 無歯顎症例(特にSmartFixコンセプトを使った4本支持フルアーチ)
- 骨吸収リスクが高い患者(歯周疾患既往など)


なお、アンキロスはEVファミリーとコンポーネントの互換性がない点は再確認が必要です。アンキロスシステムの導入を検討する場合は、補綴コンポーネントをアンキロス専用で揃える必要があり、既存のEV系在庫とは別管理になります。在庫コストと発注ルートを事前に確認しておくことが大切です。


参考:アンキロスの科学的根拠(臨床実績まとめ)については、公式PDFに詳細なデータが記載されています。
Ankylos インプラントシステムの臨床記録 - デンツプライシロナ(科学的根拠PDF)


デンツプライシロナ インプラントのDS PrimeTaperカタログが示すテーパーデザインの優位性

DS PrimeTaperは2023年に登場した比較的新しいラインです。EVインプラントファミリーの一員として、アストラテックEVと同じEV接続・同じ補綴コンポーネントを使いながら、インプラント体の形状だけが異なります。


このインプラント体の特徴はテーパーデザインにあります。


- **漸進的なスレッド形状(Progressive thread design)**:インプラント先端から頸部に向けてスレッドのピッチや形状が段階的に変化します。これにより、埋入時のトルクが直線的に上昇し、予測可能な初期固定が得られます。実際の術者のフィードバックでは「35〜45 Ncmのトルクが安定して得られる」との報告があります(Dr. Mischa Krebs、ドイツ)。
- **マイクロスレッド(Microthread)**:インプラント頸部に配置された微細なスレッドが、皮質骨に対して理想的な応力分散をもたらします。これはアストラテックEVから引き継がれた設計です。
- **OsseoSpeed表面処理**:フッ素処理によりナノスケールの表面形態が生まれ、骨芽細胞の接着と早期骨癒合を促進します。メタアナリシスの報告では、一般的な表面処理インプラントと比較して1年・5年双方で辺縁骨維持において有意に優れています(Norton, MR et al., Int J Oral Maxillofacial Implants, 2020)。


DS PrimeTaperの直径ラインナップは3.6〜5.4mm、長さは6.5〜17mmで、アストラテックEVよりも若干サイズ幅が異なります。カタログで確認する際は直径・長さの組み合わせを確認することが基本です。


即時荷重や即時修復を視野に入れた症例では、安定した初期固定トルクが得られるDS PrimeTaperは有力な選択肢となります。35 Ncm以上の初期固定が得られれば即時修復の条件を満たすケースが多いとされており、術前に骨密度(骨質)のアセスメントと照合することが求められます。


参考:DS PrimeTaperの製品情報と臨床インプレッションについては以下の公式ページで確認できます。
DS PrimeTaper インプラントシステム | デンツプライシロナ 日本(公式製品ページ)


デンツプライシロナ インプラントのカタログとシムプラントを連携したデジタルワークフロー活用法

カタログを印刷して棚に置いておくだけでは、現代のデジタルインプラント診療には対応しきれません。デンツプライシロナはインプラント計画ソフトウェア「シムプラント(Simplant)」と製品カタログを紐付けたデジタルワークフローを体系化しています。


シムプラントのデジタルインプラントワークフローは、100ヶ国以上で採用されており、治療計画から最終補綴物製作までを一貫して管理できる仕組みです。重要なのが、ソフトウェア上で選択したインプラント(製品コード)がそのままカタログの発注コードと一致する点です。


以下にDS PrimeTaper EVインプラントが対応しているプランニングソフトウェアを整理します。


| ソフトウェア | 対応直径 | ガイデッドサージェリー | 補綴計画コンポーネント |
|---|---|---|---|
| シムプラント Pro | 全直径 | 全直径 | EV補綴物 |
| 3Shape インプラントスタジオ | 全直径 | 全直径 | サポートなし |
| SICAT インプラント | 3.6〜5.4 mm | 3.6〜5.4 mm | EV補綴物 |
| coDiagnostix | 全直径 | 全直径 | チタンベースEV・マルチベースEV |
| Exoplan | 全直径 | 全直径 | CADライブラリ |


実務上の活用手順としては、①シムプラントでCT画像を取り込みインプラント埋入位置をシミュレーション、②ソフトウェアが出力した製品コードをカタログと照合、③サージカルガイド(シムプラントガイド)を発注──という流れが標準的です。


カタログとデジタルソフトウェアを連動させることで、発注ミスや術中の"合わない"トラブルをほぼ防ぐことができます。これが基本です。シムプラントアカデミーは全国各地で定期開催されており、実際のソフトウェア操作を研修で体験することが導入の最短ルートです。


参考:シムプラントのインプラント計画ソフトウェア詳細は以下のページで確認できます。
Simplant インプラント計画ソフトウェア | デンツプライシロナ 日本(公式製品ページ)


【独自視点】デンツプライシロナ インプラントのカタログには掲載されない「在庫管理」の落とし穴

カタログを読み込んでいても意外と気づかないのが、補綴コンポーネントの在庫管理の複雑さです。EVファミリーはアストラEVとDS PrimeTaperで補綴コンポーネントを共有できる一方で、アンキロスは完全に別系統のため、複数ラインを導入している診療所では在庫が二重管理になります。


具体的にどのような問題が起きるかを考えてみましょう。


たとえば、アンキロスとアストラEVの両方を導入している診療所では、ヒーリングアバットメントやアバットメントスクリューがそれぞれ専用の品番で管理されます。カタログ上の商品コードがよく似ているため、発注時に取り違えが起きやすく、在庫が過剰になることがあります。過剰在庫による損失は、年間で数万円〜十数万円規模になることもあります。厳しいところです。


対策として有効なのが、カタログダウンロード後に索引(50音順・製品コード順)を活用した管理シート作成です。アストラテックEVのカタログにはページ64以降に「索引:商品コード順」と「索引:50音順」の両方が収録されています。この索引を利用してExcelや診療管理ソフトにコードを登録しておけば、在庫確認がスムーズになります。


また、カタログ記載の注意書きには「全製品が予告なく変更される場合があります。最新の製品ラインアップにつきましては、デンツプライシロナインプラントにお問い合わせください」との記載があります。つまり、旧版カタログをそのまま使い続けると、廃番になった製品を発注してしまうリスクがあります。


定期的なカタログ更新と照合が必要です。最新カタログは公式サイトのカタログダウンロードセンターから常に最新版を入手できます。少なくとも年1回、製品コードの更新チェックを習慣にすることが現実的な対策です。


デンツプライシロナのカスタマーサービス総合窓口(0120-461-868)では、製品の受注や一般的な問い合わせに加えて、在庫コンポーネントの互換性確認も対応しているとされています。カタログだけで判断が難しい場合は、直接問い合わせるのが最も確実です。


参考:最新カタログの一括ダウンロードはデンツプライシロナ公式カタログダウンロードセンターから行えます。
Implants カタログ ダウンロードセンター | デンツプライシロナ 日本(公式)


十分な情報が集まりました。記事を作成します。