リリカ(プレガバリン)を服用中の患者でも、歯科局所麻酔は原則として通常量で問題ありません。

リリカ(一般名:プレガバリン)は、神経の電位依存性カルシウムチャンネルのα2δサブユニットに結合し、過剰な神経興奮を抑えることで痛みを和らげる薬です 。ロキソニンなどのNSAIDsとは全く異なる作用機序を持ちます。 koku-naika(https://www.koku-naika.com/p966orofacialpain40.htm)
2010年10月に日本で口腔顔面痛(三叉神経痛・顎関節症難治例など)への使用が認可され、歯科・口腔外科領域での処方が可能となりました 。三環系抗うつ薬(トリプタノール)が脳内の下行抑制系に作用するのに対し、リリカは末梢〜脊髄の神経節レベルでカルシウムチャンネルをブロックします。これは歯科従事者にとって重要な違いです。 koku-naika(https://www.koku-naika.com/p966orofacialpain40.htm)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 一般名 | プレガバリン |
| 製造会社 | ヴィアトリス製薬 |
| 作用機序 | α2δサブユニット結合 → Ca²⁺流入抑制 |
| 主な適応 | 神経障害性疼痛・線維筋痛症・口腔顔面痛 |
| 通常用量 | 150〜600mg/日(分2〜3) |
| 歯科での位置づけ | 難治性口腔顔面痛の第2選択薬 |
最も頻度が高い副作用は「めまい・ふらつき」と「強い眠気(傾眠)」で、服用者の20〜30%以上に出現します 。服用開始後の最初の数日〜1週間で特に出やすく、歯科ユニットで水平位から起き上がる際の起立性低血圧にも注意が必要です。 h-ohp(https://h-ohp.com/column/3824/)
つまり、リリカ服用患者を診る際は「ユニット起こし」をゆっくり行うのが基本です。
そのほかに高頻度(5〜20%程度)で報告される副作用は以下の通りです : kaigo-antenna(https://www.kaigo-antenna.jp/kaigo-medicine/rows_009/detail-10/)
口腔乾燥は見逃しがちな副作用です。唾液分泌が低下することで、う蝕・歯周病・口腔カンジダ症のリスクが連鎖的に上昇します。長期服用患者にはフッ化物応用や保湿ジェル使用を案内することが、歯科従事者として患者にメリットを提供できる場面です。
高齢者では特に転倒リスクが問題となり、PMDAも「高齢者のめまい・傾眠・転倒」への注意を求める適正使用のお願いを発出しています 。 pmda.go(https://www.pmda.go.jp/files/000144302.pdf)
まれではありますが、命に関わる重篤な副作用も報告されています 。これが基本です。 sincellclinic(https://sincellclinic.com/column/rY8c8Sq3)
歯科臨床で特に関わりが深いのはSJSと血管浮腫です。口腔粘膜病変として現れるため、歯科医師が最初に発見することがあります。「なんかリリカを最近飲み始めた」という患者の口腔粘膜に水疱・びらんを認めたら、服薬中止を含めた対応を内科・皮膚科に即座に相談すべきです。
厳しいところですね。しかし早期発見によって生命を救える場面でもあります。
プレガバリン(リリカ)は2019年に第3種向精神薬に指定されました。これが歯科従事者にとって見落としやすい重要なポイントです 。 uchikara-clinic(https://uchikara-clinic.com/prescription/lyrica/)
向精神薬に指定されたことで、以下の法的義務が歯科でのリリカ処方・管理に発生します。
歯科でリリカを処方する場合、口腔顔面痛の適応であれば可能ですが、向精神薬としての管理体制が院内に整備されているかを必ず確認してください。整備が不十分な場合、処方が法令違反になるリスクがあります。これは知らないと重大な法的デメリットにつながります。
また、リリカの依存形成・乱用リスクも報告されており、多量投与や急な中断によって離脱症状(不眠・頭痛・不安感・発汗・けいれんなど)が起きることがあります。服用を止める際は必ず1週間以上かけて漸減することが必要です。
「リリカ服用中だから何かするとマズい」という思い込みは過剰反応です。正しいリスク評価に基づけば、大半の歯科処置は安全に行えます。
実際には、以下のチェックリストを処置前に確認するだけで、リスクの大部分を管理できます。
kobe-kishida-clinic(https://kobe-kishida-clinic.com/metabolism/metabolism-medicine/pregabalin/)
術後に処方する鎮痛薬の選択も重要です。リリカとNSAIDs(ロキソニン等)は作用機序が異なるため併用禁忌ではありませんが、オピオイド系(コデイン等)との併用は中枢神経抑制の相加作用で転倒・呼吸抑制リスクが上がります。これは使えそうな情報ですね。
口腔顔面痛にリリカを処方する側の歯科医師は特に、用量調整の段階的アプローチ(25mg就寝前から開始→1週間ごとに25mgずつ増量)をとることで、めまい・傾眠による転倒リスクを最小化できます。
PMDAが発出したリリカの適正使用のお願い(高齢者の転倒対策)
高齢患者へのリリカ処方前後は、歯科治療のスケジュール調整も考慮に値します。副作用が落ち着く処方開始から2〜4週間後に侵襲的な処置を組むだけで、ユニット上でのリスクを減らすことができます。
口腔顔面痛へのリリカの使用背景と作用機序の解説(ひぐち歯科)