摂食機能療法の点数と算定で得する知識

摂食機能療法の点数や算定要件を正しく理解していますか?加算の取りこぼしや算定ミスは、医院の収益に直結します。正しく請求するために知っておくべきポイントとは?

摂食機能療法の点数と算定要件を正しく理解する

摂食機能療法は「週1回しか算定できない」と思い込んで、月4回以上算定できる特例を見逃しているクリニックが後を絶ちません。


この記事の3つのポイント
💴
摂食機能療法の基本点数

摂食機能療法は1回につき185点(30分以上の場合)または130点(30分未満の場合)が算定でき、正しく算定すれば月間収益に大きく影響します。

📋
算定要件と加算の種類

経口摂取回復促進加算や摂食嚥下支援加算など、見落としがちな加算が複数存在します。要件を満たせば数十点単位の上乗せが可能です。

⚠️
算定ミスと返戻リスク

算定要件の誤解や記録不備は審査機関からの返戻・査定の原因になります。特に診療記録への記載内容が不十分なケースが多く見られます。


摂食機能療法の点数と算定基準の基本

摂食機能療法の点数は、診療報酬改定のたびに細かく変化しており、現行の令和6年度改定後の基準では、1回の施術につき「30分以上」で185点、「30分未満」で130点が設定されています。これはあくまで1日1回の算定を前提とした点数です。


1点=10円換算で計算すると、30分以上のセッションは1,850円、30分未満は1,300円の診療報酬となります。月に週1回×4回を30分以上で算定すれば、1患者あたり7,400円の収益です。これは1人あたりでは小さく見えますが、対象患者が10名いれば月74,000円になります。


重要なのは、医科と歯科のどちらでも算定できる点です。歯科においては「摂食機能療法」として歯科診療報酬に位置づけられており、口腔機能の評価・訓練を行う歯科医師・歯科衛生士が主体となります。つまり、歯科医院でも積極的に算定すべき点数です。


算定対象となるのは、発達遅滞・顎切除・舌切除の手術後・脳卒中後遺症・神経変性疾患・脳性麻痺・頭部外傷・糖尿病性神経障害など、摂食機能の障害を有する患者です。これらの疾患名が明記されたカルテの記載が必要です。


算定が基本です。対象疾患の確認から始めましょう。


摂食機能療法の算定要件と見落とされがちな加算

摂食機能療法を算定するには、いくつかの必須要件があります。まず、「摂食機能療法に習熟した医師・歯科医師」または「歯科衛生士・言語聴覚士・看護師・准看護師」が実施することが前提です。誰でも算定できるわけではありません。


訓練内容についても、単なる食形態の変更指導ではなく、摂食・嚥下機能の評価と、それに基づく訓練・練習・指導を行った事実をカルテに記載する必要があります。「嚥下訓練を行った」だけでは不十分で、使用した訓練手技・時間・患者の反応などを記録することが重要です。


見落とされやすい加算として「経口摂取回復促進加算」があります。これは、経管栄養や胃瘻で栄養管理をしている患者が経口摂取を再開できるよう訓練を行った場合に、週1回に限り追加で算定できる加算です。185点に加えて算定できるため、要件を満たす患者への請求漏れは損失に直結します。


加算には期限があります。経口摂取回復促進加算には「当該療法を算定し始めた日から起算して180日以内」という期限があるため、算定開始日の管理が必要です。これは見落とすと加算請求資格の喪失につながります。


また、「摂食嚥下支援加算(入院中の患者向け)」は主に医科での算定が想定されますが、歯科が参加する多職種チームの一員として関わる場面もあります。歯科医師・歯科衛生士が嚥下チームに参加していれば、連携の実績として評価される場合もあるため、地域連携の観点から把握しておきましょう。


これは使えそうです。加算の確認は今すぐできます。


参考:厚生労働省「診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(令和6年3月5日)」
厚生労働省 令和6年度診療報酬改定 算定要件通知(PDF)


摂食機能療法の算定回数と「月何回まで」の正しい理解

「摂食機能療法は週1回しか算定できない」という認識は、実は不正確です。これが冒頭の驚きにつながる話で、多くの歯科医院で請求の取りこぼしが起きています。


原則として、摂食機能療法は1日に1回、週に複数回の算定が可能です。ただし、発達遅滞や脳性麻痺のある「18歳未満の患者」については、1日につき2回まで算定可能という特例があります。これを知らないと、小児への摂食訓練で本来取れる点数の半分しか請求していないことになります。


さらに注意が必要なのは、同日に他の摂食・嚥下関連の検査(嚥下造影検査など)を行った場合の算定可否です。原則として同一日に嚥下造影(videofluoroscopy)などを実施している場合は、摂食機能療法の訓練部分の算定に制限が生じる場合があります。算定ルールを混同しないよう、点数表の留意事項を事前に確認しましょう。


また、「継続的な算定」には患者の状態・治療計画の見直し記録が必要です。開始から半年以上が経過した患者について、定期的な評価と目標の更新をカルテに残しておかないと、長期算定の根拠が薄くなります。返戻・査定のリスクが高まる理由の一つがここにあります。


1日2回算定が条件です。18歳未満の患者には漏れなく適用しましょう。


| 対象患者 | 1日の算定上限 | 備考 |
|---|---|---|
| 成人(18歳以上) | 1回 | 週複数回OK |
| 小児(18歳未満) | 2回 | 発達遅滞・脳性麻痺等 |
| 経管栄養中の患者 | 1回 | 経口摂取回復促進加算も検討 |


摂食機能療法のカルテ記載と返戻・査定を防ぐポイント

算定要件を満たしていても、カルテ記載が不十分だと審査支払機関(社会保険診療報酬支払基金・国民健康保険団体連合会)から返戻・査定が来ます。これは実際の診療報酬削減につながるため、記載ミスは直接的な損失です。


カルテに最低限記載すべき内容は以下の通りです。



  • 📝 対象疾患名(例:脳梗塞後遺症による嚥下障害、舌悪性腫瘍術後など)

  • 📝 実施した訓練の内容・手技名(例:直接訓練・間接訓練の別、使用した食品の形態など)

  • 📝 実施時間(30分以上か未満かで点数が変わるため必須)

  • 📝 実施者の職種・氏名(歯科医師・歯科衛生士・言語聴覚士など)

  • 📝 患者の反応・評価(訓練への取り組みや変化の記録)

  • 📝 今後の治療計画・目標(特に長期継続算定の場合)


記載が甘くなりがちなのが「実施時間」です。30分以上で185点、30分未満で130点という違いは1回あたり55点=550円の差になります。月4回算定すれば2,200円、年間では26,400円の差が生まれます。時間の記録を怠ると自動的に低い点数での査定を受けることになります。


返戻が来た場合の対応としては、再審査請求(再審査申立)という手続きがあります。返戻通知を受け取ってから6か月以内に申立てできますが、根拠となる診療記録がなければ申し立てても通りません。記録が命です。


カルテ記載が条件です。最初から丁寧な記録を徹底しましょう。


参考:社会保険診療報酬支払基金「審査の取扱い事例」
社会保険診療報酬支払基金 審査の取り組み・事例ページ


摂食機能療法を活かす院内体制と多職種連携の実態

点数を正しく算定するだけでなく、摂食機能療法を医院の強みとして位置づける体制作りが、長期的な収益と患者満足度につながります。この視点は検索上位記事でほとんど触れられていない独自の観点です。


摂食機能療法は、歯科衛生士が訓練を実施できるため、歯科衛生士のスキルアップと業務の拡張に直結します。訓練を担える歯科衛生士がいれば、歯科医師の介入時間を最小化しながら算定を維持できます。これは1人あたりの生産性向上につながります。


また、在宅や施設に通えない高齢患者への訪問診療の中で摂食機能療法を実施する場合、訪問歯科診療の算定と組み合わせることで報酬が複数発生します。訪問診療料+摂食機能療法という組み合わせは、患者の嚥下機能管理を行う歯科医院にとって重要な収益モデルです。


地域連携の面では、介護老人保健施設や訪問看護ステーションとの連携を構築すると、摂食機能療法の対象患者が定期的に紹介されるルートができます。紹介元との連携記録は、地域支援体制加算などの医科側の加算の根拠にもなるため、相互に利益があります。


院内では「摂食嚥下外来」という形で外来枠を設定している歯科医院も増えています。週1枠でも専門外来として設定することで、患者が継続して通院しやすくなり、算定の継続性と医院の専門性アピールを同時に実現できます。


連携と継続が収益の鍵です。体制を整えれば算定機会は自然に増えます。


摂食機能療法に関連する研修情報や算定事例については、日本歯科医師会や各都道府県歯科医師会が定期的に講習会を開催しています。実務に直結した情報を得るには、所属の歯科医師会の研修案内を定期的に確認する習慣が役立ちます。


参考:日本歯科医師会「摂食・嚥下リハビリテーションに関する取り組み」
日本歯科医師会 摂食・嚥下リハビリテーションの取り組みページ