シザーズバイトがある犬でも、口腔内に外傷が生じていれば治療対象になります。
シザーズバイト(鋏状咬合)とは、上顎の切歯の裏面に下顎の切歯の表面が接触する咬合形態のことです。 ハサミの刃が合わさるような構造であることからこの名称がついており、ほとんどの犬種でスタンダード(品種標準)とされています。 petshop(https://www.petshop.bz/contents/word/%E3%82%B7%E3%82%B6%E3%83%BC%E3%82%BA%E3%83%90%E3%82%A4%E3%83%88/)
犬歯の関係に関しては少し異なります。切歯と逆で、下顎犬歯が上顎犬歯の前方にすっぽりはまる形になります。 この構造により、獲物を捕捉・保持する機能と咀嚼効率の両立が実現されています。 petshop(https://www.petshop.bz/contents/word/%E3%82%B7%E3%82%B6%E3%83%BC%E3%82%BA%E3%83%90%E3%82%A4%E3%83%88/)
これが基本です。
犬種標準を確認することが原則です。
シザーズバイトが乱れる最も多い原因は、乳歯遺残(にゅうしいざん)です。 乳歯が自然脱落せずに残ることで、同部位から生えてくる永久歯の生育ルートが阻害され、歯が本来の位置からずれて萌出します。 wanchan(https://wanchan.jp/living/detail/6302)
特に小型犬では乳歯遺残の頻度が高い傾向があります。 トイプードル・チワワ・ヨークシャテリアといった小型犬では、顎骨が小さく歯が密集するため、乳歯が残りやすい構造的背景があります。 wanchan(https://wanchan.jp/living/detail/6302)
これが一番の原因です。
乳歯と永久歯が同時に生えている状態の許容期間は1〜2週間程度です。 それを超えて乳歯が残存している場合は、乳歯遺残として対応を検討します。見た目では気づきにくいため、定期的な口腔内チェックの重要性を飼い主に伝えることが動物歯科従事者の役割になります。 wanchan(https://wanchan.jp/living/detail/6302)
また、遺伝・外傷も不正咬合の原因として挙げられます。 遺伝性の咬合異常は両親の咬合状態が影響するため、繁殖に携わるブリーダーへの情報提供も歯科的な観点から意味があります。 yamashinamiyako-ah(https://yamashinamiyako-ah.com/column14/)
| 原因 | 発生機序 | 好発犬種 |
|---|---|---|
| 乳歯遺残 | 乳歯が残り永久歯の萌出位置がずれる | 小型犬全般 |
| 遺伝 | 顎骨の大きさや形の遺伝的ミスマッチ | 全犬種 |
| 外傷 | 顎骨・歯槽骨の損傷による咬合変化 | 全犬種 |
不正咬合が深刻化すると、歯が口腔粘膜・口蓋・歯肉を直接傷つける外傷性病変を生じます。 最も典型的なのは、下顎犬歯が舌側に転位して上顎口蓋に接触・穿刺するケースです。口蓋に潰瘍や穿孔が生じると、鼻腔との交通(口腔鼻腔瘻)へと進展するリスクもあります。 media.littlefamily-ssi(https://media.littlefamily-ssi.com/10897)
外傷以外にも影響は広がります。歯並びが乱れた部位は食渣が蓄積しやすく、歯石・歯周病の進行が加速します。 歯周病は全身疾患(腎臓・心臓・肝臓)へのリスクファクターとして現在注目されており、口腔内の問題を局所だけで完結させないことが重要です。 wanchan(https://wanchan.jp/living/detail/6302)
痛いですね。
プードルで実際に起きた事例として、右下犬歯が上顎に当たり上顎骨が凹損した症例が報告されています。 このような外傷性損傷では早期のインクラインキャッピング(レジンで歯を延長して咬合誘導する方法)が有効とされています。治療介入のタイミングが遅れるほど、外科的処置の難易度が上がります。 taruno-ah(https://taruno-ah.com/dental/malocclusion.html)
治療の適応は「見た目の異常」ではなく「機能的障害または外傷の有無」で判断します。 外傷がなく食事も問題なければ、シザーズバイトから外れた咬合でも経過観察が選択されます。逆に、口腔内への外傷・疼痛・咀嚼困難が確認される場合は、早急な処置が推奨されます。 circus-ah(https://circus-ah.com/archives/1390)
治療の選択肢は大きく3つです。 media.littlefamily-ssi(https://media.littlefamily-ssi.com/10897)
polan-ah(https://www.polan-ah.com/case/p_1212/)
media.littlefamily-ssi(https://media.littlefamily-ssi.com/10897)
矯正のタイムリミットは生後10か月です。 polan-ah(https://www.polan-ah.com/case/p_1212/)
費用の目安として、矯正処置は5,000円〜数万円、レントゲン検査は最大7,500円、CT検査は5万円以上になることもあります。 全身麻酔が必要になるケースも多く、飼い主への事前のインフォームドコンセントが特に重要な場面です。 circus-ah(https://circus-ah.com/archives/1390)
なお、美容目的での矯正は動物歯科の倫理上推奨されません。 あくまで機能改善・疼痛除去を目的とする処置であることを、臨床現場では常に意識することが求められます。 media.littlefamily-ssi(https://media.littlefamily-ssi.com/10897)
意外ですね。
口腔内視診では以下の順序で確認することを推奨します。
定期チェックが条件です。
小型犬の子犬では生後4〜7か月の生え変わり期に、月1回程度の口腔内チェックが理想的です。この時期に乳歯遺残を早期発見できれば、抜歯のみという最小限の処置でシザーズバイトを維持または回復できる可能性が高まります。 wanchan(https://wanchan.jp/living/detail/6302)
動物歯科の認定・研修に関心がある場合、日本小動物歯科研究会(JSVD)が認定制度を設けており、歯科レベル認定を取得した獣医師が診療にあたる動物病院も増えています。 専門性の証明として、チームへの情報共有や研修参加は現場の診断精度向上に直結します。 oonishi-ac(https://oonishi-ac.com/diagnosis/shika)
歯科的なアプローチを習慣化できるかどうかが、犬の口腔健康を守る上でのカギになります。
参考:犬の不正咬合の分類・治療法について獣医師が解説しています。
【獣医師監修】犬の歯並びが悪くなってしまう原因|正しい咬み合わせと矯正方法を獣医師が解説 – petan
参考:乳歯遺残による不正咬合の外科的矯正事例(実際の治療前後の写真あり)。
犬の不正咬合(乳歯晩期残存による)外科的矯正 – ポラン動物病院
参考:インクラインキャッピングを用いた不正咬合の治療事例(プードル症例)。