味覚検査病院で受ける方法と費用

味覚障害を感じたら、どの病院で検査を受けるべきか迷っていませんか?耳鼻咽喉科と歯科、それぞれの専門性と検査方法の違いを理解することが重要です。適切な診療科の選択が早期回復の鍵となりますが、あなたはその違いを正しく理解していますか?

味覚検査を病院で受ける方法

味覚障害の2割が歯科疾患原因です


この記事でわかる3つのポイント
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適切な診療科の選び方

耳鼻咽喉科と歯科口腔外科、それぞれの専門性と検査内容の違いを解説します

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味覚検査の費用と検査方法

保険適用される電気味覚検査と濾紙ディスク法の詳細な手順と料金を紹介します

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早期治療の重要性

発症から6ヶ月以内の受診で回復率が大きく変わる理由を説明します


味覚検査を実施する病院の選び方


味覚障害の患者数は年間約27万人に達しており、増加傾向にあります。この数字は2019年の全国調査によるもので、2003年の24万人から約3万人も増えているのです。特に新型コロナウイルス感染症のパンデミック以降、味覚異常を訴える患者はさらに顕著に増加しました。


味覚検査を受ける際、最も重要なのは適切な診療科を選ぶことです。基本的には耳鼻咽喉科を受診することが推奨されます。一番の理由は、嗅覚性味覚障害(匂いが分からなくて味が分からない)というケースが意外に多いからです。実際、味覚障害だと思っていた患者の中に、検査をしてみると嗅覚障害が主な原因だったというケースは珍しくありません。


嗅覚障害を確認できるのは耳鼻咽喉科だけです。耳鼻咽喉科では、味覚検査に加えて嗅覚検査も実施できる体制が整っています。T&Tオルファクトメトリ嗅覚検査や静脈性嗅覚検査といった専門的な検査を受けられるのは、この診療科の大きな強みと言えるでしょう。


一方で、歯科口腔外科や歯科医院での受診も選択肢の一つです。北海道大学病院口腔科の調査によると、歯科を受診した味覚障害患者322人のうち、約2割は口腔疾患が主な原因でした。口腔カンジダ症口腔乾燥症ドライマウス)、歯周病による膿や出血が味覚に影響を与えているケースです。


つまり、口の中の問題が原因ですね。


歯科領域では、治療や検査項目として唾液の分泌量を調べることができます。味を感じるには唾液が重要な働きをするため、唾液量の測定や唾液の性質を詳しく調べることで、味覚障害の原因を特定できる場合があるのです。


また、味覚障害の専門外来が設置されている病院もあります。東京女子医科大学耳鼻咽喉科では2001年から「口腔乾燥・味覚外来」を開設し、口の乾きや味覚障害に加えて唾液過多、舌痛、嗅覚・風味障害などの口腔愁訴全般に対して診断と治療を行っています。産業医科大学病院は2015年に九州管内の大学病院で唯一の「嗅覚・味覚専門外来」を開設しました。


専門外来のある病院は日本全国で50件に満たない場合もあります。お住まいの地域に専門外来がない場合は、まず最寄りの耳鼻咽喉科で相談し、必要に応じて専門医療機関への紹介状を書いてもらうのが現実的な選択です。


受診前には、その医療機関が味覚障害に対応しているか確認することをお勧めします。すべての耳鼻咽喉科や歯科医院が味覚検査の設備を持っているわけではないからです。電話での問い合わせや、病院のウェブサイトで診療内容を確認してから予約を取ると、無駄な受診を避けられます。


味覚検査の種類と保険適用の費用

味覚検査には主に2種類の方法があり、どちらも保険適用で受けられます。


電気味覚検査と濾紙ディスク法です。


それぞれに特徴があります。


電気味覚検査は、舌に微量の電流を流して味覚神経の反応を調べる方法です。電極を舌に当て、21段階の電流で刺激を与え、どのくらいの電流で味(スプーンをなめたときのような金属味)を感じ取れるかを測定します。検査時間は比較的短く、定量的な測定が可能です。費用は300点で、3割負担の場合は約900円です。


この検査の最大の利点は、味覚伝導路障害の診断と予後判定に有効であることです。神経の反応を直接測定できるため、どの程度神経が機能しているかを客観的に評価できます。ただし、甘味や塩味などの味質ごとの検査はできません。また、ペースメーカーを装着している方や人工内耳を入れている患者には施行できないという制約があります。


濾紙ディスク法は、各味覚神経支配領域別の定量的検査法として開発されました。甘味(ブドウ糖液)、塩味(食塩水)、酸味(酒石酸)、苦味(塩酸キニーネ)の4種類の味質について、5段階の濃度液を用意します。これを浸した濾紙ディスクを舌の所定の位置に置き、味覚の検知閾値と認知閾値を求めるものです。


具体的な手順は次のとおりです。まず、味質指示表を患者に持たせるか前に置きます。次に、円形の濾紙ディスクをピンセットでつまみ、最も薄い濃度の味質溶液をディスクに滴下して湿らせます。湿らせたディスクを舌の測定部位へ静かに置き、口を開けたまま2~3秒で味質指示表のうち1個の答を指示させます。正答が得られるまで濃度を上げていき、どの濃度で正しく味を認識できるかを判定します。


この検査の所要時間は20~40分程度です。費用は電気味覚検査と同じく300点、3割負担で約900円となります。濾紙ディスク法は、電気味覚検査が21段階で評価できるのに対し5段階での評価にとどまりますが、味質別に定性検査ができる点が特徴です。つまり、どの味が分からなくなっているのかを具体的に特定できるわけです。


濾紙ディスク検査は受容器型味覚障害の診断と経過観察に適しています。味蕾(みらい)という味を感じる細胞レベルでの障害を評価するのに有効なのです。


検査費用については、診察料や処置料、必要に応じた血液検査の費用が別途かかります。血液検査では、亜鉛、銅、鉄、ビタミンB12の値を測定することが一般的です。味覚・嗅覚に関する亜鉛・葉酸血液検査の費用は、3割負担で約1,420円です。


初診で味覚検査を受ける場合、検査費用、診察料、血液検査を含めると、3割負担で約5,000~7,000円程度が目安となります。ただし、医療機関によって実施する検査内容が異なるため、金額には幅があります。


唾液分泌機能検査も実施される場合があります。安静時唾液と刺激時唾液の量を測定し、口腔乾燥症の有無を判断します。味を感じるには唾液が不可欠なため、この検査も味覚障害の原因究明には重要な役割を果たします。


味覚検査を病院で受けるタイミング

味覚障害に気づいたら、できるだけ早く医療機関を受診することが重要です。発症から受診までの期間が治療効果に大きく影響するからです。


耳鼻咽喉科の臨床データによると、症状出現から受診までが6ヶ月以上の症例では自覚症状の改善率が50.2%にとどまりました。一方、6ヶ月未満の症例では68.0%と良好な改善率を示しています。この差は統計的にも有意であり、早期受診の重要性を裏付けています。


さらに、発症から6ヶ月以上経過すると改善率が有意に低下するだけでなく、治療期間も長期化する傾向があります。亜鉛補充療法による改善までの平均期間を見ると、亜鉛欠乏性で約22.7週間(約5ヶ月半)、薬剤性では43.2週間(約10ヶ月)かかっています。早く治療を始めればそれだけ回復も早いということですね。


ただし、風邪やウイルス感染後の一時的な味覚障害の場合は、自然に治ることも多いです。感冒後の味覚障害では、2週間以内に60~80%の患者が改善するとの報告があります。新型コロナウイルス感染症による味覚障害も、発症後1ヶ月で約8割の方が自然回復します。


それでも、2週間経っても他の症状なく味覚が改善しない場合は、耳鼻咽喉科外来を受診してください。嗅覚・味覚障害の治療は急ぐ必要はありませんが、放置しすぎると慢性化のリスクが高まります。1ヶ月以上経過しても自然回復しなかった場合は、専門的な検査と治療が必要になると考えるべきです。


受診の目安としては、以下のような状況が挙げられます。味が全くしない、あるいは特定の味だけが分からない状態が2週間以上続いている場合です。風邪やウイルス感染の症状は治ったのに味覚だけが戻らない場合も受診のタイミングです。口の中に苦味や金属味などの異常な味が常にする場合、食事が楽しめず体重が減少している場合も要注意です。


口腔内に明らかな異常(舌の炎症、乾燥、カンジダ症など)がある場合は、すぐに歯科口腔外科を受診するのが適切です。歯科疾患が原因の味覚障害では、口腔内の治療を優先することで味覚も改善することが多いからです。


亜鉛不足による味覚障害の治療は即効性がなく、3~6ヶ月近く治療に時間がかかる場合があります。定期的に採血や味覚の回復具合を判定して、治療経過を確認する必要があります。そのため、長期的な通院を前提として、通いやすい医療機関を選ぶことも大切です。


味覚検査における歯科医療従事者の役割

歯科医療従事者にとって、味覚障害患者への対応は今後ますます重要になってきます。なぜなら、味覚障害の原因の約2割が口腔疾患によるものだからです。


北海道大学病院口腔科の研究では、歯科を受診した味覚障害患者322人を詳細に分析しました。その結果、口腔疾患が主因のケースが19.9%を占めていました。具体的には、口腔カンジダ症、口腔乾燥症、歯周病による出血や膿、舌炎などです。これらは歯科医療従事者が日常的に診察する疾患ですね。


興味深いことに、同じ研究で心因性が35.1%、特発性(原因不明)が20.5%と、亜鉛欠乏性の10.2%を大きく上回っていました。これは従来、味覚障害=亜鉛欠乏という考え方が主流だったことを考えると、意外な結果です。実際、半数以上の患者が亜鉛製剤処方以外の処置を必要としていたのです。


歯科医院で味覚障害に対応する際の基本的なアプローチを説明します。まず、問診で味覚障害の発症時期、症状の内容(全く味がしない、特定の味が分からない、異常な味がするなど)、服薬状況、全身疾患の有無を詳しく聞き取ります。


次に、口腔内の視診を丁寧に行います。舌の状態(舌苔の付着、炎症、萎縮など)、唾液の分泌状況、歯周病の有無、口腔粘膜の異常をチェックします。特に舌苔が多い場合は、味蕾が覆われて味を感じにくくなっている可能性があります。これは歯科医院での口腔ケアで改善できる問題です。


唾液分泌量の測定も歯科医院で実施できる重要な検査です。安静時唾液と刺激時唾液を採取し、量と性状を評価します。唾液が少ないと味物質が溶けず、味蕾まで届かないため味覚障害を引き起こします。ドライマウスが原因の場合、唾液腺マッサージや人工唾液の使用、口腔保湿剤の処方が有効です。


歯周病が重度の場合、患者は気づかないうちに歯茎から血や膿が出ていることがあります。これは口内の苦味を生じさせたり、鉄の味がしたりする原因になります。歯周病治療を優先することで、味覚も正常化するケースは少なくありません。


口腔カンジダ症も見逃せない原因です。舌や口腔粘膜に白い苔状の付着物が見られたら、カンジダ培養検査を実施します。カンジダ症が確認されれば、抗真菌薬による治療で味覚障害が改善します。


歯科医院での濾紙ディスク法による味覚検査も可能です。ただし、すべての歯科医院が検査設備を持っているわけではありません。味覚障害に対応できる歯科医院は、実はまだ多くないのが現状です。そのため、味覚障害治療を本格的に取り入れることは、歯科医院の差別化につながる可能性があります。


血液検査で亜鉛、銅、鉄、ビタミンB12の値を測定することも重要です。ただし、歯科医院では血液検査を実施していない場合もあるため、内科との連携が必要になることがあります。血清亜鉛値が80μg/dL未満なら亜鉛欠乏性味覚障害、60μg/dL未満なら亜鉛欠乏症と診断されます。


心因性の味覚障害が35.1%を占めているという事実は、診断において心理的側面の評価も重要であることを示しています。うつ病やストレスが味覚障害を引き起こすことがあるため、問診時に患者の精神状態にも注意を払う必要があります。自己評価うつ病スケール(SDS)などのスクリーニングツールを活用するのも一つの方法です。


歯科医療従事者として知っておくべき紹介基準もあります。口腔内に明らかな異常がなく、唾液分泌も正常で、歯科治療で改善しない場合は、耳鼻咽喉科への紹介が適切です。


嗅覚障害を伴っている可能性があるためです。


また、全身疾患(糖尿病、肝硬変、慢性腎臓病など)が疑われる場合は、内科への紹介が必要になります。


味覚検査後の治療と経過観察のポイント

味覚検査で原因が特定されたら、それぞれに応じた治療が開始されます。治療方法は原因によって大きく異なり、長期的な経過観察が必要です。


亜鉛欠乏性味覚障害と診断された場合、亜鉛製剤の投与が基本的な治療となります。日本では、ポラプレジンク(プロマック)や酢酸亜鉛水和物錠(ノベルジン)が保険適用で処方されます。亜鉛の補充は食事からだけでは十分な量を摂取するのが難しいため、薬剤による補充が効果的です。


亜鉛製剤の効果が現れるまでには時間がかかります。


平均で22.7週間、つまり約5ヶ月半です。


患者にはこの点をしっかり説明し、根気強く治療を継続してもらう必要があります。短期間で効果が出ないからといって治療をやめてしまうと、改善のチャンスを逃すことになります。


亜鉛製剤の有効性について、耳鼻咽喉科からは原因の約70%に効果があると報告されていますが、北海道大学口腔内科の取り組みでは、歯科での効果はそれほど多くないことが明らかになっています。これは、歯科を受診する味覚障害患者では口腔疾患や心因性の割合が高いためです。半数強に亜鉛以外の治療が必要だったということです。


薬剤性味覚障害の場合は、原因薬剤の調整が最優先です。降圧薬、抗うつ薬、抗菌薬、抗がん剤など、多くの薬剤が味覚障害を引き起こす可能性があります。ただし、基礎疾患の治療のために服用している薬を自己判断で中止するのは危険です。主治医と相談し、代替薬への変更や減量を検討します。薬剤性の改善には平均43.2週間、約10ヶ月かかることを覚えておいてください。


口腔疾患が原因の場合、歯科治療が直接的に味覚を改善させます。口腔カンジダ症には抗真菌薬(フロリードゲル、ファンギゾンシロップなど)を使用します。通常、1~2週間の治療でカンジダは消失し、味覚も回復します。


ドライマウスに対しては、唾液分泌を促進する薬(サリグレンカプセル、エボザックカプセル)の処方や、唾液腺マッサージの指導が有効です。人工唾液や口腔保湿剤(口腔保湿ジェル、保湿スプレー)の使用も症状を軽減します。水分をこまめに摂取する、ガムを噛む、飴をなめるといった生活指導も重要です。


舌苔が多い患者には、舌ブラシを使った舌清掃を指導します。ただし、強くこすりすぎると舌を傷つけるため、優しく行うことを強調してください。


1日1回、朝起きた時に行うのが効果的です。


歯周病治療では、スケーリングルートプレーニングによる歯石除去とプラークコントロールの徹底が基本です。歯周ポケットからの出血や排膿がなくなると、口内の異常な味も消失します。重度の歯周病の場合、歯周外科処置や抜歯が必要になることもあります。


心因性の味覚障害には、心療内科や精神科との連携が必要です。抗うつ薬や抗不安薬による薬物療法、カウンセリング、認知行動療法などが行われます。平均29.3週間、約7ヶ月の治療期間を要します。


特発性(原因不明)の味覚障害は、潜在的な亜鉛欠乏が疑われるため、血清亜鉛値が80μg/dL以上であっても亜鉛製剤を試験的に投与することがあります。平均31.8週間、約7ヶ月半で改善が見られます。


治療の経過観察では、定期的に味覚検査を繰り返して改善度を客観的に評価します。患者の自覚症状だけでなく、検査データで回復を確認することが重要です。血液検査で亜鉛値の推移を追うことも忘れてはいけません。


食生活の改善も治療の一環です。亜鉛を多く含む食品(牡蠣、レバー、牛肉、チーズ、ナッツ類など)を積極的に摂取するよう指導します。ただし、加工食品を多く利用する食生活では亜鉛不足になりやすいため、バランスの取れた食事を心がけることが大切です。


治療が長期化すると、患者のモチベーション維持が課題となります。小さな改善でも積極的に評価し、励ましの言葉をかけることが継続治療には欠かせません。味覚は生活の質に直結する感覚ですから、患者の不安に寄り添った対応を心がけてください。


味覚異常の2割は口腔疾患が主因で半数強に亜鉛以外の治療が必要-CareNet


北海道大学病院口腔科の研究による、歯科における味覚障害患者322人の詳細な分析結果が掲載されています。口腔疾患が主因の割合や、亜鉛製剤以外の治療が必要な患者の割合など、歯科医療従事者にとって重要なデータが紹介されています。


味覚の検査-神尾記念病院


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解説ページ|味覚障害と低亜鉛血症-ノーベルファーマ


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