暫間義歯と即時義歯の違い|保険算定から製作手順まで解説

暫間義歯と即時義歯は一見似ていますが、保険適用の条件や目的が全く異なります。請求トラブルを防ぎ、患者に適切な選択肢を提供するには何を知っておくべきでしょうか?

暫間義歯と即時義歯の違いとは

暫間義歯は保険給付対象外です。


この記事の3ポイント要約
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保険算定の決定的違い

即時義歯は保険適用されますが、暫間義歯は保険給付対象外です。この違いを理解せずに請求すると査定されるリスクがあります。

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製作手順と装着タイミング

即時義歯は抜歯前に型取りして抜歯当日に装着、暫間義歯は治療途中の一時的使用が目的で製作手順が全く異なります。

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適応症の見極めポイント

前歯部の審美性確保や重度歯周病での一括抜歯には即時義歯、治療用や診断目的には暫間義歯が適しています。


暫間義歯の定義と保険適用の実態


暫間義歯は、最終義歯を装着するまでの間、機能や外観を維持する目的で一定期間使用する義歯を指します。仮義歯とも呼ばれ、治療用義歯や移行義歯もこの範疇に含まれる概念です。


重要なポイントは、暫間義歯が保険給付の対象外である点です。愛知県保険医協会の指摘によれば、自費のインプラント治療を前提とした暫間義歯の製作は保険では認められません。つまり、治療途中で一時的に使用することが目的の義歯については、患者に自費負担であることを明確に説明する必要があります。


暫間義歯の主な目的は3つです。外観および咀嚼・発音機能の保持、咬合高径の保持、そして最終義歯のための診断データ収集となります。これらの目的を患者に説明する際には、あくまで治療過程の一部であることを強調すべきでしょう。


設計上の特徴として、粘膜支持型義歯の設計に準じて支台歯の負担を軽減し、調整を容易にするためワイヤークラスプを用い、構造をできるだけ単純にする点が挙げられます。


即時義歯の保険算定と6ヶ月ルール

即時義歯は、模型上で抜歯後を推定して製作し、抜歯当日に装着する義歯です。長期的に使用できることが前提となっています。


保険診療における即時義歯の最大の特徴は、保険適用が認められている点です。しかし、厚生労働省の診療報酬算定留意事項によれば「即時義歯とは長期的に使用できるものをいい、暫間義歯は算定できない」と明記されています。


この違いは極めて重要です。


即時義歯を新製した後に再度義歯を新製する場合、原則として6ヶ月以上の期間が必要になります。


6ヶ月ルールと呼ばれる制約です。


このルールを知らないと、患者から「すぐに作り直したい」と要望されても対応できず、トラブルに発展する可能性があります。


即時義歯の仮床試適に係る費用は算定できません。模型上での製作が前提となるため、通常の義歯製作と異なり試適工程を省略する形になります。ただし、抜歯後の歯肉退縮により比較的早期に床裏装を行った場合は、別途算定が可能です。


審美性で特にメリットが大きい即時義歯ですが、義歯の調整に時間がかかる点と痛みが発生することがある点はデメリットとして認識しておくべきでしょう。


暫間義歯と即時義歯の製作手順の相違点

製作手順における両者の違いは、タイミングと目的に明確に表れます。


即時義歯の製作は、抜歯前に患者の口腔内から型取りを行うことから始まります。その型から模型を作製し、模型上で抜歯予定の歯を取り除き、実際に歯が抜けた後の状態を予測して義歯を製作するのが基本です。抜歯と同日に装着できるため、歯のない期間が生じない点が最大の利点となります。


一方、暫間義歯は治療途中の段階で製作されます。抜歯や歯槽骨整形などで短期間に大きな歯槽骨の吸収が予想される場合、歯周治療や歯内治療などの前処置が長期にわたる場合に適応されることが多いです。


つまり目的が異なります。


製作上の技術的な違いも見逃せません。即時義歯では、抜歯前の状態から抜歯後の歯肉形態を予測する必要があるため、歯科医師と歯科技工士の高度な連携が求められます。最近では口腔内スキャナーでスキャンを行い、抜歯予定歯を削合した状態の模型を3Dプリンターで作製する手法も登場しています。


暫間義歯の場合は、既に抜歯が完了した状態や治療中の状態で製作されるため、即時義歯ほどの予測精度は要求されません。調整を容易にするため、支台装置にはワイヤークラスプを用い、人工歯にはレジン歯を使用し、構造を単純にする設計が一般的です。


暫間義歯と即時義歯の適応症の判断基準

適応症を正しく見極めることは、患者満足度と保険請求の適正化の両面で重要になります。


即時義歯の典型的な適応症は、前歯部の審美性を重視するケースです。社会生活を送る上で、前歯が欠損した状態で数週間から数ヶ月を過ごすことは患者にとって大きな負担となります。重度の歯周病で複数歯を一度に抜歯する必要がある場合も、即時義歯の良い適応です。


ただし、即時義歯には向かない症例も存在します。抜歯窩の治癒が遅れることが予想される場合、全身状態が不良で頻繁な調整通院が困難な患者、極端に歯槽骨吸収が進行している症例では慎重な判断が必要です。模型上での予測が困難なほど口腔内状態が不安定な場合は、即時義歯よりも抜歯後の治癒を待ってから通常の義歯製作に入る方が結果的に良好な予後を得られます。


暫間義歯の適応症は、治療目的がより明確です。若年者で固定性補綴装置の適応が不可能な場合、歯周治療や歯内治療などの前処置が長期にわたる場合、最終義歯の設計を決定するための診断用義歯として使用する場合などが該当します。


適応症を判断する際には、患者の社会的背景や生活様式も考慮に入れるべきでしょう。職業上、歯がない期間を作れない患者には即時義歯を提案し、時間をかけて精密な義歯を製作したい場合には暫間義歯を経由する治療計画を立てる判断も必要です。


暫間義歯・即時義歯の保険請求で査定を避ける実務ポイント

保険請求における査定リスクを回避するには、算定ルールの正確な理解が不可欠です。


最も重要なポイントは、暫間義歯と即時義歯を明確に区別して請求することです。愛知県保険医協会の指摘にあるように「即時義歯は長期的に使用できるものをいい、暫間義歯ではありません。暫間義歯である場合は保険給付の対象外」という原則を徹底する必要があります。


カルテ記載も査定回避の鍵となります。即時義歯を算定する場合は、抜歯前に型取りを行った日付、模型製作の記録、抜歯日と義歯装着日が同日であることを明記しておくべきです。摘要欄には「即時義歯」と明記し、抜歯予定歯の部位を具体的に記載することで、審査側に製作過程が明確に伝わります。


病名の設定も適切に行う必要があります。即時義歯の場合は「○○部欠損(抜歯予定)」といった病名を抜歯前から設定し、治療の連続性を示すことが望ましいでしょう。


6ヶ月ルールの管理も実務上重要です。即時義歯製作後、患者が早期に作り直しを希望しても、原則6ヶ月以上経過しなければ保険での再製作はできません。患者への事前説明と記録が、後々のトラブル防止につながります。


未来院請求については、請求の時効は診療から5年ですが、概ね6ヶ月以内に行うことが望ましいとされています。即時義歯の調整が長期にわたる場合は、請求漏れがないよう管理体制を整えておくことです。


レセプトチェックの段階で、即時義歯と記載しながら仮床試適の費用を算定していないか、暫間義歯を誤って保険請求していないかを確認する習慣をつけることが、査定リスクを最小化する現実的な方法といえます。


厚生労働省の診療報酬算定留意事項(有床義歯の算定ルールと即時義歯・暫間義歯の定義が記載)


愛知県保険医協会の歯科保険請求Q&A(即時義歯と暫間義歯の保険適用の違いについての実務的解説)




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