ステージii 乳がんと歯科が深く関わる治療の全体像

ステージii 乳がんの患者が受ける化学療法・骨吸収抑制薬治療は、口腔内に深刻な影響を与えます。歯科従事者として知っておくべきリスクと連携のポイントとは?

ステージii 乳がんと歯科が密接に関わる理由と対応の要点

乳がん患者さんの口腔粘膜炎発症率は、固形腫瘍の中で76.5%と最も高い。


ステージii 乳がん:歯科従事者が知るべき3つの要点
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口腔粘膜炎は76.5%の確率で発症する

乳がんの抗がん剤(特にドキソルビシン+シクロホスファミド)では、固形腫瘍の中で最も高い発症率。歯科介入で発症頻度を38.7%から10.5%まで減少させた報告もある。

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ビスホスホネート使用前の歯科介入が必須

骨吸収抑制薬(ビスホスホネート・デノスマブ)使用中に抜歯を行うと、顎骨壊死(MRONJ)のリスクが大幅に高まる。投与前の口腔内評価と処置完了が鉄則。

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医科歯科連携がステージii 乳がんの治療完遂率を上げる

口腔ケア不足による発熱性好中球減少症は抗がん剤の治療中断につながる。治療前・治療中の継続的な歯科管理が患者のQOL改善と予後向上に直結する。


ステージii 乳がんの定義と腫瘍径・リンパ節転移の分類

乳がんのステージ(病期)は、腫瘍の大きさ(T)、リンパ節転移の状況(N)、遠隔転移の有無(M)を組み合わせたTNM分類によって決まります。ステージii 乳がんは「早期から中期」に位置づけられ、まだ遠隔転移のない段階です。


ステージii はさらに「IIA」と「IIB」に細分されます。IIAとは、しこりの大きさが2cm以下でわきの下(腋窩)リンパ節に転移がある場合、またはしこりが2〜5cmでリンパ節転移がない場合を指します。一方、IIBはしこりが2〜5cmでリンパ節転移がある場合、あるいはしこりが5cmを超えるがリンパ節転移のない場合です。


サイズのイメージとして、2cmはちょうど500円玉の直径(約2.65cm)より少し小さい程度、5cmは名刺の短辺(約5.5cm)に近い大きさです。この段階で発見されると、まだ乳房や周辺リンパ節に病変が限られているため、根治を目指した治療が十分に可能です。


ステージii 乳がんの5年相対生存率は約95%とされており(国立がん研究センター)、10年生存率でも86.6%という高い数値が報告されています。ただし、これはあくまで統計上の数字であり、患者個人のサブタイプや治療内容によって予後は大きく異なります。早期発見が重要ということですね。


国立がん研究センター がん情報サービス「乳がん 治療」:ステージごとの治療指針と薬物療法の考え方がまとめられています


ステージii 乳がんのサブタイプ別治療法とホルモン療法・HER2療法

ステージii 乳がんの治療方針を決める上で最も重要なのが「サブタイプ分類」です。乳がんは均一な疾患ではなく、ホルモン受容体(ER・PgR)の有無とHER2タンパクの発現状況によって大きく4つのサブタイプに分けられます。


まずホルモン受容体陽性・HER2陰性の「ルミナルA型」は最も頻度が高く、増殖スピードが遅い傾向があります。このタイプにはホルモン療法が中心となります。次に「ルミナルB型」はホルモン受容体陽性ながら増殖スピードが速く(Ki67高値)、ホルモン療法に加えて化学療法が必要になるケースがあります。HER2陽性型はHER2タンパクの過剰発現によって増殖するタイプで、トラスツズマブ(ハーセプチン)などの抗HER2療法と化学療法を組み合わせます。術後にトラスツズマブを1年間投与することで再発率が約半減するという報告があります。トリプルネガティブ型はホルモン受容体もHER2も陰性で、化学療法が主体となります。


歯科従事者にとって特に関係深いのは、化学療法が必要なサブタイプの患者さんです。化学療法の種類と口腔への影響は異なるため、担当する患者さんのサブタイプと使用薬剤を把握しておくと適切な口腔管理が可能になります。サブタイプが治療法を決める、これが基本です。


中外製薬「乳がんのサブタイプ」:各サブタイプの特徴と推奨治療法が図解でわかりやすく解説されています


ステージii 乳がんの抗がん剤と口腔粘膜炎:歯科が介入すべき理由

乳がんに対する化学療法では、ドキソルビシン(アドリアマイシン)とシクロホスファミドを組み合わせたAC療法、またはタキサン系薬剤との併用が標準的なレジメンとして広く用いられています。日本の研究によると、乳がん患者の口腔粘膜炎発症率は76.5%と、固形腫瘍の中で最も高いとされています。


口腔粘膜炎とは、抗がん剤が粘膜細胞の分裂を阻害することで生じる口腔内の炎症で、口内炎の多発・食事困難・痛みを引き起こします。また抗がん剤は唾液腺にも障害を与えるため、唾液分泌量が低下し、口腔内の自浄作用が落ちます。これは重要な問題です。


歯科的介入の効果を示すデータとして、非頭頸部がん患者495名を対象にした研究では、積極的な歯科介入を行った群では口腔トラブルの発現頻度が38.7%から10.5%にまで大幅に減少したという報告があります。約3.7倍の差です。化学療法前の感染源(う歯、不適合義歯歯周炎)を取り除くことで、化学療法中の発熱性好中球減少症のリスクを低減でき、治療の完遂率向上にもつながります。口腔ケアが治療成績に直結するということですね。


治療中の口腔ケアとして、柔らかい歯ブラシの使用、アルコール不含のマウスウォッシュでの洗口、毎食後のブラッシングが推奨されます。患者指導の場面では、「化学療法開始から3〜7日後が口腔粘膜炎のピーク」であることを伝えると、適切なタイミングでのケアを促せます。


日本乳癌学会 患者説明のための乳癌診療ガイドラインQ54「乳がんの薬物療法を行う際、どのようなときに歯科受診したほうがよいですか?」:薬物療法と歯科連携の必要性が明確に示されています


ステージii 乳がんと骨吸収抑制薬使用時の顎骨壊死(MRONJ)リスクと歯科対応

ステージii の段階では骨転移は原則としてありませんが、ホルモン療法(アロマターゼ阻害薬など)を長期間継続する閉経後患者では骨密度が低下し、骨粗鬆症の治療としてビスホスホネート系薬剤やデノスマブが処方されることがあります。これが歯科にとって見落とせないポイントです。


薬剤関連顎骨壊死(MRONJ: Medication-Related Osteonecrosis of the Jaw)は、骨吸収抑制薬の投与中に歯科的侵襲(抜歯・インプラント埋入・外科処置など)が加わることで発症リスクが高まります。一度発症すると難治性の経過をたどり、患者のQOLを著しく損ない、がん治療そのものにも支障をきたします。発症率は経口ビスホスホネートで10万人年あたり約1件と低いですが、注射薬(ゾレドロン酸など)ではリスクが上昇します。


実際の対応原則として、骨吸収抑制薬投与前に口腔内を精査し、抜歯などの侵襲的処置が必要な歯を事前に治療しておくことが必須とされています。投与開始後3年未満でリスクファクター(ステロイド併用、糖尿病など)がなければ通常の歯科治療は可能とされますが、3年以上使用の場合には主治医との相談が必要になります。抜歯後にBP製剤を再開するタイミングは、創の粘膜上皮閉鎖が確認できる2〜3週間後が目安とされています。


患者が乳がん治療を受けていることを問診票などで必ず確認し、使用薬剤の種類と投与期間を把握することが、こうしたリスク回避の第一歩です。服用薬剤の確認が条件です。


厚生労働省「ビスホスホネート系薬剤による顎骨壊死・顎骨骨髄炎に係る安全性情報」:添付文書の記載内容と歯科検査の必要性について通知されています


ステージii 乳がん患者を支える医科歯科連携の実践ポイント

ステージii 乳がんの治療は、手術・化学療法・放射線療法・ホルモン療法・抗HER2療法が組み合わさって進むため、患者さんが歯科を受診するタイミングは複数あります。適切な連携体制を知っていれば、歯科からの貢献は格段に大きくなります。これは使えそうです。


化学療法開始前のフェーズでは、感染源となりうるう歯・歯周炎・不適合義歯の治療を完了しておくことが最優先です。治療中は侵襲的な処置を極力避け、口腔衛生指導と定期的なモニタリングを行います。骨吸収抑制薬投与前には、前述のMRONJリスク評価を実施し、必要な処置を済ませておきます。


患者さんに伝えたいのは「治療が始まってから急に歯が痛くなっても、すぐに処置できない場合がある」という点です。抗がん剤投与中は好中球が低下しており、抜歯などが感染を拡大させる危険があるからです。治療前に歯科を受診するよう、がん診療連携拠点病院では患者への案内が行われていますが、実際には治療前の歯科受診率が十分でない施設もまだあります。


歯科医院の側でできることとして、がん治療中の患者さんからの問診時に使用中の薬剤を確認する体制を整えること、主治医へのリリースレターや診療情報提供書を積極的に発行することが挙げられます。また、口腔ケアの指導内容を患者さんが自宅で実践しやすいよう文書化して渡すだけでも、治療中の口腔トラブルを大幅に減らせます。医科歯科連携が予後を変えると言っても過言ではありません。


日本歯科医師会「がん治療と口のケア-がん治療を乗り越えるために」:歯科医師・患者向けの口腔ケア実践情報がまとめられています


十分な情報が集まりました。記事を作成します。