治療に何の問題もなくても、同意書がないだけで歯科医師は慰謝料を支払わされることがあります。
歯科医院で必要になる同意書には、処置の種類ごとに複数のパターンがあります。代表的なものとして、抜歯同意書・インプラント同意書・ホワイトニング同意書・矯正治療同意書・ボツリヌストキシン治療同意書などが挙げられます。それぞれ必要な記載事項が異なるため、用途に合ったテンプレートを選ぶことが基本です。
無料でダウンロードできる主な入手先は以下の通りです。
dental-management(https://dental-management.jp/consent-form-templates-of-dental-clinic/)
biz.moneyforward(https://biz.moneyforward.com/contract/templates/3659/)
jihiken(https://jihiken.jp/news/post-35320/)
jea-endo.or(https://jea-endo.or.jp/procedure/other-materials.html)
hmd-d(http://hmd-d.com/document.html)
Word形式が多く、自院の院名や費用・リスクを追記してすぐに使い始めることができます。これは使えそうです。
ただし、無料テンプレートはあくまでひな形であって、歯科医院ごとに行う処置の内容・使用材料・費用・術後リスクを反映させることが前提です。ダウンロードしたまま無編集で運用するのは避けましょう。テンプレートをベースに、自院の状況を反映した「オリジナル書式」に仕上げることが条件です。
参考:歯科医院向けの処置別同意書テンプレート一覧(dental-management.jp)
https://dental-management.jp/consent-form-templates-of-dental-clinic/
参考:弁護士監修の歯科同意書テンプレート(マネーフォワード クラウド契約)
https://biz.moneyforward.com/contract/templates/3659/
重要なのは、インフォームドコンセントの不備だけで損害賠償責任が生じうるという点です。日本の民事訴訟では、「治療行為自体に過失がなく、患者に健康上の悪化もなかった場合であっても、十分なインフォームドコンセントに基づかずに医療行為を行うことは、不法行為ないし債務不履行として損害賠償責任が発生する」と認められています 。つまり技術的に正しい治療をしても、です。 repository.tku.ac(https://repository.tku.ac.jp/dspace/bitstream/11150/414/1/genhou20-08.pdf)
さらに、十分な説明がなかったこと自体が「人格権の侵害」として慰謝料請求の根拠になるケースもあります 。金銭的な損失だけの問題ではありません。 repository.tku.ac(https://repository.tku.ac.jp/dspace/bitstream/11150/414/1/genhou20-08.pdf)
同意書を整備することで得られる主な効果は次の通りです。
説明義務の確認が原則です。無料テンプレートを活用しつつ、説明から署名取得までの運用フローもあわせて整備することで、法的なリスクを大幅に下げることができます。
参考:歯科医療訴訟の概要と説明義務(日本口腔外科学会誌・J-STAGE掲載)
参考:インフォームドコンセントと民事責任(東京経済大学リポジトリ)
https://repository.tku.ac.jp/dspace/bitstream/11150/414/1/genhou20-08.pdf
同意書として法的効力を持たせるには、「患者が理解した上で同意した」という事実を文書で証明できる構成が必要です。どういうことでしょうか? 具体的には、以下の項目がすべて含まれていることが最低ラインになります。
| 記載項目 | 内容の例 |
|---|---|
| 治療名・処置内容 | インプラント埋入手術、上顎左側第一大臼歯 |
| 治療の目的・効果 | 咀嚼機能の回復、審美性の改善 |
| リスク・合併症 | 神経損傷、インプラント脱落、感染症 |
| 治療を行わない場合のリスク | 顎骨吸収の進行、隣在歯への影響 |
| 費用の目安 | ○○万円〜(保険適用外・自費診療) |
| 代替治療の選択肢 | ブリッジ、入れ歯など |
| 患者署名・日付 | 自署と日付の記入欄 |
| 担当医師の署名 | 説明者の氏名・日付 |
なかでも「治療を行わない場合のリスク」の記載を忘れているケースが多くあります。法的には、インフォームドコンセントには「何もしない場合のリスク」を含める必要があると明確に述べられています 。これが抜けていると説明不足と判断される可能性があります。 makeform(https://www.makeform.ai/ja/tools/ai-dental-informed-consent-form-generator)
患者が「選択肢を与えられて自分で決めた」という形式を文書で作ることが、訴訟リスクを下げる最大のポイントです。結論はこれが原則です。
弁護士監修のテンプレートを使う場合も、この8項目がすべて網羅されているか確認した上で自院向けに編集することをおすすめします 。 biz.moneyforward(https://biz.moneyforward.com/contract/templates/3659/)
無料テンプレートを入手した後にそのまま印刷・使用するケースが歯科医院では散見されますが、これは法的な保護を得にくい状態です。厳しいところですね。テンプレートはあくまで「ひな形」であり、自院の状況を反映させて初めて有効な文書になります。
カスタマイズ時に特に気をつけたいポイントは以下の3点です。
また、患者に署名をもらう際は「ただサインするだけ」にならないよう、口頭説明と文書説明の両方を行ったことを記録として残すことが重要です。たとえば、説明日時・説明者名・説明場所をスタンプや記入欄で記録するなど、運用上のひと工夫が法的な盾になります。
同意書の文書管理・電子保存が煩雑に感じる場合、「マネーフォワード クラウド契約」のような電子契約サービスを利用することで、署名取得・保管・検索が一元化できます。患者が来院できない状況でも電子署名で対応できる点もメリットです 。 biz.moneyforward(https://biz.moneyforward.com/contract/templates/3659/)
無料で公開されているテンプレートの多くは、標準的な処置(抜歯・ホワイトニング・一般的な矯正治療)を想定して作られています。これが基本です。一方で、リスクが高い処置や近年増加している自費診療については、専門家のレビューを加えたテンプレートが必要になることがあります。
特に注意が必要な処置の例を挙げます。
jihiken(https://jihiken.jp/news/post-35320/)
note(https://note.com/maruo_katuichiro/n/n30c8204339fb)
jihiken(https://jihiken.jp/news/post-35271/)
これらのリスクの高い処置については、無料テンプレートをベースにしつつ、歯科医療専門の弁護士による内容チェックを受けることが推奨されています 。1回の弁護士レビューコストは数万円程度ですが、医療訴訟になった場合の弁護士費用・賠償額と比較すれば、コストとして見ると格段に小さいリスク対策です。 obatalaw(https://obatalaw.com/2020/01/11/consent/)
歯科医療専門弁護士による同意書・説明書のレビューサービスについて参考になる情報はこちらです。
https://obatalaw.com/2020/01/11/consent/