鋭利器材処理の基本と安全な廃棄方法

歯科医療従事者が知るべき鋭利器材処理の正しい手順と廃棄容器の使い方を詳しく解説します。針刺し事故を防ぐための具体的な対策やリキャップ禁止の理由、感染性廃棄物の分別方法を理解していますか?

鋭利器材処理の基本手順と廃棄方法

リキャップ時の針刺し事故は全体の25.6%を占める。


この記事の3つのポイント
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廃棄容器は8割で交換が原則

針捨てボックスは容量の8割で処分しないと針刺し事故のリスクが高まります

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リキャップ禁止の徹底が重要

日本では針刺し事故の25.6%がリキャップ時に発生しており、米国の3.4%と比較して極端に多い状況です

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バイオハザードマークの色分け

鋭利器材は黄色マークの耐貫通性容器に廃棄することで安全に処理できます


鋭利器材処理における針刺し事故の実態


歯科医療現場では、注射針やメス、スケーラーなどの鋭利器材を日常的に扱います。これらの器材を適切に処理しないと、深刻な職業感染のリスクが生じます。医療従事者の血液暴露事故の80%以上が針刺し事故によるものです。


国際比較のデータを見ると、日本の針刺し事故には特徴的な傾向があります。使用後の針先に蓋をする「リキャップ」時の事故が全体に占める比率は、米国の3.4%に対し日本では25.6%と極端に多い状況です。つまり、日本の医療現場では約4件に1件がリキャップ時に発生しているということですね。


歯科医療の特性として、鋭利な器材を使用する頻度が特に高いという問題があります。口腔内という細菌が多く存在する環境で、唾液や血液といった感染リスクの高いものを取り扱いながら治療を進めるため、他の診療科よりも注意が必要です。EPINetでの1996-1998年の統計では、日本において針刺し事故が多い器具として、中空針では注射器が37%、翼状針が28%、留置針が9%を占めています。


日本の針刺し事故の特徴と国際比較データ


針刺し事故による感染リスクは病原体によって異なります。CDCの報告では、HBs抗原陽性者からの針刺し事故においてHBe抗原陽性の場合の感染率は37~62%、HCVキャリアの場合の感染率は平均1.8%、HIVキャリアでは0.3%とされています。


感染確率はHBVが最も高いです。


職業感染を防ぐには、まず事故発生のメカニズムを理解する必要があります。調査によると、針刺し事故発生時の状況と件数は、器具片づけ中が28件(25.2%)、リキャップ時が14件と報告されています。つまり廃棄プロセスにおける事故が多いということですね。


鋭利器材の廃棄容器の正しい選定と使用法

鋭利器材を安全に処理するには、適切な廃棄容器の選定と使用方法が不可欠です。環境省のマニュアルでは、注射針やメス等の鋭利なものは、金属製またはプラスチック製等で危険防止のために耐貫通性のある堅牢な容器を使用することが定められています。


耐貫通性容器の条件として、針や刃物で容易に破られない硬質な材質(例えば厚手のプラスチック製)であることが求められます。ダンボール製などの廃棄容器は鋭利器材が突き抜ける可能性があり、受傷リスクが高まります。


これは基本です。


廃棄容器の投入口の形状も重要なポイントです。開放型バケツの形状は受傷リスクが高く、また廃棄容器に注射器から針を取り外すなどの分解機構がある場合、手順等が増え針刺しリスクを高めることが指摘されています。投入口は針を自然に投入することができる形状になっている必要があります。


容器の交換タイミングについて、多くの医療従事者が誤解しているポイントがあります。針廃棄容器は容量の8割程度に達したら処分するのが原則です。満杯になるほど使用済み注射針が入っていると、針が飛び出してしまい針刺し事故の原因となります。環境省のマニュアルや多くの院内規定では、容量の「8割程度」を目安に容器を交換することが推奨されています。


廃棄容器の設置場所も事故防止に影響します。鋭利器材専用の廃棄容器の設置場所を確認し、十分な数を用意する必要があります。病棟に廃棄容器を持参しやすいように、カートに廃棄容器設置場所を固定するなどの工夫をすることで、処置の現場で即座に廃棄できる環境を整えられます。


針等の鋭利器材を使用する場合には、携帯用針廃棄容器を持参することが推奨されています。ワゴン等で運搬する場合には、ワゴンの上段は清潔エリアのため、下段に配置するのがルールです。容器から鋭利器材が飛び出していないかを確認することも忘れないでください。


鋭利器材専用廃棄容器の安全基準と選び方


廃棄容器に器材を入れる際の受傷職種は「看護師(65.3%)」および「医師/研修医(17.8%)」で8割以上を占めています。不適切な容器から突き出ていた器材での受傷は看護師に多い傾向があります。適切な容器管理が職業感染予防の鍵となります。


鋭利器材処理でリキャップ禁止が徹底される理由

リキャップ禁止は針刺し事故防止の基本中の基本ですが、現場では徹底されていないケースが少なくありません。医療従事者は患者に使用、未使用にかかわらず、鋭利なものはリキャップをしてはいけません。


スタンダードプリコーションにおける血液体液の暴露事故を防止する目的でリキャップ禁止とされています。患者さんに使用した針のリキャップ禁止はもちろんですが、清潔な針のリキャップも禁止することで、リキャップの癖をつけないように習慣化することも目的としているのです。


どうしてもリキャップしなければならないときは、片手で行う方法があります。これはワンハンドテクニックと呼ばれ、針のキャップを平らな場所に置き、片手で針を挿入してからキャップを持ち上げる方法です。両手を使うリキャップと比較して針刺しリスクを大幅に減らせます。


局所浸潤麻酔などの操作の合間に注射器を置く場合の対応も重要です。この場合でも基本的にはリキャップせず、トレイなどの安全な場所に置くか、すぐに廃棄容器に入れるべきです。処置中であっても使用後の針は直ちに廃棄するのが原則です。


安全装置付き器材の導入もリキャップ禁止を徹底する有効な手段です。国内での安全器材の普及に伴い、翼状針および静脈留置針では100%の導入率を達成した施設も報告されています。安全装置付き器材を使用する場合は、装置をきちんと最後まで作動させることが重要です。


歯科診療所では、鋭利な器材の取り扱いに関するルールを明文化し、スタッフ全員に周知することが求められます。採血用、注射用針はリキャップせず、使用直後に針廃棄ボックスに捨てるという手順を徹底することで、日本特有の高いリキャップ事故率を下げられます。


標準予防策における鋭利器材の取り扱い指針


注射針や鋭利器材は、使用後直ちに耐貫通性の容器に廃棄することが標準予防策の基本です。針を人に手渡しすることも避けるべき行為に含まれます。


感染性廃棄物のバイオハザードマーク色分けルール

鋭利器材を含む感染性廃棄物は、バイオハザードマークの色によって種類分けされています。正しい分別を行うことで、処理業者や清掃スタッフの安全を守ることができます。


黄色のバイオハザードマークは、血液や汚染物が付着した鋭利な感染性廃棄物を示します。注射針やメスの刃、ガイドワイヤー、シース、アンプルなどが該当します。歯科診療では、注射器やスケーラー、エキスカベーターなどの鋭利な器具がこれに当たります。


赤色のバイオハザードマークは、液状・泥状の廃棄物を表します。手術などで発生する大量の血液、血液製剤、体液などが該当します。密閉性が高く、廃液などが漏洩しない容器である必要があります。


橙色のバイオハザードマークは、血液等の付着した固形物を示します。血液や体液が付着したガーゼ、コットン、手術用手袋などが該当します。歯科診療では、抜去した歯や血液が付着したガーゼなどがこれに分類されます。


針付き輸液セット(ルート)は、針部分を切り離さずまとめて黄色のバイオハザードマークへ廃棄します。これは切り離し作業中の針刺し事故を防ぐためです。血液に汚染されたシリンジやルートと輸液バックなどプラスチック類は、液垂れを防ぐためビニール袋に入れ、外した手袋もビニール袋に入れ密封して搬送し、感染性廃棄物容器に廃棄します。


感染性廃棄物のバイオハザードマーク詳細ガイド


バイオハザードマークの表示は現時点では義務にはなっていませんが、付けない場合は【感染性廃棄物】と文字などで明記する必要があります。全国で広く使用されていることから、表示が推奨されています。


容器は色ごとのリスクに応じ、赤は密閉容器、橙は丈夫なプラスチック袋、黄は耐貫通性容器を使用します。廃棄物の詰めすぎは破袋の原因となるため、容器容量の7~8割を目安に封をすることが正しい処理方法です。


感染性廃棄物の分別を誤ると、処理業者や清掃スタッフが予期せぬ針刺し事故に遭う危険があります。非感染性であっても鋭利なものは、すべてを感染性廃棄物(血液・体液汚染と鋭利器材)として扱い、確実に分別・廃棄を行なうことが求められます。


鋭利器材の洗浄から滅菌までの安全な処理工程

鋭利器材を再使用する場合は、洗浄・消毒・滅菌の適切な処理が必要です。この工程における安全対策も職業感染防止の重要なポイントです。


血液や体液等が付着した使用済み器材の洗浄作業は、飛沫による粘膜曝露や鋭利器材による切創の危険性があります。インスツルメントやハサミなど、先端の鋭利な器具の手洗いによる洗浄は、切創のリスクだけでなく、感染の原因になる危険性があります。


器材の再処理は、現場での一時洗浄・消毒処理は行わず、できる限り中央材料部での一括処理をするのが安全です。安全性、効率性、器材との適応性、費用などを考慮して洗浄方法を選択する必要があります。


自動洗浄装置であるウォッシャーディスインフェクターの使用が推奨されます。洗浄・消毒作業を全自動で行う器具を用いることで、手作業での切創リスクを大幅に低減できます。複雑に入り組んだ器材の目に見えない部分まで短時間に洗浄することが可能です。


使用済み器材の取り扱いにおいては、必ず手袋を着用することが基本です。鋭利器材を取り扱う際には、物品の準備、配置、操作手順を確認することが重要です。清潔野に鋭利物を展開する際は整理整頓をし、鋭利物が視認しやすくすることで受傷を防げます。


細かい部位や鋭利な器材はブラシなどを使用して予備洗浄を行い、血液・タンパク質などを除去します。すぐに洗浄できないときには、凝固防止スプレーによる乾燥・凝固の防止が有効です。器材を医療用洗浄液に浸け、血液のタンパクを分解したり、こびりついた汚れをやわらかくすることで汚れを除去する浸漬洗浄をまず行ないます。


歯科医療器材の洗浄・消毒・滅菌の標準手順


超音波洗浄を併用することで洗浄効果を高めることができます。血液やタンパク質などの汚れに対しては、浸漬洗浄の後に超音波洗浄を行うことで洗浄効果を向上させられます。


ウォッシャーディスインフェクター使用時の注意点として、内腔が細い器具類の内部は完全に乾燥できない場合があるので、清浄な圧縮空気等を用いて内部に残留する水分を完全に除去してから滅菌を行います。器材に水分がある場合は、厚手のディスポーザブルタオル、ガーゼを用いて完全に除去してください。


洗浄・消毒・滅菌について、器材別の処理方法を理解し、スポルディングの分類に従って最終処理方法を決定します。速やかに洗浄できない場合でも、蛋白除去剤に浸漬後に超音波洗浄器にかける方法で問題ありません。一般的には用手洗浄を追加する必要はありませんが、ごく一部の複雑な形状の器材では追加が必要な場合もあります。


歯科診療所で実践すべき鋭利器材管理の独自視点

歯科診療所における鋭利器材処理には、一般病院とは異なる独自の課題と対策があります。小規模な診療所だからこそできる、きめ細かな管理体制の構築が重要です。


歯科特有の鋭利器材として、バー、リーマーファイル、スケーラー、エキスカベーター、鋭匙などがあります。これらの器材は形状が複雑で、先端が極めて鋭利なため、取り扱い時の注意が必要です。歯科用医療器具の再生処理時は、切創事故を防ぐために、スケーラー・バー・リーマーなどの鋭利な器具の取り扱いに十分注意が必要です。


スタッフ教育の重要性は、小規模診療所ほど高まります。歯科診療所では、鋭利な器材を使用する頻度が高く、口腔内という細菌が多く存在する環境で、唾液や血液といった感染リスクの高いものを取り扱いながら治療を進めます。そのため、すべてのスタッフが適切な鋭利器材処理の手順を理解し、実践できる体制が不可欠です。


廃棄容器の配置計画を診療室のレイアウトに合わせて最適化することで、事故を減らせます。チェアサイドに携帯用の針廃棄容器を設置し、処置後すぐに廃棄できる環境を整えることが理想的です。歯科診療は患者が移動せず治療が行われるため、各チェアに専用の廃棄容器を配置するのが効率的です。


感染性廃棄物の保管場所についても工夫が必要です。歯科診療所では、注射針など鋭利な物は、専用の耐貫通性の容器に安全に廃棄し、容器は8割程度一杯になったら新しいものと交換します。保管容器ごと処理施設に搬入され、焼却または溶融処理されるため、保管時の安全性も確保する必要があります。


廃棄物処理業者との連携も重要なポイントです。感染性産業廃棄物の許可のある特別管理産業廃棄物処理業者と契約し、定期的な回収体制を確立することで、診療所内での長期保管を避けられます。契約時には、廃棄物の種類、量、回収頻度などを明確にしておくことが大切です。


デジタル技術を活用した管理システムの導入も検討すべきです。廃棄容器の使用開始日、組立者、交換日を記録できるシステムを導入することで、適切な管理サイクルを維持できます。バイオハザードマーク(黄色)を記載した容器には、使用開始日・組立者の記載欄が付いているものを選ぶと管理しやすくなります。


スタッフの定期的な健康診断と予防接種も鋭利器材管理の一環として重要です。万が一針刺し事故が発生した場合に備え、B型肝炎ワクチンの接種を全スタッフに実施し、抗体価を定期的に確認することで、職業感染のリスクを最小限に抑えられます。


針刺し事故発生時の対応マニュアルを診療所内に整備し、すぐにアクセスできる場所に掲示しておくことも大切です。事故発生時の初期対応、報告先、医療機関の受診、フォローアップの流れを明確にしておくことで、万が一の際にも適切な対応ができます。


コスト管理の視点も忘れてはいけません。安全装置付き器材や自動洗浄装置の導入にはコストがかかりますが、針刺し事故による医療費、労働損失、精神的負担を考えると、予防への投資は長期的に見て経済的です。診療所の規模や処置内容に応じて、優先順位をつけて段階的に導入していく計画を立てると良いでしょう。


これらの対策を組み合わせることで、歯科診療所における鋭利器材処理の安全性を総合的に高めることができます。小規模だからこその機動性を活かし、スタッフ全員が主体的に安全管理に関わる文化を育てることが、最も効果的な対策となります。






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