「歯肉弁切除を“サービス価格”にすると、1年で数十万円単位の赤字になりますよ。」

歯肉弁切除の費用を考える際、まず押さえたいのが「J013 口腔内消炎手術」の点数構造です。 shirobon(https://shirobon.net/medicalfee/latest/shika/r06_shika/r06s_ch2/r06s2_pa9/r06s29_sec1/r06s291_J013.html)
歯科診療報酬点数表では「1 智歯周囲炎の歯肉弁切除等」が120点と明記されており、3割負担なら患者自己負担はおおよそ400円前後、レセプト請求額は1,200円程度になります。 shirobon(https://shirobon.net/medicalfee/latest/shika/r06_shika/r06s_ch2/r06s2_pa9/r06s29_sec1/r06s291_J013.html)
これは、チェアタイムが20〜30分、歯科医とアシスタントが関わる侵襲的処置としては、かなり低いフィーだと感じる先生も多いはずです。
つまり、点数だけを見ると「細かいコスト計算をしていないと利益が出ていない可能性が高い」ということですね。
医療情報サイトでは、萌出困難歯に対する開窓で被覆粘膜の切開のみを行った場合も「1 智歯周囲炎の歯肉弁切除等」で算定するとされており、適応範囲の広さから“ついで算定”が起こりやすい点にも注意が必要です。 shirobon(https://shirobon.net/medicalfee/latest/shika/r06_shika/r06s_ch2/r06s2_pa9/r06s29_sec1/r06s291_J013.html)
この120点は一見小さな数字ですが、例えばチェアタイム30分・時給計算でスタッフ人件費が合計6,000円、ユニット償却・光熱費等の間接コストを加えると、1時間あたり8,000〜10,000円を回収したい医院は多いでしょう。
30分処置なら4,000〜5,000円の売上が欲しいところですが、実際の報酬は1,200円+初再診・麻酔などが乗る程度です。
ギャップがあるということです。
この差を埋めるには、同日に算定可能な処置の組み合わせや、処置選択そのものの見直しが鍵になります。
一方で、歯肉弁を用いたフラップ手術が自費で行われる場合、費用感は一気に変わります。
例えば、拡大視野下での精密歯周外科を掲げるクリニックでは、左上フラップ手術の費用として495,000円(税込)を提示している例があります。 iwano-dc(https://www.iwano-dc.com/periodontal-surgery/)
また歯周外科の費用例として、1本単位で2,000円前後から121,000円、エムドゲイン加算58,300円、リグロス加算121,000円など、材料や部位に応じて数万円〜十数万円単位のフィーを設定しているケースも報告されています。 ms-dental(https://ms-dental.com/price/psurgery.html)
金額差が非常に大きいということですね。
保険の歯肉弁切除(120点)と、自費の歯周外科(数十万円)の間には、患者への説明内容、治療目的、手技の範囲、術後フォローなど、医療提供の構造的な違いがあります。
たとえば、自費のフラップ手術ではマイクロスコープや高価な再生材料の使用、長時間のチェアタイム(1回あたり1〜2時間)、事前のカウンセリング・メンテナンスプログラムなどがパッケージされています。 iwano-dc(https://www.iwano-dc.com/periodontal-surgery/)
一方、保険の歯肉弁切除は、智歯周囲炎など急性炎症のコントロールが主目的で、処置も限定的なことが多く、再評価や長期フォローの位置づけも異なります。 shirobon(https://shirobon.net/medicalfee/latest/shika/r06_shika/r06s_ch2/r06s2_pa9/r06s29_sec1/r06s291_J013.html)
この違いを整理しておくことが、患者への費用説明での納得感につながります。
歯肉弁切除に近い処置として、歯周病に対するフラップ手術の費用感も押さえておくと、説明がスムーズになります。
歯周病治療の費用解説では、保険診療のフラップ手術(歯肉弁根尖側移動術等)が3割負担で約7,000〜10,000円程度と紹介されることが多く、1歯または1ブロック単位の点数を合算した現場感覚とも大きくはズレていません。 cloverdentalclinic(https://www.cloverdentalclinic.com/column/periodontal-treatment-cost-and-insurance-coverage/)
つまり「炎症コントロール目的の歯肉弁切除(120点)」「歯周組織再生やポケット改善を狙うフラップ手術(数千円〜)」という“保険内の二層構造”があるわけです。
この二層構造を理解せず、「どれも似たような切開だから同じような費用感」と説明すると、後の自費提案の説得力が落ちてしまいます。
患者側から見ると、7,000円のフラップと495,000円のフラップがどう違うのかは、説明がなければ想像しづらいからです。 ms-dental(https://ms-dental.com/price/psurgery.html)
ここで、保険フラップはあくまで炎症コントロールとポケット改善を目的とした“必要最小限の治療”であること、自費フラップは長期的な歯の保存を狙った“オプション治療”であることを、診療ガイドラインや学会資料などを参考に整理しておくと説明が安定します。
整理が大事です。
歯周病関連の保険点数早見表を確認すると、歯周外科手術の点数は、部位数や手術の種類によって大きく変動し、その計算を誤ると医院側の採算が合わなくなる可能性もあります。 jsoms.or(https://www.jsoms.or.jp/medical/pdf/2020/score_chart_2020.pdf)
チェアタイム・術野の難易度・術後管理の手間を含めて、「どのラインまで保険で対応し、どこから自費を提案するか」を院内で統一しておくことが、結果的に患者とのトラブル回避につながります。
歯肉弁切除の費用算定では、J013の注釈に書かれている“例外”を把握しておくことが、個別指導リスクを避けるうえで重要です。
点数表の解説では、萌出困難歯に対する開窓術で、歯槽骨切除を伴わない場合には「1 智歯周囲炎の歯肉弁切除等」で算定してよいこと、逆に歯周病以外の原因でこの手術を行い、同日に歯周病処置を行った場合には、歯周病処置と特定薬剤料を別に算定できることなどが明示されています。 shirobon(https://shirobon.net/medicalfee/latest/shika/r06_shika/r06s_ch2/r06s2_pa9/r06s29_sec1/r06s291_J013.html)
つまり、同じ“歯肉弁切除”でも、原因疾患と処置内容の組み合わせによって、算定できる項目が変わってくるわけです。
このあたりを曖昧なまま「智歯周囲炎っぽいからJ013を付けておこう」といった運用を続けると、指導の際に「医学的根拠のない算定」とみなされるリスクがあります。 xn--zqs94lz4l2ooqzu(https://xn--zqs94lz4l2ooqzu.com/shika-hoken109.html)
歯科専門の弁護士が解説するサイトでも、口腔内消炎手術は個別指導で指摘されやすい項目のひとつとして、カルテ記載の不足や適応外の算定が例示されています。 xn--zqs94lz4l2ooqzu(https://xn--zqs94lz4l2ooqzu.com/shika-hoken109.html)
つまりカルテが命ということですね。
現場での対策としては、以下のような運用ルールを院内で共有しておくと良いでしょう。
- X線所見や触診で智歯周囲炎などの診断根拠を明文化し、カルテに残す
- 単なる切開排膿なのか、歯肉弁を翻転してデブライドメントまで行ったのか、手技を具体的に記載する
- 同日に歯周病処置を行った場合、J013との関係(歯周病が原因か否か)を明示する
こうした記載ルールをマニュアル化し、スタッフ全員で共有しておくことが、数年後の個別指導で「なぜこの算定をしたのか」を説明できるかどうかを左右します。 xn--zqs94lz4l2ooqzu(https://xn--zqs94lz4l2ooqzu.com/shika-hoken109.html)
一度整備すれば資産になります。
こちらのページでは、J013口腔内消炎手術の算定項目と注釈、歯周病処置との関係が詳しくまとまっています。
J013 口腔内消炎手術|歯科診療報酬点数表(しろぼんねっと)
最後に、歯肉弁切除の費用について、歯科医院側の「原価計算」と「価格戦略」を整理しておきましょう。
多くの歯科医院では、保険点数に合わせて診療を組み立てるため、個々の処置ごとの原価計算はざっくりになりがちです。
しかし、先述のように歯肉弁切除は120点と低く、チェアタイムや難易度の割にフィーが見合っていない処置の代表格でもあります。 shirobon(https://shirobon.net/medicalfee/latest/shika/r06_shika/r06s_ch2/r06s2_pa9/r06s29_sec1/r06s291_J013.html)
結論は「どの程度までを保険の範囲とし、どこから自費オプションで補うかを、医院として戦略的に決める必要がある」ということです。
たとえば、以下のような考え方が現実的です。
- 急性炎症のコントロール(智歯周囲炎の歯肉弁切除等)は保険で対応し、説明も「必要最小限の応急的処置」であることを強調する
- 中等度〜重度歯周病で長期保存を目指す場合は、保険フラップ+自費オプション(再生療法、マイクロスコープ下手術など)を早めに提示する
- 自費の歯周外科を行う際には、1症例あたりのチェアタイム総量(例:合計4時間)、スタッフ人数、材料費(エムドゲインなど)、術後メンテナンスの回数を洗い出し、それをもとに「最低限採算が取れるフィー」を算出する
実際に、歯周外科の自費価格を明示しているクリニックでは、エムドゲイン加算58,300円、リグロス加算121,000円といった“材料単位の加算”を行い、患者にも「何にいくらかかるのか」を見える化しています。 ms-dental(https://ms-dental.com/price/psurgery.html)
これは使えそうです。
また、支払い方法として現金・クレジットカード・交通系IC・電子マネーなど複数の手段を用意しているクリニックも多く、高額治療への心理的ハードルを下げる工夫として参考になります。 ms-dental(https://ms-dental.com/price/psurgery.html)
高額の自費歯周外科を提案する際、院内ローンや分割払いの選択肢を提示できるかどうかも、患者の受療率に直結します。
同時に、インフォームドコンセントの内容を文書化し、「保険の歯肉弁切除ではここまで、自費歯周外科ではここまで」を図示して説明することで、後の「こんなに高いと思わなかった」というクレームを減らせます。 arkrayoralhealthcare(https://arkrayoralhealthcare.com/find_blog_posts/)
説明ツールの整備が基本です。
歯科医院向けのブログ解説記事では、患者が知りたいのは「自分の場合、どのくらい費用がかかるのか」「保険と自費の違いは何か」といった具体的な疑問だと指摘されています。 zeromedical(https://zeromedical.tv/zeromedical-web/blog/how_to_write_dental_blogs/)
歯肉弁切除や歯周外科について記事を書く場合も、単に点数や価格表を並べるだけでなく、ケース別のシミュレーション(「右下7の智歯周囲炎で保険のみの場合」「上下複数部位に自費フラップ+再生療法を行う場合」など)を示すと、患者の理解が格段に深まります。
それで大丈夫でしょうか?
歯周病治療の費用や保険適用範囲について全体像を整理したい場合は、歯周病治療の費用相場と保険適用範囲を解説したページが、患者説明用の下敷きとして役立ちます。
歯周病治療の費用相場と保険適用範囲を徹底解説
歯肉弁切除の費用や算定、保険と自費の線引きについて、今のところ自院で一番悩んでいるのは「患者説明」でしょうか、それとも「採算性」の方でしょうか?

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