あなたの手袋先行、実は交差感染を広げます。

歯科診療では、唾液や血液の飛散が生じやすく、鋭利器材も多いため、標準予防策としてPPEを状況に応じて選ぶことが前提です。つまり飛散前提です。日本環境感染学会の歯科向け資料でも、唾液の飛散リスクが高い処置では、マスク、ゴーグルまたはフェイスシールド、ディスポエプロンなどを常時着用すると示されています。 pref.niigata.lg(https://www.pref.niigata.lg.jp/uploaded/attachment/101506.pdf)
着る順番の基本は、手指衛生のあとにガウンまたはエプロン、次にマスク、続いてゴーグルまたはフェイスシールド、最後に手袋です。これが原則です。PPEの外側表面は装着後に汚染面になりやすく、最後に手袋を着けることで、他の防護具の位置調整を素手の清潔な状態で終えられるからです。 safety.jrgoicp(https://www.safety.jrgoicp.org/img/download/ppe_catalog_2011/%E5%80%8B%E4%BA%BA%E7%94%A8%E9%98%B2%E8%AD%B7%E5%85%B7%EF%BC%88PPE%EF%BC%89%E3%81%AE%E7%9D%80%E8%84%B1%E3%81%AE%E6%89%8B%E9%A0%86%E4%B8%80%E8%A6%A7_%E6%8A%9C%E7%B2%8B_%E9%AB%98%E8%A7%A3%E5%83%8F%E5%BA%A6_%E8%A6%8B%E9%96%8B%E3%81%8D%E7%89%88.pdf)
外す順番は逆で、まず手袋、次にガウンやエプロン、続いてアイガード、最後にマスクの流れが基本です。結論は外し方です。群馬県医師会の資料でも、脱衣は汚染度の高い個人防護具から外すとされ、途中の手指衛生が明示されています。 gunma.med.or(https://www.gunma.med.or.jp/kansen/pdf/info_R408.pdf)
「手袋を先に着けておけば安全」と考えがちですが、歯科ではこの発想が逆効果になりやすいです。意外ですね。手袋装着後にマスクのノーズワイヤー、ゴーグルのつる、フェイスシールドのバンドに触れると、あとで顔の近くに来る部位へ自分で汚染を運ぶ動きになります。 nachc(http://www.nachc.org/wp-content/uploads/2020/06/PPE-Donning-and-Doffing-Procedure-Dental-3164_0.docx)
しかも、手袋は完全ではありません。日本環境感染学会の歯科資料では、手袋にはピンホールがあくことがあるため、外した後も手指衛生が必要と明記されています。 つまり、手袋を着けていたから手が安全という考えは危険で、患者ごとの交換と、その都度の手指衛生まで含めて初めて感染対策になります。 pref.niigata.lg(https://www.pref.niigata.lg.jp/uploaded/attachment/101506.pdf)
ここで数字を押さえたいところです。CDCガイドラインでは、HBsAg陽性かつHBeAg陽性血液による針刺し後の臨床的肝炎発症リスクは22%〜31%、血清学的にHBV感染が検出されるリスクは37%〜62%とされています。 高く見えますね。歯科は鋭利器材が多いので、順番の乱れが「ただの手順ミス」で済まない理由がここにあります。 nachc(http://www.nachc.org/wp-content/uploads/2020/06/PPE-Donning-and-Doffing-Procedure-Dental-3164_0.docx)
着る順番以上に事故が起きやすいのは、実は外す場面です。つまり汚染面対策です。使用後の手袋やガウンの外側は、唾液、血液、飛沫、粉塵が付いている前提で扱う必要があります。 multimedia.3m(https://multimedia.3m.com/mws/media/1872714O/covid19ppe.pdf)
だから最初に手袋を外します。手袋が基本です。最も汚染されやすい部位を先に除去し、その直後に手指衛生を挟むことで、次に外すガウンやアイガードへ汚染を持ち込むリスクを下げられます。 逆に、先にマスクへ手を伸ばすと、手袋や袖口の汚染を鼻口周囲へ近づけてしまい、まさに避けたい動線になります。 gunma.med.or(https://www.gunma.med.or.jp/kansen/pdf/info_R408.pdf)
N95を使う場面では、さらに例外があります。N95だけは例外です。3Mの資料では、N95マスクは汚染ゾーン外で外す流れが示され、装着時には毎回の漏れチェックも必要とされています。 歯科でエアロゾルが発生する手技を行う場合はN95とアイガードの着用が勧められており、外す順番も通常マスクと同列には扱えません。 tna.or(https://www.tna.or.jp/wp-content/uploads/2021/12/1e01e2a497f2b8b47c6765d000b8c5f7.pdf)
歯科では、エアタービンによる切削や超音波スケーラー使用時にエアロゾルが発生し、微小な粒子は肺胞まで到達しうるとされています。 ここが一般外来と違うところです。飛沫だけでなく、空気中に残る微粒子まで意識するため、PPEの順番と密着確認の重要度が一段上がります。 pref.niigata.lg(https://www.pref.niigata.lg.jp/uploaded/attachment/101506.pdf)
口腔外バキュームの活用も同時に考えたいところです。対策は組み合わせです。JADA 2021を引用した歯科感染対策資料では、口腔外バキュームは治療中に発生したエアロゾルを吸引し、患者と術者の吸入を防ぎ、チェアーユニットの汚染範囲も縮小できるとされています。 つまり、PPEを正しい順番で着るだけでなく、発生源対策を組み合わせるほど、あとで外すときの汚染量も減らせるわけです。 pref.niigata.lg(https://www.pref.niigata.lg.jp/uploaded/attachment/101506.pdf)
もう一つ見落としやすいのが、手袋前の手指衛生です。手袋前が条件です。北海道大学病院の歯科診療センター資料でも、手袋着用前に必ず手洗い・手指消毒を行い、治療後に手袋を外した後も直ちに手洗いするとされています。 「どうせ手袋をするから省略」は、歯科ではかなりまずい省略です。 www2.huhp.hokudai.ac(https://www2.huhp.hokudai.ac.jp/~ict-w/manual(ver.7)page/manual(ver.7)/15.03)shikashinryousennta211014.pdf)
現場で順番が崩れる一番の原因は、知識不足より動線不良です。ここが盲点です。診療前にPPEを取る場所、装着する場所、外す場所、廃棄場所が離れていると、途中でマスクに触れる、未使用物品に触れる、処置室のドアノブに触れるといった余計な動作が増えます。 nachc(http://www.nachc.org/wp-content/uploads/2020/06/PPE-Donning-and-Doffing-Procedure-Dental-3164_0.docx)
そこで有効なのが、場面を固定して1動作で終える整え方です。つまり準備の順です。たとえば「エアロゾル処置前の交差感染リスクを減らす」という場面なら、「装着のやり直しを減らす」を狙いに、「PPE一式を患者ごとに同じ並びでトレー横へ置く」という1つの行動が候補になります。 これなら新人教育でも再現しやすく、時間ロスも減らせます。 gunma.med.or(https://www.gunma.med.or.jp/kansen/pdf/info_R408.pdf)
チェック項目は多く見えますが、実際に覚えることは絞れます。順番だけ覚えておけばOKです。着るときは「手指衛生→ガウン→マスク→アイガード→手袋」、外すときは「手袋→ガウン→アイガード→マスク」、N95は外す場所の例外に注意、この3点でかなり事故は減らせます。 safety.jrgoicp(https://www.safety.jrgoicp.org/img/download/ppe_catalog_2011/%E5%80%8B%E4%BA%BA%E7%94%A8%E9%98%B2%E8%AD%B7%E5%85%B7%EF%BC%88PPE%EF%BC%89%E3%81%AE%E7%9D%80%E8%84%B1%E3%81%AE%E6%89%8B%E9%A0%86%E4%B8%80%E8%A6%A7_%E6%8A%9C%E7%B2%8B_%E9%AB%98%E8%A7%A3%E5%83%8F%E5%BA%A6_%E8%A6%8B%E9%96%8B%E3%81%8D%E7%89%88.pdf)
手順全体の図解がまとまっている参考資料です。歯科向けCDC資料の全体像も確認できます。
歯科医療における感染管理のためのCDCガイドライン
歯科診療での標準予防策、PPE、エアロゾル対策を1本で確認できる参考資料です。患者ごとの交換や手指衛生の位置づけが整理されています。
歯科診療における感染対策