根管内異物除去と病名の適切な記載方法

根管内異物除去を算定する際、保険請求で必要な病名は何か、具体的な記載ルールや算定要件を知っていますか。歯科医従事者が押さえるべきポイントを詳しく解説します。

根管内異物除去の病名

実は、根管内異物除去は病名がPulやPer以外なら「不適切病名」を付ける必要があります。


この記事の3ポイント
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算定には適切な病名が必須

根管内異物除去150点を請求するには、傷病名欄への正確な記載と摘要欄への詳細情報が求められます

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自院治療での異物は算定不可

保険医療機関が自ら行った治療に基づく異物の除去は、点数を算定できません

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顕微鏡加算には厳格な要件

手術用顕微鏡加算400点は、歯根長の根尖側2分の1以内に達する異物にのみ適用されます


根管内異物除去に必要な病名の基本ルール

根管内異物除去(I021)を算定する際、レセプトの傷病名欄にはPul(歯髄炎)やPer(根尖性歯周炎)以外の病名がある場合、「不適切病名」を付ける必要があります。 hhk(https://www.hhk.jp/member/hoken-seikyu-qa/shika/151115-070000.php)


これは保険請求上の重要なルールです。


具体的には、摘要欄に部位と除去した異物の種類(例:リーマーファイルスクリューポストなど)を記載しますが、傷病名部位欄から明らかに特定できる場合は摘要欄記載を省略できます。つまり、病名として「根管内異物」そのものを記載するのではなく、根管治療が必要な状態を示す傷病名(Pul、Per等)を用いるのが原則です。 hhk(https://www.hhk.jp/member/hoken-seikyu-qa/shika/151115-070000.php)


ただし、同一歯牙で他院での治療による根管内異物除去とFMC等の除去は併算定が可能です。レセプト審査では、病名と処置内容の整合性が厳しくチェックされるため、正確な記載が欠かせません。 hhk(https://www.hhk.jp/member/hoken-seikyu-qa/shika/151115-070000.php)


根管内異物除去の保険算定要件と点数

根管内異物除去の保険点数は1歯につき150点で、1回に限り算定できます。 shirobon(https://shirobon.net/medicalfee/latest/shika/r06_shika/r06s_ch2/r06s2_pa8/r06s28_sec1/r06s281_cls4/r06s2814_I021.html)


算定対象となる異物とは、根管内で破折しているため除去が著しく困難なもの、具体的にはリーマーやファイルなどの根管治療用器具を指します。単に根管内に残存しているだけでなく、「除去が著しく困難」という要件を満たす必要があります。 takimoto-shika(https://takimoto-shika.com/index.php?QBlog-20220113-1)


さらに重要なのは、当該保険医療機関における治療に基づく異物について除去を行った場合は、当該点数を算定できないという点です。つまり、自院で破折させたファイルを除去しても保険請求はできません。これは医療過誤のリスク管理上も重要な規定です。 shirobon(https://shirobon.net/medicalfee/latest/shika/r06_shika/r06s_ch2/r06s2_pa8/r06s28_sec1/r06s281_cls4/r06s2814_I021.html)


手術用顕微鏡加算として400点を所定点数に加算できますが、これには施設基準への届出が必要で、歯科用3次元エックス線断層撮影装置(歯科用CT)と手術用顕微鏡を用いた場合に限られます。ただし、歯根の長さの根尖側2分の1以内に達しない残留異物を除去した場合は、この加算を算定できません。根尖側2分の1以内という条件は、治療難易度の高さを反映したものです。 shirobon(https://shirobon.net/medicalfee/latest/shika/r06_shika/r06s_ch2/r06s2_pa8/r06s28_sec1/r06s281_cls4/r06s2814_I021.html)


根管内異物が残存した場合の対応判断

破折ファイルなどの異物が根管内に残っても、必ずしも除去が必要とは限りません。 towa-dental(https://www.towa-dental.com/blog/976-2/)


器具が完全に根管内に封じ込められ感染リスクがない場合、治療後に根管が適切に封鎖され再感染の兆候がない場合、レントゲンやCTで経過観察し長期間にわたり問題が起きていない場合は、そのまま様子を見ることも選択肢となります。除去処置自体が歯質を余分に削除する必要性があり、二次的に根を痛めてしまったり、将来歯根破折の可能性が高くなることもあるためです。 ecj.or(http://www.ecj.or.jp/%E6%A0%B9%E3%81%AE%E4%B8%AD%E3%81%AB%E7%95%B0%E7%89%A9%E3%81%8C%E6%AE%8B%E3%81%A3%E3%81%A6%E3%81%97%E3%81%BE%E3%81%A3%E3%81%A6%E3%81%84%E3%81%A6%E6%B2%BB%E7%99%82%E3%81%A7%E3%81%8D%E3%81%AA%E3%81%84/)


一方で除去を検討すべきケースもあります。器具が根管の未清掃部分に残っていると感染の温床になる可能性がある場合、治療後しばらくしてから痛みや腫れが生じた場合、レントゲンやCTで根尖部に黒い影(根尖病変)が確認された場合などです。判断基準のポイントは、症状の有無(痛み・腫れなど)、レントゲンやCTによる経過観察結果、感染リスクの有無の3点です。 towa-dental(https://www.towa-dental.com/blog/976-2/)


除去するか否かは、患者さんの症状・根管の状態・感染リスクの有無によって総合的に判断されます。


根管内異物除去の臨床的な難易度と成功率

根管内異物除去は、歯内療法の中でも特に高度な技術を要する処置です。 takimoto-shika(https://takimoto-shika.com/index.php?QBlog-20220113-1)


マイクロスコープ(手術用顕微鏡)の出現により、拡大視野下で使用できる器具が開発され、破折ファイルの摘出精度は飛躍的に向上しました。しかし、それでも除去は「とても、とても、とても難しい」とされています。 takimoto-shika(https://takimoto-shika.com/index.php?QBlog-20220113-1)


根管の湾曲度、異物の位置(特に根尖側2分の1以内)、異物の長さと太さ、周囲の歯質の状態などが除去の難易度を左右します。歯科用3次元エックス線断層撮影装置を用いて得られた画像診断の結果を踏まえ、手術用顕微鏡を用いて除去を行うことで、成功率は高まります。ただし、除去操作中にさらに深く押し込んでしまったり、根管壁を穿孔してしまうリスクも存在します。 shirobon(https://shirobon.net/medicalfee/latest/shika/r06_shika/r06s_ch2/r06s2_pa8/r06s28_sec1/r06s281_cls4/r06s2814_I021.html)


異物を全て除去することができない場合もありますが、治療することは可能です。つまり、除去の成否だけでなく、その後の根管充填と経過観察を含めた総合的な治療計画が重要です。 ecj.or(http://www.ecj.or.jp/%E6%A0%B9%E3%81%AE%E4%B8%AD%E3%81%AB%E7%95%B0%E7%89%A9%E3%81%8C%E6%AE%8B%E3%81%A3%E3%81%A6%E3%81%97%E3%81%BE%E3%81%A3%E3%81%A6%E3%81%84%E3%81%A6%E6%B2%BB%E7%99%82%E3%81%A7%E3%81%8D%E3%81%AA%E3%81%84/)


臨床では、除去を試みるリスクと利益を慎重に天秤にかけ、患者への十分なインフォームドコンセントが不可欠です。


根管内異物除去に関する法的責任と医療訴訟

具体的には、器具が破折して根管内に残った場合、歯科医師は速やかにその事実を患者に伝え、考え得る影響(感染リスクや予後への懸念)、対処法の選択肢(破折片を残した場合の経過観察、除去を試みる場合のリスクと利益)を説明する義務があります。説明を怠ったり、虚偽の説明をしたりした場合には、説明義務違反として損害賠償責任を負う可能性があります。 3tei(https://3tei.jp/news/rUYF4SCt)


また、患者の同意なく治療を進めたり、リーマーの破折片を残置した後の適切な対応を怠ったりした場合にも、過失が認定されることがあります。医療訴訟のリスクを減らすには、治療前の十分な説明と同意取得、破折時の速やかな報告と対応方針の共有、詳細な診療記録の作成が重要です。 medicalonline(https://www.medicalonline.jp/medcase/download?id=154)


訴訟に発展する前に、患者との信頼関係を築くことが最大の予防策ですね。