あなたが何気なく決めたPDTの「1分」が、年間で100時間以上のムダとクレームの元になることがあります。
多くの歯科医院の説明には「PDTは1歯あたり約60秒の光照射で完了」と書かれています。 一見すると「1分で殺菌できるなら、診療の合間にサッとできそう」と感じやすい時間設定です。ところが、全顎PDTコースでは1回の治療に30~90分、7回コースならトータルで3~10時間以上のチェアタイムが必要と明記している医院もあります。 これは歯周ポケットの染色、光照射、洗浄、説明、会計まで含めると「1分×本数」では到底収まらないからです。つまり数字だけ見ると短時間でも、実際の運用では長時間を拘束されるということですね。 hal-dentalcare(https://www.hal-dentalcare.com/menu/pdt/)
このギャップを見落とすと、PDT希望の患者を同じ枠に詰め込みすぎてしまい、待合室が溢れ、スタッフが疲弊します。例えば「1分×10本=10分」という頭で30分枠に3名予約を入れると、実際には90分以上かかり、最後の患者は30分以上の待ち時間になりかねません。結論は、照射時間ではなく「全工程の実測チェアタイム」で枠取りを決めることです。
チェアタイムの圧迫を避ける対策としては、PDT専用枠を午前・午後でそれぞれ1コマずつ用意し、他の処置と混在させない方法があります。これにより、スタッフはルーティン化しやすくなり、光照射機器の準備・片付けも一気通貫で行えます。PDT装置メーカーの中には、治療プロトコルと標準チェアタイムをマニュアル化して提供しているところもあるため、導入時はそうした資料を確認し、医院のオペレーションに合わせて「1コースあたりの時間」を明文化しておくと安全です。こうした準備があれば、PDTを組み込んでも診療全体のリズムは崩れません。
日本では歯科領域のPDT(光殺菌治療・LAD)は現時点で保険未承認と明記しているクリニックが多く、1歯1回3,300円(税込)、全顎7回で9万円以上など、完全な自費治療として運用されています。 海外では歯肉炎・歯周炎・インプラント周囲炎などに対して当局がPDTを認めている国もあり、日本だけが「時間をかけているのに保険点数がつかない」状態です。 その結果、同じ1時間を使うなら「PDTに枠を割くか、インプラントや矯正相談に割くか」という時間単価の比較が避けられません。つまり時間単価の設計が基本です。 ysdc(https://www.ysdc.jp/periodontal-disease/pdt/)
例えば、全顎PDT 7回コース90,000円で、1回あたり60分チェアタイムを使うと仮定すると、1時間あたりの売上は約12,800円になります。 一方、自費のセラミック治療やインプラント相談では、同じ60分で数万円規模の契約につながることも多く、単純な時間売上だけならPDTは見劣りするケースもあります。結論は、PDTは単独の「収益商品」と考えるより、SPTやインプラントメインテナンスの付加価値として位置づけた方が現実的だということです。 ysdc(https://www.ysdc.jp/periodontal-disease/pdt/)
収益性と患者メリットのバランスをとるには、PDTをパッケージ化するのが有効です。例えば「歯周病精密検査+SRP+PDT 3回+ホームケア指導」をセットで提示し、1回あたりのチェアタイムを長めに確保したうえで、医院全体の顧客単価を底上げするイメージです。その際、予約時に「1回約60分」「全3~7回」など時間と回数を明確に伝えることで、患者の予定調整もスムーズになります。PDT専用コースの説明用パンフレットや院内ポスターを用意し、スタッフ全員が同じ時間感覚で説明できるようにしておくとクレームを防ぎやすくなります。
参考リンク(PDTが自費であることや海外との承認状況に触れている解説):
光殺菌治療(PDT)の保険適用と海外の承認状況に関する説明
歯周病のPDTでは、1ポケットあたり約1分の光照射が一般的なプロトコルとして紹介されており、「歯一本あたり約60秒」という表現が複数のクリニックで繰り返し使われています。 深さ4~7mmの中等度歯周ポケットに対して、色素塗布→光照射→洗浄を1セットとして、再評価まで数回繰り返す形です。 このとき、「1分×本数」で計算して通院回数を決めてしまうと、実際の歯周炎の重症度やブラッシング状況によって効果にバラつきが出ます。つまり1分という数字だけ覚えておけばOKです。 dental-guideline(https://www.dental-guideline.com/perio.html)
通院回数については、全顎で7回のPDTコースを用意し、重度歯周炎では数十万円規模のパッケージとして提示しているケースもあります。 これは、歯周組織の炎症が強い患者では、1~2回のPDTだけではバイオフィルムの再形成が早く、臨床的アタッチメントレベルの改善が安定しづらいためです。歯周基本治療(SRP)と組み合わせ、3~4か月ごとのメインテナンス時にPDTを追加することで、長期的な炎症コントロールに寄与するとの説明も見られます。 つまりPDTの時間設計は「1回の長さ」だけでなく「1クールの回数」と「年間スケジュール」を一体で考える必要があります。 dental-guideline(https://www.dental-guideline.com/perio.html)
患者にとって分かりやすいのは、「1回60分を月2回、3か月で合計6回」といったカレンダー上のイメージ提示です。はがきの横幅ほどの小さなカレンダーにシールを貼って渡すだけでも、患者は自分の時間投資を具体的に把握できます。こうした視覚的な工夫は、長期通院への納得感を高め、無断キャンセルの減少にもつながります。PDT装置のメーカー資料や歯周病学会のガイドラインで推奨される再評価時期を確認し、自院のプロトコルを紙一枚にまとめてチェアサイドで説明する体制を整えておくと、スタッフ教育もスムーズですね。
海外では、歯肉炎・歯周炎・インプラント周囲炎に対する抗菌的光線力学療法が当局により認められている国があり、日本とは立ち位置が異なります。 欧米の文献では、SRP単独群とSRP+PDT群の比較で、短期的なポケット深さの改善やBOP減少に差が出たという報告もあり、メインテナンスのタイムスケジュールの中にPDTを組み込む前提で議論されることが多いです。 そのため、海外のプロトコルをそのまま「時間」だけ輸入すると、日本の保険制度や通院習慣とは噛み合わない場面が出てきます。つまり日本なら違反になりません。 gotanda-dc(https://gotanda-dc.jp/2548/)
具体的には、海外の医院では「3か月ごとのSPTで、必要に応じてPDT追加」という流れがスタンダードで、患者の通院前提も半年以上の長期追跡になっています。 一方、日本では「短期間で一気に治したい」「長く通うのは難しい」と考える患者も多く、全顎PDT 7回コースを提案しても、途中で通院中断となるリスクがあります。 また、日本のガイドラインではPDTが標準治療として明確に位置づけられているわけではなく、歯周基本治療や抗菌薬療法、外科処置が中心です。 そのため、海外風の「PDT前提スケジュール」を組むと、保険診療との整合性や説明責任の面で違和感が生じます。 perio(https://www.perio.jp/publication/upload_file/guideline_perio_2022.pdf)
現実的な落とし所としては、まず日本のガイドラインに沿った診査・診断・歯周基本治療を行い、そのうえで「補助的な自費オプション」としてPDTを提案する形が無難です。 この場合、初診から3か月までは保険中心、その後のSPTフェーズでPDTの時間を確保する、という二段階スケジュールにすると、チェアタイムも読みやすくなります。さらに、海外文献を引用する際は、「あくまで補助療法としての位置づけであること」「日本では未承認であること」をカルテや同意書に明記しておくと、将来的なトラブルを避けやすくなります。 perio(https://www.perio.jp/publication/upload_file/guideline_perio_antibiotic_2020.pdf)
参考リンク(歯周治療全体の流れと時間軸の考え方を押さえるため):
日本歯周病学会「歯周治療のガイドライン2022」
歯科医院にとって最大の資源はチェアタイムであり、PDT導入時に最初に決めるべきなのは「どの時間帯に、どのくらいの長さで枠を取るか」です。多くのPDTコースでは1回30~90分の治療時間が想定されているため、既存の30分枠中心のスケジュールにそのまま組み込むと、必ずどこかでオーバーフローが起こります。 いいことですね。 period(https://www.period.tokyo/column/720/)
具体的な工夫として、次のようなルールを決めている医院があります。
・午前中は通常診療を優先し、PDTは午後のみ予約を受ける
・PDTは1日最大2コマまでに制限し、それ以上は翌日以降に回す
・PDTコース契約時に、全回分の予約をまとめて取ってしまう
こうすることで、日によってPDTの予約が集中しすぎる事態を防ぎ、スタッフの負荷も平準化できます。 hal-dentalcare(https://www.hal-dentalcare.com/menu/pdt/)
また、キャンセル対応も時間管理の重要なポイントです。PDTは薬剤準備や機器の立ち上げに一定の時間がかかるため、直前キャンセルが続くと、物理的なロスだけでなくスタッフのモチベーション低下にも直結します。リスクの場面は、雨の日や長期休暇前後など、キャンセルが増えやすいタイミングです。これを避けるために、「PDT枠に限り前日までのキャンセル連絡をお願いする」「無断キャンセルが続いた場合は次回以降通常枠のみの案内とする」といったルールを事前に説明し、同意書や予約カードに明記しておくと、トラブルを減らせます。こうした運用ルールに注意すれば大丈夫です。
PDTを組み込んだスケジュールを安定させるには、デジタルツールの活用も効果的です。例えば、予約システム上で「PDT(60分)」という専用メニューを設定し、オンライン予約からはその枠しか選べないようにすることで、ダブルブッキングのリスクを下げられます。スタッフ側は、月ごとにPDTに使った時間を集計し、「PDTの時間比率」「PDTの時間単価」を簡単にモニタリングできます。これにより、「月20時間まで」「時間単価1万円以上」というように数値目標を設定し、定期的に見直す運用が可能になります。これは使えそうです。
参考リンク(レーザーや光治療が歯周病の治療時間短縮にどう寄与するかの解説):
歯周病治療におけるレーザー活用と治療時間に関するコラム
あなたの医院では、PDTに割ける「1日あたりのチェアタイム」をどのくらいに設定したいですか?