在宅歯科医療と介護保険の仕組みを歯科医師が徹底解説

在宅歯科医療に介護保険はどう関わるのか?算定区分、訪問先の種別判断、2024年改定のポイントまで、歯科従事者が知っておくべき保険請求の実務を解説。あなたのクリニックは正しく算定できていますか?

在宅歯科医療と介護保険の基礎と算定実務

「特養に入所している患者さんにも介護保険で居宅療養管理指導を請求できると思っていたら、全額返還を求められた。」 tokushimacity-dental(https://www.tokushimacity-dental.com/index.php/home-visit/about-care)


🦷 この記事の3ポイント
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医療保険と介護保険の使い分け

訪問歯科では「治療」は医療保険、「口腔管理指導」は介護保険優先が原則。ただし訪問先の施設種別によってルールが変わります。

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施設種別で算定が180°変わる

特養・老健などの介護保険施設に入所中の患者は、介護保険での算定不可。すべて医療保険での対応になります。

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2024年改定で点数体系が再編

歯科訪問診療料の区分が再編され、「歯科訪問診療料1」は診療時間を問わず1,100点で算定可能に。口腔連携強化加算など新項目も創設。


在宅歯科医療における介護保険の基本的な位置づけ


在宅歯科医療において介護保険が適用されるのは、「治療行為」ではなく「口腔管理・指導」の場面です。 歯科訪問診療そのもの(診察・処置)は医療保険で請求し、そのあとに行う継続的な口腔機能管理や療養上の指導が介護保険の「居宅療養管理指導」に該当します。 hattorishika(https://hattorishika.jp/column/238/)


介護保険の被保険者(原則65歳以上、または40〜64歳で特定疾病のある方)に対して、居宅や居住系施設で指導を行う場合、原則として介護保険を優先しなければなりません。 これを「介護保険優先の原則」と呼びます。 net-dental.co(https://net-dental.co.jp/dn_dental_post/%E6%AD%AF%E7%A7%91%E8%A8%AA%E5%95%8F%E8%A8%BA%E7%99%82%E7%AE%97%E5%AE%9A%E6%96%B9%E6%B3%95%E7%90%86%E8%A7%A3-%E5%9F%BA%E7%A4%8E%E3%81%9D%E3%81%AE1%EF%BC%88%E5%8C%BB%E7%99%82%E4%BF%9D%E9%99%BA%E3%81%AE/)


つまり原則です。医療保険で代替して算定することは認められていません。


患者から「介護保険は使わなくていい」と言われたとしても、算定ルール上は介護保険優先が維持されます。 ただし、介護保険証を持っていない方や医師が常駐する施設への訪問など、適法に医療保険のみで算定できるケースも存在します。 dentis-cloud(https://dentis-cloud.com/blog/45ld2jz9xl1q)


訪問先の施設種別と在宅歯科医療の保険算定判断

在宅歯科医療で最も混乱しやすいのが、訪問先の施設種別による算定区分の違いです。 判断基準は大きく「居住している場所かどうか」「一時的に入所・入院しているか」「医師が常駐しているか」の3つです。 net-dental.co(https://net-dental.co.jp/dn_dental_post/%E6%AD%AF%E7%A7%91%E8%A8%AA%E5%95%8F%E8%A8%BA%E7%99%82%E7%AE%97%E5%AE%9A%E6%96%B9%E6%B3%95%E7%90%86%E8%A7%A3-%E5%9F%BA%E7%A4%8E%E3%81%9D%E3%81%AE1%EF%BC%88%E5%8C%BB%E7%99%82%E4%BF%9D%E9%99%BA%E3%81%AE/)


| 訪問先の種別 | 居宅療養管理指導(介護保険)の算定 |
|---|---|
| 自宅・有料老人ホーム・サ高住・グループホーム | ✅ 算定可能 |
| 特別養護老人ホーム(特養) | ❌ 医療保険のみ |
| 介護老人保健施設(老健) | ❌ 医療保険のみ |
| 介護医療院・病院(入院中) | ❌ 医療保険のみ |


施設介護サービスにおける歯科の介護サービスは現在のところ制度上に位置づけられていないため、特養・老健・病院の入所者は全て医療保険での取り扱いとなります。 tokushimacity-dental(https://www.tokushimacity-dental.com/index.php/home-visit/about-care)


厳しいところですね。


「有料老人ホームなら介護保険OK」「特養はNG」という区分は、歯科医院側が意識的に把握していないと算定ミスに直結します。 訪問前に施設の種別を必ず確認し、ケアマネジャーから施設情報を得る習慣をつけることが、不正請求リスクを防ぐ第一歩です。 showa-d-dousou(https://www.showa-d-dousou.jp/infomation/wp-content/uploads/2021/06/v27.pdf)


参考:施設種別ごとの算定可否について(昭和大学歯科同窓会)
https://www.showa-d-dousou.jp/infomation/wp-content/uploads/2021/06/v27.pdf


在宅歯科医療の診療報酬:歯科訪問診療料と介護保険単位数の実数

歯科訪問診療料(医療保険)は、同一建物内で1日に診る患者数と診療時間によって5段階に分かれています。 最も高く算定できるのは「1人だけ診た場合」の1,100点(歯科訪問診療料1)で、これは2024年改定から診療時間の制限が撤廃されました。 dentis-cloud(https://dentis-cloud.com/blog/45ld2jz9xl1q)


- 🏠 訪問診療料1(同一建物1人):1,100点
- 👥 訪問診療料2(2〜3人):410点(20分未満は287点)
- 🏢 訪問診療料3(4〜9人):310点(同217点)
- 🏬 訪問診療料4(10〜19人):160点(同96点)
- 🏙️ 訪問診療料5(20人以上):95点(同57点)


これは使えそうです。


介護保険の居宅療養管理指導費歯科医師が実施)は月単位で算定し、単一建物居住者1人なら516単位、2〜9人なら486単位、10人以上なら440単位です。 医療保険の日ごとの算定とは異なり、「その月に同一建物内で何人に指導したか」の合計で点数が決まる点に注意が必要です。 dentis-cloud(https://dentis-cloud.com/blog/45ld2jz9xl1q)


同月に同じ建物で多くの患者を指導するほど1回あたりの単位数が低減する仕組みは、集中的な施設訪問に対する報酬逓減として設計されています。 施設訪問の効率化を図る際は、「患者数を増やすと1人あたり収益が下がる」というトレードオフを意識した計画が必要です。 houmonshika(https://www.houmonshika.org/dental/labo2/)


参考:訪問診療の患者数と報酬(日本訪問歯科協会)
https://www.houmonshika.org/dental/labo2/


在宅歯科医療における「みなし指定」と介護保険申請の落とし穴

介護保険の居宅療養管理指導を算定するには、介護事業所としての「みなし指定」を受けている必要があります。 通常、保険医療機関として指定された歯科医院は、介護保険法上の医療系サービス事業者として自動的に「みなし指定」を受けているため、改めて申請する必要はありません。 jm-academy(https://jm-academy.jp/contents/columns/3jinn_s6x54)


ただし、保険医療機関の指定を受けた際に「みなし指定を辞退した」経緯がある場合は、別途「みなしの再申請」が必要です。 この辞退は開院時に意図せず行ったケースもあるため、以前から開業しているクリニックが初めて訪問歯科を始める際には確認が不可欠です。 jm-academy(https://jm-academy.jp/contents/columns/3jinn_s6x54)


みなし指定の状況は、介護保険事業所番号の有無で確認できます。


介護保険での算定には1回あたり20分以上の指導が必須という要件もあります。 外来診療のように短時間で終わらせようとすると、算定要件を満たせなくなるため、訪問スケジュールに十分な時間を確保して計画を立てることが原則です。 dentis-cloud(https://dentis-cloud.com/blog/45ld2jz9xl1q)


参考:訪問歯科を始めるには(JM歯科アカデミー)
https://jm-academy.jp/contents/columns/3jinn_s6x54


在宅歯科医療と介護保険:2024年改定で変わった算定のポイント

2024年度の診療報酬改定では、訪問歯科診療に関わる算定体系が大きく見直されました。 最も重要な変更のひとつが、「歯科訪問診療料1」の診療時間要件の撤廃です。これにより、1人だけ訪問した際は診療時間に関わらず1,100点を算定できるようになり、個別対応の訪問がより評価される形になりました。 dentis-cloud(https://dentis-cloud.com/blog/45ld2jz9xl1q)


また、新たな加算として以下の項目が創設されています。


- 🔗 口腔連携強化加算:医科や介護施設との多職種連携を推進
- 💻 医療DX推進体制加算:ICT活用体制の整備を評価
- 🦷 在宅患者訪問口腔リハビリテーション指導管理料の改定:0〜9歯で400点、10〜19歯で500点、20歯以上で600点(月4回まで算定可)へ増点 kokuhoken.or(https://www.kokuhoken.or.jp/publication/upload_docs/%E4%BB%A4%E5%92%8C%EF%BC%94%E5%B9%B4%EF%BC%94%E6%9C%88%E6%94%B9%E5%AE%9A%5B7681%5D.pdf)


2024年改定が原則です。


歯援診1(在宅療養支援歯科診療所1)の届出をしているクリニックは、訪問口腔リハビリ管理料に145点の加算が上乗せされます。 施設基準の届出が未了のクリニックは、訪問歯科の本格展開前に届出を検討する価値があります。地方厚生局への届出は診療報酬収益に直結するため、早期対応がメリットにつながります。 kokuhoken.or(https://www.kokuhoken.or.jp/publication/upload_docs/%E4%BB%A4%E5%92%8C%EF%BC%94%E5%B9%B4%EF%BC%94%E6%9C%88%E6%94%B9%E5%AE%9A%5B7681%5D.pdf)


参考:令和6年4月改定の算定点数詳細(国保連資料)
https://www.kokuhoken.or.jp/publication/


参考:厚生労働省 在宅歯科医療について(政策資料)
https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/001595241.pdf






チームで推進口腔ケア対策 在宅歯科医療の地域実践[本/雑誌] / 日本歯科医師会/監修 向井美惠/編著 角町正勝/編著 佐藤保/編著 恒石美登里/編著