PPDだけ見ていると、歯周炎のステージを1〜2段階誤診するリスクがあります。
「CAL」という3文字は、歯科の現場では日常的にスラングのように飛び交う略語です。ただ、この言葉の正式名称を問われると、意外にも「クリニカルアタッチメントレベル」と即答できる方ばかりではありません。
まず英語の "cal" という表現の幅広さを整理しておきましょう。一般的な英語では "cal" は **calorie(カロリー)**の略、あるいは **calendar(カレンダー)** や **caliber(口径)** の略としても使われます。 "Cal" と大文字で書けばカリフォルニア大学バークレー校(University of California, Berkeley)を指すスラングにもなります。つまり "cal" という文字列だけでは文脈なしに意味は確定しません。
歯科臨床の場では、"CAL" は **Clinical Attachment Level(クリニカルアタッチメントレベル)** を指す略称として定着しています。これは歯周プローブを用いて、セメント-エナメル境(CEJ)を基準点としてポケット底までの距離を計測した値のことです。つまり歯周組織がどれだけ健全に保たれているか、または失われているかを示す定量的な指標です。
これが現場で使われる場面は非常に多く、「CAL測って」「CALどれくらい?」という短縮した言い回しは、もはや歯科スタッフ間の共通語=スラングといっても過言ではありません。スラングとして定着しているからこそ、その背後にある本来の意味を正確に把握しておくことが重要です。
CALを計測する標準的な方法は、1歯につき6点を測定する「6点法」が基本とされています。頬側の近心・中央・遠心、舌側の近心・中央・遠心を計測し、その平均やピーク値が歯周病の進行度の評価に使われます。6点法は、はがき1枚(148mm)の長さを単純に分割するくらいの手数で全歯を計測していくイメージです。
参考:WHITE CROSSによるCAL(クリニカルアタッチメントレベル)の定義解説
https://www.whitecross.co.jp/glossaries/view/110
歯科現場でCALという言葉を使うとき、実は2つの異なる概念が同じ略語を共有しているという事実があります。これが現場での混乱を生みやすく、特に新分類を学び始めた方が最初につまずくポイントです。
**1つ目のCAL:Clinical Attachment Level(クリニカルアタッチメントレベル)**
これはCEJからポケット底までの距離を「計測した値そのもの」を指します。文字通り、アタッチメント(付着)がある「位置(レベル)」を数値で示すものです。
**2つ目のCAL:Clinical Attachment Loss(クリニカルアタッチメントロス)**
こちらは「どれだけアタッチメントが失われたか」を示す概念です。歯周炎によって付着が喪失した量・程度を評価するための指標です。
つまり「レベル」は現在の付着位置、「ロス」は付着の喪失量、と整理できます。
2019年の歯周病新分類(日本歯周病学会が導入)において、ステージ分類の判断基準として使われるCALは**クリニカルアタッチメントロス**の方です。ただし実際の計測値には**クリニカルアタッチメントレベルの数値を使用**します。これが非常にわかりにくい部分で、「CALロスという概念を使いながら、計測はCALレベルの値を用いる」という構造になっています。
両者が同じ略語を持つことで、カンファレンスや記録の場で「CALが3mm」と言われたとき、「位置が3mm」なのか「喪失が3mm」なのかが曖昧になるリスクがあります。それが臨床判断のブレにつながることもゼロではありません。慣れた現場ほど使い分けが曖昧になりがちです。
これは要注意です。
参考:歯周病新分類におけるCALの2つの意味の整理(la-precious.jp)
https://la-precious.jp/perio-4/
「PPD(プロービングポケットデプス)で十分じゃないの?」と思う方もいるかもしれません。実際に両者はよく混同されますが、測定の基準点が根本的に異なります。
| 指標 | 基準点 | 測定内容 |
|---|---|---|
| PPD(プロービングポケットデプス) | 歯肉辺縁(歯ぐきの先端) | 歯肉辺縁〜ポケット底までの距離 |
| CAL(クリニカルアタッチメントレベル) | CEJ(セメント-エナメル境) | CEJ〜ポケット底までの距離 |
PPDは歯肉辺縁を基準にするため、**歯肉の腫れや退縮によって数値が変動**します。たとえば歯肉が炎症で3mm腫れていれば、その分PPDの値が深く出ます。逆に炎症が引いて歯肉が退縮すれば、PPDは浅くなります。
一方のCALは、動かないCEJを基準にするため、歯肉の位置変化に左右されず、付着の状態を安定して評価できます。
具体的な数値で見てみましょう。同じ歯でも歯肉の状態によって以下のような差が生じます。
| ケース | PD(mm) | CAL(mm) | 状況 |
|---|---|---|---|
| A(歯肉正常) | 6 | 3 | CEJが歯肉の3mm冠側にある |
| B(歯肉正常・退縮なし) | 6 | 6 | CEJが歯肉辺縁とほぼ一致 |
| C(歯肉退縮3mm) | 6 | 9 | 歯肉がCEJより3mm退縮 |
同じPD=6mmでも、CALは3・6・9mmと3倍の開きが生じます。PPDだけで判断していると、付着の喪失状態を大きく見誤るリスクがあります。これは見逃せない数字の差です。
また、計測時の注意点として、**歯肉退縮がある場合はCALが過小評価され、歯肉肥大がある場合は過大評価**されることも覚えておく必要があります。測定値を解釈する際には、患者の歯肉の形態変化も必ずセットで確認するのが原則です。
参考:GC歯科医院向け資料「戦略的歯周基本治療」PPDとCALの違いを図解解説
https://www.gcdental.co.jp/member/school/images/pdf/levelup_team_p_t_01.pdf
2019年に導入された歯周病新分類(日本歯周病学会)では、従来のPPD中心の評価からCAL(クリニカルアタッチメントロス)を主要指標とする評価へとシフトしました。この変更の意味をしっかり理解しておくことは、現代の歯周治療を行う全スタッフに求められる基礎知識です。
ステージは歯周炎の重症度・複雑度を4段階で表し、以下のCALの数値が目安となっています。
| ステージ | 隣接面の最大CAL | 重症度のイメージ |
|---|---|---|
| ステージⅠ | 1〜2mm | 軽度。爪の先ほどの付着喪失 |
| ステージⅡ | 3〜4mm | 中等度。小指の爪幅くらいの喪失 |
| ステージⅢ | 5mm以上 | 重度。歯槽骨の支持が大幅に失われる |
| ステージⅣ | 5mm以上 | 最重度。咀嚼機能にも影響が出るレベル |
ステージⅢとⅣはどちらもCAL≧5mmですが、ステージⅣは「咬合崩壊のリスク」や「歯の動揺・移動・喪失」など複合的な問題が加わることで区別されます。つまり数値だけでは決まりません。
新分類の重要なポイントは「口腔全体(患者単位)での診断」です。旧分類では1歯単位の病態で分類していましたが、新分類では複数歯のCALの状態から患者全体の歯周炎ステージを判断します。具体的には「**隣り合わない2本以上の歯で2mm以上のCALロスがある**」ことが歯周炎の定義の一つとして用いられます。
このような診断基準の変化を知っておくことで、チームカンファレンスにおける歯科衛生士の発言力が高まります。「この患者さんはステージⅡですね」と根拠あるCALの数値を示しながら話せるかどうかは、キャリアの差にもつながります。これは使える知識です。
参考:日本矯正歯科学会 歯周病新分類の解説資料(jacp.net)
https://www.jacp.net/pdf/topics/shinbunrui_20210401.pdf
歯科スタッフが実際の臨床現場でCALをどのようにスラング的に使っているか、そして誤用を防ぐためにどう意識すべきかを整理します。
**現場でよく聞くCALスラング表現の例:**
- 「CALどれくらい出た?」→ 計測値(レベル)を聞いている
- 「CALが増えてきてるね」→ アタッチメントロスの悪化を指している
- 「CAL的にはステージⅡかな」→ 新分類の判定基準としてのCALロスを参照している
- 「CALとPPDのギャップがある」→ 歯肉退縮や肥大を示唆している
これらは全て同じ「CAL」という言葉を使いながら、異なる意味で使用されています。文脈から読み取れる場合がほとんどですが、複数のスタッフが記録を共有する場面では誤解が起きやすくなります。特に新人歯科衛生士が「CALが3mm増えた」と聞いたとき、ロスが3mm悪化したのか、レベルが3mmという値なのかを即座に判断できないことが現場ではよくあります。
こうした現場のスラングを正確に理解するための対処として、診療録や検査票には**「CAL(mm)」と数値で明記**し、文脈を補足するひと言を添える習慣が望ましいです。「CALロス3mm増加」「CAL(レベル)=5mm」のように記載を区別するだけで、チーム全体のコミュニケーションコストが大きく下がります。
また、「PPDだけ計測しているのでCALは計算していない」というクリニックでは、付着の喪失状態を定量的に把握できていない可能性があります。日本歯周病学会の「歯周治療のガイドライン2022」では、CALを積極的に活用した診断が推奨されており、PPD単独の評価からの移行が現場での課題でもあります。
さらに、英語圏の歯科文献やセミナーを受講する機会がある場合、"CAL" が "Clinical Attachment Loss"(ロス)の略として使われていることが多い点にも注意が必要です。日本語の歯科用語集ではレベルの略語として整理されていますが、英語の原著論文ではロスの略号として使われる場面が多く、読み解きの際に混乱しやすい部分です。翻訳資料を参照するときは原文のコンテキストを確認するのが基本です。
参考:日本歯周病学会「歯周治療のガイドライン2022」PDF(公式)
https://www.perio.jp/publication/upload_file/guideline_perio_2022.pdf
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