石膏100gに対して水24gを超えて入れると、模型の圧縮強さが大幅に低下してクレームの原因になります。
印象用石膏と一口にいっても、JIS規格ではタイプ1からタイプ5まで5種類が定められています。 用途や強度がまったく異なるため、種類を間違えると補綴物の精度に直接影響します。 idc-dental-lab.co(https://idc-dental-lab.co.jp/2021201175/)
まず分類の基本を整理します。 idc-dental-lab.co(https://idc-dental-lab.co.jp/2021201175/)
| タイプ | 種別 | 用途 | 圧縮強さ(MPa) |
|---|---|---|---|
| タイプ1 | 普通石膏 | 印象用 | 4.0以上 |
| タイプ2 | 普通石膏 | 模型用 | 9.0以上 |
| タイプ3 | 硬質石膏 | 模型用 | 20.0以上 |
| タイプ4 | 硬質石膏 | 歯形用(高強度・低膨張) | 35.0以上 |
| タイプ5 | 硬質石膏 | 歯形用(高強度・高膨張) | 35.0以上 |
タイプ1はもっとも低強度で、無歯顎の無圧印象に使われる素材です。 タイプ4・5は補綴精度が要求される自費治療向けで、硬化膨張が小さく寸法安定性に優れています。 oralstudio(https://www.oralstudio.net/dictionary/detail/1742)
印象材との相性も重要です。 アルジネート(ハイドロコロイド系)印象材には硬石膏(タイプ3)、シリコン系印象材には超硬石膏(タイプ4・5)が推奨されます。これは収縮と膨張が相殺して模型誤差を最小化するためです。 組み合わせが正しければ、理論上の誤差はほぼゼロになります。 tdc-osaka(http://www.tdc-osaka.com/blog/post-42/)
混水比のわずかなズレが、模型の面荒れや強度不足を引き起こします。これが基本です。
硬石膏の場合、石膏100gに対して水は24g(または水20ml)が標準的な混水比です。 目分量での計量は厳禁で、必ず計量器かメスシリンダーを使って計測します。水が多すぎると混水比が大きくなり、硬化後の圧縮強さが低下します。 oned(https://oned.jp/posts/7608)
水を増やしすぎると模型が脆くなる、ということですね。
練和時間は60秒程度が推奨されていますが、これはJIS規定値が60秒練和を基準に設定されているためです。 最低でも30秒は練和しないと、粉末の凝集が残り微小な気泡が生じます。逆に120秒を超えて練ると硬化が進んでしまい、流動性が失われます。 idc-dental-lab.co(https://idc-dental-lab.co.jp/2021201311/)
硬化を速めたい場合、水温を30〜40℃に上げるか、3〜5%の食塩水を使う方法があります。 ただし食塩水は表面の面荒れを起こしやすいリスクがあるため、むやみに使うのは避けるべきです。 状況に応じた使い分けが条件です。 kunitachi-dental(https://kunitachi-dental.jp/blog/5429/)
印象採得直後にすぐ石膏を注ぐのはダメ、という事実を知らずに失敗するケースがあります。
印象材の種類ごとに石膏注入までの最短待機時間が定められています。 faq.gcdental.co(https://faq.gcdental.co.jp/faq/show/1066?category_id=207&return_path=%2Fcategory%2Fshow%2F207%3Fpage%3D1%26site_domain%3Ddefault%26sort%3Dsort_access%26sort_order%3Ddesc&site_domain=default)
support.yoshida-dental.co(https://support.yoshida-dental.co.jp/faq/show/15542?category_id=2056&site_domain=default)
待機時間が必要な理由は、印象材内部の硬化反応が完全に終わっていない段階で石膏を注ぐと、印象面に気泡が生じやすくなるためです。 印象採得後15分以上〜製品によっては45分以上おくことで、模型表面の精度が安定します。 info.pmda.go(https://www.info.pmda.go.jp/downfiles/md/PDF/530104/530104_220AFBZX00051000_A_01_02.pdf)
厳しいところですね。
また、アルジネート印象材は時間が経つと水分蒸発で収縮し始めます。乾燥する前に注入するのが原則で、逆にシリコン系は印象後に60分以内に注入することが推奨される製品もあります。 アルジネートは「できるだけ早く」、シリコンは「最短時間を守ってから」という使い分けが重要です。 info.pmda.go(https://www.info.pmda.go.jp/downfiles/md/PDF/530104/530104_220AFBZX00051000_A_01_02.pdf)
気泡が入った模型は補綴物の精度に直結するため、注入手順は手を抜けません。これは必須です。
基本的な手順は以下の通りです。 shikakara(https://shikakara.jp/dh/column/useful/movie/howto-assist14/)
一か所を起点にして流すことが重要です。 複数箇所から同時に流すと気泡が逃げ場を失い、印象面に閉じ込められます。スパチュラやピックを使って石膏が印象体の表面を「這うように」流れていくイメージで作業すると精度が上がります。 m-cera(https://m-cera.jp/lecture/plasterwork/)
バイブレーターの注意点もあります。 強すぎる振動を長時間与えると、印象模型が変形したり石膏面が荒れたりします。適度な振動を短時間にとどめることが条件です。 sakura-d-omfs(https://sakura-d-omfs.jp/blog/staff-blog/20508/)
なお、気泡がトレーからはみ出している部分の石膏は、固まる前に除去します。 固まってから無理に取ろうとすると模型が破損するリスクがあります。 shima-ortho-clinic(https://shima-ortho-clinic.com/blog/%E5%8D%B0%E8%B1%A1%E5%8F%96%E5%BE%97%E3%81%AE%E3%81%9D%E3%81%AE%E5%BE%8C/)
石膏を流す前の印象材への前処理を省略すると、模型が外れなくなったり破折するリスクが高まります。意外ですね。
シリコン系印象材を使った場合、アンダーカット部に石膏が入り込むと模型が外せなくなります。 事前にハサミでアンダーカット部をカットしておくことで、歯冠の破折を防ぎます。また、トレーからはみ出た印象材は変形の原因になるため、デザインナイフで余剰部分をトリミングします。 kantou-dtdh(https://www.kantou-dtdh.com/post/%E7%AC%AC8%E5%9B%9E%E5%8B%89%E5%BC%B7%E4%BC%9A)
ただし、義歯(入れ歯)の印象の場合はカットしない、という例外があります。 義歯床縁を記録している部分を誤ってカットすると補綴設計に影響するため、必ず用途を確認してから処理します。 kantou-dtdh(https://www.kantou-dtdh.com/post/%E7%AC%AC8%E5%9B%9E%E5%8B%89%E5%BC%B7%E4%BC%9A)
さらにシリコン系印象材では、水洗後に界面活性剤系の表面処理剤を噴霧して余剰液をしっかり除去してから石膏を注入します。 この処理を怠ると石膏と印象材の接触面に気泡や面荒れが生じます。アルジネートとシリコンで前処理の手順が違う、ということだけ覚えておけばOKです。 san-esugypsum.co(https://www.san-esugypsum.co.jp/howto/explanation11/)
参考として、印象材ごとの前処理と石膏注入に関する詳細な情報は以下のメーカーFAQでも確認できます。
注入タイミングや注意事項がメーカー別に記載されています。
ハニガムプロ 石膏注入タイミングについて(ヨシダ公式FAQ)
印象材ごとの石膏注入最短時間の比較が確認できます。
石膏の練和時間と強度の関係について詳細なデータが掲載されています。