ストレートハンドピース バー 種類と用途の選び方

ストレートハンドピース用バーには削るもの・形を整えるもの・研磨用と用途別に多彩な種類があります。HP規格の直径2.35mmシャンクを持つバーは義歯調整や技工物研磨に最適ですが、規格違いを使うと精度が落ちて仕上がりに差が出ます。あなたの診療で正しいバーを選べていますか?

ストレートハンドピース バー 種類と選び方

FG規格バーを間違ってストレートに装着すると治療時間が1.5倍かかります。


この記事の3ポイント要約
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HP規格バーの基本仕様

ストレートハンドピース専用のHP規格バーは直径2.35mm・全長44.5mmのシャンクを持ち、義歯調整や技工物研磨に最適な設計です。

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バーの種類と使い分け

カーバイドバー・ダイヤモンドバー・シリコンポイントなど用途別に形状と材質が異なり、削る・整える・研磨するの3段階で使い分けることが重要です。

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規格間違いによるリスク

FG規格(直径1.6mm)を誤ってストレートに使うとグラつきや破損の原因となり、治療効率が大幅に低下します。


ストレートハンドピース用バーのHP規格とシャンク径


ストレートハンドピースで使用するバーには、明確な規格が定められています。JIS T5504の規定によると、HP規格バーのシャンク径は2.35mmで統一されており、全長は44.5mmが標準となっています。この規格は、義歯や技工物の調整作業に適した太さと長さを持つため、口腔外での作業に最適化されています。


シャンク径が正確に守られていることで、ハンドピースのチャック部分にしっかりと固定され、回転時のブレを最小限に抑えることができます。


つまり精密な研磨が可能です。


寸法公差はマイナス方向のみ0.016mmという厳しい範囲で規格化されているため、どのメーカーのバーでも基本的に互換性があります。


一方、エアタービン用のFG規格は直径1.6mm、等速コントラ用のCA規格は2.35mmですが、全長が異なります。CA規格は22mmまたは26mmが主流で、HP規格の半分程度の長さです。この長さの違いが、口腔内と口腔外という使用場所の違いを反映しています。


規格を間違えて使用すると、バーがチャックに正しく固定されず、回転時に振動や異音が発生します。FG規格(1.6mm)をストレートハンドピース(2.35mm用)に装着すると、シャンク径が0.75mm細いため、グラついて危険です。


作業効率も大幅に落ちます。


診療で使用する前には、必ずバーのシャンク部分に刻印されている規格表示を確認してください。「HP」の表示があれば、ストレートハンドピース用として使えます。医院内でバーを整理する際も、規格別に分けて保管すると取り違えを防げますね。


ワンドでは、ハンドピース別のバー規格の違いと選び方について、JIS規格に基づいた詳細な解説を提供しています。


ストレートハンドピース用カーバイドバーの切削特性

カーバイドバーは、タングステンカーバイド製の作業部を持つ切削器具で、ストレートハンドピース用のHP規格タイプは主に義歯や補綴物の大掛かりなトリミングに使用されます。タングステンカーバイドの硬度はモース硬度で約9と非常に高く、鉄やステンレスの約2倍の硬さを持ちます。これは鉄の硬さを1とすると、約2倍の硬度です。


カーバイドバーの最大の特徴は、刃物による切削加工方式を採用している点です。ダイヤモンドバーが研削砥粒で表面を削るのに対し、カーバイドバーは鋭い刃で材料を「切る」ため、切削抵抗が少なく効率的に作業できます。軟化象牙質や古いコンポジットレジン、アクリル樹脂の除去では、低回転でも良好な切削感が得られます。


形状には、ラウンド(球状)、フィッシャー(円筒状)、テーパー、インバーテッドコーンなど多彩なバリエーションがあります。ラウンドタイプは義歯床の大きな凹みを作る際に、フィッシャータイプは平面を削る際に適しています。義歯調整では、まずカーバイドバーで大まかな形態修正を行い、その後シリコンポイントで研磨するのが基本的な流れです。


ストレートハンドピースで使用する際の推奨回転数は、一般的に5,000~20,000rpm程度です。回転数が高すぎると発熱でレジンが焼けたり、バーの刃が早く摩耗したりするため注意が必要ですね。適度な圧力で軽く当てながら、バーを材料に対して適切な角度で使用すると、効率よく削れます。


カーバイドバーは使用後、必ずオートクレーブ滅菌またはEOG滅菌を行ってください。切削時に出血を伴うケースもあるため、感染対策として滅菌処理は必須です。刃が摩耗したバーは切削効率が落ちるだけでなく、振動や熱の発生原因にもなります。


ストレートハンドピース用ダイヤモンドバーと研削方式

ダイヤモンドバーは、ステンレススチール製のシャンクに微細なダイヤモンド粒子を電着またはニッケルメッキで固定した研削器具です。ダイヤモンドはモース硬度10で地球上で最も硬い天然物質のため、セラミックや硬質金属など極めて硬い材料の研削に威力を発揮します。


研削方式は、高速回転する砥粒が材料表面を少しずつ削り取る「研削加工」です。カーバイドバーのように刃で切るのではなく、無数のダイヤモンド粒子が摩擦によって材料を削ります。そのため研削面は比較的滑らかで、微細な調整に適しています。


ストレートハンドピース用のHP規格ダイヤモンドバーは、技工物の精密な形態修正や、金属冠・セラミック冠の咬合調整に使用されます。義歯のメタルフレーム部分や、硬質レジン歯の調整にも有効です。粒度には粗目・中目・細目・極細目の4段階があり、粗目で大まかに削った後、細目で仕上げるという段階的な使い方が理想的です。


使用時の注意点として、ダイヤモンドバーは発熱しやすい性質があります。高速回転で使用すると摩擦熱が蓄積し、材料が焼けたり変色したりする可能性があります。適度な圧力で短時間ずつ使用し、必要に応じて注水しながら作業すると熱の発生を抑えられます。


ダイヤモンド粒子は使用とともに脱落していくため、耐久性はカーバイドバーより劣ります。切削効率が落ちてきたら、無理に使い続けず新しいバーに交換しましょう。滅菌は可能ですが、繰り返すとダイヤモンド粒子の接着力が弱まる傾向があります。


ワンドでは、ダイヤモンドバーとカーバイドバーの切削メカニズムと耐久性の違いについて、材料別・症例別の比較データを詳しく解説しています。


ストレートハンドピース用シリコンポイントと研磨工程

シリコンポイントは、シリコーンゴムに研磨砥粒(ダイヤモンド粒子やアルミナ粒子など)を配合した弾性研磨材です。ストレートハンドピース用のHP規格シリコンポイントは、義歯床や補綴物の中研磨から最終研磨まで幅広く使用され、カーバイドバーで形態修正した後の仕上げ工程に欠かせません。


松風ビッグシリコンポイントHPなど代表的な製品では、R1(荒仕上げ・グレー)→R2(中仕上げ・茶色)→R3(研磨仕上げ・白色)の3ステップで色分けされています。この順番で使用することで、効率よく滑らかな光沢面が得られます。色が濃いほど砥粒が粗く、白色に近づくほど細かくなるという覚え方ができますね。


シリコンポイントの最大の利点は、柔軟性があるため研磨による形態変形を起こしにくい点です。硬いバーで削ると意図しない部分まで削れてしまうリスクがありますが、シリコンポイントなら適度な弾力で表面を磨くため、細かい凹凸にもフィットします。義歯の複雑な曲面や、金属とレジンの境界部分の研磨に特に有効です。


使用時の回転数は、一般的に5,000~15,000rpm程度が推奨されます。回転数が高すぎるとシリコンが発熱して溶けたり、研磨面に焼き付きが発生したりします。軽い圧力でゆっくりと動かし、一箇所に長時間当て続けないことが大切です。


シリコンポイントは使い捨てではなく、適切に管理すれば複数回使用できます。ただし砥粒が摩耗すると研磨効率が落ちるため、表面が滑らかになってきたら交換のタイミングです。洗浄後、オートクレーブ滅菌が可能ですが、高温で変形する可能性があるため、メーカー推奨の滅菌条件を守ってください。


研磨剤との併用も効果的です。義歯専用の研磨ペーストを少量つけてシリコンポイントで磨くと、より短時間で光沢が得られます。軟性レジンなど研磨しにくい材料でも、滑沢なツヤに仕上がります。


ストレートハンドピース用バーの形状別の用途と選択基準

ストレートハンドピース用バーは、ヘッドの形状によって用途が大きく異なります。主な形状には、ラウンド(球状)、フィッシャー(円筒状)、フレーム(円錐台状)、ホイール(車輪状)などがあり、それぞれ削る面積や深さが異なるため、作業内容に応じた使い分けが求められます。


ラウンドバーは、先端が球状になっており、義歯床の内面調整や小窩の形成に適しています。点での接触が可能なため、狭い範囲を集中的に削ることができ、義歯の痛みの原因となる突起部分を除去する際に便利です。サイズは直径0.5mmから10mm以上まで多様で、作業する部位の大きさに合わせて選びます。


フィッシャーバーは、円筒状の形状で側面全体で材料を削るため、広い平面を効率よく削ることができます。義歯床の平坦な部分や、技工物の大きな面を削る際に使用頻度が高く、ストレート用バーの中では最も汎用性が高い形状です。ストレートフィッシャー(先端が平ら)とテーパーフィッシャー(先端に向かって細くなる)の2種類があり、用途で使い分けます。


フレームバーは、逆円錐形や火炎形の形状で、義歯の咬合面や溝の形成に使用されます。先端から根元に向かって太くなる形状のため、深い溝や角度のある面を削る際に力を効率よく伝えられます。金属床義歯の調整では、フレームバーが特に有効です。


ホイールバーは、円盤状の形状で義歯床の辺縁部分や、狭い隙間の研磨に適しています。側面で材料を削るため、垂直な面や角度のついた面の仕上げに使用します。幅が狭いタイプは、義歯のクラスプ周囲など細かい部分の調整に便利ですね。


形状を選ぶ際の基準として、削る面積が広いほど大きな形状のバーを、細かい部分は小さな形状のバーを選ぶのが基本です。作業効率と仕上がりの美しさの両方を考慮し、粗削りと仕上げで形状を変えることも重要な技術です。医院に常備するバーのセットを決めておくと、スムーズに作業が進みます。


松風のジェットカーバイトバーCA用は、ラウンドタイプ2種類・テーパーフィッシャー2種類の形態があり、ブラケット除去後のボンディング材除去に最適な設計です。




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