bronj 歯科 ビスホスホネート製剤関連顎骨壊死の予防と対応

BP製剤を服用中の患者が抜歯を受けると、顎骨壊死(BRONJ)のリスクが高まることをご存じですか?発生機序や診断基準、リスク因子を理解し、適切な予防と治療対応を行うことが歯科従事者には求められます。最新のガイドラインに基づく実践的なアプローチとは?

bronj 歯科におけるビスホスホネート製剤と顎骨壊死

BP製剤の休薬では顎骨壊死を予防できない。


3ポイント要約
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BRONJとは

ビスホスホネート(BP)製剤投与患者が抜歯などの侵襲的歯科治療後に顎骨壊死を発症する病態で、発生機序は未だ完全に解明されていない

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発生率とリスク

経口BP製剤では0.01~0.04%、抜歯などの外科処置後は0.09~0.34%で発生し、静注製剤では1.6~32.1%と高リスク

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予防の鍵

薬剤投与前の口腔内診査と必要な歯科治療の完了、投与中の徹底した口腔衛生管理が最も重要な予防策


bronj 歯科におけるビスホスホネート製剤の作用機序

ビスホスホネート(BP)製剤は、破骨細胞の活動を阻害することで骨吸収を抑制する薬剤です。骨粗鬆症、変形性骨炎、腫瘍の骨転移、多発性骨髄腫などの治療に広く用いられています。BP製剤は骨のハイドロキシアパタイト結晶と強い親和性があり、骨石灰化面に付着する特性を持ちます。 ikeda-shikaiin(https://ikeda-shikaiin.com/diary-blog/blog/1998)


この薬剤の特性が、歯科治療において特殊な問題を引き起こします。抜歯やインプラント手術などの侵襲的処置により、顎骨が直接口腔内に露出すると感染を受けやすくなるのです。BP製剤を継続的に服用している患者では、この感染が顎骨壊死(BRONJ)につながることがわかっています。 jsbmr.umin(https://jsbmr.umin.jp/guide/pdf/bronjpositionpaper2012.pdf)


BRONJの発生機序は未だに明確にされていません。これがBP系薬剤の処方医師と歯科医師の間で不安が広がっている大きな原因の一つとなっており、慎重な対応が求められています。顎骨にのみ発生するという特殊性を考慮した管理が必要です。 perio(https://www.perio.jp/publication/upload_file/position_paper_bisphos.pdf)


bronj 歯科における診断基準と臨床症状

BRONJの診断には、以下の3項目の診断基準を満たす必要があります。第一に、現在あるいは過去にBP製剤による治療歴があること。第二に、顎骨への放射線の照射歴がないこと。第三に、口腔・顎・顔面領域に骨露出や骨壊死が8週間以上持続していることです。 k-dc(https://www.k-dc.net/column/685)


骨露出が見られない場合や、骨露出が8週間以下の場合でも、臨床経過や臨床症状が該当する場合はBRONJと診断することがあります。つまり診断には柔軟性が必要です。 k-dc(https://www.k-dc.net/column/685)


初期症状として、歯の痛み、歯肉の腫れ、顎の違和感などが1カ月以上続く場合、BRONJの前兆である可能性があります。やがて顎の骨の一部が腐って(壊死して)、露出してくることがあります。BRONJは2003年に米国で初めて報告された新しい病気であり、比較的最近認識された疾患です。 h.fdcnet.ac(https://h.fdcnet.ac.jp/mimiyori/dentistry/page37)


bronj 歯科治療における発生率とリスク因子

経口BP製剤によるBRONJの発生頻度は0.01~0.04%、抜歯などの外科処置を行った場合は0.09~0.34%と報告されています。これは一般人口集団に見られるONJ発症率(0.001%未満)よりもわずかに高い程度です。 tosu-motomachishika(https://www.tosu-motomachishika.com/blog/post-12/)


しかし、静注BP製剤を使用している患者では状況が大きく異なります。がんの骨転移治療で使用される高用量BP製剤では、1.6~32.1%という極めて高い発症率が報告されており、60人に1人という計算になります。呉市での調査では、10万人あたり1609人の発症が確認されました。これは非常に高いリスクです。 chuo.kcho(https://chuo.kcho.jp/app/wp-content/uploads/2023/09/9cd5841dbdd41fac5b27c9abba4f5246.pdf)


リスクが特に高くなる状況として、長期使用(3年以上)、静注製剤の使用、抜歯やインプラント手術などの外科的侵襲、口腔衛生不良が挙げられます。日本のレセプトデータによると、低用量BP使用患者での発症率は10万人あたり135.5人(740人に1人)であるのに対し、ARA未使用患者では10万人あたり5.1人(20000人に1人)でした。この差は明らかです。 kenkyugakuenshika(https://kenkyugakuenshika.com/news/%E6%8A%9C%E6%AD%AF%E3%81%AE%E3%81%A8%E3%81%8D%E3%81%AB%E9%A1%8E%E9%AA%A8%E5%A3%8A%E6%AD%BB%EF%BC%88bronj%EF%BC%89%E3%81%AE%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%82%AF%E3%81%82%E3%82%8B%E8%96%AC/)


bronj 歯科における休薬の是非と最新エビデンス

従来、抜歯前にBP製剤を2~3カ月間予防的に休薬する方法が有効ではないかと考えられていました。しかし、最新のポジションペーパー2023では、原則として抜歯時に骨吸収抑制薬を休薬しないことを提案しています。 tanidashika(https://www.tanidashika.jp/blog/2025/07/24/121563/)


休薬のメリット(MRONJ発症率の減少)が明らかではなく、デメリットが考えられるためです。短期間の休薬であれば脆弱性骨折の予防効果が著しく低下するわけではありませんが、患者が再開を希望しないと骨折のリスクが高まります。これは重大な問題です。 honetoha(https://honetoha.jp/info/0576/)


BP製剤の休薬がBRONJ発生を予防するという明らかなエビデンスは得られていません。すでに薬を服用している人でも歯科治療を受診するべきであり、休薬しても症状が改善するとは限りません。命に関わる疾病に使う薬のため服用をやめるのは難しく、治療を進める上では医師と歯科医師の連携は欠かせません。 shika-implant(https://www.shika-implant.org/shika/wp-content/uploads/2024/05/gakujutucontents_14.pdf)


ただし、静注BP(特に悪性腫瘍関連)を使用している場合や、長期間(4年以上)の経口BP使用者で糖尿病やステロイド使用などのリスク因子がある場合には、休薬を考慮することもあります。個別のリスク評価が必要です。 kenkyugakuenshika(https://kenkyugakuenshika.com/2025/02/26/bp%E8%A3%BD%E5%89%A4%E3%81%AF%E4%BC%91%E8%96%AC%E3%81%99%E3%82%8B%E3%81%B9%E3%81%8D%E3%81%8B%EF%BC%9Fbp%E8%A3%BD%E5%89%A4%E3%82%92%E9%A3%B2%E3%82%93%E3%81%A7%E3%81%84%E3%82%8B%E6%96%B9%E3%81%B8/)


日本口腔外科学会「顎骨壊死検討委員会ポジションペーパー2023」
休薬に関する最新の医学的見解と具体的な治療指針が詳細に記載されており、歯科従事者が判断する際の重要な参考資料となります。


bronj 歯科における予防戦略と口腔管理

BRONJの予防において最も重要なのは、BP製剤投与前の口腔内診査と必要な歯科治療の完了です。2023年版の重篤副作用疾患別対応マニュアルでは、薬剤開始前に必ず歯科医師による口腔内診査と必要な歯科治療を推奨しています。可能であれば歯科治療が終了し、口腔状態の改善後にBP製剤投与を開始することが理想です。 blanc-dental(https://blanc-dental.jp/column/mronj/)


投与中の患者に対しては、適切なブラッシング、フロス洗口液の使用、歯石除去を徹底し、感染防止と血流の改善を図ることで予防効果を上げることが大切です。口腔清掃を徹底することにより、BRONJ発生頻度を低下させることができると考えられています。 blanc-dental(https://blanc-dental.jp/column/mronj/)


侵襲的歯科治療を行う際は、治療前に十分に口腔清掃をおこない口腔内細菌数の減少を図ることが重要です。投与期間が3年未満でかつ他にリスクファクターがない場合、侵襲的歯科治療を行なっても差し支えはありません。BP製剤の休薬は原則として不要です。 jsoms.or(https://www.jsoms.or.jp/medical/pdf/work/guideline_202307.pdf)


個々の症例への対応は、医療チーム(医師、歯科医師/口腔外科医、薬剤師、看護師、歯科衛生士)による連携が必要です。患者に口腔衛生状態を良好に保つことの重要性を認識させると同時に、口腔診査によりBRONJのリスクファクターとなる要因をチェックしておくことが重要です。これが基本です。 shika-implant(https://www.shika-implant.org/shika/wp-content/uploads/2024/05/gakujutucontents_14.pdf)


bronj 歯科治療における侵襲的処置の判断基準

BP製剤を服用している患者への歯科治療方針は、投与期間とリスクファクターの有無によって決定されます。投与期間が3年未満でかつ他にリスクファクターがない患者では、侵襲的歯科治療を行なっても差し支えありません。 kato.or(https://www.kato.or.jp/question/5740/)


BRONJの契機となった歯科治療として、抜歯が最も多く、その他にインプラント埋入手術義歯装着、ブリッジ装着などが報告されています。BRONJの発生リスク要因は、顎骨に対して侵襲がある行為(抜歯など)です。どういうことでしょうか? ikeda-shikaiin(https://ikeda-shikaiin.com/diary-blog/blog/1998)


抜歯などの侵襲的歯科治療により、顎骨は直接口腔内に露出して感染を受けやすくなります。BP製剤を投与されている患者では、この感染が顎骨壊死につながるリスクが高まるのです。そのため、侵襲的処置を行う前には、患者の投与期間、リスクファクター、全身状態を総合的に評価する必要があります。 jsbmr.umin(https://jsbmr.umin.jp/guide/pdf/bronjpositionpaper2012.pdf)


BP製剤内服期間が4年以上の場合は、全身状態が許せれば休薬したのち抜歯を行うのが望ましいとする意見もあります。休薬期間は最終投与から2か月の休薬が推奨されていました。ただし、最新のガイドラインでは休薬の是非について見直しが進んでいます。厳しいところですね。 osugi-dc(https://osugi-dc.com/blog/oral-surgery/972/)


bronj 歯科における医科歯科連携の実践

BP製剤を服用している患者の歯科治療では、医科歯科連携が不可欠です。歯科治療の前に飲んでいる薬を教えてもらうことが第一歩となります。骨粗鬆症の方や関節リュウマチの方はBP製剤を服用していることがあるため、問診時に必ず確認する必要があります。 h.fdcnet.ac(https://h.fdcnet.ac.jp/mimiyori/dentistry/page37)


処方医師との情報共有も重要です。BP製剤の種類(経口か静注か)、投与期間、投与量、併用薬、全身状態などの情報を把握することで、適切なリスク評価が可能になります。静注BP製剤を使用している患者では、経口製剤よりも格段にリスクが高いため、特に慎重な対応が求められます。 kenkyugakuenshika(https://kenkyugakuenshika.com/2025/02/26/bp%E8%A3%BD%E5%89%A4%E3%81%AF%E4%BC%91%E8%96%AC%E3%81%99%E3%82%8B%E3%81%B9%E3%81%8D%E3%81%8B%EF%BC%9Fbp%E8%A3%BD%E5%89%A4%E3%82%92%E9%A3%B2%E3%82%93%E3%81%A7%E3%81%84%E3%82%8B%E6%96%B9%E3%81%B8/)


医療チームには医師、歯科医師/口腔外科医、薬剤師、看護師、歯科衛生士が含まれます。各専門職が連携して、患者の口腔衛生管理、リスク評価、治療計画の立案、経過観察を行うことが、BRONJ予防の鍵となります。患者教育も重要な要素です。 shika-implant(https://www.shika-implant.org/shika/wp-content/uploads/2024/05/gakujutucontents_14.pdf)


BP製剤を飲んでいることは抜歯前に歯科医師に必ず申告するよう、患者に伝える必要があります。これにより、適切な予防措置を講じることができ、BRONJ発症リスクを最小限に抑えることが可能になります。これは使えそうです。 kenkyugakuenshika(https://kenkyugakuenshika.com/2025/02/26/bp%E8%A3%BD%E5%89%A4%E3%81%AF%E4%BC%91%E8%96%AC%E3%81%99%E3%82%8B%E3%81%B9%E3%81%8D%E3%81%8B%EF%BC%9Fbp%E8%A3%BD%E5%89%A4%E3%82%92%E9%A3%B2%E3%82%93%E3%81%A7%E3%81%84%E3%82%8B%E6%96%B9%E3%81%B8/)


日本歯周病学会「ビスフォスフォネート関連顎骨壊死に対するポジションペーパー」
医科歯科連携の具体的な手順と、各職種の役割について詳しく解説されており、チーム医療を実践する上での実用的な指針が得られます。