rdc/tmd criteriaとは診断基準の歴史と最新dc/tmd活用法

rdc/tmd criteriaは1992年に公表された顎関節症の研究診断基準で、現在はdc/tmdへと進化しています。2軸診断システムの特徴や臨床現場での活用法を知っていますか?

rdc/tmd criteriaと診断基準の進化

rdc/tmdで診断しても実は現在の国際標準ではありません。


この記事の3つのポイント
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RDC/TMDとDC/TMDの違い

1992年公表のRDC/TMDは2014年にDC/TMDへ改訂され、妥当性と信頼性が大幅に向上しました

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2軸診断システムの重要性

身体的評価(軸Ⅰ)と心理社会的評価(軸Ⅱ)を組み合わせた生物心理社会的モデルに基づく診断

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臨床現場での活用レベル

スクリーニング、一般歯科治療、専門医レベルの3段階で診断プロトコルを使い分け


rdc/tmd criteriaの成り立ちと歴史的背景

開発の背景には、TMDの病因、診察・検査、診断、治療法のいずれにも不明な点が多く残されていたという問題がありました。 kokuhoken(https://kokuhoken.net/jstmj/publication/file/journal/concept.pdf)


採得した所見やデータをTMD研究者間で比較可能とすることを目的として、標準的な問診票、臨床的診察・検査法、および各症型の診断基準が含まれています。 kokuhoken(https://kokuhoken.net/jstmj/publication/file/journal/concept.pdf)


RDC/TMDは病歴に関する質問票(31項目)と検査票(10項目)を用い、その結果からフローチャートとスコア表を用いて局所的要因と心理・身体的要因の2軸診断を行う仕組みです。 quint-j.co(https://www.quint-j.co.jp/dictionaries/keyword/39016)


つまり標準化が基本です。


1992年の公表以降、質の高い国際誌にTMDに関する論文を掲載するためには、TMDの診断をRDC/TMDに則って行ったことを明記することが必須条件となりました。 kokuhoken(https://kokuhoken.net/jstmj/publication/file/journal/concept.pdf)


これは世界標準の診断基準となった証拠ですね。


rdc/tmd criteriaから dc/tmdへの改訂の経緯

RDC/TMDは公表後も継続的に改良が進められ、2001年から妥当性検討プロジェクトが開始されました。 shien.co(https://www.shien.co.jp/media/sample/s1/BK05651/pageindices/index2.html)


国際的専門家集団による構造化されたプロトコールに基づく文献レビューと多施設臨床試験による妥当性検証研究を経て、2013年に信頼性と基準関連妥当性が確認されたDC/TMD(Diagnostic Criteria for Temporomandibular Disorders)が公表されました。 kokuhoken(https://kokuhoken.net/jstmj/publication/file/journal/concept.pdf)


2012年には米国口腔顔面痛学会(AAOP)評議会がDC/TMDと拡大TMD分類の採用を決定し、TMDの診断基準が統一される運びとなりました。 jstage.jst.go(https://www.jstage.jst.go.jp/browse/gakukansetsu/27/3/_contents/-char/ja)


診断基準の統一が実現したわけです。


日本顎関節学会も2013年に顎関節症の病態分類をDC/TMDに則して改訂し、国際標準との整合性を図っています。 tokushima-u.repo.nii.ac(https://tokushima-u.repo.nii.ac.jp/record/2007230/files/jstmj_31_1_16.pdf)


日本顎関節学会による顎関節症の概念解説(PDF)では、RDC/TMDからDC/TMDへの移行の詳細な経緯が記載されています。


rdc/tmd criteriaの2軸診断システムの特徴

RDC/TMDおよびDC/TMDの最大の特徴は、生物心理社会的モデル(biopsychosocial model)に基づく2軸診断システムです。 kokuhoken(https://kokuhoken.net/jstmj/publication/file/journal/concept.pdf)


第Ⅰ軸(Axis Ⅰ)で身体的な評価を行い、第Ⅱ軸(Axis Ⅱ)で心理社会的な評価を実施します。 shien.co(https://www.shien.co.jp/media/sample/s1/BK05651/pageindices/index2.html)


具体的には以下の評価項目が含まれます。


- 軸Ⅰ(身体的評価):開口量測定下顎運動経路の観察、下顎頭の滑走状況、咬合状態、顔貌の左右対称性など kompas.hosp.keio.ac(https://kompas.hosp.keio.ac.jp/disease/000916/)
- 軸Ⅱ(心理社会的評価):心理状態と疼痛関連のdisability評価、ストレス感受性、不安感、抑うつ感の測定 kokuhoken(https://kokuhoken.net/jstmj/publication/file/journal/concept.pdf)


これは包括的な評価法ですね。


筋性顎関節症は心理・社会的要因と関連が深く、心身症的側面を持つため、身体面だけでなく心理テストが必要なケースもあります。 kompas.hosp.keio.ac(https://kompas.hosp.keio.ac.jp/disease/000916/)


質問紙による検査は現在の精神状態を示しているだけであり、各種症状の原因ではない可能性を理解しておく必要があります。 kokuhoken(https://kokuhoken.net/jstmj/publication/file/guideline/guideline_treatment_tmj_2018.pdf)


痛みの原因は現在のストレスではなく、過去のストレスなどが関与していることが多いことに注意が必要です。 kokuhoken(https://kokuhoken.net/jstmj/publication/file/guideline/guideline_treatment_tmj_2018.pdf)


rdc/tmd criteriaの妥当性と信頼性の検証結果

RDC/TMD軸Ⅰの診断アルゴリズムは信頼できることが実証されていますが、妥当性検証プロジェクトでは、RDC/TMD軸Ⅰの妥当性が0.70以上の基準を満たさない項目が存在することが明らかになりました。 bibgraph.hpcr(https://bibgraph.hpcr.jp/abst/pubmed/24482784)


感度と特異度が向上したわけです。


厳密に規格化・標準化された詳細なプロトコールにしたがってDC/TMDを実施することで、もっとも頻度の高いTMDについて、信頼性と妥当性が検証された診断基準に基づいて診断することができます。 quint-j.co(https://www.quint-j.co.jp/dictionaries/keyword/39875)


クインテッセンスのDC/TMD解説ページでは、信頼性と妥当性の詳細データが参照できます。


rdc/tmd criteriaの診断分類と病態の種類

RDC/TMDでは、顎関節症を3つのグループの状態に分けて分類しています。 shinbashishika(https://shinbashishika.com/blog/tmd-malocclusion/)


主な分類は以下の通りです。


- Ⅰ群:筋障害
- Ⅰa:筋筋膜痛咀嚼筋の3箇所以上の圧痛点
- Ⅰb:開口制限を伴う筋筋膜痛(無痛開口量40mm未満かつ強制開口で5mm以上の増加) orofacialpain.org(https://www.orofacialpain.org.uk/downloads/Temporomandibular%20Joint%20Disorders/RDC%20TMD%20diagnostic%20criteria.pdf)
- Ⅱ群:関節円板転位
- Ⅱa:復位性関節円板転位(開口時と閉口時のクリック音、開口時クリックが閉口時より5mm以上大きい切歯間距離で発生) orofacialpain.org(https://www.orofacialpain.org.uk/downloads/Temporomandibular%20Joint%20Disorders/RDC%20TMD%20diagnostic%20criteria.pdf)
- Ⅱb:開口制限を伴う非復位性関節円板転位(ロッキングの既往、無痛開口量35mm以下、強制開口での増加4mm以下) orofacialpain.org(https://www.orofacialpain.org.uk/downloads/Temporomandibular%20Joint%20Disorders/RDC%20TMD%20diagnostic%20criteria.pdf)
- Ⅱc:開口制限を伴わない非復位性関節円板転位(ロッキングの既往はあるが、無痛開口量35mm超) orofacialpain.org(https://www.orofacialpain.org.uk/downloads/Temporomandibular%20Joint%20Disorders/RDC%20TMD%20diagnostic%20criteria.pdf)
- Ⅲ群:顎関節痛変形性顎関節症


DC/TMD 2014では、主に側頭部に限局する顎機能障害に伴う頭痛が新たに追加されました。 shinbashishika(https://shinbashishika.com/blog/tmd-malocclusion/)


頭痛が診断項目に加わったのです。


これに伴い、「Journal of Oral & Facial Pain」は「Journal of Oral & Facial Pain and Headache」に名称を変更しています。 shinbashishika(https://shinbashishika.com/blog/tmd-malocclusion/)


dc/tmdの臨床現場での活用レベルと実践方法

DC/TMDシステムには、スクリーニング、一般歯科治療レベル、専門医レベルの3つのレベルが存在します。 shinbashishika(https://shinbashishika.com/blog/tmd/)


各レベルでの活用方法は以下のように異なります。


- スクリーニングレベル:一般歯科医療施設に来院する患者に対する初期評価
- 一般歯科治療レベル:一般臨床歯科医師が行うべき標準的な治療を実施 kokuhoken(https://kokuhoken.net/jstmj/publication/file/guideline/guideline_treatment_tmj_2025.pdf?20260205)
- 専門医レベル:複雑な症例や難治性のケースに対する高度な診断と治療


診断と治療は身体面だけではなく、心理・社会的要素に対しても行う必要があります。 kompas.hosp.keio.ac(https://kompas.hosp.keio.ac.jp/disease/000916/)


これが原則です。


顎関節症の診断は問診による病歴聴取と身体的な検査によって行い、必要に応じてレントゲン等の画像検査を実施します。 kompas.hosp.keio.ac(https://kompas.hosp.keio.ac.jp/disease/000916/)


開口量(自発、強制)を計り、下顎の運動経路、下顎頭の滑走状況を調べることで、症状を作り出している病態が関節にあるのか筋肉にあるのかを診断できます。 kompas.hosp.keio.ac(https://kompas.hosp.keio.ac.jp/disease/000916/)


確定診断にはMRIまたはCT検査が必要なケースもあります。 kokuhoken(https://kokuhoken.net/jstmj/medical/file/recently/tmd_diag_td_2019_dd.pdf)


日本顎関節学会の顎関節症治療の指針2025(PDF)には、DC/TMDに準拠した診察、検査、診断の具体的な手順が詳述されています。


診断の際には、咬合違和感症候群(occlusal discomfort syndrome: ODS)のような、患者は噛み合わせが合わないと感じるのに対し、臨床検査では歯科医師が咬合のズレを検出しないケースにも注意が必要です。 shinbashishika(https://shinbashishika.com/blog/tmd-malocclusion/)


臨床では見逃しやすい病態ですね。