止血処置をサービスでやると、年間50万円分の点数を平気で捨てていることがあります。
歯科で「止血処置 算定」を考えるとき、まず押さえるべきは「どこまでが手術料に包括され、どこからが別算定か」という線引きです。 抜歯や歯周外科などの手術当日に行う通常のガーゼ圧迫や簡単な止血は、原則としてその手術料や外科後処置に含まれ、別途「止血処置」として算定することはできません。 ここを誤解して「とりあえず外科後処置」で加算していると、一括返戻のリスクが高まります。 結論は包含範囲の整理です。 shirobon(https://shirobon.net/medicalfee/latest/shika/r06_shika/r06s_ch2/r06s2_pa8/r06s28_sec1/r06s281_cls2/r06s2812_I009.html)
一方で、令和6年点数表の「I009 外科後処置」では、手術当日に実施した外科後処置は手術料に含まれるが、「後出血により手術当日に再度来院し、簡単に止血できない場合」は創傷処理で算定すると明記されています。 ここで重要なのは「再度来院」と「簡単に止血できない」という2条件で、単純な圧迫止血で数分で止まるケースは算定対象になりません。 つまり「再来かつ難治性」が条件です。 shirobon(https://shirobon.net/medicalfee/latest/shika/r06_shika/r06s_ch2/r06s2_pa8/r06s28_sec1/r06s281_cls2/r06s2812_I009.html)
さらに支払基金の事例では、歯肉切除術後の後出血に対して「J084 創傷処理 4 筋肉、臓器に達しないもの(長径5cm未満)」の算定が原則認められるとされています。 ここから読み取れるのは、「歯周外科後の止血対応=サービス」ではなく、きちんと条件を満たせば別算定が可能というメッセージです。 つまり後出血処置も評価されます。 ssk.or(https://www.ssk.or.jp/smph/shinryohoshu/sinsa_jirei/teikyojirei/shika/shujutsu/s_jirei_220.html)
このあたりを院内で曖昧にしていると、「全部サービス」に寄せすぎて収益を落としている医院と、「全部算定」で監査リスクを高めている医院に二極化しがちです。 止血処置に関する算定ポリシーは、点数表とQ&Aの根拠をもとに院内で統一しておくのが安全です。 ポイントは線引きの可視化です。 ssk.or(https://www.ssk.or.jp/smph/shinryohoshu/sinsa_jirei/teikyojirei/shika/shujutsu/s_jirei_220.html)
抜歯や小手術の後出血に関する算定は、しろぼんねっとや支払基金の公開事例、出版社の早見表などを併用すると具体的なイメージが湧きやすくなります。 外科後処置の22点と、後出血処置や創傷処理の点数を比較すると、1件あたりの差は小さく見えても、月に10件、年に120件積み重なると医院の粗利に無視できない影響が出ます。 数字で見ると意外ですね。 ishiyaku.co(https://www.ishiyaku.co.jp/shikashinryo/information/20240515_01.pdf)
外科後処置の点数と算定条件の根拠を確認したい場合は、令和6年歯科診療報酬点数表の「I009 外科後処置」のページが参考になります。 shirobon(https://shirobon.net/medicalfee/latest/shika/r06_shika/r06s_ch2/r06s2_pa8/r06s28_sec1/r06s281_cls2/r06s2812_I009.html)
外科後処置の算定要件と通知(しろぼんねっと)
次に、止血処置の算定で見落とされやすいのが、吸収性局所止血材の扱いです。 代表的なものとしてスポンゼル(吸収性ゼラチンスポンジ)やサージセル(酸化セルロース製止血材)があり、いずれも「特定保険医療材料」として保険算定の対象になります。 つまり材料費が点数として評価されるのです。 note(https://note.com/e_dental8020/n/n383b415199af)
例えばスポンゼルは、LTLファーマ社の製品で、抜歯後の止血や出血しやすい処置後の補助止血として日常的に使われています。 サイズごとに点数が決まっており、5.0×2.5cmで24点、2.0×6.0×0.7cmで18点など、1枚あたり数百円の償還があります。 はがきの横幅が約15cmなので、その3分の1程度の小さなスポンジでも数百円が積み重なるイメージです。 つまり材料費回収の鍵です。 note(https://note.com/e_dental8020/n/n383b415199af)
一方で、スポンゼルには「乳歯は算定不可」「算定は〇年3月31日まで」など、期間や対象に関する注意点が設けられており、これを失念していると想定外の返戻を招きます。 特に経過措置的に算定期限が設定されている場合、年度をまたいだ在庫使用がレセプト上のリスクになるので、在庫管理と算定期限のチェックはセットで行う必要があります。 期限管理が条件です。 note(https://note.com/e_dental8020/n/n383b415199af)
重要なのは、これらの吸収性止血材は「単純な止血だけでは算定できず、手術の一環として使用する場合に限って算定可能」という点です。 たとえば根面カリエスの処置で少量の出血があるからといって、スポンゼルを入れて材料算定することは認められません。 つまり「手術に付随する止血」が前提です。 ortc(https://ortc.jp/topics/dental-business/dental-surgicel-insurance-guide-2025)
こうした材料算定の実務を整理するには、メーカー資料と歯科診療報酬の早見表を併読し、「どの処置+どの材料で算定可能か」を院内チャートに落とし込んでおくと、スタッフレベルでも迷いにくくなります。 具体的には「抜歯+スポンゼル」「歯周外科+サージセル」「単純処置のみ」といったシナリオ別に、算定可否と点数を一覧化しておくイメージです。 つまり行動フローに落とすことが重要です。 ishiyaku.co(https://www.ishiyaku.co.jp/shikashinryo/information/20240515_01.pdf)
吸収性局所止血材の定義や点数を体系的に確認したい場合は、令和6年歯科診療報酬点数表および医科・歯科向けの早見表が有用です。 shirobon(https://shirobon.net/medicalfee/latest/shika/r06_shika/)
歯科診療報酬点数早見表:止血材・後出血処置など(医歯薬出版)
止血処置に関する算定ルールには、いくつか「現場の常識」とズレた例外があります。 これを知らずに運用すると、レセプトが通らないだけでなく、「本来請求できるはずの処置をすべてサービスにしている」という二重の損失が生まれます。 痛いですね。 shirobon(http://shirobon.net/qabbs_detail.php?bbs_id=53863)
代表的なものが、術後の後出血に対する創傷処理の扱いです。 抜歯や歯周外科術後の後出血で、圧迫止血でコントロールできない場合には、年齢に応じて「J084 創傷処理」または「J084-2 小児創傷処理」で算定することが通知されています。 6歳以上では「筋肉・臓器に達しないもの(長径5cm未満)」として算定し、6歳未満では小児創傷処理の該当区分で算定するのが原則です。 つまり年齢と創傷長が鍵です。 ssk.or(https://www.ssk.or.jp/smph/shinryohoshu/sinsa_jirei/teikyojirei/shika/shujutsu/s_jirei_220.html)
支払基金の事例では、「J063 歯周外科手術3 歯肉切除手術」後の後出血に対する創傷処理算定が原則認められるとされています。 これは「歯周外科の後出血=全部サービス」という現場の空気を否定する内容で、条件を満たせば別算定をしてよいという強いメッセージと解釈できます。 結論は条件付きで算定可です。 ssk.or(https://www.ssk.or.jp/smph/shinryohoshu/sinsa_jirei/teikyojirei/shika/shujutsu/s_jirei_220.html)
別のQ&Aでは、外傷により歯が脱臼し、止血目的で縫合したケースの算定項目として、「後出血処置か口腔内縫合手術か」という相談が出ています。 これは「止血目的の処置」として一括りにせず、創傷の性状や処置内容に応じて、より適切な算定区分を選ぶべきということを示しています。 単に「血が出たから後出血」とラベリングしないことが大切です。 shirobon(http://shirobon.net/qabbs_detail.php?bbs_id=53863)
これらを踏まえると、「術後の出血=無料のアフターケア」と思い込んでいると、1件あたり数百点~500点程度の取りこぼしが起こりえます。 例えば後出血処置はおおむね530点前後(6歳未満はやや高い)とされており、1点10円とすれば1件あたり約5,300円の収入になる計算です。 月に1件見逃すだけで年間約6万円、週に1件ペースなら年間25万円以上の差が出るイメージです。 つまり数字は無視できません。 ishiyaku.co(https://www.ishiyaku.co.jp/shikashinryo/information/20240515_01.pdf)
同時に、算定要件を満たさない処置まで漫然と請求してしまうと、個別指導や監査で指摘されるリスクも高まります。 特に「再来ではない」「圧迫止血で容易に止まる」「カルテに創傷長や処置内容の記載がない」といったケースでは、後出血処置や創傷処理での請求は避けるべきです。 つまり要件を外したら請求しないのが原則です。 shirobon(https://shirobon.net/medicalfee/latest/shika/r06_shika/r06s_ch2/r06s2_pa8/r06s28_sec1/r06s281_cls2/r06s2812_I009.html)
院内でできる対策としては、過去6か月分のレセプトを抽出し、「後出血処置」「創傷処理」「外科後処置」が算定されているケースと、術後再来で実際にはサービス対応しているケースを棚卸しする方法があります。 これにより「算定すべきだったのにしていない症例」と「要件を満たさないのに算定している症例」の両方を可視化できます。 つまり実データで癖を把握することですね。 ishiyaku.co(https://www.ishiyaku.co.jp/shikashinryo/information/20240515_01.pdf)
後出血処置や創傷処理の点数や算定条件をまとめて確認したい場合には、診療報酬点数表と支払基金の審査事例集が参考になります。 ishiyaku.co(https://www.ishiyaku.co.jp/shikashinryo/information/20240515_01.pdf)
創傷処理の算定が認められる事例(社会保険診療報酬支払基金)
吸収性局所止血材は「止血材=何となく使うもの」として選ぶのではなく、「医療安全」と「診療報酬」の両面から、意図的に選択する必要があります。 同じ止血材でも、材料単価や償還価格、算定条件が異なるため、漫然と高額な材料を使うと、医院の収益を圧迫する一方で、レセプト上は十分に評価されていないケースもありえます。 つまり選択が経営に直結します。 ortc(https://ortc.jp/topics/dental-business/dental-surgicel-insurance-guide-2025)
スポンゼルについても、サイズに応じて18点〜24点程度の点数が設定されており、1枚あたり180〜240円の償還となります。 はがきの半分程度のサイズでも1枚で200円前後の評価と考えると、「小さなスポンジ1個」をサービスにするかどうかが、年間ではかなりの差になってきます。 つまり小さな積み重ねが大きな数字になります。 note(https://note.com/e_dental8020/n/n383b415199af)
実務上は、以下のような使い分けを検討するとバランスが取りやすくなります。 ortc(https://ortc.jp/topics/dental-business/dental-surgicel-insurance-guide-2025)
・通常の抜歯で特にリスクのない症例:ガーゼ圧迫と縫合を基本とし、材料算定は行わない
・高血圧や抗凝固薬服用中など高リスク症例:スポンゼルやサージセルを併用し、材料算定を行う
・歯周外科や嚢胞摘出など大きな創部:吸収性止血材を積極的に使用し、術後再出血のリスク低減を優先する
また、材料の在庫管理も見逃せません。 スポンゼルのように「算定は3月31日まで」と期限が区切られているケースでは、期限を過ぎてから在庫を使っても算定できず、完全な持ち出しになります。 1箱に数十枚入っている製品で、1枚あたり200円の償還があるとすると、箱単位で在庫ロスが発生すると数千円〜1万円規模の損失になりかねません。 在庫の棚卸しが必須です。 note(https://note.com/e_dental8020/n/n383b415199af)
こうしたコスト意識を院内で共有するためには、月1回程度のミーティングで「材料別の使用数量と償還額」を簡単なグラフにして共有する方法も有効です。 経営指標として「止血材にかかるコスト」「止血材の償還点数」「後出血再来率」などを並べて見ることで、「安全性」と「収益性」を両立する運用に近づけます。 つまり見える化が改善の第一歩です。 ortc(https://ortc.jp/topics/dental-business/dental-surgicel-insurance-guide-2025)
最後に、止血処置の算定を「ブレなく」「安全に」行うためには、レセプト記載と院内ルールの整備が欠かせません。 点数表やQ&Aの知識があっても、日々のカルテとレセプトに反映されていなければ、現場では結局「何となくの運用」に戻ってしまいます。 つまり運用設計まで落とし込む必要があります。 shirobon(https://shirobon.net/medicalfee/latest/shika/r06_shika/)
まず、後出血処置や創傷処理を算定する際には、カルテに最低限以下の情報を残しておくと安心です。 shirobon(https://shirobon.net/medicalfee/latest/shika/r06_shika/r06s_ch2/r06s2_pa8/r06s28_sec1/r06s281_cls2/r06s2812_I009.html)
・術式名(抜歯、歯周外科、歯肉切除など)と術日
・後出血の発生日と「再来かどうか」
・圧迫止血で止まらなかった経過(時間や処置)
・創傷長(例:長径約3cm=名刺の短辺くらい)
・行った処置内容(縫合、創傷縫縮、止血材の使用など)
これらが記載されていると、「通知にある条件を満たしているか」を第三者が追えるので、審査側の印象も変わります。 レセプト上も、「後出血処置」「創傷処理」「吸収性局所止血材」の組み合わせが妥当かどうかを判断しやすくなります。 つまり説明可能性が高まります。 ssk.or(https://www.ssk.or.jp/smph/shinryohoshu/sinsa_jirei/teikyojirei/shika/shujutsu/s_jirei_220.html)
次に、院内ルールとしては、以下のような簡易フローチャートを作成する方法があります。 shirobon(https://shirobon.net/medicalfee/latest/shika/r06_shika/)
1. 術後出血で再来か?(YES/NO)
2. 圧迫止血で5~10分以内に止まるか?(YES/NO)
3. 創傷長は5cm未満か以上か?
4. 6歳未満か以上か?
この分岐に沿って、「外科後処置内の対応」「後出血処置」「創傷処理」「小児創傷処理」などの算定区分を明示し、スタッフが迷ったらフローチャートを確認する運用にしておくと、算定のブレが減ります。 後は、月1回のレセプトチェックで、「フローチャートと違う算定をしていないか」を確認する仕組みを組み合わせると、さらに安定します。 つまり仕組みでミスを減らすわけですね。 ishiyaku.co(https://www.ishiyaku.co.jp/shikashinryo/information/20240515_01.pdf)
監査・個別指導を意識する場合、止血処置や後出血処置は「高頻度で算定されていると目立つ項目」の一つです。 特に小児の後出血処置や、吸収性止血材を多用しているケースでは、「適応が広く取りすぎていないか」がチェックされる可能性があります。 医院ごとの症例構成にもよりますが、地域平均から大きく外れていないかを、レセプト請求ソフトの集計機能で時々確認しておくと安心です。 つまり自己点検が重要です。 shirobon(https://shirobon.net/medicalfee/latest/shika/r06_shika/)
一方で、「リスクを恐れるあまり、止血処置をほとんど算定していない」という状態も問題です。 安全性の高い止血材を適応症例で使わず、ガーゼ圧迫だけで乗り切ろうとすると、術後合併症や患者満足度の低下につながりかねません。 適切な算定と適切な医療のバランスを取ることが、長期的には医院の信頼と経営の両方を守ることになります。 結論はバランス経営です。 ortc(https://ortc.jp/topics/dental-business/dental-surgicel-insurance-guide-2025)
止血処置や後出血処置に関する公式な通知や点数表の全体像は、厚生労働省や専門サイトの資料で確認できます。 mhlw.go(https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000114869.pdf)
令和6年 歯科診療報酬点数表(しろぼんねっと)