良性と思って経過観察していた筋上皮腫が、切除後10か月で局所再発することがあります。 webview.isho(https://webview.isho.jp/journal/detail/abs/10.11477/mf.1412205250)
多形腺腫との最大の違いは腺管形成の有無です。つまり、腺管構造を認めないことが原則です。 この点を見落とすと、多形腺腫として処理されてしまうリスクがあります。 jspk.umin(http://jspk.umin.jp/files/28/28thC.html)
以下のページでは新潟大学医学部臨床病理学分野が実際の病理標本バーチャルスライド画像(HE染色)を公開しており、形態確認に有用です。
これらの細胞型が単独または混在して出現します。 組織パターンは充実性・網目状・索状・蜂巣状などさまざまで、背景間質には粘液腫様基質の沈着が見られることがあります。 gunringi.business-hp(https://gunringi.business-hp.com/hp/55th_kanshuto/img/0120-0123.pdf)
境界明瞭な線維性被膜に包まれているのが典型像です。 ただし、全例に明瞭な被膜があるわけではなく、被膜が不完全な症例では悪性との境界が問題になります。 hsuh.repo.nii.ac(https://hsuh.repo.nii.ac.jp/record/10619/files/45-49.pdf)
口腔病理基本画像アトラスでは多形腺腫との比較組織像も掲載されており、鑑別診断の参考になります。
多形腺腫の病理組織所見|口腔病理基本画像アトラス(日本口腔病理学会)
免疫組織化学染色は、筋上皮腫の確定診断において不可欠なツールです。 HE染色だけでは多形腺腫・粘表皮癌・上皮筋上皮癌などとの鑑別が困難な場合が少なくありません。 mypathologyreport(https://www.mypathologyreport.ca/ja/diagnosis-library/myoepithelioma-of-the-salivary-glands/)
代表的な陽性マーカーは以下の通りです。 files01.core.ac(https://files01.core.ac.uk/download/pdf/268419285.pdf)
| マーカー | 陽性率・特徴 | 補足 |
|---|---|---|
| S-100蛋白 | 高率に陽性 | 筋上皮起源を支持する主要マーカー |
| Vimentin | 高率に陽性 | 間葉系への分化を示す |
| 平滑筋アクチン(SMA) | 多くの症例で陽性 | 筋上皮細胞の収縮性を反映 |
| サイトケラチン(AE1/AE3) | 陽性 | 上皮性起源を確認 |
| EMA(上皮膜抗原) | 陽性例あり | 軟部組織例でも有用 |
| GFAP | 一部陽性 | 多形腺腫との鑑別補助 |
S-100とSMAが同時陽性となるパターンが診断の決め手になりやすいです。 反対に、これらが陰性に出た場合は他疾患を再検討する必要があります。 webview.isho(https://webview.isho.jp/journal/detail/abs/10.11477/mf.1412205250)
免疫染色のパネルを複数同時に実施することで、誤診リスクを最小化できます。これは実際に「浸潤性乳管癌」として術中迅速診断されたが最終的に良性筋上皮腫と判明した症例報告が示すとおりです。 webview.isho(https://webview.isho.jp/journal/detail/abs/10.15106/J00393.2012013946)
筋上皮腫は良性腫瘍ですが、見た目に反して局所再発や悪性転化が起こることがあります。これが油断してはいけないポイントです。 webview.isho(https://webview.isho.jp/journal/detail/abs/10.11477/mf.1412205250)
悪性筋上皮腫(悪性筋上皮癌)を疑うべき病理所見は次の通りです。
悪性転化リスクが高い症例では、切除断端の十分な余裕(最低5mm以上)を確保することが再発予防の基本とされています。断端陽性例では術後の補助療法についても口腔腫瘍専門医・放射線科との多職種連携が求められます。
多形腺腫からの悪性転化(上皮筋上皮癌)に関する詳細な病理記載はJ-Stageの以下論文が参考になります。
その理由はシンプルです。
細胞診標本では細胞の配列パターンや被膜の状態を見ることができないため、多形腺腫との鑑別が特に困難になります。 実際、細胞診では「多形腺腫疑い」として処理された後、術後病理で筋上皮腫と確定した事例も報告されています。 intercyto(http://www.intercyto.com/cms/assets/uploads/2019/02/ab11a32e8c395f07fc206b60d633ebec.pdf)
FNACでの筋上皮腫を示唆する所見としては次のものが挙げられます。
つまり、腺管構造がないことが細胞診でも参考所見になります。 jspk.umin(http://jspk.umin.jp/files/28/28thC.html)
唾液腺腫瘍全般の病理診断標準化の課題については、以下の論文が施設間差の実態を詳しく解説しています。