「埋伏智歯があればCTを撮っていい」と思っていると、査定で1件あたり数百点を丸ごと返戻されます。
歯科用3次元エックス線断層撮影(歯科用CT)は、通常のデンタルX線やパノラマ撮影では診断が困難な場合に限って保険算定できる検査です 。「撮影したい」という医師の意向だけでは算定根拠にならない点が重要です。 gc(https://www.gc.dental/japan/product/shinryohousyukaitei/gc_reiwa4/pageindices/index10)
保険診療確認事項リスト(令和7年度)では、「歯科用3次元エックス線断層撮影を第一選択とした理由が確認できない例が認められた」として、記載内容の充実を求める指摘が明記されています 。つまり、最初からCTを選んだ場合は、その臨床的根拠をカルテに残すことが必須です。 mhlw.go(https://www.mhlw.go.jp/content/001534264.pdf)
これが基本原則です。
算定点数は歯科用3次元エックス線断層撮影として診断料と撮影料を合算して算定します 。撮影のみで終わらず、「読影・診断」までセットで行うことが前提となっています。 shirobon(https://shirobon.net/medicalfee/latest/shika/r06_shika/r06s_ch2/r06s2_pa4.html)
支払基金の提供事例(令和3年)では、「顎骨腫瘍」病名でパノラマ断層撮影と同日に歯科用3次元エックス線断層撮影を行った場合、原則として算定が認められると明示されています 。腫瘍の部位・範囲をより詳細に把握するためにCTが有用な場面が、その根拠とされています。 ssk.or(https://www.ssk.or.jp/smph/shinryohoshu/sinsa_jirei/teikyojirei/shika/gazo/s_jirei_77.html)
以下は、保険算定が認められやすい代表的な適応病名・状況です 。 3tei(https://3tei.jp/news/7VchQKjz)
ポイントは「通常の2次元撮影では確認困難」という条件が共通することです。病名単独ではなく、その臨床状況とセットで算定根拠を組み立てる必要があります 。 gc(https://www.gc.dental/japan/product/shinryohousyukaitei/gc_reiwa4/pageindices/index10)
「病名があればOK」は危険な思い込みです。
歯科のレセプト審査では、「P(歯周炎)」「Per(根尖性歯周炎)」「ico(歯冠周囲炎)」などの略称病名のみで歯科用3次元エックス線断層撮影を算定すると、査定対象になりやすいとされています 。略称のみでは病態の特異性が伝わらないためです。 mhlw.go(https://www.mhlw.go.jp/content/001534264.pdf)
また、いわゆる「レセプト病名」(診断根拠がなく算定のためだけに付けた病名)についても、審査上の指摘事項として挙げられています 。これは算定漏れ防止ではなく、過剰算定・不正請求として問題になりえます。 mhlw.go(https://www.mhlw.go.jp/content/001534264.pdf)
具体的に避けるべき記載例は以下のとおりです。
査定を防ぐには、病名+臨床所見の記載をセットで残すことが条件です。
インプラント治療計画において歯科用CTは欠かせないツールですが、保険診療では「インプラント目的」での算定は認められません。これは意外と見落とされやすい点です。
インプラントは保険外(自費)治療であるため、インプラント術前評価のためのCT撮影も自費扱いになります。ただし、同じ患者に対して「埋伏歯の評価」「顎骨病変の確認」など保険適用のある別の理由が存在する場合は、その理由で算定することは可能です 。 3tei(https://3tei.jp/news/7VchQKjz)
つまり、目的の分離と記録が重要ということですね。
外科的埋伏智歯抜歯の術前評価として、下顎管(下歯槽神経)との位置関係を確認する場合はCT算定が認められます 。この場合、「埋伏智歯」「下歯槽神経圧迫」などの病名と、「下顎管との近接を確認」という所見をカルテに記載することが実務上のポイントになります。 tokyo-sk(https://www.tokyo-sk.com/wp/wp-content/uploads/2016/01/74fd634c1ed210482a02d0d8f94d7d6a.pdf)
具体的な記載テンプレートを院内マニュアルとして整備しておくと、スタッフ全員で算定基準を共有できます。これは使えそうです。
保険診療のルールには、明確に「認める」「認めない」と書かれていないグレーゾーンが一定数存在します。歯科用3次元エックス線断層撮影も例外ではなく、「難治性根尖病変が疑われる場合」などは算定が認められる可能性がありつつも、審査担当者の判断に委ねられる余地があります 。 3tei(https://3tei.jp/news/7VchQKjz)
このグレーゾーンをどう扱うかは、医院ごとの運用方針として明文化しておくことが重要です。具体的には、以下の3点を院内ルールとして設定しておくと安心です。
社会保険診療報酬支払基金や各地区の国民健康保険団体連合会は、定期的に審査事例を公表しています。これらを定期的にチェックし、院内の算定基準を最新情報に更新する習慣が、長期的に査定リスクを下げることにつながります 。 ssk.or(https://www.ssk.or.jp/smph/shinryohoshu/sinsa_jirei/teikyojirei/shika/gazo/index.html)
参考情報:社会保険診療報酬支払基金による歯科画像診断の審査事例(提供事例)
社会保険診療報酬支払基金|歯科 画像診断 審査事例一覧
参考情報:令和7年度改訂版 保険診療確認事項リスト(歯科)厚生労働省・全国審査に関する指摘内容が確認できます
厚生労働省|保険診療確認事項リスト(歯科)令和7年度改訂版(PDF)