クラスII医療機器を「ただ販売するだけ」でいいと思っているなら、届出なしで販売した翌日に業務停止命令が届く可能性があります。
医療機器は薬機法(医薬品医療機器等法)によってリスクの高さに応じて4段階に分類されており、クラスIIは「管理医療機器」と呼ばれます。 不具合が生じた場合でも生命の危険に直結する可能性は低いとされていますが、使用にあたって一定の管理が必要な製品群です。 pmda.go(https://www.pmda.go.jp/review-services/drug-reviews/about-reviews/devices/0028.html)
クラス分類の体系はおおむね次のようになっています。
| クラス | 名称 | リスクレベル | 手続き |
|---|---|---|---|
| クラスI | 一般医療機器 | 極めて低い | 届出のみ(自己認証) |
| クラスII | 管理医療機器 | 比較的低い | 届出 or 第三者認証 |
| クラスIII | 高度管理医療機器 | 中〜高 | 大臣承認(PMDAによる審査) |
| クラスIV | 高度管理医療機器 | 非常に高い | 大臣承認(PMDAによる審査) |
つまり「クラスIIだから安全」ではなく、「管理が必要」という意味です。 歯科従事者はこの点を誤解しがちなので、まず定義を正しく理解しておくことが重要です。 mhlw.go(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001ylq0-att/2r9852000001ym2k.pdf)
歯科材料に関しては、歯科用合金・歯科鋳造用合金・歯科用メタルセラミック修復用材料などがクラスIIに分類されています。 これらは日常の補綴処置で頻繁に使用されるため、歯科医院の購入ルートや取り扱い方法が直接、薬機法の対象になります。 std.pmda.go(https://www.std.pmda.go.jp/scripts/stdDB/JMDN/stdDB_jmdn_resr.cgi?Sig=1&Select=1&jmdn_no=3355&kjn_no=1300217)
歯科領域でクラスIIに該当する品目は思いのほか多く存在します。これは使いこなせば治療の幅が広がる一方、手続きを誤ると法的リスクに直結します。
代表的な歯科用クラスII医療機器の例は以下の通りです。
特に歯科鋳造用合金は「クラスII・コード:70798000」として一般的名称が定められており、第三者認証機関による認証を取得したものでなければ流通させられません。 歯科用金属を海外から輸入して供給しているクリニックや技工所では、この認証番号の確認が欠かせません。 ishifuku-kinzoku.co(https://www.ishifuku-kinzoku.co.jp/products/dental/pdf/catalog1_2.pdf)
意外なのは、歯科用印象材料の一部がクラスIとクラスIIにまたがって分類されている点です。形状・組成・使用目的の微妙な違いでクラスが変わるため、「いつも買っているから大丈夫」という思い込みは危険です。 一般的名称の定義に基づき、品目ごとに都度確認することが基本です。 jdma(https://www.jdma.jp/1027/2-3.pdf)
クラスII医療機器を販売・貸与するには、都道府県の保健所へ「管理医療機器販売業(貸与業)届出」を提出する義務があります。 これが意外と見落とされがちな規制です。 liberworks.co(https://www.liberworks.co.jp/certMd/mdSec_class2.html)
届出なしに販売した場合は薬機法違反となり、2年以下の懲役または200万円以下の罰金(またはその併科)が科せられる可能性があります。 業務停止命令が先に来るケースも多く、歯科医院が材料を患者に販売・譲渡する場面でも例外ではありません。 zelojapan(https://zelojapan.com/lawsquare/50369)
手続きの種類は目的によって異なります。
第三者認証については、クラスIIの中でも「指定管理医療機器」に該当する品目は登録認証機関(第三者認証機関)の認証を取得しなければなりません。 一方、指定管理医療機器以外のクラスIIは自己認証で済む場合もあります。手元の製品が「指定」に当たるかどうかは、厚生労働省が定めるリストで確認する必要があります。 mipro.or(https://www.mipro.or.jp/Document/hti0re0000000vi2-att/pdf_publications_0098ngb.pdf)
届出の重要点が一つあります。手続きは一度行えば終わりではなく、品目の変更・廃止・管理者交代があった場合は都度届出の更新・変更が必要です。 管理者の退職後に手続きが放置されているケースは珍しくなく、気づいたときには無届け状態になっていたというリスクがあります。 liberworks.co(https://www.liberworks.co.jp/certMd/mdSec_class2.html)
管理医療機器(クラスII)の販売業届出や第三者認証の詳細手続き一覧(LiberWorks)
第三者認証の仕組みは、製品の安全性・有効性を国の機関ではなく民間の登録認証機関が審査するものです。これはクラスIII・IVの「大臣承認(PMDA審査)」より迅速に審査が完結します。 速さが条件です。 mhlw.go(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001ylq0-att/2r9852000001ym2k.pdf)
歯科用医療機器の認証申請においては、一般的名称の定義に基づき製品の形状・組成・原理等を確認し、該当する一般的名称を適切に選定することが求められます。 これを誤ると申請自体が受理されず、販売できない状態が続くリスクがあります。 jdma(https://www.jdma.jp/1027/2-3.pdf)
認証申請に必要な主な書類はおおむね以下の通りです。
歯科鋳造用合金の場合、クラスIIでも「体内外連結・長期的(永久)接触」の用途(インレー・クラウンなど)では、エナメル質・象牙質との長期接触を想定した生物学的安全性試験が必要です。 試験の種類と期間は接触部位・接触期間によって変わるため、試験機関との事前相談がほぼ必須になります。 mhlw.go(https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tb8090&dataType=1&pageNo=2)
認証番号の確認も忘れずに。市販されている歯科材料には「管理医療機器(クラスII) 認証番号:〇〇〇」と表示されているものがあります。 この番号がない製品を業務使用することは薬機法上のリスクがあります。問題ないかどうかは番号で確認できます。 ishifuku-kinzoku.co(https://www.ishifuku-kinzoku.co.jp/products/dental/pdf/catalog1_2.pdf)
歯科用医療機器の認証申請における留意事項(日本歯科材料工業協同組合・PDFスライド)
薬機法は近年の改正で課徴金制度が追加され、従来よりも違反時の経済的ダメージが大きくなっています。 罰則は本人だけでなく、法人(医院・法人格を持つクリニック)にも及ぶ「両罰規定」があります。 yakujihou(https://www.yakujihou.com/knowledge/yakkihou-explain/)
歯科現場で起きやすい違反パターンはいくつかあります。
特に広告規制については見落とされやすいです。クラスIIの医療機器であっても、「誇大広告」「承認・認証内容を超えた効能の謳い文句」は薬機法85条・86条の規制対象となります。 SNS上でのクリニック発信コンテンツも対象で、「〇〇に効く」「△△が治る」という表現が法的グレーゾーンに入りやすいです。 zelojapan(https://zelojapan.com/lawsquare/50369)
対策として最も効果的なのは、「品目ごとのクラス分類チェックリストを院内で整備すること」です。新しい材料・機器を導入するたびに一般的名称・クラス分類・認証番号を記録し、管理者が変わっても継続できる仕組みをつくることが、実務上のリスクを最小化する最善手といえます。 jdma(https://www.jdma.jp/1027/2-3.pdf)
あまり知られていないのが、歯科医院内で行われる「院内技工」と薬機法の関係です。これは見逃すと法的リスクが生じます。
院内技工とは、外部の技工所に委託せず歯科医院内で補綴物を作製することです。この場合、歯科医師・歯科衛生士・歯科技工士が使用する素材(歯科鋳造用合金・コンポジットレジンなど)はクラスII医療機器に該当します。 しかし「外部に販売しているわけではない」という理由で、手続きが不要と誤解されやすい実態があります。 std.pmda.go(https://www.std.pmda.go.jp/scripts/stdDB/JMDN/stdDB_jmdn_resr.cgi?Sig=1&Select=1&jmdn_no=3355&kjn_no=1300217)
結論は明確です。製造販売の概念には「自院製造・自院使用」の場合も含まれる解釈があり、使用する材料が未認証品であれば薬機法の対象となります。 厚生労働省の指針では、院内技工においても認証を受けた材料の使用が前提です。 tsunagu-office(https://tsunagu-office.net/archives/8300)
また、近年増加しているデジタルデンティストリー(CAD/CAMによる院内ワンデイ補綴)においても、CAD/CAMブロック(ジルコニアや高強度セラミック)がクラスII〜IIIに分類されるケースがあります。これらを院内で直接購入・加工・患者に適用するフローが、どのクラス分類に該当するかを事前に整理しておくことが非常に重要です。 jdma(https://www.jdma.jp/1027/2-3.pdf)
院内技工に関わる機器・材料のクラス分類を整理する際には、PMDA(医薬品医療機器総合機構)の一般的名称データベースで品目ごとに検索するのが最も確実な方法です。 データベースには認証番号・類別・保守区分まで掲載されており、院内チェックリストの作成に直接活用できます。 pmda.go(https://www.pmda.go.jp/review-services/drug-reviews/about-reviews/devices/0028.html)
PMDAによる医療機器のクラス分類・届出・審査の公式解説(独立行政法人 医薬品医療機器総合機構)
| クラス | 分類名 | リスクレベル | 規制手続き | 主な例 |
| ------ | ---------- | ------ | -------------- | ----------------------- |
| クラスI | 一般医療機器 | 低 | 届出(審査不要) | 鋼製小物、X線フィルム、歯科技工用品 |
| クラスII | 管理医療機器 | 中 | 第三者認証または届出 | MRI装置、歯科用CAD/CAM、光学印象装置 |
| クラスIII | 高度管理医療機器 | 高 | PMDA承認または第三者認証 | 歯科用インプラント、歯科用漂白材 |
| クラスIV | 特定高度管理医療機器 | 非常に高 | PMDA承認(最厳格) | 心臓弁、人工血管 |
| ターミナルプレーンのタイプ | 将来の臼歯関係の予測 |
| ------------------ | ----------------- |
| 垂直型(Vertical type) | 交換期にいったんⅡ級→Ⅰ級に近づく |
| 近心階段型(Mesial step) | Ⅰ級またはⅢ級に近づく |
| 遠心階段型(Distal step) | Ⅱ級のまま改善されない |
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