鼻骨骨折何科で受診?耳鼻科形成外科治療

鼻骨骨折が起きた場合、整形外科ではなく耳鼻咽喉科や形成外科を受診する必要があります。適切な診療科の選択が治療期間や結果に大きく影響するって知っていましたか?

鼻骨骨折の受診科と治療

整形外科に行くと2週間のチャンスを逃します。


この記事の3つのポイント
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鼻骨骨折の適切な受診科

耳鼻咽喉科または形成外科が第一選択で、整形外科では対応できないケースが多い

整復手術の期限

受傷後2週間以内、できれば1週間以内に整復術を行わないと変形が固定される

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歯科医療従事者の役割

顔面骨骨折の治療では咬合評価や顎間固定で歯科医師との連携が不可欠


鼻骨骨折で耳鼻咽喉科を受診すべき理由


鼻骨骨折が発生した場合、多くの患者さんが「骨折だから整形外科」と考えて受診されます。しかし実際には、整形外科の医師から「耳鼻科に行ってください」と案内されるケースが非常に多いのが実情です。


鼻骨骨折は顔面骨骨折の一種であり、整形外科の専門領域ではありません。鼻骨は顔面の中央に位置する薄い骨で、鼻根部から鼻の付け根にかけて存在しています。この部位の骨折は耳鼻咽喉科または形成外科が専門的に対応する疾患なのです。


耳鼻咽喉科医は外科医の系統に属しており、鼻骨骨折の整復術や顔面外傷の治療を専門的に行っています。特に鼻骨骨折単独であれば、急性期は耳鼻咽喉科が対応する疾患です。受傷直後であれば外来での局所麻酔による整復が可能で、約30分程度で処置が終わります。


つまり専門科を最初から選ぶことです。


形成外科も鼻骨骨折に対応できる診療科の一つです。特に受傷から1か月以上経過して変形が残った場合や、審美的な修正が必要な場合には形成外科での治療が推奨されます。形成外科では顔の骨折全般を扱っており、見た目の改善を重視した治療を行います。


鼻血が止まらない場合には、必ず耳鼻咽喉科を受診してください。鼻腔内の状態を内視鏡で観察し、出血源を特定して適切な止血処置を行えるのは耳鼻咽喉科だからです。また、鼻中隔血腫という合併症が発生していないかの確認も重要になります。


日本医事新報社の鼻骨骨折治療ガイドラインでは、鼻骨骨折単独であれば耳鼻咽喉科が初期対応することで十分整復が可能と明記されています。


最初の受診科選びが治療結果を左右します。整形外科を経由すると、そこから耳鼻咽喉科や形成外科への紹介となり、貴重な時間を失ってしまうリスクがあります。スポーツ中の接触事故や転倒などで鼻を強打した場合は、迷わず耳鼻咽喉科または形成外科を受診することをお勧めします。


鼻骨骨折の診断方法と症状の見分け方

鼻骨骨折が疑われる場合、どのような症状が現れるのでしょうか。


ほとんどのケースで受傷直後に鼻血が出ます。


これは鼻骨周辺の血管が豊富であるためです。鼻血の量は骨折の程度によって異なりますが、まったく鼻血が出ないケースは比較的まれです。


骨折部位を指で押さえると強い痛みを感じます。これを圧痛といいますが、鼻骨骨折の重要な診断ポイントです。また、折れた直後は鼻すじの部分が「く」の字型に曲がっていたり、凹んでいたりするのが外見からもわかります。しかし受傷後数時間から1日程度経過すると腫れが強くなり、外見からは骨折の有無がわかりにくくなってしまいます。


鼻の変形は審美的な問題だけでなく、機能的な問題も引き起こします。鼻骨が内側にめり込むような形で骨折すると、鼻腔が狭くなり鼻づまりの症状が出現します。メガネをかけている方の場合、鼻骨の変形によってメガネがうまくかけられなくなることもあります。


診断にはCT検査が特に有効です。


CT検査では骨折の位置や程度、骨片の偏位の状態を詳細に把握できます。3次元的な画像再構成も可能で、手術計画を立てる際に非常に役立ちます。単純X線検査でも診断は可能ですが、複雑な骨折や他の顔面骨との合併骨折を見逃すリスクがあるため、CT検査が推奨されています。


日本医科大学形成外科の資料によると、レントゲン、超音波、CT検査によって診断を行い、CT検査で骨折部位や偏位の状況を正確に判断できるため、手術を行うかどうかの判断に活用されています。


軽度の外力で受傷した場合には、骨折があっても症状が軽微なことがあります。鼻を触ると少し痛い程度で、外見上の変形もほとんどない場合です。このようなケースでは亀裂骨折や不全骨折の可能性があり、整復術が不要なこともありますが、必ず医療機関で確認してもらうことが大切です。


鼻中隔血腫の有無は必ず確認する必要があります。鼻中隔血腫とは、鼻の真ん中を仕切っている鼻中隔の軟骨と粘膜の間に血液が溜まった状態です。これを放置すると鼻中隔軟骨が壊死して鞍鼻変形という深刻な変形を引き起こすため、発見次第すぐに切開ドレナージを行う必要があります。


鼻骨骨折の治療期限と整復術の実際

鼻骨骨折の治療で最も重要なポイントは時間的制約です。受傷後2週間程度で骨折した状態の骨が癒着してしまうため、整復できる期間は2週間以内に限られます。できれば受傷後1週間以内に治療方針を決定する必要があります。


この期限を理解していますか。


骨は受傷後1週間を過ぎるとくっつき始め、2週間経過するとかなり固定されてしまいます。骨が癒合してしまった後では、徒手整復という簡単な方法では治療できなくなり、全身麻酔下での骨切り術が必要になるケースもあります。治療難易度が大幅に上がるため、早期受診が極めて重要です。


整復術の実際の流れを説明します。成人の場合は局所麻酔を行い、患部を麻痺させます。鼻の粘膜に麻酔薬を含ませたガーゼを挿入したり、注射で麻酔を行ったりします。小児の場合は全身麻酔を行い、一時的に意識を消失させることが一般的です。


骨を指で外側から押さえ、鼻に挿入した鼻骨鉗子という専用器具で骨を挟み、持ち上げながら正常な位置に戻していきます。整復にかかる時間は30分程度で、皮膚を切開する必要はありません。整復後は鼻の中にガーゼを詰める「内固定」と、鼻の外からギプスやプラスチックプレートを当てる「外固定」を行います。


内固定のガーゼは3日から1週間ほど入れたままにします。この期間は鼻呼吸ができないため、口呼吸での生活となります。外固定のギプスは1から2週間程度装着し、骨が正しい位置で固定されるのを待ちます。


しかし受傷後すぐに整復を行わないこともあります。腫れがひどい場合は少し待つこともあるのです。腫れが落ち着いた受傷後3日から1週間あたりで処置することが多く、これは腫脹が軽快してからのほうが骨の位置を正確に整復できるためです。


整復には急を要しません。


2週間以上経ったような骨折では、骨が癒合し始めているため戻りにくくなっています。局所麻酔で戻そうとしても痛みが強く、全身麻酔が必要になることがあります。また、整復しても骨がもろくなっており、再度変形するリスクも高まります。


整復後の注意事項も重要です。ゆっくりお風呂につかることや飲酒は1週間控える必要があります。血流が良くなると出血や疼痛の原因になるためです。シャワーは問題ありませんが、外固定を外して行い、シャワー後は再度テープで固定します。


運動は外固定が終了してから再開しましょう。


外力により再変形しやすいため、1か月はぶつけたりしないよう注意が必要です。


歯科医療従事者が知るべき顔面骨骨折との関連

歯科医療従事者の皆さんにとって、鼻骨骨折は単独で存在するケースばかりではありません。顔面に強い外力が加わった場合、鼻骨骨折と同時に上顎骨骨折、下顎骨骨折頬骨骨折などの複合的な顔面骨骨折が発生することがあります。このような症例では歯科医師との連携が不可欠です。


顔面骨骨折の治療で最も重要なポイントは咬合、つまりかみ合わせの維持です。上顎骨や下顎骨が骨折すると、歯のかみ合わせが狂ってしまい、食事や会話に重大な支障をきたします。耳鼻咽喉科や形成外科が骨折の整復を行う際、歯科医師が咬合の評価と調整を担当します。


顎間固定による治療では歯科医師の技術が活かされます。顎間固定とは、上下の歯にワイヤーやアーチバーを装着し、上下顎を固定する方法です。これにより骨折部位を安定させ、正常な咬合を維持しながら骨の癒合を待ちます。


固定期間は通常4から6週間程度です。


口腔外科との連携も重要です。


歯科医院で患者さんが「鼻を強くぶつけた」「顔面を打撲した」という訴えをされた場合、まず鼻骨骨折や顔面骨骨折の可能性を考慮する必要があります。特に歯の破折や脱臼歯槽骨骨折を伴っている場合は、より広範囲の顔面骨骨折が隠れている可能性があります。


日本口腔外科学会の資料によると、顎顔面の外傷では歯の損傷だけでなく、顎骨や顔面骨の骨折を伴うことが多く、総合的な評価が必要とされています。


歯科医院での初期対応として、まず出血がある場合は清潔な布やガーゼで傷口を圧迫して止血を行います。そして速やかに口腔外科や耳鼻咽喉科のある総合病院への紹介を検討します。受傷後2週間という治療期限があるため、紹介のタイミングが患者さんの予後を大きく左右します。


紹介状には受傷時刻、受傷機転、現在の症状、咬合の状態などを詳細に記載することが望ましいです。特に「いつ」「どのように」受傷したかという情報は、治療方針を決定する上で非常に重要です。スポーツ中の事故なのか、転倒なのか、交通事故なのかによって、合併損傷の可能性も変わってきます。


歯科医療従事者として患者さんへの説明も大切な役割です。「整形外科ではなく耳鼻咽喉科や形成外科を受診してください」「2週間以内に治療を受けないと変形が残る可能性があります」といった情報を正確に伝えることで、適切な治療につなげることができます。


患者さんの中には「少し鼻が曲がっている程度だから大丈夫」と軽く考える方もいらっしゃいます。しかし鼻骨骨折を放置すると、審美的な問題だけでなく、慢性的な鼻閉や嗅覚障害といった機能的な問題も残る可能性があります。こうしたリスクについても説明し、早期受診を促すことが重要です。


鼻骨骨折患者の紹介先選定と地域連携

歯科医療従事者が鼻骨骨折の疑いがある患者さんに遭遇した場合、どの医療機関に紹介すべきか判断に迷うことがあります。地域の医療資源や施設の特性を理解しておくことが、適切な紹介につながります。


第一選択は耳鼻咽喉科のある総合病院または耳鼻咽喉科クリニックです。特にCT検査が可能な施設であれば、当日中に診断から治療方針の決定まで進められます。多くの耳鼻咽喉科クリニックでは鼻骨骨折の外来整復術に対応しており、局所麻酔下での処置が可能です。


形成外科も紹介先として適切です。形成外科は顔面の審美性を重視した治療を得意としており、特に若い女性や外見を気にされる患者さんの場合、形成外科への紹介も検討する価値があります。ただし形成外科は耳鼻咽喉科ほど一般的な診療科ではないため、地域によっては施設が限られることがあります。


口腔外科がある総合病院では、顔面骨骨折全般に対応できる体制が整っていることが多いです。特に下顎骨骨折や上顎骨骨折を合併している可能性がある場合は、口腔外科、耳鼻咽喉科、形成外科が揃っている総合病院への紹介が理想的です。


救急搬送が必要なケースもあります。


大量出血が止まらない場合、意識レベルの低下がある場合、眼球の損傷が疑われる場合などは、救急車を要請する必要があります。これらの症状は頭蓋内損傷や眼窩内損傷を示唆しており、緊急的な評価と治療が必要です。特に交通事故や高所からの転落など、高エネルギー外傷の場合は救命救急センターへの搬送を検討します。


紹介の際には患者さんに受診のタイミングを明確に伝えることが大切です。「明日必ず受診してください」「できれば今日中に受診してください」といった具体的な指示をすることで、患者さんの行動を促せます。「時間があるときに行ってください」という曖昧な表現では、受診が遅れて治療期限を過ぎてしまう可能性があります。


地域の医療連携を日頃から構築しておくことも重要です。近隣の耳鼻咽喉科や形成外科の医師と顔の見える関係を作っておくと、緊急時の紹介がスムーズになります。地域の医師会が主催する勉強会や症例検討会などに参加することで、こうした連携体制を強化できます。


患者さんが受診後のフォローアップも歯科医療従事者の役割です。整復術後に歯科での口腔ケアが必要になるケースもあります。顎間固定を行っている場合、口腔内の清掃が困難になり、う蝕歯周病のリスクが高まります。固定期間中の口腔衛生指導や、固定除去後の歯科治療など、継続的なサポートが求められます。


診療情報提供書の返書をしっかり確認することで、患者さんの治療経過を把握できます。どのような治療が行われたのか、今後どのような経過観察が必要なのか、歯科での注意点はあるのかなどを確認し、患者さんの総合的な管理につなげることが大切です。


鼻骨骨折予防と患者教育のポイント

鼻骨骨折の原因として最も多いのはスポーツ外傷です。バスケットボールやバレーボールなどの球技で相手選手の肘が顔面に当たるケース、野球でボールが顔面に直撃するケース、サッカーで頭同士が衝突するケースなどが典型的です。これらのスポーツを行う患者さんには予防の重要性を伝える必要があります。


スポーツ用のフェイスガードやマウスガードの使用を推奨することができます。特にバスケットボールやハンドボールなど、接触プレーが多いスポーツでは、フェイスガードの装着が鼻骨骨折のリスクを大幅に減少させます。歯科医師として作製するマウスガードは主に歯の保護が目的ですが、顎や顔面への衝撃を和らげる効果もあります。


高齢者の転倒予防も重要なテーマです。


高齢者が自宅で転倒し、顔面を床に打ち付けて鼻骨骨折を起こすケースは決して少なくありません。骨粗鬆症がある場合、軽微な外力でも骨折しやすくなっています。歯科受診時に転倒のリスク要因を確認し、必要に応じて主治医との情報共有を行うことも大切です。


子供の事故予防については保護者への教育が鍵となります。歯ブラシを咥えたまま歩くと、転倒時に内頚動脈損傷や頭蓋底穿破といった重篤な合併症を起こす可能性があります。


箸を口にくわえて遊ぶのも同様に危険です。


小児歯科での定期検診時に、こうした危険行為について保護者に注意喚起することができます。


受傷直後の応急処置について患者さんに教育することも有用です。鼻をぶつけた場合は、まず冷却することが基本です。氷嚢や冷たいタオルを鼻に当てることで、腫脹や痛みを軽減できます。ただし長時間の冷却は組織損傷を招くため、15分程度冷やして休憩を入れる間欠的冷却が推奨されます。


鼻血が出た場合の止血方法も重要な知識です。頭を後ろに倒すのは誤った方法で、血液が喉に流れ込んで誤嚥や嘔吐を引き起こす可能性があります。正しい方法は、座った姿勢で少し前かがみになり、小鼻を指でつまんで圧迫することです。10分程度圧迫すれば多くの場合止血できます。


受傷後に絶対にしてはいけない行為についても説明が必要です。鼻を強くかむと骨折部位がずれたり、鼻中隔血腫が悪化したりする可能性があります。特に頭蓋底骨折を合併している場合、鼻をかむことで空気が頭蓋内に入り込む気脳症を起こすリスクがあります。受傷後しばらくは鼻をかまないように指導します。


飲酒や入浴も控えるべき行為です。血流が良くなることで再出血のリスクが高まります。受傷当日は飲酒を避け、入浴もシャワー程度にとどめることが望ましいです。こうした生活指導を行うことで、合併症のリスクを減らすことができます。


歯科医療従事者として、鼻骨骨折に関する正確な知識を持ち、適切なタイミングで専門医療機関への紹介を行うことは、患者さんの予後を大きく改善します。整形外科ではなく耳鼻咽喉科または形成外科を受診すること、2週間以内という治療期限があること、この2点を患者さんに明確に伝えることが最も重要なポイントです。




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