「日本人の歯の色の平均はA1前後、つまりかなり白い」と患者に説明しているなら、今すぐ見直しが必要です。
歯科で用いるVITA classical シェードガイドは、B1・A1・B2・D2・A2・C1・C2・D3・A3・D4・B3・A3.5・B4・C3・A4・C4という16段階で構成されています。 日本人の平均的な歯の色はA3〜A3.5とされており、これはB1(最も白い)から数えて9〜12番目の明るさに位置します。 明るいほうとは言えない、やや黄みがかったベージュ系の色合いです。 oral-clinique(https://www.oral-clinique.com/column/2272/)
患者に「あなたの歯は普通です」と伝えるとき、この「普通」の定義がズレていると信頼を損なうリスクがあります。これは重要です。VITAシェードガイドとは別に、ソニックフィル系のシェードガイドでは日本人の平均はS30〜S32前後と表記されます。 数値の体系が違うだけで指している色は同じですが、患者がネット情報を見て「S2に近い数字が目標」などと誤解して来院するケースも実際に起きています。 yobou-shika(https://yobou-shika.net/column/195)
| シェードガイド種別 | 日本人平均値 | 最白ランク | 備考 |
|---|---|---|---|
| VITA classical | A3〜A3.5 | B1 | 世界標準。16段階。 |
| Sonicshed(ソニックフィル) | S30〜S32 | S2 | 数字が小さいほど白い |
つまり平均値の「表現」は違っても、指す色は同じということですね。
▶ 平均的な歯の白さとシェードガイドの解説(歯のアンテナ)
参考:歯のアンテナによる日本人の平均的歯の白さとシェードガイドの詳細解説(上記H3全般の参考)
歯の色を決定する最大の要因は、内側の象牙質の色です。エナメル質は本来半透明で、その下にある象牙質の黄色〜黄褐色が透けて見えることで、歯全体がベージュ〜黄みがかった色合いになります。 日本人はもともと乳白色に近い歯質を持つとされていますが、それでも「真っ白」ではありません。 dentalclean(http://www.dentalclean.jp/column/23.html)
エナメル質の厚みも色調に影響します。エナメル質が厚い部分(切端や咬頭)はより白く見え、薄い歯頸部では象牙質の色が強く透過するため黄みが増します。この構造的な特性を患者に説明することは、ホワイトニングの限界や色調の分布を理解してもらうために非常に有効です。これは使えそうです。
また、加齢とともにエナメル質が磨耗し象牙質が露出してくると、歯の色は徐々に濃くなります。20代と50代では同じ「健康な歯」でも平均的なシェードが異なる点も、臨床評価の際に意識しておきたいポイントです。
日本人の平均A3.5をスタート地点とした場合、1回のオフィスホワイトニングでA2〜C1、うまくいけばB2レベルまで白くなることが期待できます。 3回ほど施術を受けると、A1やB1に到達するケースもあります。 rinku-hohoemi(https://www.rinku-hohoemi.com/content/815/)
デュアルホワイトニング(オフィス+ホーム併用)では、A3.5から終了直後にD2相当まで改善するという報告もあります。 ただし「D2」という表現はあまり一般的ではなく、患者説明では「平均よりも4〜5段階白くなる可能性がある」というように段階数で伝えるほうが誤解を招きにくいです。 yamamoto-dc(https://www.yamamoto-dc.site/whitening/)
一方、S30〜S32(日本人平均)からスタートした場合、ホワイトニングで達成できる現実的な限界はS12〜S14程度とされています。 これを超えてS2などを目指す場合、ラミネートベニアやジルコニアクラウンなど補綴的アプローチへの移行を検討すべきであることを、事前カウンセリングで明確に伝えておくことがトラブル予防の第一歩です。 yobou-shika(https://yobou-shika.net/column/195)
結論はカウンセリング精度が患者満足度と直結するです。
▶ ホワイトニングの効果と限界・S12〜S14の達成ラインについて(予防歯科.net)
参考:ホワイトニングでの到達可能な白さとシェード段階の詳細解説
歯の色の変化には「外因性」と「内因性」の2種類があります。外因性着色はコーヒー・紅茶・赤ワイン・タバコのヤニなどによるもので、歯面への色素沈着です。 これはPMTC(歯のクリーニング)やホワイトニングで改善が期待できます。 yamamoto-dc(https://www.yamamoto-dc.site/whitening/)
一方、内因性変色は象牙質そのものが変色しているケースや、テトラサイクリン系抗生物質の服用歴、フッ素の過剰摂取(フッ素症)、歯髄壊死後の変色などが原因です。内因性変色はホワイトニングが効果を発揮しにくいため、補綴処置が必要になるケースが多く、この見極めが臨床的に非常に重要です。厳しいところですね。
外因性か内因性かを見分ける際は、以下のチェックポイントが参考になります。
特に内因性変色は、患者が「ホワイトニングで白くなる」と思って来院するケースが多く、事前の丁寧な鑑別診断とカウンセリングが患者トラブル回避に直結します。
日本人の平均がA3〜A3.5という数値は多くの文献で紹介されていますが、この数値が「どの照明条件で測定されたか」についてはほとんど語られません。意外ですね。
歯の色のシェードマッチングは、自然光(北側の窓からの間接光、色温度約6500K)での評価が推奨されています。しかし実際の診療室では蛍光灯・LED照明・ユニットライトなど、色温度や演色性が異なる光源が混在しています。照明条件によって同じシェードガイドでもA2に見えたりA3.5に見えたりすることがあるため、記録の再現性に問題が生じることがあります。
また、コーカソイド(白人系)と比較すると、日本人を含むアジア系は象牙質の彩度が高い(黄みが強い)傾向があるとされており、同じシェードガイドでも「白く見えるか」の印象が人種的背景によって異なります。これは海外製ホワイトニング商品のビフォーアフター写真が「日本人には再現しにくい白さ」である主な理由でもあります。
臨床的に再現性の高いシェードマッチングを行うためには、次のポイントを押さえておくと役立ちます。
シェードマッチングの精度が上がると、補綴物の製作指示精度も上がり、再製作リスクが下がります。これはお金と時間の節約に直結するポイントです。
▶ ホワイトニング以外に歯を白くする方法・VITA classicalの仕組み(オーラルクリニーク自由が丘)
参考:VITA classicalシェードガイドの構造とA3.5の位置づけの解説に活用