歯の動揺 治療による改善の限界を理解する

歯周病による歯の動揺は医学的に完全には治らないことをご存知ですか?歯科医が実際の治療方法と、患者さんが誤解しやすいポイントを解説します。

歯の動揺 治療の現実と対処法

一度破壊された歯槽骨は完全には元に戻らないため、動揺した歯を完璧に治すことはできません。


歯の動揺治療の3ポイント
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動揺度の分類で進行状況を判定

動揺度0度は健康、1度は前後移動0.2〜1mm、2度は左右にも動き1〜2mm、3度は上下にも動く状態。 2度以上なら治療が必須です。

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治療法は複数の段階的対応

基本治療→咬合調整→スプリント固定→歯周組織再生療法と段階的に進みます。 患者の状態によって選択肢が変わります。

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早期対応で抜歯を回避できる可能性向上

動揺度1度なら基本治療で改善の可能性が高い。放置すると動揺度3度となり抜歯確定になるため、早期発見が重要です。


歯の動揺 治療の基本となる歯周病治療アプローチ


歯周病による歯の動揺は、支える骨が溶けることで生じます。歯を失う最大の原因が歯周病であり、日本人の約35%が罹患しているとされています。この溶けた骨が完全に復活することはないため、治療の目標は「炎症を止める」「これ以上の進行を防ぐ」「歯を残す」という3点になります。


基本治療はスケーリングルートプレーニングから始まります。ピンセット状の器具で歯を軽く押して、前後・左右の動きを確認することで動揺度を判定します。この時点で動揺度1度程度なら、歯石除去やプラークコントロール指導だけで改善が見込めます。


一般的には歯周ポケットが3mm以下なら健康、3〜5mmで初期病変、5mm以上で治療が必要です。重要なのは、炎症が強いと歯が一時的に浮いたように感じられることです。つまり、治療によって腫れが引くと、わずかに動揺が改善される場合があります。


歯の動揺 治療で使用される段階別の対応策

動揺度2度以上になると、咬合調整だけでは不十分になります。歯周病の進行が中等度以上の場合、歯と歯を専用の接着剤で固定する「スプリント固定」を行います。これはギプスで骨折を固定するのと同じ原理です。固定にはいくつかの方法があり、接着剤だけで固定する方法と、歯を少量削ってワイヤーを埋め込む方法があります。


ワイヤー埋め込み法は見た目が悪くなるリスクがありますが、固定効果が高く外れにくいという利点があります。最も強固な方法は、歯を削って被せ物で複数本を連結固定する方法ですが、歯を削る量が増えるため、場合によっては神経を取る必要も出てきます。


保険診療では約5000円〜2万円程度が一般的な費用相場です。ただし、固定を外すには歯周病が治まるまで待つ必要があります。つまり、治療期間は数ヶ月から1年以上かかることも珍しくありません。


つまり、完全な改善ではなく「現状維持」を目指す治療なのです。


歯の動揺 治療で再生を期待する最新の歯周組織再生療法

動揺が進行している場合、歯周組織再生療法という選択肢があります。失われた骨を意図的に再生させる治療法で、GTR法、エムドゲイン法、リグロスの3種類があります。


GTR法は人工膜を歯肉と骨の間に挿入し、骨が再生するための空間を作ります。メンブレンという膜が歯肉の侵入を防ぐ役割を果たします。保険適用で約5000円〜15000円程度の費用で済みますが、膜を除去するため2回の手術が必要です。


エムドゲイン法は豚の歯胚組織から抽出したたんぱく質を塗布する方法です。歯が生える時と同じ環境を作り出し、骨と歯根膜の再生を促進します。手術は1回で済みますが、保険外で5万円〜10万円程度の費用がかかります。


リグロスは成長因子を含む薬剤を塗布する方法で、細胞を増やして血管新生を促します。保険適用で約5000円〜15000円程度です。


これらの治療法も「完全な復活」を期待できません。再生の程度には個人差があり、骨の50〜70%程度の回復が期待できるとされています。


つまり、わずかな動揺が残る可能性が高いのです。


つまり、最新治療でも「完全治癒」ではなく「改善」に留まります。


歯の動揺 治療が成功するための患者の心構え

歯周病が治療で改善しない場合、2つのパターンがあります。一つは患者の磨き方が不十分なため、もう一つは医学的に限界に達しているケースです。日本人の約60%が磨き残しがあると言われており、治療の成功には日々のセルフケアが不可欠です。


歯ブラシは柔らかいものを選び、歯と歯茎の境目を45度の角度で当てます。デンタルフロス歯間ブラシで歯と歯の間を清掃することも重要です。歯磨き後は鏡で出血がないか確認し、特に出血がある部位を重点的に磨く工夫が必要です。


定期的なメンテナンスは3ヶ月ごとが目安です。この間隔で専門的なクリーニングを受けることで、自分では落とせない歯石を除去でき、歯周病の再発を防げます。


また、喫煙と歯周病の関係は深刻です。喫煙者の歯周病リスクは非喫煙者の2〜8倍高いという研究結果があります。


治療期間中の禁煙は治療成功の鍵になります。


つまり、治療成功は医学の力と患者の生活習慣の両立にあるということですね。


歯の動揺 治療で抜歯を避けるために知るべき臨界ライン

動揺度3度になると、抜歯の可能性が極めて高くなります。歯が上下左右すべての方向に動く状態では、噛む機能をほぼ失っており、多くの歯科医が抜歯を勧めます。しかし、動揺度2度までなら歯周組織再生療法で改善の可能性があります。


実際の臨床では、歯周ポケットが6mm以上の場合、自費診療の歯周組織再生療法が視野に入ります。この段階で治療を始めるか、保存的治療で様子を見るかは、患者の希望と歯科医の判断で決まります。


歯を残すための窓口期間は意外と短いです。1年間何もしなければ、動揺度は1度上昇するとも言われています。つまり、動揺度1度の時点で治療を開始することが、歯を残せるかどうかの分岐点になるのです。


重度の歯周病でも歯周外科治療を行うことで、約60%程度の症例で歯が保存できたという報告もあります。ただし、この成功率は治療を受けた直後の話で、その後の維持管理が困難な場合が多いのです。


つまり、治療開始のタイミングが「歯を失うか失わないか」を決める重要な要素なのですね。


治療経験が豊富な歯周病専門医への相談が、患者さんの歯を残す可能性を大きく左右します。歯周病治療を専門とする医院では、多くの症例を扱っているため、個別の診断と治療計画が可能です。


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