「Primescan Connectはラップトップ型だから、手持ちのPCに接続すれば使える」と思ったら、導入後に数十万円の余計な出費が発生します。
Primescan Connectの本体標準価格は、2,400,000円(税別)です。これは2024年5月時点でのデンツプライシロナの公式価格であり、販売代理店によって変動することがある点は覚えておきたいところです。
ただし、本体代金だけで使い始めることはできません。導入時には必ず「IOS初期設定費用」として120,000円(税別)が別途かかります。この費用は機器のセットアップや動作確認に必要なもので、省略できる費目ではありません。つまり最低でも合計252万円が初期投資として必要です。
加えて、任意ですが多くの医院が検討するのがトレーニング費用です。
| 費目 | 金額(税別) | 備考 |
|------|------------|------|
| 本体価格 | ¥2,400,000 | スキャナー単体 |
| IOS初期設定費用 | ¥120,000 | 必須 |
| IOSトレーニング費用 | ¥150,000 | オプション(1回) |
| 合計(トレーニングあり) | ¥2,670,000 | 税別 |
スタッフが複数いる医院や、初めてデジタル印象を導入する場合は、トレーニング1回(¥150,000)を早期に受けておく方が、その後のミス防止や習得時間の短縮につながります。これは使えそうですね。
なお、Primescan Connectはあくまで「スキャナー専用モデル」です。CAD設計ソフトウェアは含まれておらず、院内でクラウン等を設計・ミリング(削り出し)したい場合はCERECエコシステムへの移行が別途必要となります。いわゆる「スキャンオンリー」という位置づけが基本です。
参考:フォルディネット「プライムスキャン コネクト」製品詳細(価格・承認番号の確認に有用)
本体購入後の維持費として、多くの歯科医院が加入を検討するのが「DS Core Care」と呼ばれるサービス・サポートプランです。Primescan Connect向けの月額料金は、¥22,300/月(税別)に設定されています。
これはサブスクリプション形式で、2026年2月時点の公式価格です。
1年目(メーカー保証期間)はDS Core Careのサブスクリプション料金が無料です。2年目以降から月額料金が発生する仕組みになっており、納品から30日以内に加入登録しないと加入資格を失う点には注意が必要です。
DS Core Careに含まれるサービスは以下のとおりです。
- 🛡️ アクシデント保証:予期せぬ破損・落下などの偶発的な損害を最大2回まで補償
- 🔧 スペアパーツ迅速供給:純正パーツを2営業日以内に発送し、ダウンタイムを最小化
- 📞 ホットラインサポート:電話・リモートによるテクニカルサポート
- 🌐 カスタマーサポートポータル:製品情報・ワークフロー情報への常時アクセス
ただし、PCの修理はDS Core Careの対象外です。Primescan Connectに付属するDELL製PCの修理は「DELLのPremium Support Plus」が適用され、修理受付から3営業日以降に対応が行われます。つまり、PC本体のトラブルはDentsply Sironaとは別ルートの対応になるということですね。
参考:デンツプライシロナ公式「DS Core Care」料金・サービス内容PDF(2026年2月版)
5年間でのDS Core Care費用(2〜5年目の4年分)は次のように試算されます。
$$\text{DS Core Care費用(4年分)} = 22,300 \times 12 \times 4 = 1,070,400\text{円(税別)}$$
本体・初期費用と合計すると、5年間の総保有コスト(TCO)は保守費用だけで約342万円(トレーニングなし)〜約368万円(トレーニングあり)を超えることになります。維持費まで含めた見通しが重要です。
Primescan Connectが他の口腔内スキャナーと大きく異なる点の一つが、使用PCの制約です。「ラップトップ型=自分のPCで自由に使える」というイメージを持ちがちですが、それは誤りです。
Dentsply Sironaが動作保証するのは、同社が指定・提供する専用PCのみです。現行ではDELL製ノートPCが提供されており、他社製PCや既存の院内PCにアプリをインストールして使うことは非対応です。仮に他のPCにソフトをインストールしようとしても、適切な動作は保証されません。
対応PCの主なスペック要件として、現場では概ね以下の水準が必要とされています。
- ⚙️ CPU:Core i7以上
- 🧠 RAM:16GB以上
- 🎮 GPU:専用グラフィックス搭載
- 💾 OS:Windows(指定バージョン)
PCが故障した場合はDELL社が対応しますが、修理受付から3営業日以降の対応となるため、最大で数日間スキャナーが使えなくなるリスクがあります。DS Core Careにはアクシデント保証(2回)がありますが、PCそのものはこの保証の対象外である点も覚えておきたいところです。
また、Primescan ConnectはSTL形式でのデータエクスポートには対応していますが、カラー情報つきのPLY/OBJ形式ではエクスポートできません。既存のラボが3ShapeやexocadのCADソフトを使っている場合、STLデータでの受け渡しが原則となります。カラーテクスチャを必要とするワークフローには不向きな点を事前に確認しましょう。
口腔内スキャナーの導入を検討する際に、価格だけでなく「いつ元が取れるか」という視点は非常に重要です。ここでは実際の数字で試算してみましょう。
Primescan Connect(約240万円)を5年間で減価償却すると仮定した場合、年間の減価償却費は以下のとおりです。
$$\text{年間減価償却費} = \frac{2,400,000}{5} = 480,000\text{円/年}$$
初期設定費用(12万円)やDS Core Care(2〜5年目:年間約26.8万円)も含めると、年間の実質コストは約75〜80万円程度と見込まれます。
一方、保険収入面では、2024年6月よりCAD/CAMインレーで口腔内スキャナーを用いた光学印象を行った場合、1歯あたり100点(約1,000円)の加算が算定可能になっています。自費のCAD/CAM補綴や矯正用スキャンとあわせて収益を見込む場合、月20件以上の光学印象症例をコンスタントに行えれば、年間で実質コストをカバーできる計算になります。
また、デジタル化による「ラボへの印象材送付コスト削減」や「患者満足度向上による紹介・リピート増加」も無形の経済効果として見逃せません。
| コスト項目 | 年間費用(税別・概算) |
|-----------|----------------------|
| 減価償却費(5年) | 約480,000円 |
| DS Core Care(2年目以降) | 約267,600円 |
| 初期費用(1年目按分) | 約120,000円 |
| 合計(初年度) | 約600,000円 |
ROI改善には「1症例あたりのコスト意識」が条件です。症例数が年間50件以下の医院では回収期間が長くなるため、現状の印象症例数を確認してから判断するのが賢明です。
2024年に登場した最新モデル「Primescan 2」との違いも整理しておきましょう。どちらを選ぶかで、費用対効果が大きく変わります。
Primescan 2の本体価格は約250〜300万円台(DS Coreのサブスク必須)とされており、Primescan Connectとの価格差は見た目上それほど大きくありません。ただし、Primescan 2はDS Coreの有料プランへの加入が必須条件となっており、ランニングコストの構造が異なります。
2機種の主な違いをまとめると以下のとおりです。
| 比較項目 | Primescan Connect | Primescan 2 |
|---------|-----------------|------------|
| 本体価格目安(税別) | 約240万円 | 約250〜300万円台 |
| 形状 | ラップトップ型(DELL PC付属) | モバイルディスプレイカート型 |
| DS Core有料プラン | 任意 | 必須 |
| PLY/OBJエクスポート | ❌ STLのみ | ✅ 対応 |
| CEREC拡張パス | ❌ 直接アップグレード不可 | ✅ 対応可能 |
| 複数拠点・持ち運び | ✅ 得意 | △ カート型 |
複数の診療所を掛け持ちしていたり、往診対応が多い歯科医師にとっては、持ち運びやすいPrimescan Connectの利点は大きいです。一方で、将来的に院内でのCAD/CAMミリング(院内製作)に移行したい場合は、CEREC拡張パスがあるPrimescan 2やDI Primescanを選ぶ方が合理的です。
「安いから」という理由だけでPrimescan Connectを選ぶと、後から院内内製に移行したいときに機器をまるごと買い替えることになるリスクがあります。これは痛いですね。
導入目的を「ラボ連携専用のデジタル印象採得」に絞るなら、Primescan Connectのコストパフォーマンスは十分に高いと言えます。まず目的と将来計画を整理するのが原則です。