舌下神経麻痺の8割は画像検査で原因が特定できます。
MRI検査では、特殊な撮影法により舌下神経の走行を確認できます。舌下神経管は後頭骨後頭窩を後内側から前外側へ貫く孔で、CT画像でも明瞭に描出されます。この管を通る構造物は舌下神経・咽頭動脈上行枝・導出静脈の3つです。 dr-nemoto(https://www.dr-nemoto.com/%E6%B2%BB%E7%99%82%E3%82%92%E3%81%97%E3%81%A6%E3%81%84%E3%82%8B%E5%AF%BE%E8%B1%A1%E7%96%BE%E6%82%A3/%E8%88%8C%E5%92%BD%E7%A5%9E%E7%B5%8C%E7%97%9B/%E8%88%8C%E5%92%BD%E7%A5%9E%E7%B5%8C%E7%97%9B2-1/)
舌下神経管の拡大や破壊は、腫瘍性病変を示唆する重要な所見です。CTでは舌下神経管の拡大や破壊を、MRIでは脳腫瘍の局在や範囲を確認することが診断に有用です。 otonakodomo-dental(https://otonakodomo-dental.com/wp-content/uploads/2025/12/ito-ronbun-1.pdf)
T2強調画像では、舌下神経鞘腫などの病変が境界明瞭で内部不均一な腫瘍性病変として描出されます。最大径が48mmに達するような巨大病変では、脳幹・小脳の圧迫所見も認められます。 otonakodomo-dental(https://otonakodomo-dental.com/wp-content/uploads/2025/12/ito-ronbun-1.pdf)
ガドリニウム造影T1強調像は、腫瘍の範囲と性状を詳細に評価できます。舌下神経鞘腫はdumbbell-shaped(亜鈴型)の形態を示すことが多く、頭蓋内外に進展する特徴があります。 neurology-jp(https://www.neurology-jp.org/Journal/public_pdf/053030243.pdf)
三次元CTは舌下神経管周囲の骨破壊の範囲を明確に描出できるため、手術計画に役立ちます。MRIはCTより腫瘤の検出に効果的です。 webview.isho(https://webview.isho.jp/journal/detail/abs/10.11477/mf.1436900892)
舌下神経麻痺の原因には、腫瘍・脳卒中・感染症・外傷・筋萎縮性側索硬化症などがあります。特に腫瘍による舌下神経管周囲の障害が臨床上多く、外傷も原因となります。 igakukotohajime(http://igakukotohajime.com/2021/12/19/%E8%88%8C%E4%B8%8B%E7%A5%9E%E7%B5%8C-hypoglossal-nerve/)
両側舌下神経麻痺の症例では、挺舌の左右差がないため診断が困難です。このような場合こそMRI検査が必須です。 neurology-jp(https://neurology-jp.org/Journal/public_pdf/060070504.pdf)
舌下神経麻痺の患者では、核上性顔面神経麻痺が全例で合併し、嚥下障害43%、構音障害90%に合併するという報告があります。どういうことでしょうか? igakukotohajime(http://igakukotohajime.com/2021/12/19/%E8%88%8C%E4%B8%8B%E7%A5%9E%E7%B5%8C-hypoglossal-nerve/)
これは舌下神経単独の障害よりも、周囲構造を含む広範な病変が多いことを示しています。つまり画像診断が原則です。 igakukotohajime(http://igakukotohajime.com/2021/12/19/%E8%88%8C%E4%B8%8B%E7%A5%9E%E7%B5%8C-hypoglossal-nerve/)
歯科臨床では、舌神経と舌下神経の区別が重要です。舌神経は三叉神経の下顎神経の枝で、舌前方2/3の知覚(味覚・触覚・温覚・痛覚)を支配します。一方、舌下神経は舌筋の運動を支配する神経です。 haradashika(https://haradashika.jp/chiryo/%E6%AD%AF%E7%A7%91%E3%81%AB%E3%81%8A%E3%81%91%E3%82%8B%E6%9C%AB%E6%A2%A2%E7%A5%9E%E7%B5%8C%E6%90%8D%E5%82%B7/)
舌神経は智歯(親知らず)の舌側を走行しているため、不用意に舌側歯肉の剥離をした場合に損傷の危険があります。親知らずの後方直後に舌神経があり、歯並びの延長上にメスを入れると舌神経麻痺が起こります。 kozukue-shika(https://kozukue-shika.jp/treatment/oral/mahi/)
舌神経と舌下神経は舌内で交通枝を形成することがあります。舌神経は外後方から舌内に入り、本幹が下縦舌筋と隙を走行し舌尖近くまで到達します。対照的に舌下神経は比較的中枢寄りで筋内に進入します。 jrsca(http://www.jrsca.jp/contents/records/contents/PDF/1-PDF/p18-19.pdf)
オトガイ舌筋内には舌下神経が走行し、下縦舌筋内には舌神経が走行するという解剖学的配置を理解することが重要です。これは臨床で必須の知識です。 dysarthrias(https://www.dysarthrias.com/wp/wp-content/uploads/2023/10/Vol.6-No.1-pp047-052_compressed.pdf)
歯科治療後の神経障害では、下歯槽神経麻痺と舌神経麻痺が主な問題となりますが、舌下神経障害も稀に発生します。原因としては親知らずの抜歯・口腔外科手術・歯の根の治療などの報告があります。 tdc.ac(https://www.tdc.ac.jp/sh/treatment/departments/specialty/nerve-repair/)
MRI画像診断における見落としは、法的責任を問われるリスクがあります。ある判例では、MRI画像で典型的な所見を見逃したことに過失が認められました。肝内胆管癌のMRI画像所見に関する医学的知見と実際の画像所見が矛盾しないのに見つけられなかった事例です。 lawyer-koichi-inamori.jimdofree(https://lawyer-koichi-inamori.jimdofree.com/2022/05/01/%E5%88%A4%E4%BE%8B%E8%A7%A3%E8%AA%AC-%E7%94%BB%E5%83%8F%E8%A8%BA%E6%96%AD%E3%81%AE%E8%A6%8B%E8%90%BD%E3%81%A8%E3%81%97%E3%81%8C%E5%95%8F%E9%A1%8C%E3%81%A8%E3%81%AA%E3%81%A3%E3%81%9F%E4%BA%8B%E4%BE%8B-%E6%9D%B1%E4%BA%AC%E5%9C%B0%E8%A3%81%E5%B9%B3%E6%88%90%EF%BC%92%EF%BC%93%E5%B9%B4%EF%BC%94%E6%9C%88%EF%BC%91%EF%BC%94%E6%97%A5%E5%88%A4%E6%B1%BA-%E2%91%A1/)
舌下神経麻痺の診断では、脳腫瘍・脳梗塞・外傷・多発性硬化症などの疾患を除外する必要があります。気管内チューブの長期留置やLMA装着、気管支ファイバーの使用、頸部の極端な屈曲伸展なども原因となります。 nihon-anesthesiology(http://nihon-anesthesiology.jp/conts/wp-content/uploads/2022/10/c26f6d9170e027248df3d5a8d8b8fc5e.pptx)
このような多様な原因を鑑別するため、MRI検査は不可欠です。結論は画像評価が基本です。
MRI撮像法として、拡散強調像や拡散テンソル画像を用いることで、神経障害の定量的評価が可能になってきています。ADC(見かけの拡散係数)やFA(異方性分率)などの値を計測することで、神経障害の程度を客観的に評価できます。 kaken.nii.ac(https://kaken.nii.ac.jp/file/KAKENHI-PROJECT-18K17207/18K17207seika.pdf)
舌下神経は発生学的には脳神経というより脊髄神経に近い性質を持つという興味深い事実があります。これは頭蓋内に閉じ込められた脊髄神経という表現がされることもあります。 igakukotohajime(http://igakukotohajime.com/2021/12/19/%E8%88%8C%E4%B8%8B%E7%A5%9E%E7%B5%8C-hypoglossal-nerve/)
舌神経の走行パターンについては、開口時に内側翼突筋が舌神経を頬側に移動させるという仮説があり、高速で高分解能なMRI撮像法を用いた研究が進められています。この研究成果は、内側翼突筋と下顎骨内側面の形態を指標とする舌神経損傷のリスク評価と損傷予防につながるでしょう。 kaken.nii.ac(https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-24K20010/)
舌下神経鞘腫の症例報告は世界で62例目、亜鈴型では15例目という稀な疾患です。亜鈴型の腫瘍を完全摘出するには、舌下神経管を十分に露出させる必要があります。脳幹や下位脳神経への癒着がある場合、剥離による重篤な神経学的悪化を避けるため、腫瘍を残すべきとされています。 webview.isho(https://webview.isho.jp/journal/detail/abs/10.11477/mf.1436900892)
1.5Tの旧式MRIでも、拡散強調像および拡散テンソル画像を用いて神経評価が可能であることが判明しています。これは地域の医療機関でも高度な神経評価ができることを意味します。 kaken.nii.ac(https://kaken.nii.ac.jp/file/KAKENHI-PROJECT-18K17207/18K17207seika.pdf)
日本神経学会誌の舌下神経単独麻痺の症例報告には、ガドリニウム造影MRI画像とFDG-PET/CT画像による詳細な評価方法が記載されており、鑑別診断の参考になります。
舌下神経の走行をMRIで正確に評価することは、歯科・口腔外科・脳神経外科領域において、術前計画・リスク評価・術後フォローアップの全ての段階で重要な役割を果たします。画像診断技術の進歩により、より詳細な神経評価が可能になり、患者の安全性向上に貢献しています。これは使えそうです。