第8版では深達度5mm以下でもT2になります。
UICC分類における口腔癌は、口腔6部位の被覆粘膜に原発した癌腫を対象としています。具体的には頬粘膜癌、上歯肉・上顎歯肉癌、下歯肉・下顎歯肉癌、硬口蓋癌、舌癌、口腔底・口底癌の6つです。小唾液腺癌も含まれますが、転移性のものは除外されます。 kanehara-shuppan.co(https://www.kanehara-shuppan.co.jp/_data/ebooks/00486T/FLASH/data/29.html)
口唇および口腔癌として分類されることから、口唇癌も記載対象となっています。口唇は赤唇部のみを指し、上唇(赤唇部)、下唇(赤唇部)と唇交連に分けられます。組織学的確証が必要です。 kanehara-shuppan.co(https://www.kanehara-shuppan.co.jp/_data/ebooks/45013T/FLASH/data/4.html)
つまり6部位が基本です。
歯科医療従事者は、これらの範囲を正確に理解することで、初診時の触診による慎重な診査が可能になります。口腔粘膜に発生する悪性黒色腫は上気道消化管の悪性黒色腫の一部として別に記載されるため、扁平上皮癌とは区別する必要があります。 jsco-cpg(http://www.jsco-cpg.jp/oral-cavity-cancer/guideline/)
2016年に公表された第8版TNM分類では、T分類に浸潤の深さ(DOI:Depth of Invasion)が導入されました。従来の第7版では腫瘍の最大長径や周囲臓器への進展度により決定されていましたが、深達度も考慮することになったのです。さらに2018年にUICCから正誤表が公表され、T2、T3、T4が訂正されました。 jsoo(https://jsoo.org/wordpress/wp-content/uploads/96104b684c3fa034b200a38b4128f7c5.pdf)
正誤表による訂正後のT分類は以下の通りです。T1は最大径が2cm以下かつ深達度が5mm以下の腫瘍、T2は最大径が2cm以下かつ深達度が5mmをこえる腫瘍、または最大径が2cmをこえるが4cm以下でかつ深達度が10mm以下の腫瘍です。T3は最大径が2cmをこえるが4cm以下でかつ深達度が10mmをこえる腫瘍、または最大径が4cmをこえ、かつ深達度が10mm以下の腫瘍となります。 cancer-c.pref.aichi(https://cancer-c.pref.aichi.jp/site/folder6/5403.html)
深達度が基準に加わりました。
T4aは最大径が4cmをこえ、かつ深達度が10mmをこえる腫瘍、または下顎もしくは上顎の骨皮質を貫通するか上顎洞に浸潤する腫瘍、または顔面皮膚に浸潤する腫瘍です。T4bは咀嚼筋隙、翼状突起、頭蓋底に浸潤する腫瘍、または内頸動脈を全周性に取り囲む腫瘍と定義されています。 cancer-c.pref.aichi(https://cancer-c.pref.aichi.jp/site/folder6/5403.html)
この改訂により、第7版と比較して後発転移率がT1では低下し、T2では増加しました。歯科臨床では、この変更により約16%の症例でcTの変更が、約6%の症例でpTの変更が認められています。進行度をより的確に後発転移と生存率へ反映させるため、実用的であると考えられています。 cir.nii.ac(https://cir.nii.ac.jp/crid/1390564227304840704)
深達度(DOI)は、病理組織学的には隣接する正常粘膜基底膜の仮想平面から腫瘍の最深部までの距離と定義されています。この距離が口腔癌の予後を規定する頸部所属リンパ節転移に関連する重大な因子として広く知られています。 www5.dent.niigata-u.ac(http://www5.dent.niigata-u.ac.jp/~radiology/clin/DOI.html)
DOIの測定には触診、CT、MRI、超音波が使用されますが、軟組織の描出に優れるMRIが有用であるとする報告が多く認められます。特に生検前にMRIで計測した値が「臨床的DOI」と最も近似することが明らかとなっています。病理組織標本作製過程における平均幅径収縮率は10.3%であり、「臨床的DOI」≒ 病理組織学的DOI ×100/89.7 の補正式が完成しています。 tmd.ac(https://www.tmd.ac.jp/files/topics/56223_ext_04_2.pdf)
生検前MRIが最適です。
音響カップリング材を併用した口腔内超音波診断法も、T1・T2の舌扁平上皮癌の深達度計測において高い有用性が認められています。病理組織学的DOIと比較した場合、その診断精度はCTやMRIを凌駕していることが報告されています。ただし、粘膜上皮基底膜は超音波画像上で明確に規定されておらず、DOI計測手法に関する検討は十分でない側面もあります。 kaken.nii.ac(https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-18K09763/)
歯科医療従事者が早期舌癌の浸潤範囲を評価する際、超音波診断法を活用することで浸潤先端を特定でき、非侵襲的に術前に高精度な予測が可能となります。これにより、適切なT分類の評価と治療方針の決定につながります。 kaken.nii.ac(https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-18K09763/)
東京医科歯科大学の研究資料では、舌癌深達度計測における生検前MRIの有用性が詳細に解説されています
第8版のN分類では、転移レベルや転移個数に加え、節外浸潤(ENE:Extra Nodal Extension)の有無を考慮することになりました。初診時の触診による慎重な診査が大切ですが、確定診断には触診に加えて画像検査が必要です。 cir.nii.ac(https://cir.nii.ac.jp/crid/1390282763079874944)
N分類の具体的基準は以下の通りです。N0は領域リンパ節転移なし、N1は同側の単発性リンパ節転移で最大径が3cm以下かつ節外浸潤なしです。N2aは同側の単発性リンパ節転移で最大径が3cmをこえるが6cm以下かつ節外浸潤なし、N2bは同側の多発性リンパ節転移で最大径が6cm以下かつ節外浸潤なしとなります。 cancer-c.pref.aichi(https://cancer-c.pref.aichi.jp/site/folder6/5403.html)
節外浸潤が新基準です。
N2cは両側または対側のリンパ節転移で最大径が6cm以下かつ節外浸潤なし、N3aは最大径が6cmをこえるリンパ節転移で節外浸潤なし、N3bは単発性または多発性リンパ節転移で臨床的節外浸潤ありと定義されています。 cancer-c.pref.aichi(https://cancer-c.pref.aichi.jp/site/folder6/5403.html)
第7版でpN2bの3例が、第8版ではpN3bに分類され、3例とも経過不良であったことが報告されています。この変更により、N分類は予後をより的確に反映するようになりました。歯科医療従事者は、触診と画像診断を組み合わせることで、節外浸潤の有無を含めた正確なN分類の評価が可能となります。 cir.nii.ac(https://cir.nii.ac.jp/crid/1390282763079874944)
口腔がんの病期(ステージ)は、予後調査を基に作成されたUICC TNM分類に基づいて決まります。ステージ0からステージIV(0、I、II、III、IVA、IVB、IVC)まであり、ステージ0・I・IIは早期がん、ステージIII・IVA・IVBは局所進行がん、IVCは遠隔転移を伴う進行がんに相当します。 ncc.go(https://www.ncc.go.jp/jp/information/knowledge/oral/002/index.html)
具体的な病期分類は以下の通りです。0期はTis N0 M0、Ⅰ期はT1 N0 M0、Ⅱ期はT2 N0 M0です。Ⅲ期はT3 N0 M0またはT1-3 N1 M0、ⅣA期はT4a N0-1 M0またはT1-4a N2 M0となります。 cancer-c.pref.aichi(https://cancer-c.pref.aichi.jp/site/folder6/5403.html)
病期は治療方針を決めます。
ⅣB期はTany N3 M0またはT4b Nany M0、ⅣC期はTany Nany M1と定義されています。病期はⅠ期からⅣ期の6期に分けられ、腫瘍の大きさと症状(T)、リンパ節転移の有無(N)、遠隔転移の有無(M)によって分類するTNM分類が国際的にも一般的です。 koukuugan(https://www.koukuugan.jp/gun2_stage.html)
第7版から第8版への見直しは、主にStage上昇につながりました。正誤表に準拠して評価すると、pTの変更に伴ってpStageが変更されたため、stageの上昇とともに生存率が低下しました。歯科医療従事者は、この病期分類を正確に理解することで、患者の予後予測と適切な治療方針の決定が可能となります。口腔癌取扱い規約に準拠した項目(占拠部位、原発巣の大きさ、臨床型発育様式分類、cTNM分類、cStage分類)をカルテデータに記載することも重要です。 nihon-u.repo.nii.ac(https://nihon-u.repo.nii.ac.jp/record/2001360/files/Iizuka-Yukiko-3.pdf)
国立がん研究センターの口腔がん検査・診断ページでは、病期分類と治療方針の関連が詳しく解説されています